星の子

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.25
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本棚登録 : 1920
レビュー : 289
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514745

感想・レビュー・書評

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  • 体の弱いちひろの病気を治すためにお父さんがもらってきた「水」から
    ゆるやかに日常が崩壊していく。

    新興宗教を信じることにより生活に支障が出ているのに
    ちひろの視点からは危機感や悲壮感が感じられず、ふんわりとお話が進んでいく。

    ちひろ自身も家族が”普通ではない”ことに気づいているのに 現状を変える行動が強く取れず、「うちの家族は会話が多い」などと流れに身を任せていってしまうところが恐ろしいなと感じた。

  • 怪しげな宗教にのめり込む両親と暮らす中学3年生の少女ちひろの日常を描いた物語。姉が家出しても挙動不審な両親の姿を見ても受け流す日々。ちひろなりに心では葛藤があったのかもしれないがドロドロした感じがなく、ひたすらに淡々としている文章は子供視点だからということなのか。作者独特の雰囲気を醸し出してはいると思うが、会話文になると妙にページの余白の多さが気になってしまった。悪くはないのだが淡々とした感じが最後まで続いて、ちひろじゃないけど受け流して終了という感じだった。芥川賞候補ならではの描き方なのか。

  • ちひろの病気がきっかけで、宗教にハマってしまった両親。
    そんな両親の目を覚まさせようとする、おじさん
    嫌になって出て行く姉。
    変な目で見る同級生。
    いろんな人がいたけど、周りの友達はちひろをちひろとして見てくれていたような。
    宗教への入り口は人それぞれなんだと思うけど、信じてる人にとってみればそれは絶対で、外部の人間にその気持ちはわからない。滑稽にも恐怖にも見える。

  • 本屋大賞にノミネートされていたので読んでみました。
    読みやすいし割りと短いのですぐに読み終えてしまいます。
    終わり方が少し唐突で、何か放り出された様な気分。
    何とも言えない読後感。

    子供が成長するにつれ、当たり前だと思っていた自分の家族が他と少し違うことに気付く過程は、信仰宗教とか関係なくとも心当たりがある人も多いんじゃないかな。
    例え他人から見たら異質であっても、人が信じているものにケチをつけたり、土足で上り込むのは良くない。
    でもそれは本人たちが幸せであってこそ。
    この主人公たちの場合、お姉ちゃんのことがあるから難しい問題だなぁと思った。
    子供にも何を信じるかを選ぶ権利はあるしね。

  • 読む前は暗くて全く救いの無い話かと思いきや。
    独特の雰囲気のあるお話でした。
    私は恐怖感すら感じました。
    でも主人公も含めてユーモアのあるキャラクターばかりで、会話では思わず吹き出してしまう場面もたくさんありました。
    こんなに色々なタイプの人達を書き分けられるのは、今村さんの人間観察能力の高さなのでしょうか。

  • 終わりが、唐突だったなあ…
    この作品の主人公もそうだが、全てを受け入れるような、ぼーっとした態度が、周りの人の救いになるんじゃないかと思う。そんな作品にこの頃よく出会う。なにができるかより、どれだけ愛せるかだ、と、思う。

  • 主人公の「ちーちゃん」が虚弱体質で生まれてきたことをきっかけに、マイナーな宗教(仏教やらキリスト教やらではない)にハマった両親。他人から見ると、怪しい宗教にハマっている一家、ということになる。しかも、ちーちゃんの姉はこの状況を嫌って家出をし、行方不明という状況だ。親戚からも、距離を置かれたり、または「目を覚まさせよう」という働きかけを受けたりしている。でも、一見特異な状況にあるちーちゃんは「普通」の子で、ごく自然体で、両親を愛している。
    親戚が心配をするのは当然だし、親切かとも思うけれども、本当に彼らは「異常」なんだろうか?こういう宗教は「悪」なんだろうか?
    とても読み易く、サクサク読めてしまったが、ずっしりと心に留まる一作だと思った。

  • う~む。これで終わっていいのか?奇跡の水を信じる両親のもとで育つ少女のただの半自叙伝的な内容。☆2つでもよかったか。

  • おもしろかったー。
    両親の変な真っ直ぐさといい。
    楽しそうに見えるんだけど
    なんだか不気味。
    この人の小説全部おもしろいけど
    なーんか不気味

  • 新興宗教にのめり込む両親に育てられた娘の日々を描いた、芥川賞候補作。

    熱心な信者である家庭で育った子どもの問題は、じつに難しい。
    物心ついたときから親の盲信する宗教が身近にあった主人公も、成長とともに周囲とは違う環境に身を置いていることに気づく。が、多少の混乱はあるものの、深く悩んだり拒絶したりすることもなく、現状を受け入れ続ける。救いは、まともな親戚と友人の存在だ。
    判断力のない子どもには、選択する余地がない。まして、そこに親の愛情が注がれているならなおさらだ。本人は両親の愛にくるまれていることが心地よく、外の世界には踏み出せないのだから。

    たとえ居心地のよい場所であっても、インチキ商法や強引な勧誘、リンチ事件などから、宗教団体の正体はうかがえる。ラストシーンも表面上は美しいけれど、そこには親が盲目的に信じるものに娘の一生を封じ込めようとする恐ろしさがある。
    でも、その異常性は終始温かみのある優しい文章のオブラートに包まれて、見えにくい。作者はマインドコントロールするかのように、読者をも煙に巻こうとしている。じつに巧妙だ。
    初めての作家だったが、他の作品も読んでみたくなった。

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著者プロフィール

今村夏子(いまむら なつこ)
1980年広島県生まれ。2010年「あたらしい娘」で第26回太宰治賞を受賞。「こちらあみ子」と改題、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で2011年に第24回三島由紀夫賞受賞。2016年、文芸誌『たべるのがおそい』で2年ぶりの作品「あひる」を発表、同作が第155回芥川龍之介賞候補にノミネート。同作を収録した短篇集『あひる』で、第5回河合隼雄物語賞受賞。2017年、「星の子」で第157回芥川龍之介賞候補ノミネート、第39回野間文芸新人賞受賞。 2019年、「むらさきのスカートの女」が第161回芥川龍之介賞を受賞した。

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