星の子

著者 : 今村夏子
  • 朝日新聞出版 (2017年6月7日発売)
3.37
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  • レビュー :117
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514745

星の子の感想・レビュー・書評

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  • 『あひる』からネガティブな感情をもらったので、この本の予約もとても迷いました。手にして読んでみるとあっさりしている。文中で出てくる、とあるものの「見えた」「見えない」の(一見すると無意味のような)繰り返しに一人でイライラして、一体何を言いたいのか訴えたいのか、わからなくてネタバレや他の方の感想を見て、初めて“なるほど……”っと思いました。

    今まで当たり前だと思っていたこと、学校とかから教え込まれた価値観がねじれるような感じ…がする。白黒つけにくい事柄、ふだん目をつむって見ないようにしている物事などをテーマに持ってくるので、とても感想を書きにくくて…淡々としているから読みやすいんだけど、とてもしんどいと思う。

    私は、つい雄三おじさんになって読んでしまったけど、宗教にのめり込んでいる両親にもなれるし、家出した姉にもなれる。南先生の反応は悲しかったけど、そういう自分も、きちんと私の中に存在している。見守ってくれる友人のなべちゃんになることも出来る。生きているこの世界で、色々なものに縛られているけど、心はもっと自由でありたいと思うし、のびのびしたい…と願う。

    あとからじわじわ…としみてくるというか、目に見えない細かい棘が刺さっているようで、気持ちが落ち着かない。この作家さんの本を読むといつもこうなるから困る。あと不思議なんだけど、自分が子供だった頃、昭和50年代にスッと戻る気がして、懐かしいような胸が苦しくなるような…そんな気分になる。ほんと不思議だと思う。

  • なるほど、なるほど…。

    今回の芥川賞候補作として発表されたこちら。

    何より装丁が素敵。
    色が良い。

    内容は新興宗教ものなのでだいぶデリケートなんだけど、
    切ない暖かさがつまっている。

    友達、みんなこんな風なら良いのにね。
    そうしたら色んなこと乗り越えられるね。

    愛するひとの信じることを自分は信じられるのか。

    お友達の、みんな騙されてるのかもしれないという話のくだりに哲学を感じた。


    ラストの余韻が凄い。
    きっとあの夜のあと、色んなことが変わるんだと思う。
    良い方向ばかりでは無いかもしれないけれど。

    あえて描かれない部分に深い奥行きを感じる作品だった。

  • 今日の天気のせいではあるけれど、冷え冷えと、寒々とした話。
    主人公が赤ん坊のときに虚弱体質だったことが引き金で新興宗教にどっぷりそまってしまった両親。
    長女は脱出するのだが、主人公は親との絆を切るには至らない。
    登場するだれもが、情に流され理に弱い。
    典型的な、悪気のない人たち。。。
    ぶるぶる。。。。。
    育てるものがこのように弱ければ、理は学校教育から学び取るしかない。
    主人公の通う学校も登場するのが、教師という立場の希薄さも伝わって来る。唯一、遠慮を知らない級友たちは、キッカケを与えられるかもしれないのだけれど。。

  • 第137回芥川賞候補。新興宗教の熱心な信者を両親に持つ女の子の話。主人公は信仰を生活の一部として受け入れている様子が自然で、モデルがいるのかなーと思いました。素直な両親は、親切そうな落合さんに利用されているように感じました。人気者の南先生の性格も良くないし、様々な表と裏とか、本当と嘘とか、淡々とした物語の中に複数の面が描かれていて、読後なんとなく考え続けてしまいます。夜の散歩のエピソードは、両親との別れかなーと私は感じました。主人公は納得しないかもしれないけど。物語の先にいろいろな可能性があって、良い結末だと思いました。

  • 新興宗教にのめり込む両親に育てられた娘の日々を描いた、芥川賞候補作。

    熱心な信者である家庭で育った子どもの問題は、じつに難しい。
    物心ついたときから親の盲信する宗教が身近にあった主人公も、成長とともに周囲とは違う環境に身を置いていることに気づく。が、多少の混乱はあるものの、深く悩んだり拒絶したりすることもなく、現状を受け入れ続ける。救いは、まともな親戚と友人の存在だ。
    判断力のない子どもには、選択する余地がない。まして、そこに親の愛情が注がれているならなおさらだ。本人は両親の愛にくるまれていることが心地よく、外の世界には踏み出せないのだから。

    たとえ居心地のよい場所であっても、インチキ商法や強引な勧誘、リンチ事件などから、宗教団体の正体はうかがえる。ラストシーンも表面上は美しいけれど、そこには親が盲目的に信じるものに娘の一生を封じ込めようとする恐ろしさがある。
    でも、その異常性は終始温かみのある優しい文章のオブラートに包まれて、見えにくい。作者はマインドコントロールするかのように、読者をも煙に巻こうとしている。じつに巧妙だ。
    初めての作家だったが、他の作品も読んでみたくなった。

  • 初めての作家さん。
    主人公の女の子の体が弱かったことから新興宗教らしきものにはまっていく両親。異常な世界を、わりと冷めた目で眺めつつも、主人公自身、普通の人からみたら奇妙な行動をとってしまう。
    そのはざまで、もがいている感じが少し恐い感じがしました。ラストはどうとでも解釈できる終わり方で、これから主人公はどうなってしまうのか...考えさせられて終わります。
    不思議な世界観の本でしたが、自分では気がつかないだけで、傍から見ると自分もこの主人公と同じではと感じさせる本です。

  • 「自分の大切な人が信じるもの」を、わたしは信じるべきなのか。ラストシーンが美しく、切なく、思わず涙がこぼれた。

  • 色んなこと宙ぶらりんになったまま幕を閉じるものがたり。
    悲壮感はなく、ただぼんやりと日々が進んで行く。真綿で首が閉められて行くような地獄感はあった。

  • なんとなく面白かったが、作者は何を伝えたかったんだろうと思ってしまった。何も解決しないで話が終わって、「続きは読書が想像して」とか言うつもりだったのだろうか。

  • 書店で話題になっていたので手に取った作品。
    個人的にとても面白く読んでしまいました。

    主人公が幼い頃に原因不明の湿疹が出て何をしても良くならず
    父親の職場の人に薦められた怪しい水を服用することで
    快方に向かったことからその怪しげな水を販売する
    団体にのめり込んでいってしまうという話です。
    作者の体験談に基づいたのではないかと思われるほど
    緻密な描写に引き込まれました。

    ただ、物語としては時間軸が行ったり来たりするので
    頭の中を整理しながら読み進める必要があります。
    また、怪しげな団体について主人公はあまり明確に自分の考えを
    述べないのでどう思っているのかは想像するしかありません。
    物語全体を通して伝わってくるのは両親の主人公に対する
    純粋な愛情で、少し歪んでいながらもその中にある温かさに
    心打たれるものがありました。
    最後の場面は中途半端な感じで終わりますがそういったところが
    非常によくあらわれていたと思います。

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