妄信 相模原障害者殺傷事件

  • 朝日新聞出版
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514776

作品紹介・あらすじ

「障害者は不幸しか生まない」「自分は救世主だ」-死者19人、重軽傷者27人。平成最悪の事件が映し出す社会の闇。取材ルポから浮かび上がる加害者像、問われる差別の実態に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • やまゆり園事件について調べるために手を伸ばした本。

    事件の全容――事件が起きる前の被告の様子から、事件の詳細、事件後の反響まで――を大づかみに知るためにはよい本。

    書名の「妄信」とは、事件を起こした被告・植松聖が抱いていた「障害者は不幸しか生まない」「生きていることが無駄」といった身勝手な考えを指すのだろう。

    大所高所からの理想論・キレイゴトに終始するのではなく、重度障害者をケアする施設職員や家族の置かれた苛酷な環境にまで迫っている点がよい。

    苦しさも虚しさもある。だが、植松被告の犯行や思想を断じて肯定してはならない――と、ギリギリのところで踏ん張っている「現場」の人々の切実な声が胸を打つ。

    また、『朝日新聞』の記者たちでさえ、遺族や周辺住民らから激しい取材拒否に遭い、取材が困難を極めた様子が赤裸々に綴られている。
    マスコミを拒絶する人々に、何度も交渉を重ねては声を集めていく――その誠実な姿勢は好ましい。

  • 朝からとんでもなく重たい本を読んでしまいました。
    図書館で見かけて借りた本です。

    やまゆり園での事件に関する本です。当初この事件が起こった時、「どうか犯人に精神科通院歴がありませんように。」「どうか犯人に精神疾患がありませんように」と願いました。お亡くなりになられた人もいるのに、その方を悼む前に私は自分勝手にもそう考えてしまったのです。

    そしてしばらくたってから精神鑑定を受けパーソナリティ障害を持っていると診断されたのを読んでから私の思いは「私が加害者になってしまうのでは?」という恐怖へと変わりました。今回は優性思考からの障害者殺傷事件でしたが、違う形でも私は私の精神の病気のせいで誰かを傷つけるのではないかという事が怖くて怖くて仕方なかったのです。

    この本で植松被告の考えや犯罪を犯す動機などが知れて良かったです。彼の思想は私とは相いれないものではありますが、介護の現場にいた彼がどうして?と思っていたので本書にあった「粗相を他のを掃除していたら上から見下された」というのがとても胸に刺さりました。

    私たちと同じように意思表示のできない障碍者たちにもそれぞれ思いがあり伝えたいと思っているという事、誰もが誰かの大事な人で家族がいるという事をあたりまえのことながら実感しました。

    私のいとこにも二人重度の障害を持った人がいます。施設で暮らしていますが幸せであってほしいと願います。二度とこのような事件が起こらないように。

  • 第2部は心震えました。

  • 相模原障害者殺傷事件について、朝日新聞記事をまとめるなどしたもの。
    この手の本は普段全く読まないけど、カッコーの巣の上でを見て、優生思想や尊厳死、人間らしく生きるということ等、諸々考えてみたくて手に取った。

    誰もが弱者になりえること
    共生する社会を目指す
    障害児を家族に持つ方の思い
    介護福祉職員の激務と、それに伴う抗い難い負の感情
    特に最首さんの『一定の地獄』という表現が重たかった。

    難しく考えると難しくなるけど、
    結局、生きたいと思う権利を誰も侵害してはならず、
    その人らしく生きることを、他人が強制することなく、思いやれれば良いんだろうなと。

  • ふむ

  • 妄信とは恐らく、「身勝手な思い込み」から事件を起こした植松容疑者の事であると思うが…

    もっと深読みしてもいい一冊なのではないかとも思う。何故なら、被害者の遺族は被害者の実名を明かしていないから。この本の半分以上は、近しい所に障害者が居り、彼らがハンデに負けず力強く生を謳歌している様を描き、そしてそれを見守る人たちがこの事件について軒並みただただ「痛ましい」という感想を述べていく構成である。ハンデがあろうとこんなにも直向きに生きる姿が愛おしい。
    そう思うならなぜ実名で悼み、弔わなかったのか。
    生まれてきたことも施設に預けたことも、この残酷な事件の被害者として生を終えたことも、何一つ人として認めたくはなかったからではないのか。酷い言い草なのは承知で書く。
    No障害者ヘイト!という事に徹していない本書は取材をした方々の努力と手腕に頭が下がるばかりであるが、本当は世の中の「不寛容」だけでは済まない事に気付いてしまっているのではなかろうか。
    健常者であれ今の世の中は不寛容であふれ非常に生きにくい。そして皆自分のことで手一杯なのだ。

    私事であるが、私は若い時分に電車内で体を執拗に触られたり、深夜早朝自宅の玄関先に居座られたりするストーカー行為に遭ったことがある。いずれも相手が障害者であったため、警察は取り合ってくれなかった。私は不寛容であろうか?

  • 東2法経図・6F開架 368.6A/A82m//K

  • 事件を起こした理由なんてやっぱり分からない。
    だけど忘れない。

  • 犯人や事件そのものについての掘り下げではなく、報道において障碍者ゆえに被害者たちが匿名とされたことを問題視するルポ。

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