ネバーホーム

  • 57人登録
  • 4.10評価
    • (5)
    • (3)
    • (1)
    • (0)
    • (1)
  • 6レビュー
制作 : 柴田元幸 
  • 朝日新聞出版 (2017年12月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022515094

作品紹介

【文学/外国文学小説】ポール・オースターが「簡素で美しい小説」と熱烈に推薦するハントの長編小説。南北戦争時代のインディアナ、愛するひ弱な夫をおいて男に変装して戦場に向かった女性兵士は生き延びられるのか。史実に基づき静かな声で語られる、最優秀アメリカ文学賞受賞作。

ネバーホームの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 読んでいてこんなにどきどきした小説は久しぶりだった。アッシュと一緒に砲撃を切り抜けたし一面死体の野原を歩いたしうっすい布きれ一枚で糞尿のバケツを運んだ。終盤、どきどきしすぎて気付いたらページを繰る手の反対の手を握りしめながら読んでいた。名作。

    ーーー

    じぶんが加わったすべての戦い、野営地ですごした日々、アクロンふたり組と森をあるいた体験、大佐との話、わたしの顔にふれた大佐のいとこのやわらかい手、木にのしかかられてうごけなかったあの時間。わたしは軍服からぬけ出てマスケット銃もなくしてあなたの似すがたもなくしてしまいました、…かあさんのこともかんがえますがべつにそれも気になりません。「すべてのことの外側にじぶんがすわっていて、息ができて、しばらく外から見ていても口のなかのホコリで息がつまったりはしない気がするのです」とわたしは描いた。じぶんがこう書いてそれがとどいたことをわたしは知っている。いまその手紙はここに、わたしのかたわらにあるのだ。


    わたしたちのテントのそばにじぶんひとりのテントをはっている、ほかの連中よりかしこそうな男がいたので、バーソロミューからこの手紙が来たあとその男に、愛は義務に勝つべきだとおもうかときいてみた。「愛? なんだそれ?」とこのかしこそうな男は言ってペッとツバをはいた。


    「世界がぜったいあたしを見ない場所をどうみつけるか、あたし知ってるのよ。あたし、影のなかもあるけるし光のなかもあるけるのよ。みんな、見てみたい?」

    ーーー

  • アッシュ(兵士)でありコンスタンス(妻)である主人公は南北戦争に出征する。
    愛する夫へのラブレターはロマンチックだが、「ペネロペがいくさに行ってオデュッセウスが家にのこる」物語なのだ。ペネロペ=アッシュ=コンスタンスの冒険は激戦、捕虜からの脱出、病院への監禁など苛烈で、大勢の人を殺す。神話で言うなら「勇者」であろうが、現代においてはもはや戦士は讃えられない。
    柴田さんの翻訳も素晴らしい。彼女の一人称による語りは独特で、学のない田舎の女性が凄惨な戦いの場面も夫への愛情も朴訥に語る。ラストの意外さに象徴されるようにいわば「信頼できない語り手」だが、レトリックとしての信頼できなさ、ではない。彼女が生きる人生で、独自のフィルターを通じた、彼女が見る/見たい世界なのだ。

    柴田さんのトークからの追記。
    ・見事なのは粗筋以上にヴォイス。
    ・平仮名漢字が混在した翻訳では、主人公の素朴な語り、男社会に入った女性の立場などを表現した。

  • 南北戦争で北軍として戦ったコンスタンス。彼女は愛する夫を故郷に残し、男のフリをして誰よりもタフに戦う。話は彼女の一人称で語られるのだが、その語り口がとても素朴で率直で彼女の全体像が伝わってくる。彼女の言葉がひらがなまじりだったり、翻訳にも工夫がされている。夫や母親のこと、戦争の間に出会う人や体験したこと、全て彼女の視点で語られるが、どこか曖昧で焦点がはっきりしない。実際にあったことなのか夢で見た風景なのかはっきりしない。でも読んでいくうちに、そんなことはどうでもよくなる。ラストに至るまでに彼女がたどった道のりの哀しさや美しさに、ただただ言葉を失う。とても印象に残る作品だ。

  • 高倉の健さんみたいな女子。

  • セアラ・ウェイクマンについて知りたいが、論文を読むしかないのかな。むむ?

  • 朝日新聞出版 最新刊行物:お知らせ:『ネバーホーム』発売記念 柴田元幸さんトーク&サイン会 1/10開催!
    https://publications.asahi.com/news/796.shtml

    朝日新聞出版のPR
    南北戦争がはじまって、インディアナの農場で暮らしていたコンスタンスは夫のバーソロミューに代わって、北軍への入隊を決意する。名前をアッシュとかえて、男性の格好をして。
    女性にやさしい「伊達男アッシュ」とも呼ばれ、勇敢に戦い続ける。女であることがばれないかとおびえながら、野営地ですごし戦闘と行軍をくりかえす。夫と手紙のやりとりをし、亡くなった母と語り合う。
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19553

全6件中 1 - 6件を表示

レアード・ハントの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
フェルディナント...
ミシェル ウエル...
レアード・ハント
フェルディナント...
ジョン・ウィリア...
ウラジーミル・ナ...
ポール オースタ...
堀江 敏幸
J・M・クッツェ...
ポール オースタ...
ポール オースタ...
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする