路上のX

  • 朝日新聞出版 (2018年2月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784022515308

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】両親の失踪によって、学校生活も当たり前の日常も失った女子高生・真由。渋谷の街で一人生きていこうと決意するが、JKビジネスのスカウト、バイト先でのレイプと、苛酷なサバイバル生活が待ち受けていた。10代の現実を活写する社会派エンターテインメント!

感想・レビュー・書評

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  • 久びさの桐野夏生さん。

    心にズンッと響きます。

    望まず風俗や水商売に
    身を沈める少女たち。

    子どもを食い物にする
    不潔な大人たちの姿に
    暗澹たる気持ちに。

    そりゃ人間不信になる。

    世間に喧嘩腰にもなる。

    なんで私ばかりこんな
    不幸なのかと拗ねたく
    なるのもわかる。

    でもね、現実を認める
    しかない。

    諦めて受け入れるしか
    ない。

    さあ、そしてそこから
    どうやって生きるのか。

  • 両親が失踪し叔父宅に預けられるが、そこでひどい扱いを受け、学校にも行けなくなった主人公の女子高生の真由。渋谷で生きていこうと決心するが、バイト先でレイプを受けたり、危ないスカウトに引っかかりそうになったり、渋谷での暮らしは過酷で落とし穴も多く待ち受けている。そんな中、同じく渋谷でサバイバルする女子高生(世代)のリオナとミトと出会い、何とか協力しながら生きていこうとする。真由にもリオナにもミトにも、色々な事件・出来事が起こり、息をつかせないストーリーが展開する。
    桐野夏生は、本小説を書くにあたってかなり調査を行ったはずだ。渋谷には(渋谷だけではなく、多くの繁華街には)、実際にこのような少女たちが、日々を生き延びようとしているのだろう。真由はもともときちんとした家庭の子であるが、リオナやミトは、親を含む周囲から虐待を受け続けてきた子たちだ。どこにも居場所がなくなり、JKビジネス、すなわち、「若さ」をお金に替えることが出来る渋谷を始めとする繁華街に多くの少女たちが集まっているのだろう。しかし、そこで生き残るのは簡単ではなく、過酷な経験をする子たちも多いということなのだろう。

    この小説は、虐待ということのみがテーマというわけではないが、児童虐待の実態ってどうなっているのだろうかと気になり、ネットで簡単に調べてみた。以下、いくつかを引用する。
    【引用】
    ■児童虐待とは、「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト(育児放棄/怠慢・拒否)」「心理的虐待」の4つに分類される。
    ■全国225カ所の児童相談所が「児童虐待相談」として対応した件数は、2022年度で22万件弱であり、32年連続で「過去最多」を更新している。要するに、件数は増え続けている。
    ■専門家や関係者らは「データはあくまで"氷山の一角"にすぎず、実際の件数はもっと多い」とみている。
    ■子供を虐待する家庭・親には、例えば「人づき合いが苦手だったり、友人がいない等、子育てで孤立している」「生活が困窮していて貧しい」「離婚経験があり連れ子がいる」等のケースが多く見受けられる。
    【引用終わり】
    幼い子供はもちろん、この小説を読むと、高校生世代であっても、このような虐待の影響から逃れるのは難しいはずだ。

    そのような実態が日本で実際にあることを念頭に置くと、かなり読むことがしんどくなる小説だ。しかし、これも、現代の日本の一つの現実。それを抉り取って小説にする桐野夏生という作家はすごいな、とあらためて思う。

  • 両親が失踪し親戚に預けられ苦しい生活を強いられていた真由と、義父から繰り返される性的虐待から逃げ出したリオナ、母や恋人からも見放されたミト…それぞれ寝食にも困る日々の中、3人は渋谷で出会い一緒に暮らすことを選択する…。この3人の女子高生(正確には女子高生世代の少女)だって、安心して生活できる場を求めているだけなのに…それを踏みにじるような社会の体制、大人の事情が複雑に絡み合う…。
    守ってあげたいなぁ…この子達、なんとか声をあげて犯罪に巻き込まれる前に!って思わずにはいられませんでした。エンディングは納得のいくものではなくて、すっきりせずに問題を提起したままになっていたので、この3人のその後など、また新たなストーリーとして読みたいなって感じました。

  • ごくごく普通の高校生活、を送るはずだった少女が渋谷の街で犯罪に手を染めていく__

    疾走感とは入り込ませる力がすごい。一気に読んでしまった。主人公、真由の潔癖さや頑固さに苛立ってしまうこともあるけど、それが「普通の」家で育った子らしさなんだろうなーと。世の中こんなに殺伐としているもの、、?と思ったけど、それはわたしが世間知らずなのかもしれない。自分も女子高生の端くれということもあってか(?)共感できる部分もあった。主人公の境遇がもとは「普通」だったことも相まって自分にも起こり得るのかもしれない…と引き込まれた。日常の中にあるあやうさが鮮明に切り取られている本だと思う。

  • なんとも壮絶な話。
    その日寝る場所を探さないといけない女子高生なんて考えただけで鬱々とする。
    まだ若いだけあって考えが短絡的で衝動じみているのもリアルだったな。

  • 10代の女の子が、家に帰れず一人で生きて行かざるを得ない状況になった時、生きていく術はあるのだろうか。貧困、虐待、DV、レイプ。彼女たちの意志とは関係なく、大人たちの「都合」で問題が表面化せずに、確実に追い詰められていく。大人の男の人に少女が買われるということの本当の闇は、たくさんの人たちの中にある「当たり前」と「仕方なくて」と「無関心」にあるように思う。どこまで、いつまで、ズタズタにされても笑い続けないといけないのだろう。騙されないように、寝首を掻かれないように、気を張っていなければいけない。何度も自分を殺して、諦めないとやっていけない。
    この小説の終わり方は、強烈に胸が苦しくなった。溢れた涙さえ乾かして、彼女たちの生活は続いていくのだ。

  • 3.0

  • やっぱり桐野さんはすごい。今回も衝撃の本で思いっきり心がふさぎ込みました。学校での子供たち同士のリンチや暴力をいじめと呼び軽んじるように、少女への性犯罪を援助交際やJKなどとオブラートに包みごまかす日本社会。もちろんこんな無法社会を作り上げ放置し続ける自民党政府や文部科学省、教育委員会、学校に根が深い闇があるのは事実ですが、最も重い責任を感じなければならないのは我々大人の男性国民全体でしょう。何十年もジャニー喜多川が公然と権力を握り続けた国なんてありえません。この本はあとがきも最後まで読むべきです。

  • 手に取ったら夢中で一気読み!
    桐野さんの筆運びは淡々としていながら容赦なく、渋谷を彷徨う女子高生の生活の過酷さに胃がギリギリするような気持ちになり、しかし、その行動の危うさにヒヤヒヤしながら読んでいました。

    日本って、世界一治安が良くて、一見、平均して豊かな国と見られているだろうけど、いろいろな
    形での地獄を生きている子どもたち(大人もだろうけど)がいるんだよなあ・・と改めて感じながら。

    読み手の年齢によっても、受け取り方が違うかも。でもやっぱり、歳を取ってるということは、若い時期も過ごしているわけだから・・・私自身は女子高生の気持ちになったり、大人たちの気持ちになったりしながらページをめくっていました。

    ネット検索で見ましたが、この作品、NHKで取り上げられた時に、行き場のない10代女性の支援活動をしている方(自身も経験者)が、
    「この作品はまさに自分たちのこと。自分たちが言葉にできなかったことを、言葉にしてくれてる」と言っていたそうです。

    小説の力って凄いよね。いつも的確な言葉で描いてくれる桐野さん。今作のラストも桐野さんらしい、スパッとした終わり方で、続きはこちらが考えさせられるものでした。結局は自分で切り開かねばならない。お話の途中で、真由が思うセリフ、印象的でした。
    「さあ、どうやって生きる」

  • もう本当に桐野夏生さんの本にハズレなし。今回も夢中で読んで丸一日引きこもり。
    昨今よく耳にするトー横キッズと呼ばれるような子供たちの話。どうして家に帰りたくないのか?大人はどうしてもっと強引に子供を正しい道に引き戻さないのかと、もどかしい気持ちでニュースやドキュメンタリーを見ていました。多少強引な事をしてでも、今引き戻さないとこの子たちは負の連鎖から抜け出せなくなるのに。と。でも、その肝心な周りの親や大人がどうしようもないとしたら、まっとうな道に戻りたくても戻れない。
    登場する大人(親や親せきも含め)はほとんどクズばかり。でも主人公(家出娘)も考えが甘かったり浅はかだったりで100%の同情はできない。ただ生まれてたった16年17年、その上、思春期の子供たちの心は壊れやすくて本当にガラスのよう。子供なんだから、そんな浅はかな考え方や行動しかできないという所が余計に現実味があった。
    まだまだ大人のサポートが必要な年齢なのに、親に虐げられり暴力を振るわれたりして一人で生きていくしかない少女たち。その少女たちを食い物にする薄汚い大人たち。胸が詰まる思いで読了しました。ラスト少しだけ光が見えたのが救いでした。

  • ある日、突然両親が夜逃げしたため、叔父の家庭に引き取られることになった15歳の真由。それまで、そこそこ裕福な家庭で育った真由だったが、叔父の家でのネグレクトに耐え兼ね、家出をし、渋谷で生きていくことを決意するが、そこに待ち受けるのは、数々の試練。
    同じように行き場を無くしたリオナ・ミトとの歪んだ友情関係を交えながら描く渋谷を生きる10代の少女達のリアル。読むのがつらいレイプシーンやJKビジネスの実態など、桐野夏生ならではの作品だと思う。しかし、主人公の真由がどんな状況に置かれても、自分勝手に思えてしまい、最後までイライラ…実際に自分がそんな立場になったことがないから、理解出来ないのかもしれないけど、最後まで主人公に感情移入させないのは、作者の戦略にはまっているのだろう…

  • 夜の繁華街には、私などか知りえない、居場所を失った若者が沢山いるんだろうなと痛々しかった。そしてそれに付け込む大人たち。女の子なら風俗や水商売に男の子なら暴力団関係や詐欺集団などに染まっていってしまうのだろう。
    そんな若者にも需要があるから成り立つのであって、お金さえ出せば好き勝手やっていいと思ってる大人たちをどうにかしないと。

  • 自分を切り売りして生きることに抵抗がなくなってしまった女の子、抵抗したいけどその方法がなくて諦めている女の子、自らを商品にするだけの覚悟ができずに葛藤する女の子…
    たくさんの女の子が出てくるが、みんな歳不相応の苦労をしていて、読了後も重くて苦しい気持ちになった。
    これは物語だと分かっていても胸が締め付けられて、どうか現実を生きる真由や涙華みたいな女の子たちが心穏やかに眠ることができる日が来ることを願ってしまう一冊だった。

  • 大人ー特に大人の男に搾取され、いたぶられる二人の女子高生の物語。
    この物語に出てくる主な主人公は三人の女子高生。
    その中の二人の女子高生ー真由とリオナの目線から物語は描かれている。

    両親が夜逃げし、親戚のもとで暮らす真由。
    そこは血のつながる叔父とヤンキーのような叔母がいて、真由には居場所がない。
    それどころか、まともに食事も与えられず、高校は無理やり偏差値の低い公立高校に転入させられた。
    「家」に帰るのが嫌な真由は夜、ラーメン屋のバイトをしている。
    そして、ある日、「家」を出てそのラーメン屋に泊まりこむようになるが、そこで酷い目にあい、自暴自棄になっている所、リオナという女子高生と出会う。

    リオナは義理の父親から性的虐待を受けている少女。
    肉親である母親は彼女をかばう所か、父親の側についてリオナを責める。
    家には居場所のないリオナは友達の家を渡り歩き、JKビジネスでお金を得て生活をしている。
    そんな二人が狡くて醜い大人たちに騙され、搾取されていく様が描かれている。

    この本を読んでいる時、ふと、テレビを目にした時、大人の男性が目に入り嫌悪感を感じた。
    それくらい、ここに書かれている男性たちは酷くて、吐き気がするくらい醜悪。
    そんな醜い大人たちにまるでいいように扱われている主人公たち、女子高生が本当に可哀相だった。
    でも哀れっぽいだけではなく、彼女たちはそんな中でいろいろと学んで、たくましく生きようとしている。
    そこにまだ希望を感じる。

    今までこういう家出した少女や女性を扱った小説は途中で良心的な人に出会って・・・という、「やっぱ小説だね」という話が多かったけど、この話はそういうご都合主義できれいごとを書いたストーリーじゃない。
    だから、読んでいてキツいし、痛くなるんだけど、現実、家もない。何もない。
    持っているのはその若さと美しさという少女たちはこんな風になっちゃうんだろうって思う。
    だからこそ、リアルに痛い。

    終盤と結末は「どうなんだろう」ってなったけど、それは、そういう醜い大人たちにも一応大人の事情があって、そういうのを理解する余地もあるんだよっていう事かなって思った。

    JKビジネスなんて、今時の言葉だけど、大昔から言い方は違うだけでこういうのはあって、女性ー特にまだ若い女性は弱い立場だし存在だとつくづく思う。
    それをこういう痛さをもって見せてくれる桐野夏生さんはすごいし、センスいいと思った。

  • 同じような過酷な境遇だが性格の全く違う、真由・リオナ・ミトという「まだまだ子供だが時々大人」な年頃の少女たちの一瞬一瞬に移ろってゆく心情を、よくこんな肌理細やかに書けるなあと改めて著者の筆力に感心いたしました。が、小説としての面白さは普通だったと思います。筆者の近著の出来からすれば平凡な作品だと思います。期待が大きいだけに辛口になってすいません。

  • 桐野夏生さんの作品は読み出したら止まらない
    女性は堕ちると這い上がるのは難しいことを実感させられる作品
    サバイバルとあるが、自分の心や体を犠牲にしながら死ぬ選択をしなければただ無計画に1日を生きていくしかない
    幼いし、浅はかな考えで騙され、逃げて、クズな大人たちにも腹が立つし、味方になってくれそうな警察の女性も親身とは言えない
    この子達のように居場所のない子はいるんだろうな‥と思うとせつなくなった

  • なんと言う話!
    実際渋谷がそういう街なのか、JKビジネがそんな風なのか、知る由もないけれど。
    真由、リオナ、ミト、物語なのにその後はどう生きていくのだろうか、と想像してしまう。

  • 読み応えずっしり
    このあと、コロナをどう乗り越えたんだろう、この子らは。

  • ハラハラする出来事が次から次にあって、一気に読みました。登場人物は皆、それぞれに事情はあるだろうけど自分勝手。桐野夏生さん自身も、この人たちに愛を感じないで書いていたのかな、とすら感じてしまう。
     家に帰ることが難しい10代。いろんな人間が、その辛さを知ることが大切なのかな。

  • 読み終えた瞬間、大きな溜息が出た。
    少女達の行く末と物語のラストが気になって一気読みでした。

    真由、リオナ、ミト、三人の女子高生が経験する悲惨な出来事。
    親のエゴがきっかけで味わう必要がない思いをする事になった少女達があまりにも不憫で可哀想過ぎた。

    自暴自棄になったり嘘を繰り返したりしながら、それでも生きて行く為に身体を張って必死の思いで突き進む少女達。

    3人しか仲間がいない状況でも時にぶつかり合い罵り合う少女達の人物描写は秀逸。

    息苦しく救いを求めながら読み続けた不穏な空気感漂う462ページだった。

    ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネスなど今時の世相が反映されていて救いようのない大人たちもたくさん登場します。

    惹きつけられたのは、自分の生活とはかけ離れていながらも、きっと現実に存在しているリアルを感じたから。

    桐野節が炸裂した読み応え十分な作品。

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著者プロフィール

1951年生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞を受賞。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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