物語のなかとそと 江國香織散文集

  • 朝日新聞出版 (2018年3月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784022515438

感想・レビュー・書評

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  • 敵わないなぁと思う。
    そりゃあ私は自分の文章を愛しているしそれは私にしか書けないものでもある。それでも、それは私がしたいこととこんなに違う。自分の文章に疑いの気持ちを向けてしまうのはこういう時だ。もしかしてすごくありふれてしょうもないものなのかもしれない。悲しくはないけれど少し絶望する。‬

    しかしながら、自分の中で渦巻く言葉や感情を文章にして外に出すことを教えてくれたのは江國さんだし、私はそうせずにはいられない。江國さんの物語に出逢っていなくても書いていただろうけれど、それは文中の言葉を借りるなら「辞書なしで、いきなり世界と向い合う」ことになっていただろう。

    どうせやめることなんて出来やしないから。素晴らしい文章を読んで自分のしていることに疑問を抱きそうになった時、噛んで含めるようにそう言い聞かせる。


    ------------------
    見返しの青が美しかった。これは江國さんか編集者さんかこの本を作るのに携わった誰かが選んだ色なのだろうけれど、表紙よりもこの本を表しているような気がする。

    私は青という色に憧れがある。それは私の肌にはっきりとした青が似合わないせいもあるだろうし、単純に青の持つ静謐さと凛としたたたずまいを昔から好んでいたこともある。
    この見返しの色合いは完璧で、美術館でただこの青に塗られた一枚の絵があったら買っていたかもしれない。

    そういえば家の壁に飾っている絵葉書のうち2枚は青を基調としているし、海や空を眺めるのも好きだ。気づかないうちに青は私の一部となっていたのかも。それにしてもいいなぁ、この青。切り取ってこれだけ飾ろうかしら。見返しを眺めながら少し得をした気分になった。

    • 大野弘紀さん
      素晴らしく、美しいレビュー
      素晴らしく、美しいレビュー
      2020/08/29
  • 江國香織の小説は割と数読んでるのにエッセイはまだだな…と思って手に取ってみた

    あとがきに小説とエッセイが混じっていると書いてあったけど、エッセイもまるで小説のような物語を感じる書き方でこれまで読んできたどのエッセイとも違う江國香織らしい文章だった

    朝ごはんに少量の果物を食べる
    朝 お風呂に毎日2時間浸かる
    ごはんよりもパンが好き、それもシンプルなトースト
    というところが小説からイメージしてた江國香織の印象と合うなあど思ったりしました

    中学時代の周りに馴染めない疎外感を“食器棚の奥の使われていない食器の孤独”と表現されていたことに感銘を受けました

  • エッセイや短い物語、あるいはエッセイと物語の中間のような小話が収められた本。友人がこの本を読んでいるようだったので、自分も読んでみることにした。

    毎日二時間入浴して、朝昼は果物を沢山食べる。外出時は本としゃぼん玉液を持って行くという江國さん。
    お風呂二時間もすごいけど、しゃぼん玉液を持ち歩くことに対しては理由がまったくわからなくて、怖さすら感じてしまった。浮世離れしている、ということなのだろうか。

    初めて代官山を歩く時、十三歳の江國さんは太宰治の『斜陽』で武装したらしい。斜陽と代官山、陰と陽みたいだ。

    自分が十三歳、中学一年だったころは教室で江國さんの書いた『冷静と情熱のあいだ』を読んでいた。過去を背負い続ける男女の恋愛話を読みながら、大人の女性とはこんなにもお風呂に入るものなのだろうか、と疑問に感じたことを思い出した。
    約二十年経ったいまならわかる。江國さんがお風呂好きだったから、あおいもお風呂好きだったんだな、と。

  • 本棚整理中に出てきた読了本の一冊。

    江國香織さんの散文集。
    初めから終わりまで 江國香織ワールド の
    素敵な一冊です。

    まず一番はじめのヴィトン展覧会冊子に掲載された無題の短編小説?に度肝を抜かれた。
    この着眼点は江國さん以外いないよ。と。

    透明な箱の初文。

    文字には質量があり、文字を書くと、
    その質量分の小さな穴が、私にあく。

    うわー、江國さんですよね!と思う。

    絵本についてのエッセイもいいです。

    江國さんの言葉や文章からは
    いつも少しひんやりした
    ツンと澄んだ空気のようなものを
    いつも感じる私です。

  • この人の言葉の選び方が好きです。
    日本人作家で、その文体とか言葉の選び方とか書き方のくせが心底好きだと思える人が私には今のところあまりいないので、とても貴重。

    江國さんの散文は詩みたい。もしくは雨音。
    全然うるさくない。というか、すごく静か。
    そして、とても女っぽくて湿っていて、たまにちょっと湿り過ぎててこわいときがある。(目がいっちゃっている変な人を前にした時のような怖さ)

    しかし、今回の本を読んで、思ってた以上に乙女な人だと思った。
    お風呂に二時間、とか、朝食は果物(いちじくが多い)、とか、まとめて読むと、乙女心の食べ過ぎで、ちょい胸やけが・・・
    もし私が男だったら、あんまり近寄りたくないタイプかもしれないとも思う。

    あとがきに、「エッセイよりも小説の方により自分が露呈する」と書いてあったけど、読んでいる私もそう感じた。

    • 大野弘紀さん
      雨の音

      まさに
      雨の音

      まさに
      2019/09/04
    • みけ猫さん
      雨音に同意、ありがとうございます!
      うれしいです。

      でも、書いたときは、「これで江國ファンを敵に回したな」と思っていたので、朝ひらい...
      雨音に同意、ありがとうございます!
      うれしいです。

      でも、書いたときは、「これで江國ファンを敵に回したな」と思っていたので、朝ひらいて「いいね!」を見たときは、魚クンのようにギョギョッとしてました・・・。
      2019/09/04
  • さまざまな新聞や雑誌に掲載された、「書くこと、読むこと」に関する散文集。江國ファン必読。あとがきに笑ってしまいます。また読みたい本が出てきて、生き延びた。

  • どこからどこまでが小説で

    どこからどこまでが現実だろう

    小説的に 現実を捕えることはできるし
    現実的に 小説を描くこともできるし

    真実が どこにあるかが 重要なのではなくて

    きっと そこに感じたものが すべてだった

    心の中に蓄えられたありとあらゆるものを

    好きなように出せる場所があるというのは

    とても贅沢で豊潤で
    ときめきときらめきが一緒になったような時間

    驚きと発見
    悟りと初恋が
    同時に起こるような

    心の中にあるものに
    触れたい

    それだけでもう幸せ

    ないようなんて  なんだっていい

    かんじたものが すべてだから

  • エッセイと若干の掌編小説からなる。まさか離婚されていたとは。1人暮らしですか。いつ読んでも江國の文章には透明感と毒がある。エッセイでは生き様、感じ様がより鮮明である。独身となり、今後の作品にもその影響があると感じる。放たれたものはやはり毒であったのだろうか。

  • 江國香織さんのもっている空気感が好きです。

  • 二十年間に書かれた掌編小説とエッセイが収録されています。

    江國さんの著書は過去に何冊か読ませて頂きましたが本作も江國ワールド満載でした。

    文字にすると上手く表現出来ないけれど、さらさらとした文章で、どこかふわっとしていて、しみじみしている、そんな不思議な作品集です。

    静かな波に身体を預けている様な感覚になりながら読了しました。

    >「かわいそうに、というのは危険な言葉だ」
    私も以前からその言葉の使い方に慎重になっていたので共感しました。

  • エッセイと物語が融合したような不思議な1冊。江國さんの書く文章はやはり好きだなー。

  • いつも通りの江國香織の随筆集。たくさん眠り、読み、とてもおいしいものをたんと食べ。そういう風に、生きてゆかれたらいいのに(そうはできないから、ちゃんと働く)。

  • 散文集とのことで、掌編小説から随筆まで筆者の文章が収められた1冊。
    読むたびに、あらためて自分はこの人の言葉が大好きなんだなと実感する。
    江國香織という女性が、この世界で言葉を綴っている。
    そんな時代に生きることができている奇跡に、今年も感謝だ。

  • 読むことと書くことをめぐる散文集。
    主にエッセイ、時たま掌編小説。

    筆者が語る食べ物はどんなものであれおいしそうで、筆者が旅をする街はどんな場所であれきらめいていて、豊かな心で世界を生きているんだなぁとしみじみ思う。
    その姿が純粋にまぶしく、だけど飛行機とカモメを見間違えるなど生来のかわいらしさも随所にちりばめられていて、くすりと笑ってしまったり。
    彼女の文章を読んでいるとき、私もまた彼女という物語のなかに遊びに行っているのだろうな。
    掌編『窓、ロアンの中庭』の雰囲気がとても好き。

  • 江國さんのどんな文章もどんな一文も好きなファンには、楽しめる一冊だと思う。ファン向き。

  • 【読むこと】についての項目があったんだけど、人の書評って、どうしてもその本を読んでない場合頭に入ってこない… その本を読んでいたのなら共感したりできたのに、どうしても読んでない本について語られても私はついていけないなあ、と思った。
    旅ドロップの方がずっと面白かった。

  •  江國香織のエッセイと掌編小説を集めたもの
     日常の一コマや感銘を受けた本、影響を受けた人との出会い、小説家を目指したきっかけなど、サクサク読むのがもったいないくらい大事に読みたい文章の数々。
     江國さんの文章はどうして、こうも心に添ってしまうのだろう。読んでいるうちに。、いつの間にか同じように感じて、同じように心を動かし、同じように心を痛めたりもする。作品を読んでいると、それは「自分の選ばなかった人生」なのだと錯覚してしまう、いつも。
     もったいなくて読めないでいる『彼女たちの場合は』、そろそろ読もうかなぁ。

  • 感想書くのがもったいないくらい、一つ一つの文章が心の中に染み込んで、言葉にできない満足感でいっぱいになった。

    雑誌などに掲載された短い文章(エッセイも小説も)を集めたもの。
    江國さんのデビュー当時の不安を綴った文章もあって、新鮮だった。
    好きな本もたくさん紹介されていたので、読みたい本がいっぱいできた。

  • いつも2時間お風呂に入って朝昼はたっぷりフルーツを食べるとか、一日のほとんどの時間を物語の中で過ごしているとか、自分が想像しているよりもっと江國香織さんは江國香織さんらしい人だった。

  • 「“気”のこと」、すばらしかった。普段から私たちはこんなにも「気」に囚われていただなんて。著者らしい気づきだと思う。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに・かおり):1964年東京生まれ。1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文学賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞など数々の文学賞を受賞。他の小説作品に『つめたいよるに』『神様のボート』『東京タワー』『抱擁、あるいはライスには塩を』『彼女たちの場合は』『去年の雪』『ひとりでカラカサさしてゆく』『シェニール織とか黄肉のメロンとか』『川のある街』など多数。『絵本を抱えて部屋のすみへ』『いくつもの週末』『雨はコーラをのめない』『旅ドロップ』などのエッセイ集や詩集・童話・翻訳など多彩なジャンルで活躍。 

「2024年 『読んでばっか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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