ゆっくりおやすみ、樹の下で

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 204
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022515537

感想・レビュー・書評

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  • 児童書です。

    百日紅の生命力が、良い意味でおそろしいく感じられてしまいました。

    戦争の話しです。


  • 本屋で表紙が可愛くて図書館に予約して借りた本。著者がはじめてかいた児童文学だそう。ミレイちゃんの夏休みの不思議な冒険。今までとは違う夏休みの冒険だったかな??

  • 小学五年生のミレイちゃんは小説家のおとうさんと、イラストレーターのおかあさんと、ミレイちゃんとだけは喋れるテディベアのビーちゃんと暮らしている。おとうさんとの結婚に反対されたおかあさんは、そのことで両親と喧嘩別れしたまま鎌倉の実家・通称『さるすべりの館』には戻っていなかったが、亡き父の七周忌を過ぎようやく母(ミレイちゃんの祖母)の許しが出て、夏休みのあいだミレイちゃんは『さるすべりの館』でバーバと過ごすことになる。

    絵を描くのが趣味の優しいバーバと、幼い頃の母が拾ってきた今は老犬のリングと、ミレイちゃんの過ごす新鮮な日常。館の中にはバーバが描いたすでに亡くなった人の肖像画を飾る「緑の部屋」と、窓からさるすべりの花が見え、そこで大バーバ(バーバのお母さんでミレイちゃんの曾祖母)が亡くなった「赤の部屋」があり、そして傾いたまま時間を止めた振り子時計がある。

    ミレイちゃんはリングと散歩の途中で、時折タイムスリップのようなことが起こり、老犬リングが若返り、過去の鎌倉の人と交流したりする。二階堂の家で出会った文学を語るおじさんたち、その肖像画が「緑の部屋」にあり、ミレイちゃんは彼らが過去の人たちだと知る。そんな不思議な出来事が起こる中、ある晩、止まっていたはずの振り子時計のチクタクする音を聞いたミレイちゃんは、赤の部屋で自分そっくりの少女=肖像画でみた11才の頃の大バーバに出逢い・・・。

    朝日小学生新聞で連載された高橋源一郎初の児童文学。今日マチ子の挿絵も可愛い。最初のほうはミライちゃんのパパが作者本人すぎて(ミライちゃんのママと結婚する前に何度も結婚していて、年をとっていて、小説家)家庭内事情が私小説すぎやしないかと心配になりましたが(苦笑)、中盤くらいから、さるすべりの館で不思議な事件が起こり始めてぐんぐん引き込まれました。

    夏休みに田舎の祖父母の古い家に行った子供が不思議な体験をする、タイムスリップ的なことが起こって親や祖父母の若き日に邂逅する、というのは児童文学の王道ですし、まあどこかで読んだような既視感(実際類似設定の作品は多数あるでしょう。私は『トムは真夜中の庭で』を真っ先に思い出しました)はあるのですが、そこも含めて安心感というか安定感というか、児童文学の「お約束」を楽しみました。

    個人的に気になったのはミレイちゃんが迷い込んだ鎌倉の二階堂の家に集う文学者の人々。ミレイちゃんに声をかけたヨシダさん、イギリス留学経験ありということで咄嗟に浮かんだのが吉田健一、そこから調べてどうやらこの集会は後の「鉢の木会」の原型では?と推測。メンバーの一人でチェーホフの三人姉妹の翻訳者、神西清は鎌倉に住んでいて、写真を見たら見事に「丸いメガネ」をかけていて病弱そう、二階堂の家の主はこのひとで決まりかな。参加者の「眉毛の濃い男の人」は三島由紀夫、「おでこが広くてやさしそうな顔つきの人」は中村光夫かしら?

  • 高橋源一郎がはじめて執筆した児童書。哲学的で抽象的で子供にはあまり向かないかもしれない。

  • 子ども向けに書かれたもの。
    夏休みに子どもに読ませたい本として今後選ばれそう。
    大人になりきっているので、子どもに読んでもらって感想を聞きたい。

  • 高橋源一郎「初」の児童文学らしい。作風的に今まで当然書いてるものだとばかり思っていたので意外だった(『銀河鉄道の彼方に』とかそんな感じだったけど、厳密にはちょっと違うのかな)。
    ただ、こどもが読んで楽しい作品になっているかと言われると、うーん、微妙かなあ……。

著者プロフィール

作家・元明治学院大学教授

「2020年 『弱さの研究ー弱さで読み解くコロナの時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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