キンモクセイ

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  • 朝日新聞出版 (2018年12月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784022515827

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】法務官僚の神谷道雄が殺害された。警察庁警備局の隼瀬は神谷が日米合同委員会に関わっていたこと、キンモクセイという謎の言葉を残していた事実を探り当てるが……。日米関係の闇に挑む、著者初の警察インテリジェンス小説。

感想・レビュー・書評

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    キンモクセイ《単行本》
    2018.12発行。字の大きさは…小。2023.08.02~04読了。★★★★★

    警察庁警備局の警備企画課、課長補佐の隼瀬順平の活躍の物語です。

    隼瀬たち同期のキャリア官僚5人は、土曜会という集まりを持っている。隼瀬の他に外務省北米局北米第二課の木菟田(つくた)真一、厚労省健康局指導調査室の燕谷(つばたに)幸助、防衛省の鷲尾健、経済産業省の鵠沼歩美(あゆみ)の5人は、各省庁の垣根を越えて助け合っている。

    発端は、法務省の官僚が殺されたというニュースが流れた。土曜会で、隼瀬が情報を集めていくと、法務省のキャリア官僚で企画調査室の次長の神谷道雄35才であった。使われた拳銃はプロが至近距離で撃つという二十二口径で額を一発撃たれていた。警察は、犯人をアメリカ人と予想した。
    法務省の官僚が殺されたということで、警視庁も、警察庁も、ただちに規模の大きな捜査体制を敷いた。が、翌日に規模を極端に縮小した。隼瀬は、神谷が、日米合同委員会に関わっていることが分かる。神谷が、委員会で知ってはいけないことを知ったために殺されたのではないかと……。

    【読後】
    木菟田という名前は読めなくて、メモして何度も見ながら読んだ。何で読みずらい名前を使ったのか…? 面白く、テンポがよく、読みやすいが、字が小さいので、休み休み読んでいきました。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    参考
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    「日米合同委員会」は、1960年に締結された日米地位協定をどう運用するかを協議する、地位協定に基づき両国の代表者で組織される機関です。

    「日米地位協定」は、日米安全保障条約に基づき、日本に駐留する米軍の施設・区域の使用と地位に関する協定です。日本にとって不平等な協定で、アメリカ軍が日本で好き勝手にやっていいですよという協定です。すなわちアメリカ軍が、日本を占領していくうえで自由に行動するためのものです。出席者は、日本側は、法務省、農林水産省、防衛省、財務省、外務省の官僚。アメリカ側は、大使館公使、在日米軍司令部第五部長、陸軍司令部参謀長、空軍司令部副司令官、海軍司令部参謀長、海兵隊基地司令部参謀長。以上六人。
    私は、文民が話し合う委員会と思っていたが。アメリカ側の出席者が、駐留米軍であることにビックリする。

  • 若手キャリア警察官を主人公にしたインテリジェンス小説。
    帯には『日米関係の闇に挑む』とあるが、そこに踏み込む前に振り回されてしまった感が強い。

    今野さんの作品はいつもならサクッとテンポよく読めるのだが、この作品はいつまでも物語の核心に入っていかないのでなかなか入り込むことが出来ず、読み終わるのに時間がかかった。

    主人公の隼瀬順平は警察庁警備局警備企画課・課長補佐という肩書。階級は警視。
    30歳ということなので若手と言ってもそこそこの経験はあるはずなのだが、読んでいくとなんとも呑気な印象を受けてしまう。

    公安の部署にいながら常にアンテナを張っている感じはないし、仕事や出世もやる気があるのかないのかという感じだし、『土曜会』なる様々な省庁の同期キャリアたちとの親睦会メンバーの紅一点のことが気になって仕方ないし。
    年齢は違うが同じキャリアの<隠蔽捜査>シリーズ竜崎とは全く心構えが違うし、キャリアではないが同じ公安警察官ものの倉島とは緊張感が違う。
    一度二人の元で鍛えてもらったらどうだろうか、と思ってしまった。
    まぁ今回の話はアメリカが相手なので、ロシア担当の倉島とは畑違いにはなるのだが。

    物語の発端は法務官僚が殺された事件。被疑者はアメリカ軍関係者。そして殺された法務官僚は『キンモクセイ』という言葉について同僚に尋ねていた。
    この『キンモクセイ』が何の暗号なのかということが最大のテーマかなと思って読んでいたが、結局はそう真新しい話ではなかった。

    それよりも隼瀬のようにまだ何も知らない人間が『キンモクセイ』について調べ始めた途端に殺人容疑を掛けられる方が怖い。
    殺された法務官僚や巻き込まれて殺された後輩も可哀想だが、事の真相にまで迫っていたならともかく、この程度のことで殺されていてはこの国から役人がいなくなってしまう。
    この殺し屋もその依頼主(結局明示されないままだった)も仕事が荒いというか、いくら何でもそれはないだろうという印象のほうが強かった。

    しかしこういう誰が味方で誰が敵なのか分からない状態で逃亡生活を送るというのは並々ならぬ緊張と不安と恐怖だろうなというのは想像出来た。
    また隼瀬のような、その時の政治や世界情勢によって状況が変わるような職場にいると、今日の味方が明日の敵なんてこともありそうで落ち着かないだろう。
    結局この作品の読みどころはそこくらいだった。

    あとは今野さんの訴えたいことがたくさん出てきた。共感出来ないわけではないが、何でもかんでも政治が悪い大国が悪いと言ってしまうのもどうなのかなぁという反感も感じる。しかし実際に大規模なシステムになればなるほど自国で開発出来てないのも事実。出来ているものも障害や情報漏えいやらが多いし。技術先進国だの科学立国だのというのは大昔の話になってしまった。

    徹底抗戦するのかと思ったら尻すぼみで終わってしまったし。格好悪そうな人が熱いものを持っていて…といういつもの今野作品らしさはあったが、その結末としては茫洋としていて掴みどころがなかった。
    怪しいと睨んでいたあの人も結局は何のことはない、無害な人だったし。
    最後まで隼瀬は片思いに振り回されていたし。

    今野さんも東野さんも、どうも恋愛が絡むと物語が陳腐になってしまう感があってガッカリする。
    そういうところはサラッと流したり、いっそのこと倉島シリーズのように恋愛要素は一切排除してスッキリした描き方にして欲しいなと思う。

    ちなみに水木の異動先が長官官房総務課とあって、竜崎の元職場じゃないかと思わずニヤリ。
    隼瀬は後輩には『公安向きだと、俺は思っている』なんて偉そうに評価しているけれど、自身は公安マンとしては頼りなさすぎる。もうちょっと成長して欲しい。

  • 法務省の官僚が遺体で発見された。
    凶器は22口径の拳銃。プロの仕業と思われ、防犯カメラに写っていた映像から、犯人は外国人で疑いが強く、外事1課、3課も動き出す。
    警察庁の官僚である隼瀬もチームに加わるが、翌日には解散。
    しかし、納得がいかない隼瀬は同僚の水木と共に、事件を独自に調べていくと、殺された神谷が「キンモクセイ」と言う言葉を調べていたことにたどり着く。
    同じように「キンモクセイ」の正体を探る隼瀬は、次第に事件の渦に巻き込まれ、自分自身も狙われるようになり、ついには逃亡することになる。
    事件発生時、他人事のように事件を客観的に語る様子は、これまでの今野敏のエリートの描き方と全く一緒で、名前が違うだけで、あるシリーズを読んでいるのかと思うくらい、前半は面白くない。
    日米地位協定など、事件の背後にあるものは複雑で、正直、それがどこまでヤバいものなのかは、分からないが、誰が味方で、誰が敵か…そういった駆け引きのある作品は、無条件に引き込まれてしまい、中盤からのハラハラする展開に、結局は一気読み。
    しかし、内容自体に新しさは感じない。

  • 若いキャリア官僚の周りで人が死んでいく。
    自殺なのか他殺なのか。
    キンモクセイというコードネームを追いかけるうちに
    自分が殺人犯にされていく恐怖。
    官僚仲間の「土曜の会」のメンバー達、上司、スクープを狙うジャーナリスト。
    どこまで信じて、どこで疑うか。
    なかなかハードな面白さ。

  • 好きな作家だが、定番のシリーズ物以外はイマイチなことが多かった。でもこれは違った!どんでん返しがありつつも結末には納得できるという、ありそうでなかなか無いストーリー展開。ぜひシリーズ化を。

  • 結局、誰が殺人の黒幕だったんだ?へスラーはヒットマンに過ぎず、神谷殺害の依頼者こそが肝要ですぜ。日米合同委員会の誰ぞで、これから東議員が問い詰めて調査が始まる。うやむやにはしなかった。めでたしめでたし、なの?だいたい何なんだ、あの元海軍特殊部隊隊員のお粗末なお仕事ぶりは。白昼に考えもなく、防衛省と警察庁とはいえキャリア君たちにあっけなく抑えられちゃった。岸本の自殺案件ときたら放ったらかしで、そもそもあの二人が殺されるほどの何をつかんでたのか。どうでもいい歩美への恋慕、嫉妬のもやもやは「勘違いかよ。ばかばかしい」って、それはこっちのセリフだよ。ともかく、日米合同委員会が土曜会に退治されたおはなし。

  • 公安ものですが、主人公の隼瀬がキャリアで公務員然としているからでしょうか、ちょっと軽いタッチのストーリーと思い前半は読み進めていましたが、後半は一転、殺人の容疑で警察に追われるハメに。逃走の緊張感で読み手もハラハラドキドキ。ほかの方のレビューではいろいろツッコミどころはあるようでしたが、エンタメとして読む分には特に気にならず楽しめる一冊だと思いました。

    ”キンモクセイ”を軸とする事件の背景材料はさすが今野作品といったとことでしょうか。こういったストーリーをものにする著者の知識量には毎回、ただただ驚くばかりです。

  • インテリジェンス小説と謳われていた本書。
    警察庁警備局のキャリアが主人公で
    他の省(外務省・厚労省・防衛省・経産省)にいるキャリア同期との定期的飲み会でのオタサー姫をめぐる腹のさぐりあいの話。

    オタサー姫にかっこよいところを見せたくて、公安なのに無警戒に首を突っ込んだら本格的に巻き込まれてしまった
    最後はライバルに姫を取られたのを確認したら姫はみんなの姫のままだったー、めでたし!

    というのは言い過ぎなんだけど、今野先生は恋愛もの絡ませないほうが好きです
    日米地位協定とかぐっと引き込ませるようなワードがでるのだけどインテリジェンス小説と呼ぶには物足りないそういうのは真山仁先生などに任せるとして軽くさらりと、裏でこういうことだってあるんだぞ!という世界を軽く読ませる才能はさすがです。

  • ん〜。ちょっと…。

  • 誰が敵で誰が味方かわからない状態で逃亡するのはドキドキする。

  • めでたしめでたしとは思えない。
    土曜会もなんだかなあ。

  • 2025年8月20日
    アメリカ軍の陰謀と日本政府の主体性の無さ。
    小説の中、話だけならいいのだが、実際起きてることなのだろう。
    マイナンバーカードがすでにその一端だと思うし。
    国民のための政治をしてほしい。

  • 警察庁、外務省、厚生労働省、法務省等あまりに色々な課が出てきてこんがらがりそうで内容がよく見えなくなり挫折しそうだったけど「キンモクセイ」禁止、沈黙、制圧の意味がわかりだした辺りから面白くなり一気に読んだ。
    新聞記者の武藤武の存在がキラッと光っていた。男前だったな。

  • 続けて読んでしまった
    なんか話が大きすぎて

    そうなの???
    知らない事が多すぎて

  • 「さて、未来の話をしようじゃないか」


    今野敏の割にこの感じか!というちょっと拍子抜け感は否めない。
    が、もちろん、2日で読み終えるくらいそこそこ面白い。



    中盤は完全にメディアや政府、これまでなし崩し的にできてきた法案への批判がひたすら書かれる。
    そういうところは嫌いじゃないが、なにより落とし所がな。


    でも、はい。ラストの言葉は、キザで良い。

  • 法務官僚が殺害された件で警察庁の若手官僚隼瀬順平が活躍する物語だが、隼瀬の友人、外務省の木莬田真一、厚生労働省の燕谷幸助、防衛省の鷲尾健、経済産業省の鵠沼歩美で作っている「土曜会」で殺人事件の背景等を議論する件が面白かった.隼瀬と水木は例の事件で専任チームを任されたが突然解散となり、その原因を探る.隼瀬は同僚の岸本行雄に探りを入れるがキンモクセイという言葉がカギになると想定した.その直後、岸本も死んでしまう.さらに隼瀬も指名手配され、記者の武藤の支援でうまく逃げ回るが、殺人犯の白人に狙撃される.その後の展開は、当局と隼瀬のボタンの掛け違いもあり、やや複雑だったが、監視システムの構築をめぐる国家間の探り合いだったことが判明する.公安と警察の軋轢、上司への不満等、社会の裏面も巧みに描写してあり一気に読めた.面白かった.

  • とうなるの?どうなるの?というドキドキが止まらないまま最後まで行けた

  • 読み応えのある小説。
    疑い始めたらもう何も信じれなくなる。

  • ★2.5

  • 著者初のインテリジェンス警察小説、ということですが、公安刑事と言えば、倉島警部補シリーズや、同期シリーズの蘇我くんがいたはず。公安キャリアとなれば確かに初なのかな。
    日米地位協定とか、幻の監視システムとか、インテリジェンスに関わる事件の背景については興味深く読めました。多少、偏った見方をされている点は気になったけれども、普段見えないデメリットの部分を読み物の中で知ることは我々にとっても良いことだと考えます。
    にしても、主人公が公安刑事として無能なのが辛い。心の声が文章中で駄々洩れなのは今野先生の作品ではいつものことだけれど、公安刑事としての刑事勘がまるでなく、仕事そっちのけで恋愛ごとに気を取られている主人公の姿なんて見たくない。素直で純粋なのは結構だけれど、男は黙って、心の声も内に仕舞って、行動するのみよ、と尻を引っ叩きたくなりました。土曜会のメンバーでシリーズを続けるのも面白そうとは思うものの、主人公はもう少し成長させて描いていただきたいものです。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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