傲慢と善良

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022515957

感想・レビュー・書評

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  • 感想
    うーん、色々あったけど、最終的な感想は、、、なんじゃそら?です。

    最初は善良と傲慢とは、恋人同士の意識のすれ違いか何かで起こるものなのかなと予想して読んでいたが、どうやら結婚や男女関係について、本人の自分への評価の高さや社会との常識などという価値観との両方を見たそうとするズレみたいなものなのか、と読み進めていくうちに分かった。

    自分に釣り合うかなどの打算で結婚は決められている的に書かれているが、自分は違う意見だなぁ。全部は枠にはめられない。

    行方不明で探すのは良いが、結婚相手の過去をほじくり返しているようなところも考えもの。ってかストーカーが嘘って気づいてなかったのも?だったけど、女友達もちょっと性格悪すぎでしょう。

    男女関係や人間関係について色々考えるキッカケになる。

    あらすじ
    架は婚約していた真実がある日、失踪した。以前、真実がストーカーに追われたことがあり、架と一緒に住み結婚することになった。しかし、真実は結婚式を控えたある日に突然失踪した。

    架は警察に駆け込むも、真実が以前、どのようにしていたか、誰にストーカーされていたのかは知らなかった。架はいなくなった真実を探すことになった。

    「結婚相手にピンとこないは、自分につけている値段と相手が釣り合わないと思っている。」

    架は真実を探す過程で色々な人と出会い、その人たちの恋愛感や結婚感について聞いて色々考える。

    第二部は真実目線で物語が語られる。なぜ失踪したのか、どういう気持ちか、今後はどうするのかなど。

  • 登場人物、みんなが傲慢だ。世の中、傲慢な人だらけなのか?
    真実にイラっとして、学校スクールカーストの上位にいて、すべて自分たち中心にまわっています、みたいな架の女友達にもイラっとしながら、ゾッとして。
    そう思ってしまう自分だって、きっと傲慢なんだろう…。
    真実みたいな女は嫌いだ。自分では何も努力せず、決められず、それでいて自己評価は高い。
    最後、結婚を選んだ架が意外だった。女友達にストーカーが嘘だと言われて、やめとけって言われたらやめるのかと。
    真実がいなくなったことより、また一から婚活をしなければいけないことを心配していたくらいだから。
    そうやって一緒になった2人は幸せになれるのだろうか。きっと友だちとも疎遠になるだろうし、家族は?元に戻る?
    話の内容としては、共感なしだけど、話の展開はさすが、辻村深月さんだなーと納得。いろいろ考えさせられる話だった。

  • 何度も出てくる「傲慢」という言葉。
    その状況に応じて自分自身や周囲の事、今の事、昔の事、色々思い出されて…ウーンとなる事が多々あった。
    大抵の人が自身の考えている事、思っている事の大半を口にしないという前提を頭に入れて、自分自身の考えや感じた事から引き算しないと、傲慢になりがちではないのかな。
    これって日本的な発想なのかも。

    婚活って架や真美みたいな心境になって自分の中で拗れてしまうものなのかな。その辺はよく分からないけど、恋愛の悩みっていうことでは、二人の心の内ってよく分かった。

    とにかく 面白かった!


  • 前半から中盤にかけての状態像の共有と、後半の○○が独白する構成が見事! 過去・現在の自身の逡巡と重ね合わせながら読む苦しい展開...。
    あぁ、やはり著者作品はハマりますなぁ。じっくり自身と向き合う時間を確保してからお読みください。ただ、年代層を選ぶかも...。

  • またもやなんの予備知識もなく読み始めたが、婚活をからめたミステリー仕立てのお話。
    どきどきしたり、もやもやしたりするけれど、読後感は良い。

    本当に大人になるということは、今自分のいる位置が大海の中だということに気づくことかもしれない。
    それに気づかないまま、いい年になっている人もたくさんいるが……。
    「傲慢と善良」の意味するところが、なぜだか読み終わった今も、心の中をぐるぐるとしている。

  • 何年振りかぐらいに小説を読んで泣かせて貰いました。いやあ、この小説はすごい。自分は20代半ばで結婚したのでザ!婚活と言った経験はないが、婚活経験者も経験中のひとも、いやそうでないひとにも是非読んでほしい。もともと素晴らしい小説を書く辻村深月が、次のレベルに突き抜けたぐらいの良い作品だと思う。

  • 傲慢と善良

    このタイトルは他の何にも変えられないほどに内容とマッチしている。
    善良さ故の傲慢な人間。
    真実がそれを象徴する人物であった。
    結婚とは、親のあり方とは、お見合いのあり方とは。
    善良や傲慢のあり方は人それぞれであり、誰にも決めつけることができないのである。
    そんなことを、考えさせるきっかけとなってくれる傑作。


  • 読んでいてなかなか微妙な気持ちにさせてくれる本でした。
    婚活という恋愛とは違う地平にある活動。でも好きでもない人、むしろ一緒にいるのが苦痛な人と一生いるなんて無理。それくらいなら一人の方がよい。という気持ちよく分かる。けれど他の人が普通にしている事が出来ていないという焦りも本当によく分かります。
    婚活で知り合った2人、2年を経て結婚に至ろうとするときに、突然の彼女の失踪。サスペンス的なものを想像してしまいますが、かなり歪んだ恋愛小説でありました。
    正直読んでいていい気分はしませんでしたが、最後まで読むとすとん腑に落ち付る本です。
    僕自身、第三者が介入すると恋愛や友愛は変質していくと身を持って体験しています。2人だとうまくやっているのに、親や親戚や友人が影でも存在するとぶち壊しになる事って結構あります。本当は上手くやっていかなければならないのでしょうが、どちらかを取らないといけない時を見誤らないようにしたいものです。

    毎度思うのですが、辻村さんは取材しないで勢いと想像で描いた方が絶対いいと思っています。この本も取材したぞーっという感じがかなり出ていてそこが少々面倒でした。でもなかなか良い本でした。

  • 架の女友達である美奈子と梓の人格の下劣さには呆れ果てて不愉快。。結婚に対する気持ちが70%というのと、婚約者の点数が70点というのは、似てるけど全然違う。そういうことだよ、と架本人を煽るのみならず、婚約者の真美にまでそう言って貶める理由が全く分からない。
    最後は関係修復出来てよかったけど。

    地方の小さい世界で生きる親子の感じは、自分もそうだったので、よく分かるかな。

  • 面白かったー。
    でも痛い!自分のことのように感じてしまって、読んでいてとても痛かった。
    さすが辻村さん、言葉が刺さる刺さる。
    蓋をして見ないようにしてきた気持ちを見せられた感じ。しかも綺麗に理路整然と見せられ、ぐうの音もでないとはまさにこのこと!という感じだった。
    真実の親の善良な上での傲慢さが恐ろしかった。
    架の女友達の傲慢さも怖い。正義なのかなんなのか理解が出来なかったなー。
    ミステリー要素もありつつ、タイトルの通り傲慢と善良を考えさせれ面白かった。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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