- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022515957
感想・レビュー・書評
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何度も出てくる「傲慢」という言葉。
その状況に応じて自分自身や周囲の事、今の事、昔の事、色々思い出されて…ウーンとなる事が多々あった。
大抵の人が自身の考えている事、思っている事の大半を口にしないという前提を頭に入れて、自分自身の考えや感じた事から引き算しないと、傲慢になりがちではないのかな。
これって日本的な発想なのかも。
婚活って架や真美みたいな心境になって自分の中で拗れてしまうものなのかな。その辺はよく分からないけど、恋愛の悩みっていうことでは、二人の心の内ってよく分かった。
とにかく 面白かった!
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前半から中盤にかけての状態像の共有と、後半の○○が独白する構成が見事! 過去・現在の自身の逡巡と重ね合わせながら読む苦しい展開...。
あぁ、やはり著者作品はハマりますなぁ。じっくり自身と向き合う時間を確保してからお読みください。ただ、年代層を選ぶかも...。 -
またもやなんの予備知識もなく読み始めたが、婚活をからめたミステリー仕立てのお話。
どきどきしたり、もやもやしたりするけれど、読後感は良い。
本当に大人になるということは、今自分のいる位置が大海の中だということに気づくことかもしれない。
それに気づかないまま、いい年になっている人もたくさんいるが……。
「傲慢と善良」の意味するところが、なぜだか読み終わった今も、心の中をぐるぐるとしている。 -
何年振りかぐらいに小説を読んで泣かせて貰いました。いやあ、この小説はすごい。自分は20代半ばで結婚したのでザ!婚活と言った経験はないが、婚活経験者も経験中のひとも、いやそうでないひとにも是非読んでほしい。もともと素晴らしい小説を書く辻村深月が、次のレベルに突き抜けたぐらいの良い作品だと思う。
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傲慢と善良
このタイトルは他の何にも変えられないほどに内容とマッチしている。
善良さ故の傲慢な人間。
真実がそれを象徴する人物であった。
結婚とは、親のあり方とは、お見合いのあり方とは。
善良や傲慢のあり方は人それぞれであり、誰にも決めつけることができないのである。
そんなことを、考えさせるきっかけとなってくれる傑作。
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読んでいてなかなか微妙な気持ちにさせてくれる本でした。
婚活という恋愛とは違う地平にある活動。でも好きでもない人、むしろ一緒にいるのが苦痛な人と一生いるなんて無理。それくらいなら一人の方がよい。という気持ちよく分かる。けれど他の人が普通にしている事が出来ていないという焦りも本当によく分かります。
婚活で知り合った2人、2年を経て結婚に至ろうとするときに、突然の彼女の失踪。サスペンス的なものを想像してしまいますが、かなり歪んだ恋愛小説でありました。
正直読んでいていい気分はしませんでしたが、最後まで読むとすとん腑に落ち付る本です。
僕自身、第三者が介入すると恋愛や友愛は変質していくと身を持って体験しています。2人だとうまくやっているのに、親や親戚や友人が影でも存在するとぶち壊しになる事って結構あります。本当は上手くやっていかなければならないのでしょうが、どちらかを取らないといけない時を見誤らないようにしたいものです。
毎度思うのですが、辻村さんは取材しないで勢いと想像で描いた方が絶対いいと思っています。この本も取材したぞーっという感じがかなり出ていてそこが少々面倒でした。でもなかなか良い本でした。 -
架の女友達である美奈子と梓の人格の下劣さには呆れ果てて不愉快。。結婚に対する気持ちが70%というのと、婚約者の点数が70点というのは、似てるけど全然違う。そういうことだよ、と架本人を煽るのみならず、婚約者の真美にまでそう言って貶める理由が全く分からない。
最後は関係修復出来てよかったけど。
地方の小さい世界で生きる親子の感じは、自分もそうだったので、よく分かるかな。 -
面白かったー。
でも痛い!自分のことのように感じてしまって、読んでいてとても痛かった。
さすが辻村さん、言葉が刺さる刺さる。
蓋をして見ないようにしてきた気持ちを見せられた感じ。しかも綺麗に理路整然と見せられ、ぐうの音もでないとはまさにこのこと!という感じだった。
真実の親の善良な上での傲慢さが恐ろしかった。
架の女友達の傲慢さも怖い。正義なのかなんなのか理解が出来なかったなー。
ミステリー要素もありつつ、タイトルの通り傲慢と善良を考えさせれ面白かった。