椿宿の辺りに

著者 :
  • 朝日新聞出版
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レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022516107

感想・レビュー・書評

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  • 前作「f植物園の巣穴」以上にすごく好きな世界観だった。

    痛みから始まり導かれるように紐解かれる様々な物語、土地、歴史、自然、そして縁。全てが必然的だったと思うぐらいの繋がりなるものを感じた。
    読みながらそっと自分に当てはめ、身体の内、外での繋がり、巡り巡るものを想像したくなる。

    巡る痛み、身体と心の繋がり、そして何よりバランスを保つことの大切さ、自分の中の「痛み」や「滞り」に目を向け向き合う時間の大切さを教えられた気分。

    最後の山幸彦と宙幸彦との手紙のやり取りが心に響く。

    梨木さんの紡ぐ言葉、世界がスッと沁み渡っていくこのひとときにもう少し浸っていたかった、それぐらい良かった。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      もう読んだんだ!速い(*≧艸≦)
      f植物園よりも好きな世界観だったんだね!
      f植物園よりわかりやすい世界...
      こんばんは(^-^)/

      もう読んだんだ!速い(*≧艸≦)
      f植物園よりも好きな世界観だったんだね!
      f植物園よりわかりやすい世界ってことかな?
      私も機会があれば読んでみよう(*'-')ゞ
      昨日読み終わった本面白かったんだけど、進まなくて難産だった(笑)時間かかったわ。
      また、読んでください。
      2019/06/26
    • くるたんさん
      けいたん♪おはよう♪

      うん、これは前半スローだった植物園に比べると、現代のお話だからサクサクいけて読みやすかったよd( ˃̵௰˂̵ )
      ...
      けいたん♪おはよう♪

      うん、これは前半スローだった植物園に比べると、現代のお話だからサクサクいけて読みやすかったよd( ˃̵௰˂̵ )

      難産本、わかるー!楽しみにしてるわ♡
      2019/06/26
  • 鬱に頭痛、腰痛、三十肩に頸椎ヘルニア…痛さの百花繚乱状態の佐田山幸彦。
    彼はあの『f植物園の巣穴』の主人公・佐田豊彦の曾孫だという。
    歯痛に悩んだ豊彦の痛みが伝染するかのように、山幸彦もまた様々な痛さに悩まされる。
    これはもう一族の宿命と言っても過言ではない。
    痛みの原因を探る内に一族の歴史を紐解くこととなり、またもや不可思議な世界へと誘われる。
    稲荷に狐に古事記に…梨木さんの好きなワードが続々登場。
    登場人物達のコミカルなやり取りに何度もニヤリとなり、『家守綺譚』シリーズが読みたくなってきた。

    「痛みに耐えている、そのときこそが、人生そのもの」
    「痛みとは生きる手ごたえそのもの、人生そのものに、向かい合っていたのだと。考えてみれば、これ以上に有意義な『仕事』があるでしょうか」

    苦痛にしか思えない痛みもありのまま受け入れる。確かに生きているから痛さが分かる。
    先祖と生者との目には見えない強い繋がりをしみじみ思う。
    たとえ同じ時代に生きていなくとも、やはり血は争えない。
    そして昔からその土地にある神社は大切にしなければ、と心新たに思った。

  • 3分の1ぐらいまでは紛らわしい名前に閉口。主人公が日本神話に出て来る「山幸彦」、従妹の名前が「海幸彦」をもじった海幸比子、実家の店子は宙幸彦、曽祖父母も加わり、新しく人物が登場するたびに、頭の中で家系図を組み入れるのに一苦労しました。そもそも日本神話や古事記を知らないのですから。もっと明るかったらと思わずにいられません。
    鍼灸院の亀子から、主人公を悩ませている痛みは、山彦の実家・椿宿という地域と関りがあるのではないかと云われます。眉唾もののような展開に、私も成り行きまかせとばかり同行した次第です。
    「私は長い間、この痛みに苦しめられている間は、自分は何もできない、この痛みが終わった時点で、自分の本当の人生が始まり、有意義なことができるのだと思っていましたが、実は痛みに耐えている、そのときこそが、人生そのものだったと、思うようになりました。痛みとは生きる手ごたえそのもの、人生そのものに、向かい合っていたのだと。考えてみれば、これ以上に有意義な『仕事』があるでしょうか」
    果たして、痛みを抱えている者にとって、痛みとは生きる手ごたえと云える時がいつ訪れるのだろう? 筆者が言いたいことは充分理解しながらも、苦しみの最中で脱したいと喘いでいた自身の体験を通して、嵐が過ぎ去った後にもそのような境地にはなれませんでした。思考が止まってしまいすべてが遮断され取り残されたような感覚は思い出しただけでもぞっとします。山彦の酷い痛みの描写を読みながらも他人事のように受け入れている彼と私はいったい何が違うのだろうか。立ち向かえる強靭な精神力を持つ人には可能かもしれないけれど、私のような軟弱な者には難しいと思わざるをえません。日々それなりに努力は重ねていますよ。
    本書は「f植物園の巣穴」の続編だそうです。「f植物園~」を読めばもっと理解できるのでしょうが、手に取るには少々時間を要しそう。

  • 『f植物園の巣穴』を読んだのが、随分前だったので、再読してから臨めばもっと味わえたのかなぁと、ちょっと残念。

    もちろん記憶に薄くても、ストーリーはちゃんと読めます!

    身体の痛みは、どこに起因しているんだろう。
    簡単に、疲れているんだろう、ストレスなんだろう、と片付けてしまいがちな痛みの元を辿ると、そこには自分の名前の由来を含め、家の縁起が深く関わっていることを知る。
    知りたいことや、会いたい人に、知らず引き寄せられていく中で、かつて祖父が暮らしていた家を訪ねるのだった。

    こういう、家(先祖)とか命名にまつわるテーマって最近ではあんまり見かけなくなった。
    そんな中にあって、切れないもの、縁という存在を、梨木香歩の現実とも夢とも言えない、ふやふやとした世界が上手く引き込んでいく。

    こういう小説を読むと、身体のツボが、とか、家の風水が、とかソワソワしてしまう単純な自分。

  • 「f植物園の巣穴」からは抜け出せなかったのだが。
    痛みを足されて少々陰鬱な気分で読み進む。
    わたしの「滞り」もいつか流れていくだろうか。

  • 梨木香歩図書館
    https://nashikikaho.blogspot.com/

    朝日新聞出版のPR
    深遠でコミカル、重くて軽快。著者五年ぶりの傑作長編小説。

    自然、人間の体、こころの入り組んだ痛みは
    家の治水、三十肩、鬱と絡み合い、主人公を彷徨えるツボ・椿宿へと導く。

    皮膚科学研究員の佐田山幸彦は三十肩と鬱で、従妹の海子は階段から落ち、ともに痛みで難儀している。なぜ自分たちだけこんな目に遭うのか。
    外祖母・早百合の夢枕に立った祖父から、「稲荷に油揚げを・・・・・・」の伝言を託され、山幸彦は、鍼灸師のふたごの片われを伴い、祖先の地である椿宿へと向かう。
    屋敷の中庭には稲荷の祠、屋根裏には曽祖父の書きつけ「f植物園の巣穴に入りて」、
    明治以来四世代にわたって佐田家が住まいした屋敷には、かつて藩主の兄弟葛藤による惨劇もあった。
    『古事記』の海幸山幸物語に3人目の宙幸彦が加わり、事態は神話の深層へと展開していく。
    歯痛から始まった『f植物園の巣穴』の姉妹編。
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20974

  • 皮膚科学研究員の佐田山幸彦は三十肩と鬱で、従妹の海子は階段から落ち、ともに痛みで難儀している。なぜ自分たちだけこんな目に遭うのか。
    外祖母・早百合の夢枕に立った祖父から、「稲荷に油揚げを……」の伝言を託され、山幸彦は、鍼灸師のふたごの片われを伴い、祖先の地である椿宿へと向かう。
    屋敷の中庭には稲荷の祠、屋根裏には曽祖父の書きつけ「f植物園の巣穴に入りて」、
    明治以来四世代にわたって佐田家が住まいした屋敷には、かつて藩主の兄弟葛藤による惨劇もあった。
    『古事記』の海幸山幸物語に3人目の宙幸彦が加わり、事態は神話の深層へと展開していく。

  • 山幸彦と海幸彦の残酷な神話から名づけられた従兄妹の二人。彼らを襲う不可解な「痛み」の原因は……。梨木香歩さんは、私が読む小説の中で、一番「文学」な人かもしれない。どこか不思議なんだけど理屈があるところもあり、すべてを解明せずに終わるところもあり。それがもやもやするのではなく、なんとなく落ち着いてしまう。

  • 梨木さんの不思議な世界の小説

    うちも大阪ではありますが、旧家であるのは間違いなく
    つい最近、100年以上たっていた建物を取り壊して
    新しいものを立て直したところなのですが。
    ご先祖様をどう敬って、見守っていただけるようにするか
    ということを気にしないといけないかなと思った次第です。

  • 『f植物園の巣穴』の姉妹編。痛みと地縁で、そのことを開いていく。何度かデジャヴのような不思議な感覚に襲われる。この数年、身体に思考が停止するような痛みがあるからなのだろうか。治療はしているが、原因がひとつだけではなく、身体の歪みを治したら改善したこともあった。もう少しで読み終わる頃に、浅間山が噴火。ダブル台風にも警戒と天気予報は伝えている。天災が増えているので、身体が感じることを素直に受け止めたい。あらためて『古事記』を読みたい。子どもの頃に『因幡の白兎』は感銘した記憶がある。

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著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

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椿宿の辺りに Kindle版 椿宿の辺りに 梨木香歩

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