カザアナ

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.06
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感想 : 152
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022516145

感想・レビュー・書評

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  • 「みかづき」がとても良かったので、これからは森絵都!なんで選んだ本がカザアナ。
    あまりに作風が違って。
    ファンタジー?は苦手なのです。
    SF?
    導入は平安。悪くない。
    本文より
    平安の昔、石や虫など自然と通じ合う力を持った風穴たちが
    女院八条院様と長閑に暮らしていました。

    その後
    オリンピックの後、20年過ぎ
    日本はなんともしれなく変わっていた。
    AIの家庭教師、
    そらにはドローンカイトが舞い、
    街というまちには、監視カメラが設置

    観光省あり景勝特区あり
    ヘンテコなジャポニズムあり
    景勝条例あり管理あり当然処罰あり、国出し

    イヌガラシ、ハツコイソウ、
    まあこんな感じで???
    平たくいえば冒険ファンタジー?

    パロディかもわからないし
    あまりに世の中が進んであらぬ方向にいくのもこわいし
    そこに風穴の末裔が登場!
    そこから始まる風穴の活躍?

    単純に何読みがいいかな?
    「もしなれるなら」
    空を読み
    雨風の動きをあてる空読

    風を読み方様の吉凶をあてる空読

    海を読み漁の至りをあてる海読み

    月を読み
    草花


    人の夢を読み
    人の影を読み
    まだまだある。

    何ができたいなんて、気のおけない友と話すのもいいね。
    わたしですか、わたしは草花がいいな。なーんてね。
    こんなレビューしかできません。





  • 風穴なる不思議な力を持った人たちの言い伝えがあるのかと、ネットで調べたのだが、「洞窟の内外で生じる気温差や気圧差により風の流れが生じ、洞口(洞窟の開口部、出入り口)を通じて体感的に速い大気循環がある洞窟の一形態である。(Wikipedia)」なる意味のものしか出てこなかった。
    怪しき言い伝えが無かったことに、がっくし…

    本作の「風穴」は自然と通じ合う特異能力を有する人たちのことを言っている。空と通ずる空読、虫と通ずる虫読、鳥と通ずる鳥読、そして石と通ずる石読。

    特異能力を持つ彼らは平安の昔、時代の波に利用されて、追われることになり、絶えてしまったかと思われています。850年余が経た未来でその風穴子孫と入谷一家の母、娘、息子が、監視社会の進んだ日本社会に立ち向かっていく話し。

    この話は東京オリンピックの約20年後とあるため2040年くらいのようだ。先般読んだ「ドーン」が2033年だったので、近しい未来である。いずれの内容も現代よりAI監視社会として描写されており、閉塞した時代となる可能性を想像させる。
    本作においては、日本の空を監視ドローンが飛び交い、MWなるGPS付きAI時計を国民は持たされ、抑圧された未来となっている。
    具体的には景勝特別地区なる日本文化を強調する観光地を指定し、外国人観光客を呼びこもうとする政策を作り、非協力的な住民をその地区から排除したり、「マイナンバー」ならぬ「参考ナンバー」なる国民の国への忠誠度をポイント化した制度を導入し、累積ポイントに応じ老後の生活の安定をサポートする。他には、外国人労働者を地下居住区で管理する。この窮屈な状況下で生活しているにも関わらず。入谷一家のメンバー(由阿、里子宇、早久)それぞれがとても快活で、個性的なキャラを放っており、本作の緩衝材(緩衝人)的な役割である。虫読の鈴虫も、なごみキャラで面白い。

    そして、この本の表紙に鴉がいたり、蜂がいたり、藤の花があったりと、またまた可愛い。

  • 近未来の日本が舞台。
    街並み規制、人々の身なり、学校行事まで日本的なものに強制され、ガイツー(外国人ツーリスト)を喜ばせるため、外貨を稼ぐため国を揚げて『ジャポい』に取り組む様子、搾取される外国人労働者、今の日本から地続きのようでドキッとする。
    中学生里宇と家族は、特別な能力を持った空読、石読、虫読の三人に共に、そんな世界に小さな『風穴』をあける、痛快な話。
    『風穴』たちの来歴を平安時代に実在した女院八条院さまがゆかしい大和言葉で語る。二つ世界の文体の違いがおもしろい。

  • 平安時代の後期に、「カザアナ」と呼ばれる特別な能力を持った人たちがいた。
    貴族の時代から武士の時代へ移り変わる争乱の中で、四人のカザアナ達は守られ、生き残り、近未来の日本に生まれ育っていた。

    歴史の中の実際の人物を混ぜながら、森絵都さんが書く今回のファンタジー。
    随所に今の日本が抱える様々な問題をちりばめてあり「もしかして、こんな日本になっちゃう?」なんて思う場面もチラホラ。

    登場人物が多すぎるのと、中心になる人物が場面によってかなり変わっていくので、ちょっとガチャガチャした感じがするかも。

  • 平安の時代、貴族が自分の側に置いていた自然と通じる力を持つ人々・風穴。近未来の日本、観光立国を目指し、日本古来の姿を強いられている、ドローン等で監視されてもいる。ジャーナリストの母、その子供である姉弟の入谷一家、風穴の力を持つ人たちの力を借り窮屈な世界で奮闘するエンターテイメント小説。
    入谷一家の個性と積極的に進んでいく姿を追って、楽しく読めました。自然の声をきき自然と共に生きることの本来の自然さを感じる一方で今後起こり得る生き過ぎた監視・管理社会、小説のような世界もあり得るかもと恐ろしさも感じました。後半は政治的なこともありましたが…それは入れなくてもいいのでは。全体的にはうまく世界を作り上げて面白い内容ですね。
    ま、楽しい一冊、私は石読みの能力が印象に残るね。私も石読みになりたい。私と接している石たちは何を語り出すかしらね。

  • 花鳥風月ならぬ“花鳥虫石”な表紙に惹かれて手に取った本書。近未来&ファンタジーなエンタメ小説です。

    近未来。観光立国となった日本は、過度な“日本らしさ”を強要し、景観規制や監視ドローンが飛び交う社会になっています。
    アイルランドの血を引く入谷里宇は、地毛が茶髪という事もあってそんな社会に生きづらさを感じています。
    ある日、里宇がひょんな事から手に入れた勾玉風の石をきっかけに、不思議な力を持つ造園業者の3人と知り合います。彼らは平安時代に“風穴(カザアナ)”と呼ばれた異能の徒たちの末裔で・・・。

    空を読む空読、虫の気を読む虫読、石の記憶を読む石読、そして鳥とかよいあう鳥読・・。
    様々な自然と通じ合う力を持った者達がいた平安時代と近未来の日本の様子が交互に語られて、1話ごとに主観が変わる連作のような構成になっています。
    カザアナの末裔の3人と交流するようになって、里宇たち入谷ファミリーが息苦しい社会に“風穴”を開けるべく奮闘していくのが良いですね。
    日本という国が、迷走&暴走しがちという事は承知しているので、こんな近未来日本は嫌だと思いつつも無いとは言えないのが悲しいところです(汗)。
    社会問題が山盛り出てくるとはいえ重さはなくて、カザアナ達&入谷ファミリーの軽快さに“いいね!”と親指を立てたくなります。
    実は本書が、“初・森絵都さん”だったのですが、他の方のレビューを拝見すると、他作品(特に『みかづき』)と作風がかなり異なっているようですね。
    個人的には現実想起させる話より、現実逃避させてくれる話の方が好みなので、この作品が最初で良かったかも。と思った次第です。

  • 近未来の日本を舞台にしたシリアスな作品かな?と冒頭では思っていたけど、終始コメディータッチ。ちょっと近未来が「なんだかなぁ…」と思われる社会だったり、八条院さまと風穴のくだりがあやふやだったりする。マムの発する言葉が時々キラッとしてて他の森絵都さんの作品同様、戦う大人がかっこよかった。

  • 他の作家にもあるけど、ファンタジー、書きたくなってしまうのか。そして書くとこうなってしまうのか。
    庭師とかMWとかオバシーとか観光立国とか、面白そうなワードは多かったのに…。

  • 近未来の話だが、あまりのご都合主義に読み進めるのがつらい時も。これは子供向けに書いた本なのかな?

  • 監視社会への危機感、AI支配が脆弱であることへの警告。森さんの社会への眼差しが感じられる物語。ファンタジー要素が強すぎ、キャラ設定もアニメ的で、少し飽きてしまうところがあった。アフタートランプ、アフター安倍である近未来は、この小説が描く社会ほどには変化しなさそう…。

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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