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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784022516268
感想・レビュー・書評
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認知症の父を、施設から引き取り、自宅介護に奮闘する長男好太郎。
この好太郎がもう…思い込みが激しくて、せっかちで、読んでいてハラハラするのだが、当人の一生懸命さと、周囲の家族たちの協力もあり、なんだか見守るように読み進めてしまった。
認知症が徐々に進行していく過程を本人の視点から描いた、同作者の『老乱』も非常に印象に残っているが、今作は既に意思の疎通も難しくなっている父を介護する息子の視点で描かれていて、介護の大変さが伝わってくる。
介護の中で生まれる負の感情は、ほとんどが自分の都合だというのは、とても納得できる。
ただ、介護を自分の生活の全てにしてしまっては、自分自身が壊れてしまうので、きれいごとだけでは介護は出来ないのが現実なんだと思う。
作品の中では、空回りしつつ頑張る好太郎を苦笑いでサポートする妻、離れた所から冷静に温かく見守る弟夫婦など、家族に恵まれていて、難しいテーマだが楽しく読めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
介護現場で働く友人から譲られた
認知症の人の介護はなみの苦労ではない
特に排泄が……
私は、幸いというか、
看取った老親は頭はクリアであったが
医師が書いているからリアルだ
つい、嫁の立場で読んでしまう
こうはいくかなあ
経済も心配
一気に読めたし
読んでよかったと思う
≪ 認知症 靄の世界に 波がたつ ≫ -
認知症、介護の問題は自分の親だけでなく、数十年後の自分を含めて考えると不安な気持ちにしかなれない。
少しでも長く大切な人と一緒にいたい。気持ちはよく分かる。
思うがままにならないことを、思うがままにしようとして人は苦しむのです。という言葉は何も介護に関わることだけではないなと思った。 -
医者視点による『認知症』解説書。究極の選択に希望があるんだな。臨場感半端ない!
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自分の家族が認知症になったら自分はしっかり介護できるだろうかと考えさせられました。
認知症についても知識を得ることができ、読んでよかったと思います。 -
弟は正しい。
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認知症は、世の中が高齢化の今では見て見ぬ振りをしてはならない問題だ。
多くの人ができれば親を看取りたいと思うだろう。
だが、自分の配偶者の問題だったり家の間取りであったり、仕事との兼ね合いであったりと様々な理由で難しいのが現実だ。
介護はみんなで協力しながらが大切。
おむつとか食事とか、一緒に外についていくとか、やることは対乳幼児と同じだけど
できなくなることはあってもできるようにはならない。
成長していく子どもに対して、いつか自分でできるようになる日は、絶対にこない。しかもいつ終わるのかわからない。
1人にばかり負担が多くなったり、1人で抱え込んだりしないように。
この物語のように、みんなが少しずつ優しくなるだけで世界も少しずつ変わっていく。
後悔する人が少しでも減りますように。 -
-2019/11/07
久坂部洋の世界にどっぷり。読者を惑わせるような展開もなく、安心して読み進めることができた。最後の最後の好転換?に、心地良い読後感を得ることができた。認知症の父親にこう接したいと思う反面、現実は笑えない。それでも心地良い読後感は、久坂部洋の新境地か? -
1冊丸ごと、認知症の親を介護する家族の悲喜こもごもに焦点を当てた物語。
老人ホームに入居していた認知症の父、茂一を自宅に引き取る事を決意した、45歳の矢部好太郎が主人公。
親への「恩返し」のつもりで、父の介護に懸命に取り組む好太郎の前に、次々と問題が立ちはだかる。
食事の世話や排泄・入浴介助だけでも過酷なのに、認知症に加えて新たな病気、マンションの隣人問題など、想像以上の現実がそこにはあった。
コミカルなタッチで描かれているので軽快に読み進める事が出来るが、死生観や介護に対する姿勢について深く考えさせられた作品。 -
一気読み
まさに自分の母親が認知症で施設に入っている
私は家では看られないと判断した
亡くなった父親と認知症の母が
2人で暮らしていた頃の大変さを思い出した
財布が無くなったと呼ばれ
トイレに失敗したと電話がある
病院、薬局、市役所、訪問介護、訪問看護、
デイサービス、ヘルパー、
それぞれの手配、決め事…常に親に関わること中心の毎日
フルタイムの仕事は無理と判断して離職した
排泄に関わる大変さは数回の対応だったけど
それでもいつまで続くのか、と
眠れない夜も何度となくあったっけ
そして今度は自分がどうなるかも気になり
こういう本を読んでは
考えさせられてます。
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書いたのが在宅医、ああなるほどね
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一日で読んでしまいました。
講演会の話を聞いて自分の父親を施設から引き取って自分の家で介護する主人公は、親への愛情は人一倍なんだけど、考えが浅はかです。同居するマンションでの出来事や排泄問題など現役のお医者さまの視点で、リアルに描きます。最後の終わり方も明るく良かった。でも親族関係等美化されているかな。 -
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45歳の矢部好太郎は有料老人ホームから認知症の父・茂一を、一念発起して、自宅マンションに引き取ることにした。
認知症専門クリニックの宗田医師の講演で、認知症介護の極意に心打たれたからだ。勤めるコンサルタント会社には介護休業を申請した。妻と娘を説得し、大阪にいる弟一家とも折にふれて相談する。好太郎は介護の基本方針をたててはりきって取り組むのだが……。
隣人からの認知症に対する過剰な心配、トイレ立て籠もり事件、女性用トイレ侵入騒動、食事、何より過酷な排泄介助……。ついにマンションでは「認知症対策」の臨時総会が開かれることになった。
いったい家族と隣人はどのように認知症の人に向き合ったらいいのか。
懸命に介護すればするほど空回りする、泣き笑い「認知症介護」小説。
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認知症の親を自宅で介護する大変さの予備知識になる物語である。認知症を患う父親を家で看たいという長男、その家族、遠方に住む弟一家、マンションの住人たち、それぞれの立場や思いは、その立場になって考えれば、それなりにどれも納得できるものであり、だからこそ、いま自分がどの立場に立っているのかで見方が変わってくることもあるだろうと思われる。並々ならない苦労があることはよくわかるのだが、同居する家族の感じ方や、日々の不自由さがいまひとつ伝わってこなかったのが、いささかきれいごとめいて感じられる一因かもしれないとも思う。現実はとても書き尽くせないものであろうことは想像に難くないので、ある程度仕方のないことかもしれないが、認知症介護の表層をさらっと一通り描いた感が拭えないのも確かである。「自分の都合で考えず、患者本位で接すること」という心構えがわかっただけでも収穫かもしれないと思える一冊である。 -
著者は医師で、現場のことも良くわかっているから、書かれていることはたしかに真実だと思った。ただ、なんとなく綺麗事に思えた。実際に介護してたら、もっとドロドロした悪感情が湧き出てくる。特にお嫁さんは、良い人すぎると思った。介護放棄や介護殺人がある現実を描いてないと思う。
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老人ホームにいる父が不憫だと、自宅で介護しようとする息子。しかし本人の楽観的な見通しに反して、認知症の老人の介護は簡単なものではなく・・・
おー。リアリティがありすぎるホラーのような小説だった。
しかもこのような家庭が日本中にあるのだろうと思うと、何とも言えない気持ちになる。介護の現実を知りたい人必読。 -
久坂部羊 著「老父よ、帰れ」、2019.8発行。施設に入っていた認知症の父、矢部茂一75歳を、自宅で介護するよう決め、頑張る息子、矢部好太郎45歳とその家族の物語です。デビュー作「廃用身」で、介護のため両手両足を切断するという医療を提示した著者、今回、介護で最も過酷な排便の介護に、人工肛門と導尿カテーテルに向かうと思いきや、最後まで、(不十分とは思いますが)感謝と敬意の介護が続きました。読後、認知症患者に限らず、介護がいかに大変であるかがよくわかりました。
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著者の『老乱』を以前に読んだ。それは認知症当事者の目線から書かれていたけれど、これは家族からの視点。
認知症専門医の講演を聴いて感動し、認知症で施設に入所している父親を引き取ることにした主人公矢部好太郎。好太郎の前向きさに、危なっかしく感じることもあるけれど、父親を想う気持ちが羨ましく感じた。父親を介護しながら、元気だった頃の父親のことを思い巡らし、こんなことをしてくれたなぁ、と感謝する。
認知症が重くなると、介護する家族は大変だと思う。みんながみんなそうではないが、親が自分にかけてくれた愛情が子どもの内に確かに在るのならば、葛藤を抱えたとしても、やっていけるのかなと思う。
認知症に対して、否定的な思いしかなく、差別的な発言をする人も登場する。腹を立てながらも、好太郎がめげずに頑張れるのは、話を聴いてくれる家族だったり、援助者がいるからなのだろう。
最後は、父のことを思い出し、読みながら泣いてしまった。
父のことは、やはり悔いが残っている。ちゃんとした知識があれば、違う行動を取れたと思う。そう思うと、好太郎が認知症についてだけではなく、体についても相談できる医師がいたのは本当に幸いなことだと思う。
つながり、ネットワーク、感謝の思い・・・認知症に限らず、高齢の親を見守るには必要。一人で抱え込まないように。 -
最後に一筋の明るさが欲しかったんですが?
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