ひこばえ (下)

  • 朝日新聞出版 (2020年3月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (348ページ) / ISBN・EAN: 9784022516725

感想・レビュー・書評

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  • 「人生は、出会ってきた全ての人の連なりでできている」この文章になるほどなと思った。例えば学校の友達。友達がひとりできるとその友達とも友達になれてとどんどん、友達の輪が広がっていく。人との関係ってやっぱり大切だと気づきました。私は一匹狼タイプであまり自分から人に声をかけるのは苦手なのですが人と関係を積むことて人生を豊かに出来るということを知りました。
    この本は半世紀以上前に別れた父が死んだ後の世界を描いています。その他よしお基金のストーリーなど考えさせられたり学ばされた本でした。


  • 老人ホームの施設長を務める洋一郎は、父が亡くなってから、記憶にない父を巡る旅をする。

    お金にだらし無く、借金で身を持ち崩した父親。
    それでも、最後に会っていた人たちが、良い人で、洋一郎も、ようやく父親を認められて、自分が息子である事も、認める事ができた。

    登場人物が、個性的で、善人ばかり。
    ちょっと、話がうまくいきすぎる感はあるが、良い話だった。
    随所に、泣かされどころもあった。

    今年も、お盆が近くなって来た。
    両親のお墓に、何て言葉をかけようか。
    やっぱり「産んでくれてありがとう」
    しかない。

  • 重松 清氏らしい父と息子のお話。
    何があっても父は父。
    今ここに自分があることに感謝しなければ。
    とても良い作品でした。
    大切に持っておきたい本です。


    メモ

    萌芽更新 ひらたく言えば、質のいい丸太を切り出したり、森を守ったりするために、意識的にひこばえをだすんだ。

    松尾あつゆき 「原爆句抄」

    親に抱っこされて眠ってた赤ちゃんが、親の遺骨を抱っこしてうたた寝するようになるのが、人生ってことなのかもね。

    親子だろうと夫婦だろうと、なにかと面倒だ。そりゃあもう、どうしようもない。オレは面倒臭いのが嫌だから結婚しなかったんだが、でも、、、面倒と迷惑は違うぞ。

    悲しさには、はっきりした理由やきっかけがあります。病気で言えば、急性のものです。でも、寂しさは慢性なんです。ふと気づくと、胸にぽっかり穴が空いていて、いつの間にかそれが当たり前になって、じわじわ、じわじわ悪化していって、、、

    自分史とは、お魚が美味しい干物になる前の、元気に大海原を泳いでいた頃のお話です。

    私の父は出会ったことを喜んでもらえる存在だった。それがなによりうれしい。

    出会った人に語られる人生が、その人のほんとうの人生かもしれませんね。

  • いやぁ〜残った…ひこばえ残ったわ‼︎

    80代の親、50代の主人公、結婚して自分の家庭を持った子供、未だ家にいる子供…
    なんてタイミングでこの作品を選んだの?

    年老いた親が最期をどこで迎えるか、その判断が目前に迫りつつある自分とその姉妹たち(わたし三姉妹です)
    なかなか深い言葉が刺さりました。

    「老い方にもコツがあり、努力が必要で、上手い下手の差が出てしまう」

    「親子だろうと夫婦だろうと、なにと面倒だ。でも面倒と迷惑は違う」

    「悲しさには、はっきりした理由がある。病気で言えば急性のもの。でも寂しさは慢性なんです。」


    ドンピシャ世代の方「とんび」「流星ワゴン」に感動した方、ぜひ読んで頂きたい!

    親と上手くいってない方、大嫌いな方、大好きな方
    離れて暮らしている方…

    「親との思い出なんて身勝手でいい」
    もうズシンと来ました(*´-`)
    星一徹バリに傲慢なウチの父親もショボクレて可愛い爺さんになってしまった…なんだかちょっと寂しいきもする笑

    子どもを扱った重松作品は読まない(イジメが辛いから)って決めてたけど、いいじゃないか重松清!
    こんな作品はこの人しか書けない‼︎

    • ひまわりめろんさん
      昨日かな?
      図書館に行った時になんか目についたんだよね
      『ひこばえ』上下巻、背表紙の鮮やかな色が目に飛び込んできたんよ
      こういう出会いを信じ...
      昨日かな?
      図書館に行った時になんか目についたんだよね
      『ひこばえ』上下巻、背表紙の鮮やかな色が目に飛び込んできたんよ
      こういう出会いを信じて手に取る方ではあるんだけど、予約本でいっぱいいっぱいで今じゃないな〜ゴメンなんて思いつつスルーしたら、みんみんがレビューあげてたんで「うわ、気持ち悪っ(おい!)」ってなりましたw
      うーん今なんか?今読むべきなんか?!
      考えるな感じろ派なので読んでみるー
      2022/11/23
    • みんみんさん
      二冊並んでるとブッとくて超大作っぽいの笑
      読んで!そして嫁と第一回家族会議だ!
      とりあえず娘達は姉妹仲良く育てておけ笑
      二冊並んでるとブッとくて超大作っぽいの笑
      読んで!そして嫁と第一回家族会議だ!
      とりあえず娘達は姉妹仲良く育てておけ笑
      2022/11/23
  • 『ひこばえ』とは木の切り株から若い芽が生えてくること

    1本の古い木が切り倒されることで、萌芽更新が進み新しい芽が生まれるだけでなく、地面にも太陽の光が届くことから、草が生え、花も咲く。虫も増え、小動物もやってき、森の世代が先に進む

    切り倒された大木は、新芽や森の変容を見ることはないが、自分がいなくなっても新しい生命が育ち続いているということ

    どっぷりと高齢化社会の中、自分もその一人として、どう老いていくのがいいのか道標となる言葉がたくさんあった

    登場人物の一人一人が優しく関わり合い、父に対して頑なだった洋一郎の心がほぐれ、父への想いが少しずつ変化し、その中で他の老人への対し方も変化していった

    感動的なエンディングで胸が詰まり涙が出てきた

    *「知りたい」と思うことは相手に関心を寄せるということ
    街を一人で歩いている老人を見かけると、ふと思うようになった。このじいさんは誰かに関心を寄せてもらっているだろうか
    このばあさんのことを知りたいと思っている人は近くにいるんだろうかと

    *「子育て」よりも大変なのは「親死なせ」や「自分老い」

    *やり甲斐とか生き甲斐というのは、「ありがとう」
    と言われることかもしれない
    高齢者施設は「何もしなくてもいいですよ」というのを最大の謳い文句にしているが、「何もしなくてもいい」とは「誰からも感謝されない」と同じ意味ではないか

    *「老い方」にもコツがあり、努力が必要で、上手い下手の差が出てしまう
    きれいに歳をとっていく人とそれがうまくいってない人がいる

    *歳を取るのを「枯れる」というが、水分とか脂ぎったところがきれいに抜けて、枯淡の境地になるのが上手い老い方

    *「迷惑をかける」と「面倒をかける」は違う
    私たちみんな、手間暇かけて、面倒臭い思いをして、子どもを育ててきたんだから。子育てだけじゃなくて、世の中を前の世代から引き継いで、手間暇かけて、面倒臭い想いをして、それでも、自分なりに精一杯良くしたつもりで、次の世代に引き継いだんだから。胸を張って手間暇をかけさせましょうよ。面倒臭いことをやってもらいましょうよ  
    ありがとうは言っても、あやまる必要なんてない

    親として、子供に迷惑かけたくないとは、親なら誰しも思い、願うことだが、ストンと腑に落ちた気がした

    昨年、脳出血で倒れた父を車椅子に乗せ、押している時
    父が、「迷惑かけて、すまんな」と何度も言っていた
    「今まで一生懸命家族のために頑張って来てくれたんやから、すまんななんて思わんでええんやで」と、私は返したが、その時のことが脳裏に浮かび、涙が出てきた

    欲と意地を捨て、若者の知恵や力を借り、上手に老いていきたいと思う

  • 今年、息子が産まれた。夫は息子とどんな『親子』になっていくのだろう? ワタシは父親にとってどんな『子供』なのだろう? ワタシの側にも確かに『ひこばえ』は有るんだ。止めどなく涙が次々溢れてくる。でも、夫には気づかれたくなくて、そっと涙をぬぐって読み終えた。『どうして泣いてるの?』って聞かれたら、言葉にしてしまうと、心に残った大切な思いが、形を変えてしまいそうだったから。この『思い』を大切にしたい。そんな読了ができた。シン(ノブ)さんと、『息子』(洋一郎)さんが、『父親と息子』になれて良かった。

  • 下巻では、父親の遺骨問題と老人ホームに入居した後藤問題の2つが要となって、物語は進行していきます。
    随所に心に響く台詞があり、毎回毎回ウルッとさせてくれました。
    映像化していたら、脇を固める人達が素晴らしかったです。普段は空気読めない人達ばかりなのに、なんでそんなに良いことを言うの?と思うくらい、ガツンと心に響きました。

    ちなみに「ひこばえ」とは、樹木の切り株や根元から生える若芽のことです。ここでは、孫が生まれたことや再生など様々な解釈での「ひこばえ」が登場します。

    父親の知人に出会うたびに印象が違う父親像。良いも悪いも自分がそう思うんだったら、そう思えば良い。「思い出は身勝手なもの。楽しい思い出だけ作ればいい。」ある登場人物が言った言葉です。スーッと心に響きました。
    他にも、色んな人の台詞が印象深かったです。
    後藤も今までの印象が変わったので、驚きました。親子のシーンは、涙を誘います。

    誰もが老いに対する不安はあるかと思います。
    独りであるにしろ、家族であるにしろ、今までの人生が良いにしろ悪いにしろ、自分自身だけでなく、みんな幸せであれば良い。後ろからポンと背中を押されたようで、ちょっと不安が取り除けたように感じました。

    一人でも近くに誰かがいることって良いですね。そう思わせてくれました。
    今一度、親子と向き合ってみようかなと思わせてくれる感動作でした。

  • これが新聞連載とは、私は日々とても待ちきれない。一気に読むから感動するのでは?主人公の突っ込みが、しつこい気もするけど、言ってることは間違いではない。自分史書くぞ‼️

  • 【あらすじ】
    老人ホームの施設長を務める洋一郎は、入居者たちの生き様を前に、この時代にうまく老いていくことの難しさを実感する。そして我が父親は、どんな父親になりたかったのだろう?父親の知人たちから拾い集めた記憶と、自身の内から甦る記憶に満たされた洋一郎は、父を巡る旅の終わりに、一つの決断をする―。

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    最近初孫ができたばかりの、どこにでもいる55歳のおじさんが主人公。その主人公が、まだ子どもの頃に離婚により離れ離れになった父の死を知るところから物語は始まります。生前の父と関わった人々との交流を通じて、父親と息子、そして孫へと受け継がれていくものの存在を感じるとともに、きれいな老い方とは何かを考えさせられる…そんな内容です。
    私、実は重松清さんの描く物語が昔からすごく苦手です。綺麗事だけでは済まされない人生や人間模様がリアルに描かれていて、さまざまな不幸や問題がいずれ自分にも降りかかるのではないかと怖くなるからです。今回読んだこの話も、自分も一歩間違えればこの父のように、別れた妻や子のことを考えながら孤独に生きるような男になってしまうかもしれない怖さを感じました。温かい内容ですが、やっぱり父親も息子である主人公も寂しかったのだと思います。本当はもっと別の生き方があったのでは。後悔だって生半可なものではないはず。でも、そういうものも飲み込んで生きていかなければいけないこともあるんですよね。
    自分自身、子どもや孫へ「ひこばえ」をつなぎつつ、きれいに枯れていくことはできるのか、心配は尽きません。それでも生きていかねばならない。心のどこかで何か覚悟のようなものがギュッと絞められた気分になりました。

  • 内容紹介
    父の数少ない知り合いたちから拾い集めた記憶、やがて自身の内からよみがえる記憶──
    果たして父は、どんな父親になりたかったのだろうか、洋一郎の思いはあふれる。
    『流星ワゴン』『とんび』に続く、父から息子へと受け継がれる感動の物語。

  • いやー、ホントにうまい!ほーと頷いてしまう宝石のような表現があちこちに。どういう毎日を過ごして、人を観察すれば、こんな琴線に触れる表現がさりげなく紡げるんだろう?それにしても、重たいテーマなのに、「ひこばえ」が明るい希望に変えてくれる。「一本の古い木が切り倒されることで、新しい命が生まれて、森の世代が進む」「幼い子どもを育てるのは、明るい未来を信じるということだ。未来の光を夢見るからこそ、できる我慢もある。だが、老いつつある子どもが、最後の日々を生きる親を看るとき、未来のどこにー光がある?」「人生は出会ってきた人の連なりでできているー」

  • 父がガンのステージIIIになった。コロナ禍の中、面会もままならない。おそらく、父と話せる時間は、延べ時間でもう1日分も残っていないのでは。
    そんなさなかでこの本を読んだ。物心がつくかつかないかで離婚した父の死から始まる物語。幸い我が家の父は実の父ではあるが、多くのことが胸をよぎる。
    ろくでもない父を強引に美化することもなく、人が老いることのポジティブな解釈を提示する話だった。特に、凍り付いていた姉の心が少し溶けるシーンがぐっと来た。
    ただ、若い人の描写があまりに軽いのが若干鼻白んだ。年取ったからかな。

  • 重松清作品の主題は「父や息子、夫の役割に座る違和感」なのではないだろうか。

    上下巻を読了。父と子、祖父と孫。義父や父の旧友旧友など多くのテーマを盛り込んだ作品。突然に父が失踪した家庭であったり、一人息子が学校で突然死する喪失、そして新しい義父、義母や娘婿。血縁のほか日本の家庭制度の中、筆者は違和感を感じているのではないだろうか。自ら子を産んだ実感のある母とは異なる父、夫の持つ違和感。そんなものが滲み出た作品だったように思う。

    「流星ワゴン」より現実味が増し、「とんび」より登場人物の格段に多い、筆者の成熟を感ずる作品。

    誰にも共通に訪れる老い。重松清も老いと終活を描く年齢。同じように自分も歳をとっているのだが、どこか寂しい。でもこれが新境地であってほしい。

    今後の作品にも期待大です。

  • 人との繋がりを考えさせられた。

  • あまりにも丸くおさまりすぎて、アマノジャクの私にはちょっと物足りない。歳を重ねたとき、こんなやすらかな気持ちに落ち着くのだろうか?

    この時代、散骨や合同墓は大いに賛成!といいながら、現実は難しいのである。

  • 重松清さんは、好きな作家さんの1人で、じんわりと人の哀しさや温かさを感じさせてもらえるところが良い。普段見過ごしていたり、見ないふりをしている、日常にあることを、改めて深く静かに考えさせてくれる。

    重松さんの父と息子のお話はとても好き。この小説も、ノブさん(信也)と洋一郎、そして洋一郎と航太、それぞれの父子の物語。
    ひこばえ、と言う言葉を初めて知った。とても素敵な言葉だと思った。『「ひこばえ」とは、木の切り株から若い芽が生えてくること。たとえ幹が倒れても、孫のような芽が生えるように、命は、親から子供を経て、孫の代へと続く。』

  • いつか再読した時に感想を書く。

  • ひこばえ…はじめて知った言葉ですが、この言葉、これから頭に残りそうです。今後、ひこばえを意識してしまいそうです。

  • 世代を超えて友人をつくり
    終末期を迎える…
    そんな小雪さんのように自分もなりたい。

  • じわ…と、こころがあたたかくなリます。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

重松清の作品

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