鴻上尚史のもっとほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022516848

作品紹介・あらすじ

「回答が具体的だから、ストンと胸に落ちます」「語りかけるような言葉が、じんわり心に沁みこむ」「悩んだら、何度でも鴻上さんの言葉に戻る」… 話題沸騰、作家・鴻上尚史氏の人生相談、第2弾!! 観念的ではなく、理想論でもなく、精神論だけでもなく、具体的で実行可能なアドバイスを25本+書下ろし原稿2本=計27本収録!■目次【相談1】母の彼氏が嫌いです。私に彼を受け入れてほしいと願っている母に、どう関わっていけばいいでしょうか(22歳・女性 一合)【相談2】隠居後、孤独で寂しくてたまらず、風呂に入っていると涙が出てきます(66歳・男性 有閑人) 【相談3】すぐにリツイートやいいねの数を比べてしまい、そのたびにひどい嫉妬心にかられてしまいます(29歳・女性 ななみ)【相談4】不機嫌がコントロールできず、態度に出てしまい、「何で場の雰囲気を壊すんや」と旦那に言われます(31歳・女性 あーこ)【相談5】これまで容姿に対する男性の態度・言動に、ひどく傷つけられてきました(25歳・女性 はちな)【相談6】「明日からやろう」と思いながら勉強に身が入りません。「いまやるスイッチ」はどうしたら入りますか? (17歳・男性 麦わら)【相談7】高校2年のとき、勝手にアニメグッズを捨てた親への怒りが53歳になってもおさまりません(53歳・男性 薫ラバー)【相談8】異性とも同性とも一度も恋愛をしたことがありません。こんな私はおかしいのでしょうか?(25歳・女性 よし子)【相談9】みんなの憧れ、クール美女の先輩の鼻から……僕の頭はパニックです(24歳・男性 ろくろう)【相談10】将来の目標もやりたいことも特にない私。人生で何か大切なものを1つ選択できるのかが不安です(20歳・女性 砂糖菓子)【相談11】部長として最低な行動をとってしまいます。どうしたら自分は変われるでしょうか(17歳・女性 一輪車)【相談12】6年間つきあい、別れたのですが、DV体質だった彼への怨む気持ちが止まりません(29歳・女性 そら)【相談13】決断したがらず、選ばなかった選択肢に未練を抱き、し         私の判断を非難することもある妻に困っています(30歳・男性 白山羊)【相談14】容姿が悪く、告白はすべて断られました。でも人生で一度でいいから、男性と愛し愛されてみたい(47歳・女性 サバ缶)【相談15】役者の道を諦めて他の道に進むべきか。鴻上さん、あなたなら私にどんな言葉をかけてくださるのか知りたいです(30歳・女性 あい)【相談16】20歳年下の彼に結婚の意思がないとわかり、失恋と無職……耐えられるかどうか不安です(51歳・女性 ひまわり)【相談17】小学4年?中学2年まで受けた壮絶ないじめが忘れられず、苦しいです(42歳・女性 やなな)【相談18】とても優しくて、ずっと一緒にいたいと思う彼氏がいるのですが、動画を撮りたいという彼の性癖に悩んでいます(26歳・女性 こだま)【相談19】一時の恋愛で息子の人生をだめにしないように、という親心が「毒親」呼ばわりされなくちゃいけないのですか? (62歳・女性 み

感想・レビュー・書評

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  • この人生相談の回答から、自分だけの回答を作り上げること。
    その方法でしか、自分の人生は生きられない。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    鴻上尚史さんによる人生相談本・第2弾。

    今回も、なかなかしんどい相談がズラッと並んでいます。
    鴻上さんの人生相談は、まず相談者さんのしんどさをねぎらい受けとめる所から始まります。
    そしてその上で、静かにお悩みを解きほぐし、ほがらかにビシッと歩き出すヒントをくれます。
    だからこそ、読んでいてとても気持ちがよいのですが、今回は相談内容よりもあとがきのほうが、心に残りました。

    「ひとつの相談に答えたら、そのパターンで似たような問題の解決法が想像つくんじゃないかと思っているからです。」(228ページ、あとがきより)

    実はこの人生相談の本は、回答をただ眺めるだけでなく、似たような問題にあたったときに応用して使うための本です。
    ところが実際は、恋愛相談に答えると似た状況の恋愛相談が翌月どっさり、送られてくるのだそうです。
    そんなときの鴻上さんの心境は「僕としては、『う~ん。この内容は、先月と同じなんだけどなあ。アドバイスは類推して欲しいなあ』と考え込みます。」(228ページ)なのだそうです。

    わたしはこのあとがきを読んで、写真家・幡野広志さんの新刊タイトル「他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおこごと」を思い出しました。
    きっと似たような人生相談を送ってくる方は、「自分の方向“だけ”を向いて、答えてほしい」「似ていてもわたしの悩みはあの人の悩みとはまったく違うのよ!」と思って、悩みを送ってくるのではないでしょうか。
    ただ自分に合わせた回答を教えてほしいだけで、「自分で考えることを放棄」しているんだな、と感じました。 

    これは実におそろしいことですよね。
    なぜならこれは意識的・無意識的に関わらず、「問題が起きたら、誰かに解決策を考えてもらって教えてもらえばいいや」と思っているということなのです。
    つまりは、誰かに考えてもらうことを委ね、自分は考えないで生きよう、という道を選んでいることに他ならないのです。

    それは一見ラクな道に見えますが、逆に言えば、誰かがそばにいて考えてくれないと生きられない、つまり一生自立できない生き方です。
    誰かがそばにいるうちは、それでいいのかもしれませんが、人生必ずしもそんな状況が続くとは限りません。

    もし無人島にひとり、取り残されたとしたら?
    もし地球上に自分ひとりになってしまったら?(なるべくそうはなりたくないけれど)

    これは極端ですが、でも現代において「ひとり」になってしまう環境は、たくさんあります。
    なにか問題がおきたときに「ねえ、解決策考えてよ!」といつもいつも頼ってくる人と、あなたは一緒にいたいですか?
    要はそういうことです。

    「自分の頭でちゃんと考えて欲しい。それだけを思っています。」(234ページ)

    鴻上さんのこの言葉を胸に刻み、人生相談の回答を参考にしながら、自分の問題に引き寄せて考えて、生きる道を選んでいきませんか。

  • 作家・演出家の鴻上先生が寄せられた人生相談に答える一冊。壮絶ないじめが忘れられないという悩みから、クール美女の先輩の鼻毛が見えていて気になるという悩みまで内容は様々。相談内容を読んで、自分だったらどう答えるかを考えてから答え合わせをして読み進めるのが楽しかった。考えの違い、知識の深さなどぼくも各回答から勉強させてもらった。

    鴻上先生がどの質問にもその人の感情にまず寄り添って語り始めるところが素敵。正論で人を斬ることが多い世の中で、相手の考えを想像して尊重しつつ、自分の考えもしっかり伝えている姿勢は見習いたい。
    ぼくが特に印象深かった部分を引用しておきます。


    「だらしない人」「努力しない人」というのは、有閑人さんからの見方でしかない、自分の価値観でしかない、それを他人に押しつけてはいけないと、肝に銘じましょう。

    親だろうが夫婦だろうが子供だろうが、基本的に「分かりあえない」という前提でつきあうのが大切だということです。
    だからこそ、ちゃんと言葉を選ばないといけないし、言葉を尽くさないといけないし、会話することを諦めてはいけないと思っているのです。

    僕達は、みんな苦しい人生を生きています。どんな人もです。なんとか生きるエネルギーを絞り出しているのです。そんな時、「否定だけを語る人」「グチだけを言う人」「マイナス思考の人」は、前向きのエネルギーを吸い取ります。誰が、そんな人の周りにいたいと思うでしょうか。
    そういう人は、生きるつらさは教えてくれても、生きる楽しみはくれません。

    その上で、僕が考える「とりあえずの一番の決め方」は「『好き』ではなくて、『後悔する』という気持ち」に注目して選ぶということです。

    どんな決断をしても、100%の正解はないのですから、否定することは簡単なのです。

    「なぜ?」という疑問を追求することが「思考すること」の原点です。

    「忘れよう」とか「許せない」というのは、考えてないですよ。それは「悩んでいる」んです。僕が何度も書くように「考えること」と「悩むこと」を区別するのです。

  • これはいいもの読んだ。いきづらい世の中をいきていくうえで、こういう視点与えてくれるのありがたい。鴻上さんは、相手が一般には非難されるようなことしていても、必ずまず受け止めて、こうなんだね、の後でこういう考え方はどうかな?と提案してくれる。日頃いい態度で常に他人に向かっているとはいえない自分も反省……。 かといって、「いいひと」だけな回答でもないところも、とても好き。おすすめです。

  • 鴻上さんの人生相談二冊目です。
    一冊目と変わるところはなく、違う種類・内容の相談に鴻上さんが答える形式です。
    前回のものと基本的に同じ感想で、様々な相談に対して親身にアドバイスしていて、しかも応用できるようなところが少しずつあり、読んでいても楽しい(というと語弊がありますが)ところも良い感じです。

    が。

    一問だけ、少し気になってしまった部分があったので、それについて書こうと思います。

    【相談5】
    「これまで容姿に対する男性の態度・言動に、ひどく傷つけられてきました」というもの

    回答の内容をざっくりまとめると:
    ・ネガティブな人には誰も近づいてこないから、無理せず頑張って笑うこと。無理をしているのは辛いけれど、頑張って微笑むのには前向きな気持ちがある
    ・谷川俊太郎の詩を引用:『無表情に梅割りをすすっている彼女の Tシャツの下の二つのふくらみは コトバをもっていないからココロを裏切って 堂々といのちを主張している』という結び

    それに対して、私が思ったこと:
    まだ若いのだから、と言っているけれど、相談内容全文を見ても、少し疲れすぎて精神的に参っている感じの女性の悩みに対して「頑張って笑え」はちょっと違うかなと感じました。笑うのをやめてしまうのはもったいない、という風に言いたかったのかなと想像しますが、恐らく頑張って微笑んできたであろう彼女に掛ける言葉としてどうなのかな、というのが一点。

    そして谷川俊太郎の詩について、詩歌とは言え、表現としては複雑な想いがしました。
    女性として見られる性であることを自覚し、そこに傷ついている相談者に対して、彼女を傷つけてきた男性からの視点の代表のような内容ではありませんか?
    そう思うのは私だけでしょうか。

    前半、「世の中にはそういう男性もいて、その場合は小学生から精神面で成長していないのと同じ。そうやって自分は女性をジャッジ”する”側で、ジャッジ”される”側ではないと思っている人は、いずれ容姿の若々しさがなくなったころに他人にジャッジされて同じ苦しみを味わう」という主旨のことを言っていてなるほど、と思ったのに、後半でガッカリしました。
    やはり男性と女性の壁は厚いのかなと感じてしまいました。
    詩歌なんだから『二つのふくらみ』くらいいいじゃないか、と思う人もいるかもしれません。
    (私は、そう思ったというだけですので……念のため)

  • 図書館にて。
    質問内容がますます朗らかじゃない笑
    どんな質問にも真摯に、言葉を選んで答えてくれる姿勢が好きです。
    鴻上さんの考えに一貫している同調圧力に対する反発、アンチの意見にはものすごく同意。
    日本の生きづらさを少しでも変えようという意欲が伝わってくる。
    この人の作品を、考えをもっと知りたくなった。

  • 著者があとがきで自分のアドバイスを聞くも聞かないも自分の頭で考えろ、そうしないと本当の意味で頭に残らないっていうのは確かにそうだと思った

    鴻上さんの実体験にまつわる恋愛と校則の話はとてもおもしろかったし理不尽と戦う青少年に勇気が与えてくれる内容でした

    女優を諦めた方がいいか?という質問のところで夢を見続けられるかどうかという話は好きとか世間体とかそういうのではなく自分の軸として大切なことなのかもしれない

  • 自分の頭で考える。

  • 今回は若い人の相談が多い様な気がした。

    相変わらず鴻上さんの回答は優しく的確。
    そりゃみんな相談したくなるわ。

  • よくある質問に対して、真摯にしっかりと意図を読み取り丁寧に回答していくスタイルがとてもよい。

  • いろんな悩みにこう回答くるかー。と尊敬しながら納得しながら読んでいます。

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著者プロフィール

1958年愛媛県生まれ。早稲田大学法学部卒業。作家・演出家・映画監督。大学在学中の1981年、劇団「第三舞台」を旗揚げする。87年『朝日のような夕日をつれて87』で紀伊國屋演劇賞団体賞、’94年『スナフキンの手紙』で岸田國士戯曲賞を受賞。2007年に旗揚げした「虚構の劇団」の旗揚げ三部作戯曲集『グローブ・ジャングル』では、第61回読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞した。著書に『あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント』『八月の犬は二度吠える』『青空に飛ぶ』(以上、講談社文庫)、『不死身の特攻兵』『学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか』(共著)(ともに講談社現代新書)などがある。

「2022年 『ベター・ハーフ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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