剱岳 線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.56
  • (6)
  • (11)
  • (11)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 137
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022516978

作品紹介・あらすじ

岩場が険しく前人未踏と思われていた剱岳。しかし明治40年、測量隊は山頂で、平安時代の錫杖頭と鉄剣が残されているのを見つける。いつ、誰が置いたのか。登山道具のない時代にどうやって登ったのか。剱岳をめぐるこの最大の謎に、世界で初めてロビンソン・クルーソーのモデルとなった人物の住居跡を発見し話題になった、探検家の髙橋大輔が迫る! 考えられるあらゆる可能性を検証するため現地に何度も足を運び、当時使われたであろうルートから登頂して導き出した、その答えとは……?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  剱岳「点の記」ならぬ「線の記」である。明治40年に陸軍の測量隊が「初登頂」に成功したかに見えたが、山頂で錫杖頭と鉄剣が発見された。鑑定すると平安時代のものらしい。

     いったい誰がそこにおいたのか。この初登頂ミステリーに探検家高橋大輔が挑む。もちろん、フィギアスケート選手ではなく「探検家」である。彼はいう、「探検はそこに眠る秘話を解き明かすものでなければならない」と。また5W1H(いつ、誰が、どうのように、どの、どこに、なぜ)、これらはそれ全体として一つの物語でなければならないと。
     
     そして、数多くの文献と幾度もの現地調査により、信仰対象としての剱岳の姿が見えてくる。果たして謎は解き明かされるのか。そして筆者がたどり着いた仮説とは。

  • 山ガールの後輩が、「面白かったです」と勧めてくれた本。
    でもって、私達の仲人さんも登場するらしいので、年賀状を書く前に読む。

    明治の終わりころ、日本地図の空白地帯をなくすために、陸軍の測量部は登頂不可能と言われていた劔岳に向かう。
    しかし、苦労の末頂上に着いたら、そこに平安時代の仏具(錫杖頭と鉄剣)が置かれていた。
    一体いつ、誰が、この場所にきてこれを置いたのか。

    登山素人の私からすると、どこから登ってどのルートを選んだかなんてどうでもいいような気がした。
    だって山でしょ?
    360度どこから登ってもいいんじゃないの?

    山とはそうものではない。
    準備もしないで登れば命がない。

    なのになぜ、明治になってもなお登頂不可能と言われるような山に登った人がいるのか。
    答えは残された仏具にあると考えられる。

    史料を読み、地元の人に話を聞き、地図を見て、仮説を立てて、実際に山に登る。
    現在の整備された山道や、登山道具をなしに登れる場所を探す。

    日本は古来から山を神聖なものとして信仰の対象としていた。
    世界的には高山って、神聖だから入山禁止、または恐ろしい場所として入山禁止としているところが多くて、日本のように神聖視しながら登っていくのは極めて珍しいのだそうだ。
    そんな日本人の宗教観も交えて錫杖頭の謎を追う。
    いくつも仮説を立てて考察してを繰り返す、その過程の面白さ。

    ”わかりきったような答えを安易に出せば人間の思考はそこで停止する。疑問、謎、好奇心はいつも寸止めだからこそ、追跡エクスタシーが生まれる。”
    全くそう思う。

  • ロビンソンクルーソー、間宮林蔵、鳥島等、
    独特の視点で探検を続ける作者。
    過酷な環境下での冒険、探検をする訳では無いが(失礼しました。そのような環境も勿論あると思いますが。)、何かを発見・発掘する視点が独特です。
    今回も新田次郎氏で綴られた、剱岳の誰が何のためにどこから、いつ、など5W1Hに沿って調べて行きます。
    地道に地道に調べていく姿は私は好きです。
    もっと評価されるべき。

  • 新田次郎が書いた有名な!?「剣岳・点の記」にも出てきますが、明治時代に剣岳の測量に入った人よりも先に
    剣岳山頂に登った人がいる・・ということを聞いた冒険家が、誰が、いつ、なんのために、どこから、のぼったのかを調査、検証、するまでのドキュメンタリーです。

    山を登ることは、自分との闘い、とか、達成感を味わいたいとか、人さまざまなのでしょうが、立山は、富士山、白山と並ぶ霊峰で、昔から山に神々が宿り、生命の誕生と終わり、そしてあの世があるとし、特に剣岳は、江戸時代から地獄の山として入山禁止になっていました。見るからに険しく、危険な鎖場がある山です。だからこそ、山登りには、魅力的な山なのでしょうね。

    でも、今回は、一人の人間の満足を得るための山登りではなく、宗教と国益が織りなす歴史を紐解く山岳ドキュメントになっています。(興奮)

    沢山の文献と人からの聞き伝えや情報を調べぬいて、事実を明らかにしていく様子は、鬼気迫るというか、執念と言うか。すこしずつ見えてくると、読んでいても先が気になる、気になる。。

    剣岳ふもとの上市町に残る真言密教の遺跡や大日大岩山の不動明王像や阿弥陀如来像のいわれや山にある陰陽石(神宿る石)など、知らなかった歴史遺産がどんどん出てきて、山は山登りだけのものじゃなかったんだと心震えました。

    剣岳や立山に関心ある方は、是非、一読あれ。

  • 291-T
    閲覧

  • 剱岳の登山に関して、平安時代と明治時代のそれぞれの登山者に共通点を見出した著書の喜びがあふれた著書だ.多くの資料や関係者の証言から平安時代に最初の踏破がなされ、錫杖頭と鉄剣が残され、それらが明治時代に発見された.時代を超えたロマンが感じられる.

  • 剱岳のファーストクライマーの謎に迫るノンフィクション。
    とてもいい本だと思うが、残念ながら自分にはイマイチはまらず、途中から流してしまった。

    時間あけて再読したら違うかも。

  • 冒険家の高橋大輔が剣岳のファーストクライマーの真相に迫る。TV番組もあったんだね。映画は見たけど、点の記も読んでみないと。

  • 新田次郎の『点の記』に出てくる、剱岳の山頂で発見された平安時代のものと思しき錫杖頭と鉄剣。誰がいつどのルートで登頂し、これらを奉納したのかを追いかけるノンフィクション。
    だが、この話は有名なだけあって既往の研究が多く、著者が付け加えた確定的な知見は何もない。著者の論考は雑で飛躍が多くて推測の域を出ないし、山岳信仰に関する知識も不十分だ。山伏を仏教徒としているが、明治に禁止令が出る以前の修験道をこそ検討しなければならないのではないか。そもそも、これらの錫杖頭と鉄剣を置いた人が初登頂者という保証はどこにもなく、問題の設定がおかしい。同じ著者の『漂流の島』はよかったんだけどな。

    とはいえ、昔に思いをはせながら、早月尾根からゆっくりと剱岳に登ってみたい気持ちにはなったので、それで十分な本だと思う。

  • 劔岳の最初の登頂者は、平安時代らしいことがわかっている。その後は明治になってようやく盗聴されてその時奉納されたものが見つかった、それを周辺の地名や聴き込み、分ションの点検で解き明かしていく著者のパターン。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

髙橋大輔(たかはし・だいすけ)
探検家。1966年、秋田市出身。高校時代から世界6大陸を放浪。「物語を旅する」をテーマに世界各地の神話や伝説を検証し、文献と現場への旅を重ねている。2005年、ナショナル ジオグラフィック協会(米国)から支援を受けた国際探検隊を率い、実在したロビンソン・クルーソーの住居跡を発見。浦島太郎、サンタクロース、間宮林蔵、鳥島漂流民、剱岳の謎など多くのテーマを探検。「クレイジージャーニー」(TBS系)ほか、テレビなど出演多数。

「2021年 『最高におもしろい人生の引き寄せ方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

髙橋大輔の作品

剱岳 線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑むを本棚に登録しているひと

ツイートする
×