- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022516992
作品紹介・あらすじ
小沢一郎研究 決定版政治情勢、風雲急を告げる! この秋、安倍首相は「生き残り解散」に踏み切るのか?コロナ恐怖が再び首都と列島を駆け抜ける今、オリンピックは遠のきつつある。国民は、どの政党を信じ、誰に安全と生活を託せばいいのか。有権者の「政治羅針盤」となる永久決定版!自民党中枢に駆け上がりながら時代の大きい曲がり角で離党、政治改革を志して自民党を二度も転覆させた男、小沢一郎。単独インタビュー計12回、総時間10時間以上。執念の質問攻めに政界激変の舞台裏を語り尽くした。小沢一郎とその時代を徹底解剖。民主党政権の隠れた歴史的使命、明治以来の日本政治史における真の役割が解き明かされる。「国家戦略局」の失敗と小沢一郎に導かれた密かな成功。そこには政治の側が国民の政府予算を作るという大きな偉業があった。ポスト安倍の時代に新しい道標となる。沖縄・辺野古埋め立てに反対し続ける小沢一郎。その現実的な理由とは何か。鳩山由紀夫インタビューと併せ、重層的に普天間問題の真実に迫る。その他、松井孝治や菅直人に話を聞き、「陸山会事件」で無実の罪に落ちた石川知裕にもロングインタビュー。国民のための財政と経済、小選挙区比例代表制を軸とする政治改革、憲法9条を抱えながらの国際貢献。小沢一郎50年の政治活動を徹底的に追跡解剖し、戦後民主政治の成果と課題を手に取るように浮き彫りにする。日本政治をスポイルした本当の政治家は誰なのか? 議会制民主主義が挫折の悲鳴を上げたのはいつなのか? 徹底追究した渾身の大作448頁。書籍化にあたり、「小沢一郎・緊急インタビュー」が実現。日本政治の再スタートを予感させる未来への処方箋。熱く語る!
感想・レビュー・書評
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お恥ずかしい話だが、私は政治に無関心で、政治が分からず大人になった。
しかし、それではいけないと思っている。自国を守る為にも、多くの人が政治に関心を持つべきだ。
国民が賢い国ほど、強い国はないと思うのだけれど、手遅れかと思う時もある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
好きだしまともなこと言ってると思う。
ただ、功を述べるなら、罪の部分も書いて欲しかった -
小沢一郎の凄さがわかる本。今までに2回の政権交代を演じ、今年の総選挙で3回目を目論む。二大政党制でないと国民の為にならないと一貫して行動する。お粗末なコロナ対策、安倍元首相忖度の森友加計問題を初めとする腐った官僚対策など、腐った自民党独裁政権を打破し、
小沢一郎が新政党を立ち上げ、総理大臣となり、我が国を引っ張っていって欲しいと思う。それが出来る最後の政治家が小沢一郎だと思える。 -
憲政史上最大の偉業ともいえる政権交代を2度も成功させた政治家小沢一郎。著者は、カール・シュミットのBeruf観から本書の題名にもなった「職業政治家」を小沢に冠している。
とはいえ、職業政治家とはなんとも陳腐な、あまり的を得ていない、小沢を語るうえでふさわしい表現であるとはとても思えない。大体Berufとは、天命とか使命とか、そういった壮大な観念を伴う。単なる職業政治家といった場合、プロの政治家とか、プロ意識、職人魂に貫かれた本職、などなどのイメージ止まりで終わるのがせいぜいのところだろう。
著者は、返す返すも民主党政権が誕生する前夜で検察による暴走が真の政権交代の効果を台無しにしてしまった経緯を悔やんでいる。私も全く持って同感だ。当時、どれほど検察のことを憎んだか。その悔やんでも悔やみきれない思いが本書を読むことでまたふつふつと蘇ってきた。
それでも民主党政権時代の成果はあった。2010年度予算作成の際、政治家の剛腕は振るわれた。その代表例が農業の戸別保障と子ども手当、また高校授業料無償化の実現だ。農業の戸別保障とは、長年、自民党候補者を培養するカネと言われてきた農家の土地改良の補助金をバッサリ削り、その分を農家の戸別保障へ回したのだ。旧大蔵省=財務省に実効的に物申すことができた政治家は、政界広しといえども小沢一郎ただひとりであったといっても過言ではないと著者は繰り返し述べ、称賛している。
最後に、山本太郎氏に対する小沢氏の評価が出ていた。2020年の東京都知事選に単独で立候補したことに対して否定的な評価をしていた。立候補するなら野党統一候補として名乗りを上げるべきだった。なのに太郎氏の方から「やっぱりれいわ公認じゃなきゃいやです」といって、野党統一はなしとなった。太郎君は己を過信しすぎだ。危うく供託金没収の憂き目にあうところだった。それがこの結果を招いたのだと。もう少し、自分の取り巻きばかりでなく、外部からの意見にも耳を傾けるべきだという。
負けたとしても野党統一候補として戦っておれば有権者の受けも全然違っただろう。太郎君はもっと政治感覚を磨かなければならない、とのことだ。
太郎氏の選挙感覚は神がかっている程すごいものがあるが、やはりその師匠である小沢氏の方が勝っていると思わされる一節だった。
とはいえ、れいわ押し、太郎さん押しの自分としては、やっぱ太郎さんの気持ちや切迫度が痛いほどよくわかるので、彼の立候補を否定する気持ちには全然なれない。その点は、小沢氏には賛同できないな、と思った。 -
東2法経図・6F開架:312.1A/Sa85s//K
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うーん。なんだかな。著者が小沢一郎をヨイショし、2人であべ首相をこき下ろすのがなんだか空々しい。
日本が悪くなっている、安倍政権が悪い、とはいうけれど、小沢一郎がなんとかできるとも思えない。小沢さんとその周辺の人たちで、各省の担当分野について各分野の専門家の意見から真実を選び、官僚を動かすリーダーシップと実行力を持つことができるのか?
核のゴミ問題も、韓国との国交問題にしても、安倍がダメだ、しっかりと根本的に考えなければいけない、ぜひ政権交代を果たさなければならない、の繰り返し。
インタビュアーの方も、その件に関して具体的な小沢さんの代替案はあるのですか?それはどうやって実現するんですか?とは聞かずに、小沢に同意するのみ。おい、ちゃんとそこつっこめ、といいたくなる。
ということで、絶望してしまう内容。
小沢の陸山会時間で石川氏が冤罪で投獄?されたときに、佐藤優がアドバイスの紙をたくさん差し入れて、それが役に立った、と言う話が面白かった。数年前に佐藤の本を読んでたので。
全体的に、政治とはこういうものなのかというのがわかったので星は3つとする。 -
職業政治家 小沢一郎 佐藤優 朝日新聞
体力も精神力も意志も正義感も強く
思っていた以上に
金にも地位にも過ぎたことにも執着することなく
既知に富んだ政策にも長け
良いにつけ悪いにつけ
出しゃばらず相手を尊重し
よって
縁の下の力持ちを地で行く
公僕たり得る人だと改めて見直した
こんな末期的混沌の中で破棄を見据え
諦めもせずへこたれることもなく
日々新たに先を目指す
感情を殺したAIのような人だと思う -
昭和から平成、令和と活躍し続けている政治家、小沢一郎について記した書。基本的には小沢一郎氏を礼賛する本なので、苦手な人は読まない方がいいかと思います。私は軽い嫌悪感的なものがあったのですが、素直に読みました。
各章ごとに当時のトピックに関して、小沢氏以外にもインタビューを行い、彼がどのように考え、振る舞ったかを明らかにしております。
第1章 民主党政権とは何だったのか
マニュフェストに書かれた肝いりの統治機構「国家戦略局」に関する話しから始まります。7年続いた安倍政権が、桜モリカケなど、利権やエコ贔屓、官僚の忖度まみれになったのに比べ、当時の民主党は統治機構の改革という意思は持っていたな、と思い出しました。その中で当時の民主党と小沢一郎氏が目指した「政治主導」がいかに現状を打破し、予算を組み替えるかということを目指していたことが記されています。結局のところ、既存の政治システムでは、各省との官僚同士の折衝でどこか特定のところに恥をかかせるわけにはいず、霞が関の各省庁の収まりというものをある程度考えて調整をしていく。よって、調整の限りでは大ナタが振るえない。大ナタを振った結果として、農家への個別補償制度が挙げられています。確かに言われてみれば、予算の組み替えは現状のシーリング方式の決め方では難しく、政治家が主導して組み換えていく必要があるのだろうと思いました。
第2章 辺野古埋め立ては必要か
こちらは鳩山政権の挫折の話ですが、そもそも海兵隊基地が沖縄に必要か?ということを論じています。本書によれば、海兵隊のミッションは二つで、その国におけるアメリカの要人の保護救出。特に駐日アメリカ大使。第二のミッションは、当地におけるアメリカ政府に対する敵対的政権が誕生した時、その政権を力によって排除する部隊。ということで、これであれば沖縄に駐留する必要は確かにないです。今でも沖縄にいる米海兵隊は米国本土や中東、東南アジア、オーストラリアを次々に移転するローテーション部隊だそうで、であれば本拠地のグアムまたはそれに近いテニアン島に置いた方が確かに良さそうです。鳩山政権ではなくて、小沢政権で会ったら辺野古の埋め立てはなかったのか?歴史のIFは禁物ですが、どうなっていたかと思ってしまいます。
第3章 自民党権力の中枢で何が起きたのか
この章は小沢一郎の生誕から政治家になるまで、政治家になってから田中角栄に師事してから竹下派立ち上げ、小沢氏の幹事長就任から東京佐川事件までを駆け足で描いています。一点だけ印象に残るのは「最初に無理だと思ってしまう人は、自分のビジョンとか志とか理念とか、そういう言葉で表されるような強いものを持っていないということだと思う」と言っていること。確かにそうだと思います。
第4章 細川連立政権は何をなしとげたのか
新生党立ち上げから細川・羽田政権、新進党の崩壊までが書かれています。確かに細川連立政権の樹立は小沢一郎氏が最も輝いていた時代であったように思います。ただ、この話をするには紙数が足りないように思いました。また、新進党崩壊から自自連立、民主党・自由党合併までの間の話がほぼなかったので少し消化不良です。この間の話も面白いので。
第5章 「陸山会事件」は国民に何をもたらしたか
ここは逮捕された石川氏へのインタビューが中心。確かに陸山会事件は検察による政権交代の妨害以外の何ものでもなかったと思いました。
第6章 安倍暗黒政治からの脱出は可能か
安倍政権における原子力政策と安保について語っています。原子力については、日本が国内外に保有しているプルトニウムは約四十六トン、中国の軍事的な推定保有量の十倍と言われ、核弾頭の潜在的保有は六千発にもなること、当面核兵器は保有しない政策をとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともにこれに対する掣肘を受けないよう配慮するという政策であること、核保有五大国以外では日本だけに認められている再処理工場を中核施設とする核燃料サイクル事業は、日本の潜在的な核保有能力維持の目的を色濃く蔵しているということが語られています。そもそも核兵器は我が国に必要なのか?きちんとした議論もなくこのようなことが進んでいくことに対して、非常に違和感を感じました。また、9条をめぐる解釈改憲、集団的自衛権と個別自衛権の話もため息が出てきます。アフガニスタンで殺害された中村医師が「安倍政権になって米軍との一体化が進んだからか、日章旗をかけて走っていても危なくなった」と言っていたとのことで、なんだかな、と思いました。
確かに政治はいかにあるべきか、統治機構をどのようにしていくか、見識のある方だと思いました。一方で、本書にはほとんど描かれていない、小沢一郎氏の周囲に人が集まっては離れていきがちなのをどう捉えたらいいのか、理想家なので孤高なのか、面倒見が悪いだけなのか、最後に疑問が残りました。