TIMELESS 石岡瑛子とその時代

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 146
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022517340

作品紹介・あらすじ

伝説のデザイナーがいた。前田美波里をスターにした資生堂のポスター、大ブームになったパルコの広告。それらを手がけた後に渡米し、アカデミー賞に輝いた彼女は、変化の時代をいかにサバイブしたのか。スティーブ・ジョブズも崇拝したエイコの「私」に迫る評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 東京都現代美術館で初の回顧展「血が、汗が、涙がデザインできるか」を観覧して、あまりの素晴らしさに新たに出版された伝記作品である本作を会場で購入したが、回顧展の直後に読んだこともあってか、彼女が一生涯を捧げた作品の数々やその完成に至る格闘をまとめた本作は非常に面白く読めた。

    私が彼女の存在を認知したのはMiles Davisの80年代を代表する一作といえる『TUTU』のアルバムジャケットのデザイナーとしてであった。80年代マイルスのアルバムジャケットは『You're Under Arrest』を始めとして「評価を差し控えさせていただく」と言いたくなるような酷い出来のものが多い中で、真っ直ぐにこちらを見つめるマイルスのポートレートをあしらった『TUTU』の完成度は群を抜いている。

    一方で、私自身の石岡瑛子に関する初期知識は実はそれくらいであり、展示を観て、東京藝大を卒業後にデザイナーとして入社した資生堂を始め、パルコなどの広告分野での目覚ましいクリエイティビティ、そしてそこから徐々に演劇・オペラ・映画などの衣装デザインなどへと活躍の幅が広がっていく創作の幅の広さに驚かされた、というのが正直なところである。

    そして最も刺激的であったのは、広告ポスターのようなクリエイティブにおいて、印刷会社から上がってきた見本刷にう対する容赦ない赤ペンの数々であった。そこには「文字が汚い!!」などの容赦ないコメントが浴びせられているが、タイポグラフィのセンスの全くない私などが見ると、どこに汚さがあるのか、正直よく分からない。そう思いながらじっくりと見本刷りを見ると、確かにフォントに若干の刺々しさがあるなどの細部に気づく(とはいえ、それは素人が見てもほとんど認知されないレベルの問題であるのは間違いがない)。プロフェッショナルという存在は、ここまでの細部に半ば狂気的に取り組むのか、という認識を新たにした次第。

    ぜひ本書は冒頭の回顧展とセットで体験していただきたい。何かを生み出したい、生み出そうとしている人に物凄い刺激が得られる展示会だと強く自信を持ってお勧めできる。

  • 「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」がギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催。広告や映画ポスターなどを展覧|美術手帖
    https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/23046

    伝説のデザイナー・石岡瑛子の評伝がついに刊行!『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』11月20日発売|株式会社朝日新聞出版のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001093.000004702.html

    TIMELESS 石岡瑛子とその時代(文・取材:河尻亨一)
    http://eiko-timeless.com/

    TIMELESS 石岡瑛子とその時代 河尻亨一(著/文) - 朝日新聞出版 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784022517340

  • 選書番号:072

  • 産経新聞2021117掲載
    読売新聞202127掲載
    毎日新聞2021515掲載

  • 「絶対に流行は追わない。TIMELESSなデザインでありたい。」
     藝大→1961年 資生堂→1968年 独立→1980年 ニューヨーク
    「プロポーズされて参加できれば心地よい。」依頼主の要求があって始まる自己表現

    Eiko by Eiko 1983年
     キャラウェイ 原研也
     企業のコマーシャリズムをアートディレクターの私の作品へ昇華
     アメリカデビューのツール
     クリエイトする私とあなたは一体

    五木寛之=自分の限界までやったところでしれている。
     石岡=自力で完璧にやろうとする ガミちゃん。
     ≒レニ リーフェンシュタール ナチスのプロパガンア オリンピア制作
     人生を肯定する情熱から生まれる

    MISHIMA ジョンベイリー 監督 フィリップグラス 音楽
     プロダクションデザイナー 石岡瑛子 
    マイルス・デイヴィス TUTU
    コッポラ ドラキュラ 衣装デザイン オスカー

    Eiko on Stage 2000年

    ボディ   タイムレス、オリジナリティ、レボリューショナリー
     シルクドソレイユ 2002年「森羅万象」
     ビョーク コクーン ミュージックビデオ 2001年
     ソルトレイクシティー五輪 2002年 デサントユニフォーム 「ゲノム」

    北京五輪開会式衣装 2008年 総監督 張芸謀(紅いコーリャン 1987年)

    想像力が子ども、技巧が大人、ディテールに悪魔

    ハリウッド
     制作会社 ディレクター が作品を資金からコントロール ブロックバスター化
     映画監督 最終編集権がない

  • 2021/04/01 購入
    2021/05/01 読了

  • 世代的には、コッポラ監督作「ドラキュラ」でアカデミー賞衣装デザイン部門を授賞し一躍有名になった衣装デザイナー、という印象の石岡瑛子。キャリアの始めは資生堂の広告デザインで、独立してからはパルコの広告・CMで知られた人なんだなーということをほとんど初めて知った。本人は衣装デザイナーという肩書は決して用いず、アートディレクターとして広告に映画に演劇に、ミュージックビデオにサーカス、本の装丁などジャンルを問わず、ニューヨークを拠点に国境もなく数々の作品を手掛けた。その活動は本当に精力的でボーダーレス。

    前半ではアートディレクターという職業や役割がもう一つわからず、写真家やデザイナーや様々なスタッフみんなで作り上げた作品をその名も「EIKO BY EIKO」という作品集にまとめて出版し、それを世界進出への名刺代わりとしたこと、レニ・リーフェンシュタールに影響を受け仲も良かったことから、あまり共感できず、やっぱり世界で名を成す人ってこのくらいエゴイスティックでないといけないんだろうなあ、と思った。が、後半、ファインアートには進まず、あくまでオファーを受けてそれに応える形でジャンルを問わないクリエイションを続け、それによりいわゆるアーティストほどの評価には繋がっていなくとも自分の好きな道を突き進んだ独自性と、有名になってからも守りに入らず衰えを感じさせず、若いアーティストたちとの新しい挑戦を好んだ柔軟性に魅力を感じるようになった。

    タイトルのタイムレスは、石岡のクリエイションのポリシーだが、彼女の仕事ぶりや生き方は、年齢にとらわれず文字どおりのエイジレスだ。著者はそんな石岡の人生を辿る際、いちいちその時何歳だったかを書かない。生年から計算すればわかるのだが、びっくりするほど若々しく、70代で亡くなったのがあまりに早く感じられるほど、まだ50代くらいだったんじゃないかと思われるほど。こんなカッコいい女性いたんだ!

    石岡本人が使っていた言葉のようだが、文中何度も何度も出てくる「お手合わせ」という表現は何だか品がない気がしてひっかかったが、全体として主人公への敬意が感じられる読み応えのある評伝だった。

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