北条五代 (下)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022517388

作品紹介・あらすじ

第3代・氏康は民政面でも敏腕を振るい、伊豆・相模・武蔵・上野4カ国を支配し、北条氏の全盛期を築いた。そして第4代・氏政の治世には最大240万石の領地を保有し、東国に覇を唱える。しかし第5代・氏直の時、豊臣秀吉による小田原征伐が始まった……。

感想・レビュー・書評

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  • 初代早雲庵宗瑞以来、関東に王道楽土を築くべく善政を敷いてきた北条氏。「禄寿応穏」は、民の命と財産を保障することを誓った北条氏の家是だ。

    「民のための政治」を目指し、義を重んじてきた北条氏だが、上杉、武田、今川といった大名、そして真田、佐竹、宇都宮、結城、里見等の国衆との領地を巡る争いが絶えず、同盟しては裏切られ、油断すればたちまちつけ入られ、滅亡と隣り合わせの綱渡り状態が続く。

    下巻は、こうした果てしない戦乱の中で悪戦苦闘する当主、氏政、氏直の苦悩する姿を描いている。

    読んでいて気が滅入る部分もあるが、北条氏が持つある種の清々しさ、潔さが救いになっている。

    "小田原評定" という言葉を思い出した。

  • どうもしようもない閉塞感がたまらない

  • 北条氏は関東を平定し、3代氏康が引退し、軍事に専念する形で、お館様は氏政へ承継。その頃、上杉謙信(長尾政虎から輝虎に改名)が北関東に侵入し、死闘が続く。武田信玄の応援も頼む中で、政虎との対決。この本では完全に政虎が自らの義を叫びつつ、民の苦しみを顧みない悪役である。真田昌幸、豊臣秀吉もまた。4代氏政、5代氏直と徐々に織田・豊臣の圧力が強まる中での武田・今川・上杉との同盟・対決の繰返しは目まぐるしく戦国の生残り戦には驚くばかり。4,5代の親子に至るまで、早雲・氏綱からの家訓として民の平和を掲げ、「小田原評定」の議論(4代氏政のこれまた優秀な弟たち氏照、氏邦、氏規たち)を通してもそれを貫き、最後は滅びていかざるを得なかった北条氏という爽やかなストーリー!下巻も火坂調が違和感なく伊藤に引き継がれていた。

  • 最後の方は滅亡へまっしぐらのあらすじを読んでいるようで、北条早雲の野望や思いが失われていくのが残念だった。
    物語の中での話だが、政略結婚で結ばれた二人がみんな心の通った夫婦になっているのが救いだ。

  • 3代目の氏康の途中から、氏康、そして最後の当主、氏直での北条家滅亡までのに軌跡を描く下巻。火坂雅志氏の筆を引き継いだ伊東潤氏の筆によるが、2.5世代分の歴史の流れを忠実に詳しく書いているので、かなり詰め込まれた印象を受けるが、物語を未完で終わらせず、完結させた伊東潤氏の漢気に拍手。

  • とても面白かった。二人とも好きな作家で、同じ作品を通して読み比べできるのも、なかなか無いので、そういったところも特別なおもしろさの一つだったと思う。伊東氏のパートになって、始めのところは、火坂氏に寄せた書き方から、最後の方は伊東氏色そのものの書き方になっていたと思うが、二人の共作として、見事に完成させたと思う。改めて、火坂氏の早逝は残念だったと思った。

  • 面白かった。
    秀吉、家康、信玄などを呼んできて、北条側の視点からその時代を眺めると、新たな面白さがあった。

  • 火坂氏から受け継ぎ、完結。北条家最後の秀吉との攻防がいい。あっさりとしつこくなく、それでいて涙を誘う文章が素晴らしい。
    『上に誰も頂かないからこそ、北条家だったのだ』

  • 火坂氏の遺稿を伊藤氏が引き継ぐ形で書き上げられた珍しい作品です。素人のわたしにもその文体の違いが分かる気がします。
    関東の基盤を造った北条氏ですが、「(正)義」を理想に掲げ、地道に関東の統一を図る一方、小説後半の加速度的な環境変化(織田体制→豊臣体制)にはついて行かれず、歴史的な役割は終焉。ただ、その理想やシステムは次の徳川体制に引継がれていったようにも思われます。
    個人的には初代早雲から3代氏康の波乱万丈期が好きです。今年のNHK大河ドラマでも出てくるでしょう。

  • 北条氏すごい

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