メイド・イン京都

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 488
感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022517395

感想・レビュー・書評

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  • 軽く一気読みできるけれど、
    うーん、主人公のことがどうにも好きになれない。

  • 藤岡陽子の小説には、本書の主人公の美咲のような、まじめで優しいけど自分に自信が持てない女性がよく出てくるような気がする。紆余曲折がありながら、さなぎが蝶に羽化するように自分の進む道を見つけていくというビルドゥングス・ロマンのような要素もある。
    大きな起伏とかワクワクする高揚感はないが、主人公がちょっとしたきっかけから本当にやりたいことを見つけて、少しずつ変わっていく姿が気持ちいい。

  • 以前に読んだ「手のひらの音符」やドラマで見た「いつまでも白い羽根」に続き、閉塞感の中から自分らしい生き方を見つける女性の物語。身近な人間が、たちどころにして不穏な人物になるシーンがいくつかあり、とても引き込まれた。京都人の描写はもう一工夫ほしかった。他府県の人の面白い活動を支持する進取の気風の一方で、懐深そうに見えて「他府県の人」という枠は決して外さないのが京都人。あからさまなイケズより狡猾。主人公は、テンションは違うが山村美紗の小説に出てくるキャサリンのようで、まっすぐさ、運のよさ、愛され力などが、人物像として若干おめでたい。Tシャツのデザインはとてもチャーミングで気になった。裏表紙の写真のようなイメージだろうか。

  • 図書館で借りたもの。
    京都の資産家の跡継ぎからプロポーズされた美咲は、意気揚々と京都の地に降りたつものの、たちまち京都人達から洗礼を浴びる。京都の美しい西陣織に触れるうち、美咲は美術学生時代に熱中したものづくりの喜びを思い出し…。

    美咲の婚約者からにおう、かすかなモラハラ臭…。
    反省してたみたいだけど、また同じようなことが起こりそうだから、婚約解消してよかったんだと思う。

  • 結婚のために仕事を辞めて夫の実家に嫁ぐ…
    私にはよほどのメリットがないと行けないわー。

    美咲はそのようにして、後悔してる。
    ここからして、美咲の性格が現れてる。

    結局、そのことで仕事がうまく運んだのは良かったけど、運が良かった。

    瑠衣の言ってることが理解できる。
    中途半端な人にイライラする。
    瑠衣が見つけてくれなければ美咲は未来に繋がらなかった。

    仲介手数料があるのは当たり前だと思う。
    それがなければ前進しなかったから。
    そこで、手数料取られ過ぎたらおかしいけど。

    文句あるなら、自分で開拓しないとね!

    優しい人って、結局周りを振り回して、その人の時間を浪費したり、より傷つけることもある。
    本当の優しさは、きっぱりすることも大事。

    感性が似て共感できる相手は大切。
    何かを見て同じところで感動するとか。
    その点は美咲と佳太は合うと思う。

    なんとなく、ちょっとしたモヤっとした気持ちが重なり、どの登場人物にも共感しにくかったな…

  • 京都で玉の輿に乗るはずだった女性が、なんだかんだの末に刺繍を施したTシャツで成功する姿を描いたサクセス・ストーリー。結婚か、仕事か、玉の輿か、起業家か……。どの道を選ぶかでその先の人生は薔薇色になるか、茨の道になるかと考えがちだが、実際にはどれを選んでも正解だし間違いなんだろう。ならば自分が心地よいと感じるほうに進めばいいのかなと思う。

  • 京都(人の底意地の悪さ)ものであり、お仕事・職人ものであり、恋愛ものでもある。

    元彼(とその家族)とのいざこざはあるが、主人公が成長していく様子はとても爽快。

  • 何十回も歩いた哲学の道。川でなく疏水⁉︎街角描写、イケズで鬱陶しい京都人、京都文学賞当確か!「闘わない人に夢なんて叶えられる訳ない」ルイさんの怒りも理解できる中途半端な主人公。

  • 美大出身の十川美咲が主人公。これまでの藤岡さんのストーリー的にも異色の設定かなと感じる。京都の商家の跡取りにプロポーズされ東京から京都に。しかし、京都人の古い慣習の洗礼を受け、和範との関係もギクシャクする。そんな折、美大の同級生で陶芸家の佳太と滋賀県安曇川の工房で出会う。美咲も刺繍を施すTシャツ作りに乗り出し、和範の実家を飛び出し転機を見いだしていく。桜子やバイヤーの瑠衣が美咲の在り方に影響を及ぼしているが、運は信用に値する人のもとに訪れる、美咲の一途な素直な人間性に感銘した。

  • 「自分を変えるのはいつもいま」
    物語終盤で登場するこの言葉に作品のテーマが凝縮されていた。

    京都の資産家の跡継ぎで四歳年下の和範からプロポーズされた美咲。
    意気揚々と京都の地に来たものの、癖のある叔父や姑に小姑、果ては和範までもが豹変し、一気に前途多難に陥ってしまう。

    揃いも揃って嫌な人物ばかりで、希望を胸に抱いてやって来た美咲にとっては針のむしろだろう。

    その後、様々な偶然が重なり成功して行く過程は出来過ぎ感もあるけれど、大学時代の同級生・桂太の存在が良い雰囲気を醸し出していた。

    この後の二人の選択も知りたい所だ。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

藤岡陽子の作品

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