姉の島

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 123
感想 : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022517623

作品紹介・あらすじ

85歳超えの退役海女たちは、後進の若者のために潜った海の海図作成に余念がない。カジメやアワビ、海底に突き刺ささる戦時の沈没船、水産大学校出の孫や嫁からきく天皇海山列と春の七草海山……円熟した作家による老女と潜水艦の異色冒険小説。

感想・レビュー・書評

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  • 『飛族』に続いて島に暮らす海女の老婆により語られる本書。また老婆に魅せられた。
    85才ミツルに導かれて見た海の中は、地上と同じひとつの世界だった。
    海の底の山々に名前があることも知らなかった。古代の天皇の名前がつけられた天皇海山、春の七草海山や秋の七草海山には草や花の名がつく。海の中に咲く花、なんて素敵なんだろう。

    五島列島の海は、唐まで行けずに沈んだ遣唐使船、戦時に撃沈された戦艦、戦後沈められ潜水艦と多くの命を飲み込んでいるという。
    静かに広がる水面の下に抱えた史実と幻想の物語を見せてもらった。そして、あの世に近くなった年齢の老婆は物語の中へ溶け込んでいく。
    海は死を抱えるだけではない。
    命を生みだしてきた。ミツルの孫嫁の子宮の羊水に浮かぶ胎児は、海から生まれる命そのものだ。

    村田喜代子さんの描く老婆はなぜこんなに魅力的なのだろう。
    力強くユーモアがあり現実的。だが人の領域を越えた者に対する謙虚さもある。
    その姿は、私の年齢を重ねたその先を明るいものにしてくれる。

  • 生死混在の海底 海女に語らせ描く [評]谷村志穂(作家)
    <書評>姉の島:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/573828?rct=s_books

    朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:姉の島
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=22940

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      goya626さん
      ↓此方を、、、
      服部 知佳 / Chika HATTORI
      http://www.gallery-tsubaki.ne...
      goya626さん
      ↓此方を、、、
      服部 知佳 / Chika HATTORI
      http://www.gallery-tsubaki.net/artist_new/chika_hattori/01_j.html
      2021/08/03
    • goya626さん
      猫丸さん
      服部知佳、いいですねえ。ギャラリー椿は、東京かあ。
      猫丸さん
      服部知佳、いいですねえ。ギャラリー椿は、東京かあ。
      2021/08/04
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      goya626さん
      にゃ!
      goya626さん
      にゃ!
      2021/08/05
  • あまりこのジャンルの作品は読まないのですが、村田喜代子さんの作品は特別。
    今作は、八十五まで海女をやり切った者だけがなるという倍暦の海女たちの話。
    海の中の壮大な世界、戦争の遺したもの、年老いた海女たちが若い世代へと繋いでいくもの等が描かれている。
    倍暦海女の目線と言葉で綴られる、静かで力強い独特な世界観に惹かれました。

  • 85歳超えの退役海女たちは、後進の若者のために潜った海の海図作成に余念がない。カジメやアワビ、海底に突き刺ささる戦時の沈没船、水産大学校出の孫や嫁からきく天皇海山列と春の七草海山……円熟した作家による老女と潜水艦の異色冒険小説。

  • 待ちに待った村田喜代子小説の新刊!
    「村田喜代子『姉の島』~年齢を重ねるということ」
    https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/504d7a2c24a3ce3cd7a0927009a4821c

  • 舞台が五島列島で主人公が老婆といえば『飛族』を思い出しますが、老いた体で両手を羽根にして飛びたたんとする幻想的な鳥踊りの『飛族』の世界に対し、この『姉の島』はひたすらに海中へ潜って行く物語です。
    主人公の雁来(がんく)ミツルは85歳。相方の小夜子と共に、この春に先輩のシホイ・千夏と同じ倍暦海女になりました。この地方の風習で、85歳まで海女をやり切った女は倍暦になる。つまりミツルは170歳です。
    村田さんは婆様を描くのがお得意ですが、この婆さん達が良いのです。愚痴など垂れず、飄々として、新しいことにも興味津々。4人の知識を持ち寄って、後輩たちのための海図づくりなど始めたりします。そしていつもミツルの傍らにいる孫の嫁・美歌も良いですね。若々しく、明るく、それでいてしっかり腰が据わっていて将来のおばばを予感させる佇まいが色を添えています。
    米海洋学者のディーツに命名された海中の山脈・天皇海山列(天智,神武,推古など古代天皇の名を冠した十数峰がある)や春の七草海山列、秋の七草海山列。戦後、米軍によって五島沖で沈められ、一隻は何故か海底に突き刺さる様に垂直に屹立している日本の24隻の潜水艦。そうした海底の不思議を織り込みながら、婆たちの物語が進みます。
    どこに向かう物語か良く判らぬまま、そして実際エンディングも曖昧な気がしますが、現実と幻想/死者と生者が簡単に交差するような物語の途中だけでも十分に面白く。。。。

  • 読み終えてしばらく、歴史の降り積もった海の重さを想像する。

  • 年寄りの海女の生き様を孫に嫁に語るその想い。
    迫力を感じられる。
    海とともに生涯を過ごす。
    ラスト…海底につきささる潜水艦は、夢か幻か。。
    海に生かされ海に死す、ともいうべき凄みがある。

  •  長崎の離島、塩の香りがする浜辺、海女達の姿が見える。そんな光景の中に誘ってくれるような本である。文学書はほとんど読まないが、読んでいる間、至福の時間を送らせてくれる。

  • 九州のとある島の海人(といっても80過ぎの婆)と潜水艦の物語とのPOPに惹かれて読んでみる。
    が、いまいち響かない。山岳小説の方がなぜだか心をうつものが多いけれどなぜだろう。
    作者と合わなかったか。カッスラーでも読むかな。

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著者プロフィール

1945(昭和20)年、福岡県北九州市八幡生れ。1987年『鍋の中』で芥川賞を受賞。1990(平成2)年『白い山』で女流文学賞を、1992年『真夜中の自転車』で平林たい子賞を、1998年『望潮』で川端康成賞を受賞した。2019年『飛族』で、谷崎潤一郎賞を受賞。ほかに、『花野』『蟹女』『龍秘御天歌』『八幡炎炎記』『屋根屋』『故郷のわが家』『ゆうじょこう』『エリザベスの友達』など著書多数。

「2020年 『偏愛ムラタ美術館 展開篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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