クレイジー・フォー・ラビット

  • 朝日新聞出版 (2021年7月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784022517654

作品紹介・あらすじ

愛衣は隠しごとの「匂い」を感じる。そのため人間関係が築きにくい。小中高大、そして30歳を過ぎてからの五つの年代を切りとり、その時々の友情の変化と当時の事件を絡めながら、著者の育った年代に即した女性の成長を描く連作短編。

みんなの感想まとめ

人間関係を築くことに苦労する愛衣の成長を描いた物語で、彼女は他人の嘘を匂いで感じ取る特異な能力を持っています。この特性が、彼女の友情や愛情に対する葛藤を生み出し、幼少期から大人になるまでの過程での心の...

感想・レビュー・書評

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  • 人が嘘をつくと、匂いで敏感に察知してしまい、距離を置いてしまう。
    そんな特質をもつ愛衣の、小学生時代から大人、そして母親になるまでの物語。

    仲良くなりたくて嘘をついたこと。
    デザインじゃなくてブランドを重視するようになること。
    独りが嫌で”友人ごっこ”をすること。
    友達になりたいけどなれない、遠い存在で憧れの女の子のこと。
    ショッピングモールは「なかなかいけない夢の楽しい場所」から「遊ぶにはダサい場所」になること。
    「学校以外の場所で会う友だち」という、宝石のような存在。

    それぞれの世代での女の子の友情の「あるある」が描かれていて、それぞれに共感した。
    「本物の友だち」を、幼い頃の私もずっと切望していた。
    いや、大人になったはずの今もなお、求めている。

    流行やニュースから、各時代がわかって、あの曲だとかあの事件のことだとかピンとくるのも楽しかった。

    短編の中では、「ブラックシープの手触り」が好きだった。
    この作者のほかの著書も読んでみたい。

  • 愛衣が小中高と大人になる過程を一緒に追える作品。他人が嘘をついているのが匂いで分かってしまうせいで、友人と本物の関係を模索しすぎて空回りしていた。私たちは普段、友達や家族の本音を知りたいと思うが、本音や嘘が全て分かってしまったら、他人と関係なんて築けないのだろう。隠しておいた方が良いこと、嘘をつかなければいけないこと、それがあることを大人になる過程で学んでいく愛衣だった。吉乃の自分を自分だと主張できるところに憧れを抱き、少しでも吉乃に近づきたいと思う。憧れの人だからこそ、タバコを吸う吉乃が見られたことは嬉しいが、そうやって理想の人も何かと裏があり、自己を保っているということを知る。憧れとは程遠く、友達を作ることに精一杯になり、関係を拗らせてしまう。なりたい自己との乖離はなかなか埋められないものであり、ときに自分を苦しめるものになる。大人になっても周りの人との関係は続き、誰もが誰かと関わらなければ生きていけないのだと思った。愛衣の子どもの優里が私の幼少期にそっくりで、私の親もこんなこと思っていたのかなと思った。

  • 「他人の嘘が匂いで分かってしまう」

    自分がそんな能力を持っていたらどうでしょう…!
    子ども、ましてや思春期の頃は、人と関係を築くのに苦労すること間違いなしだよね。

    愛衣がどんな大人になるのかな…?と少し心配しつつ読みました。

    物語が進むごとに、時代が移っていっている様子が描写から感じられ、なんとなく同世代の親近感を感じる(笑)

    どの章も、深いところまでは掘り下げられることなく柔らかに進み…
    ちょっぴり物足りない気もするけど、読みやすい1冊でした。

  • 【読書】一方通行の友情? 奥田亜希子『クレイジー・フォー・ラビット』 - ねこぶんがく
    https://miyolivre1.hatenablog.jp/entry/2021/07/18/152440

    クレイジー・フォー・ラビットとわたし|ゆき|note
    https://note.com/yuki_library/n/n8b7a70e3f00a

    米満 彩子 | GALLERY龍屋
    http://www.t2y.info/tatsucon02/6504.html

    朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:クレイジー・フォー・ラビット
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=22998

  •  愛衣という1人の女性の物語。

     各章でそれぞれ年代ごとに愛衣の物語が綴られていく。

    ①クレイジー・フォー・ラビット
     愛衣小学6年生。ウサギが好きな愛衣は当番でもないのに同級生の珠紀と毎日のようにウサギ小屋に行っている。 
     愛衣はその人が放つ匂いで嘘をついていることを感じることができた。嘘を感じさせない珠妃と友だちになりたいと思っていた愛衣は珠妃の話に合わせてしまうが、その時に感じたのは自分から漂う嘘の匂いだった。

    ②テスト用紙のドッグイア
     愛衣中学2年生。美術部に所属する愛衣は、時々嘘の匂いを放つ仲良しグループのメンバーよりも、絵が上手な吉乃と仲良くなりたかった。

    ③ブラックシープの手触り
     愛衣高校3年生。思春期から両親との距離ができた愛衣は、たまたま出会ったエミと毎晩のようにファミレスに入り浸るようになる。そこでバイトしていた男性が同じ高校を退学した京介であることを知る。

    ④クラッシュ・オブ・ライノス
     愛衣大学3年生。大手新聞社でバイトをする愛衣。バイト先の先輩が旅行先で津波の被害に遭ったことを知る。

    ⑤私のキトゥン
     愛衣30代。結婚し、石川県で暮らす愛衣は専業主婦だ。一人娘の優里は夫にも愛衣にも似ず、負けず嫌いで活発な女の子。優里が通う保育園には発達が遅い明奈ちゃんという女の子がいる。
     保育園の運動会。愛衣たちが見守る中、リレーで大活躍する優里。しかし、明奈ちゃんにバトンが渡ってから順位は落ちて結果、3組中3位に。大泣きする優里に愛衣がかけた言葉は。


     どこにでもいるような目立たない1人の女性の物語なので、各章でドラマチックな展開が待ち受けているわけではないのだが、だからこそどの章も切なくて愛おしい。

     読後感も良かった。ほんの少し心を前向きにさせてくれる物語。

  • 奥田亜希子さんの新刊に飛びつく。
    ややネタバレ含むので、注意。




    小学生時代から、章を追う毎に大人になってゆく愛衣は、他人が嘘をつくと、匂いで分かってしまう不思議な感覚を持っている。

    そして、そんな感覚があるからこそ、友達という関係性に怯えてしまう。
    小学生の愛衣が、憧れの女の子に合わせるために、嘘をついて、自ら匂いを発してしまうシーンは、読んでいて本当に辛くなった。
    結局、その女の子には嘘がばれてしまい、そんな子とは友達になれない、とハッキリ断られてしまう。
    愛衣のこの体験は、中学生になっても尾を引く。

    でも、愛衣がしたことは、すごくよく分かる。
    この頃、誰かと一緒にいるという事実は、とても貴重な意味を持っていたように思う。
    今なら、そっと距離を置いたり、はたまた表面的に付き合っていけただろうという友達も、当時は従って離れないようにするしかない存在だった。

    それは、クラスとか近所っていう、狭いコミュニティしか知らない頃だったからかもしれない。
    同じクラスの数十人、家が近い数人、その中で確実な友達を見つけるなんて、今思えば無謀だよなー。

    高校、大学になって愛衣の領域は広がっていく。
    と同時にこの作品の年代設定も、ケータイの登場、ブログの普及、スマトラ沖大震災、ポケモンGOと平成の初めから終わりに向けて進んでいく。

    母親になった愛衣が、娘に対して、友達について言葉にするラストシーンは、中学の時から随分成長していて、すごく良い。
    友達になることばかり、慎重に試みてきた彼女が、友達であることに目を向けたんだなと思う。

    レビューにすると、ストーリーを追ってしまっただけのように思うのだけど、描写がすごく上手い。
    読んでいて、誰かとのズレを感じたときの、ザラっとした感じとか。ひゅうと温度が下がる感じとか。そういう、自分が味わってきた、あの距離感を、すごく的確に表している。

    「テスト用紙のドッグイア」なんて秀逸な章タイトル、忘れられないわー。

  • 友情は、常に思いがけない線を描く。でもそれでいいのかもしれない。

  • 『仮面を被ったキミより、素顔のキミが好き!』

    小さい頃から匂いで人が隠し事をしていることがわかる愛衣。そのため、誰よりも人の顔色(匂い)を伺ってしまい、他人との距離を縮めることができない。右往左往し、失敗を繰り返しながらも、愛衣の成長していく姿を描く連作短編集。年代ごとに当時のヒット曲や事件が織り込まれ、自分ごとのように懐かしい想いで読了。

  • 嘘や秘密の匂いを嗅ぎとってしまい、友達との関係をうまく作れずにいた小学生の愛依が母になり娘を育てるようになるまで。

  • 嘘の匂いを感じる愛衣の小学校~大人までの連作短編集。

  • 同世代だなぁーって。そうそう、消しゴムの交換とか、ウサギのお世話とか、SPEEDとか酒鬼薔薇聖斗とか、三木道三とか全部同じ時代に生きたので思わず唸るほど懐かしい。そして現代のポケモンGO。。わたしもハマったから、ここに飛んだかって。

    本当に思ったよりも友達って選べない。いつの間にか友達になってるしなくなってる。失う方が多かったような気もするし、意外なあの人とまだ繋がってるってことも多い。
    ウソの香り、さぞかし香ばしいんだろな。しんどいだろうな。
    人付き合いの難しさをすごく丁寧に描いていて読んでいて苦しくなりながらもわたしは大好きでした。

  • 私の中で、奥田亜希子さん2作品目。

    各章ごとに、主人公が成長していっていて、おそらく私と同世代。其々に起こる実際のニュースや流行にも似たような関わり方をしていて、あー、そんなこともあったなぁと思いながら読んだ。
    「求めよ、さらば」でゾワゾワさせられたミクシィにまた出会わされる笑

    けど、本の半分、高校までくらいかなぁ、自分の記憶が曖昧な頃の話はなぜか全部夢の中みたいでフワフワしてつかめなくて、何の話を読んでるんだったっけと、浮いていた。
    大学くらいから、ああ、そうかと思えるようになって、それまでのことも不思議とつながった。
    だから最後まで一気に読めるときに読んで良かったかもしれない。

    女子のあるあるだよなー。人間関係小さいことで悩んだり壊れたり修復したりする。
    みんな似たようなこと経験して大人になったんだろうな。全部を打ち明けることはないけど。
    勝手に被害者になった気分でいることのほうが多いよね。いいことなんてないのに。

    最後、母親になったときの話が救いがあって良かった。ここでもママ友とかでグダグダなってたら辛かったから。

  • 友達であることの難しさ。それはただ1人誰かとの関係性ではなく、各年代での自分の周りにいてくれる友達たちとの間で紡がれる空気感そのもののこと。きっとたぶん恋愛よりも難しくって儚くて、その寂しさと切なさをどうしようもできず、わたしたちはあの日に戻ってウサギを抱く。
    あのころのわたしたちも、愛衣のような特別な感覚を持っていたのかもしれない、忘れてしまっただけで。

  • 友だちってなんだろね?
    小学生や中学生の頃なら、一緒に行動する仲間ということかな? 年齢を重ねるほど、行動を共にということはしなく(できなく)なるのにねぇ。
    自分が納得できればいてもいなくてもいいんじゃない?

  • 友達になる相手は案外自分では選べない

    今は友達ではないかもしれないけれど
    いつか友達になるかもしれない誰か

    誰とだっていつかは友達になるかもしれない

    学生時代の友人関係でのモヤモヤ
    大きないじめとかではなくても
    沢山の悩みや悲しみ、不安があったなぁ
    と読みながら思った

    この連作短編集
    小学生だった亜衣が
    中学、高校、大学、主婦
    になった時の物語

    私自身よりも主人公は年下だけれど
    その当時も思い出してセンチメンタルな気分になった

  • 事件と年代の重ね合わせがリアル

  • +++
    愛衣は隠しごとの「匂い」を感じる。そのため人間関係が築きにくい。小中高大、そして30歳を過ぎてからの五つの年代を切りとり、その時々の友情の変化と当時の事件を絡めながら、著者の育った年代に即した女性の成長を描く連作短編。
    +++

    隠しごとの「匂い」を実際に感じてしまうという特性を持つ愛衣を主人公にして、その人生の部分部分を切り取って物語ができているが、人とちょっと違った特性がなかったとしても、誰にでも起こり得る事々が繊細に描かれていて、たぶん誰もがどこかに共感するのではないかと思う。なにか具体的な解決策が示されているわけではないのだが、読み終えると、なんとなく、自分の話を聴いてもらったような満足感を得られるのが不思議である。胸にじわじわしみ込んでくる一冊だった。

  • 主人公の小学生〜母になるまでのストーリーで平成初期あたりの世代の女子が読めば、あぁたしかにあの頃こんなことがあった、こんなものが流行っていたなぁと人生をなぞるように楽しめるとは思います。本編では権利関係?か名前を伏せられているアイドルたちもだいたいなんのことを言っているかわかります笑

    読み始める前に期待したほど、ストーリーに深みがなかった、主人公や周りのキャラを好きになったり共感して読んだりすることができなかったので評価は低めです。


    まだガラケーの時代の、メールアドレスを頻繁に変える子いたなぁとか当時を懐かしくあるある、と思うシーンはたくさんあったのですけれど…

  • タイトルと表紙に惹かれて手に取りました。

    細かい描写が丁寧に書かれていて、その時の心情、情景がとても伝わってきました

    読み終わったあと、何か懐かしい気持ちになりました

  • 「友達」とはなんなのか、自身がいろんなステージで「友達」地獄に息苦しさを感じていた少女であったことを思い出した。いつの日か、そこから逃れられるのか、という淡い期待は、大人になってあっさり打ち砕かれたことも。でも大人になったから割り切れたこともたくさんあるなと。

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著者プロフィール

1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒業。2013年『左目に映る星』で第37回すばる文学賞を受賞し、デビュー。ほかの著書に『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『青春のジョーカー』『愛の色いろ』『白野真澄はしょうがない』『クレイジー・フォー・ラビット』『求めよ、さらば』などがある。

「2024年 『ポップ・ラッキー・ポトラッチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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