ペッパーズ・ゴースト

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  • 朝日新聞出版 (2021年10月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (392ページ) / ISBN・EAN: 9784022517920

作品紹介・あらすじ

中学校の国語教師・檀千郷(だんちさと)は、受け持ちの女子生徒から自作の小説原稿を渡される。その小説の中では、猫を愛する奇妙な二人組・ネコジゴハンターが大暴れしていた。そして檀先生は、ある条件下で他人の明日の体験が少しだけ観えるという、不思議な力を持っていた。ネコジゴハンターとは何か。父の言葉、悲観と楽観、猫と野球……、檀先生が「サークル」に関わるにつれ、物語は加速していく。小説を読む楽しさ、面白さに満ちながら、うつむく人を明るい方へとそっと連れ出す、一大エンターテインメント長編!

みんなの感想まとめ

物語は、中学校の国語教師が不思議な力を持ち、女子生徒の小説と現実が交錯する中で展開します。主人公の檀先生は、猫を愛する二人組や未来を視る能力を通じて、さまざまなテーマを探求します。読者は、作品内の哲学...

感想・レビュー・書評

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  • 二カ月近く前から本棚登録して待っていた伊坂さんの新作でした。
    今までの伊坂さんの話と比べるとエンタメ的にはいまいちだと思いました。
    印象的だったのはニーチェの言葉と作品の主人公、壇先生の最後の、事件がすべて終わってからの推理です。

    「作家生活20周年超の集大成となる一大エンターテイメント長篇」と帯にありますが、ちょっとそれにしては私はもの足りなかったです。

    伊坂さんの直筆の「初回限定」川口澄子さんのイラスト付きポストカードがついていたのは嬉しかったです。
    「興味のあることや好きなもの、心配なことや怖いことを詰め込んだところ、今までの自分の小説の特徴が集まったような物語になりました」と書いてあります。
    このカードが今回ファンとしては一番嬉しくて、何度見ても、ニンマリしてしまいます。

    とすると伊坂さんは猫や、未来を視る能力、プロ野球、ニーチェに興味があり、集団自爆テロを恐れているのかなとか想像しました。
    あとは小説を書く中学生の女の子。伊坂さんも小説家だし。
    東北イーグルスというのはもちろん楽天イーグルスのことですね。

    現実と中学生の女の子が書いた小説が次第にリンクして融合するところはさすがにやはり上手いと思いました。

    ニーチェの言葉では
    「人生で魂が震えるほどの幸福があったなら、それだけで、そのために永遠の人生が必要だったんだと感じることができる」
    というのが印象的でした。

    壇先生の最後の推理が当たってたらすごく面白いのですが、ボカシてありますね。

    • まことさん
      yyさん。

      きゃー!
      レビューを全部読んでくださり、いいね!まで、ありがとうございます!
      何よりも嬉しいです♪
      yyさんのお好みに合えばい...
      yyさん。

      きゃー!
      レビューを全部読んでくださり、いいね!まで、ありがとうございます!
      何よりも嬉しいです♪
      yyさんのお好みに合えばいいのですが。
      伊坂さんの世界を楽しんでください。
      そして、決していいね!の強要ではありませんが「逆ソクラテス」もマイレビューありました。
      2021/10/14
    • yyさん
      まことさん

      (^-^) レビューを読ませていただくの、楽しいです。
      「逆ソクラテス」はずいぶん前から、図書館で順番待ち。
      そろそろ...
      まことさん

      (^-^) レビューを読ませていただくの、楽しいです。
      「逆ソクラテス」はずいぶん前から、図書館で順番待ち。
      そろそろかなぁ…。
      という待ち時間も わくわくです。
      2021/10/14
    • まことさん
      yyさん。

      わーん。
      いいね!ありがとうございます!
      「逆ソクラテス」順番待ちでしたか。
      楽しまれてください。♪
      yyさん。

      わーん。
      いいね!ありがとうございます!
      「逆ソクラテス」順番待ちでしたか。
      楽しまれてください。♪
      2021/10/14
  • さあ!待ちに待った伊坂先生の新作だ!
    そう思ってワクワクしながらページを捲ると、まず最初に飛び込んでくるのは登場人物表である。
    開いた瞬間登場人物表がある作品は警戒する。
    挫折した『罪と罰』のことを、思い出すのだ。
    でも、伊坂先生の作品なら大丈夫、怖くない、そう思いながら読み始めた。

    理不尽。
    これは、生きていれば誰もが経験するものだろう。そしてその中に、「理不尽な目に遭いやすい人」と「理不尽な目に遭いにくい人」というのがいて、たぶんわたしは、「理不尽な目に遭いやすい人」に該当すると思う。降りかかってくる理不尽に対して、いつもグチグチ文句を言ってばかりいる。だって理不尽を訴えても、結局なかったことにされるだけ。だから理不尽というのである。人生であと何回、わたしはこの理不尽を味わってゆくのだろう。
    そして中には、たった一度の、とてつもない大きさの理不尽が、大切なものを根こそぎ奪ってしまうことがある。
    ただ普通に生活していただけで、大切な人が、大きな事件に巻き込まれたら。そこで、大切な人の命が奪われてしまったとしたら。

    伊坂先生の作品といえば。
    伏線の回収/リズミカルな会話/アクション/作品の背景に潜む悲しい事件や出来事/勧善懲悪
    今回も健在だ。
    しかし今回は、勧善懲悪できるほど分かりやすい悪ではない。
    だから、読みながらとても複雑な気持ちを抱く。
    わかるよ、やれやれ!という気持ちと、いや、ダメダメ、という気持ちと。
    まるでシーソーのように、それらが、ぎったんばっこんを繰り返す。

    伊坂先生の、特に初期作品は、分かりやすい悪が中心になっていて、だから読んでいてかなりガツンときたし、スッキリさせられていた。
    けれど、最近の作風は、分かりやすい悪、からかなり複雑になってきていて、悪といえど完全な悪ではない、というものが多くて、でも考えてみれば世の中そんな事で溢れている。
    わかりやすく言えば、虐待する親は、そのまた親に虐待されていたりするから、安易に虐待する親だけを指導すればそれで解決ってことじゃない。
    だから、扱うテーマによっては後味が必ずしもスッキリするわけではないし、伏線が全て明記されて回収されるわけではないのかな、と、そんな印象も同時に持った。
    そう、最終的にもやっとした部分がいくつか残ったのだ。

    今回は、ある不思議な能力を持つ中学校の先生が、「あの時救えなかった子」のことを思い、それが今目の前にいるその子ではないとわかっていながらも、「あの時」の挽回をはかろうとする、というところから物語は始まる。
    先生の不思議な能力とは、あることをされると、ちょっとだけ先の未来が見えてしまう、というもの。先生の教え子への思いとその能力によって、先生は次第に大きな事件へと巻き込まれてゆく。
    果たして、「未来」がわかる先生は「現在」、「過去」に救えなかったあの子を救うことができるのか…?

    未来がわかる、つまりこの先何が起こるかわかるということ=小説(作品)
    読者がその作品を読み始めた瞬間から、読者は主人公の未来を掌握しているし、主人公は自分の未来を読者にゆだねる。
    「神は死んだ」し、
    「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている」のである。
    今回の作品は、随所にニーチェの言葉が散りばめられており、読了後はニーチェの作品が読みたくなること間違いなし!
    (かく言うわたしはまだ読んでない)

    ちなみに、この作品を映画化するなら、ロシアンブルは西島秀俊さん(歳上すぎ?)、壇先生は妻夫木くんかなぁ、と思うのですが、読了したみなさん、いかがでしょう?

    • まことさん
      naonaonao16gさん。こんばんは!

      naonaonao16gさんと、伊坂さんのお話をしたことが、一度もなかったですよね。
      私も、伊...
      naonaonao16gさん。こんばんは!

      naonaonao16gさんと、伊坂さんのお話をしたことが、一度もなかったですよね。
      私も、伊坂さんが、オーデュボンの祈りで、みせてくださった、正義感にやられて以来のファンです。
      確かに初期作品は分かりやすい悪が中心でしたね。
      だから、私は、最近の伊坂さんより、いまだに初期作品を愛してやまないのだとわかりました。
      なんといっても、一番好きをマリアビートルにしているくらいだし。(王子の悪は最悪キャラでしたよね)
      映画の配役は、最近読書ばかりで、映画どころかテレビすら、観られなくなり、はっきり言ってわからない
      2021/10/31
    • まことさん
      途中で、切れてしまったので、続きです。
      のですが、妻夫木くんが、もう先生役の歳になっているのですね。よくわからないのですが、妻夫木くんに、一...
      途中で、切れてしまったので、続きです。
      のですが、妻夫木くんが、もう先生役の歳になっているのですね。よくわからないのですが、妻夫木くんに、一票です。
      あまり、お話になっていませんが、また、伊坂さんのお話ができれば嬉しいです。♪
      2021/10/31
    • naonaonao16gさん
      まことさん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます^^

      わたしも思ってました、まことさん、伊坂さんお好きですよね!
      オーデュボンの祈...
      まことさん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます^^

      わたしも思ってました、まことさん、伊坂さんお好きですよね!
      オーデュボンの祈り、あれは衝撃でした。桜(⤴︎︎︎イントネーション注意 笑)との出会い、運命だと思います(笑)
      王子は最悪ですが、深い存在ですよね。

      気になって調べてみたのですが、妻夫木くん、40歳でした…もう檀先生より全然歳上!(笑)びっくりです!

      また是非話しましょう!
      過去作品読み返してみたくなりました…!
      2021/10/31
  •  檀千郷は中学校で国語を教える真面目で気弱な若手教師だが、1つ異能がある。それは1日先の他人の未来を観ることができるという先見能力だ。

     現実、人生、運命。人間が生涯で幾度となく感じる不条理にどう対峙していくか。檀の奇妙な冒険を通して描かれる哲学サスペンスファンタジー。
              ◇
    「90年代にアフリカ、ルワンダで起きた虐殺のことは知っているか?」
     ロシアンブルは目の前にいる男に言った。
    「100日間で80万人が死んだ。はじまりは、ラジオ局だった。隣人を殺せと煽って……。」
     淡々と説明するロシアンブルのことばを引き取って、その隣にいるアメショーがこう続ける。
    「そのラジオ局を設立して民兵に資金提供した男が、煽った張本人の1人なんだけど、その男が25年間逃げて、捕まった」
     
     2人の前には椅子に縛り付けられた男がいる。自宅にいきなり踏み込まれて拘束され、ルワンダの虐殺事件の顛末を膝詰めで聞かされることに釈然としない顔をしている。この男の名を仮に罰村としておこう。

     罰村は当然理由を尋ね、こう提案した。
    「強盗? お金なら……」
    「強盗ではない」
     しかしロシアンブルがすぐ否定し、またもアメショーが続ける。
    「ナチ・ハンターのことは知っている?」
     罰村が首を振るのを見てアメショーが説明したところによると、命や大事なものを蔑ろにする人間は許されない。だからいくら逃げても探し出されて必ず見つかるし、そうじゃないといけない、ということだった。

     そして、アメショーがこう切り出した。
    「今から5年前、SNS上で〈猫ゴロシ〉、という名のアカウントがあった。知っているよね」
     後を受け、ロシアンブルが言う。
    「詳しいことは言わなくてもいいよな。あんたもよく知ってるだろ。〈猫ゴロシ〉の視聴者、支援者だったんだから。〈猫を地獄に送る会〉と自称していただろ? ネコジゴ、と」(「ロシアンブル」)

          * * * * *

     不思議な物語でした。

     第1話の「ロシアンブル」で、ネコジゴ・ハンターの2人が登場。猫の虐殺に加担した輩に正義の鉄槌を下す仕事人たちの話かと思いきや、実はこれは小説上の出来事であることが、第2話で明かされます。

     第2話では中学教師の檀千郷の視点で物語が進むのですが、ロシアンブルたちの話は檀の教え子である布藤鞠子の創作であり、鞠子が書き上げる各話ごとに檀が頼まれて読んで (※読まされて ) いるということなのです。

     ところが教え子の里見大地が明日の新幹線事故に遭うという未来を観てしまったことから、檀は内閣情報調査官である大地の父親に目をつけられ、図らずもテロに巻き込まれていくことになるのですが、ここが現実と創作の交錯ポイントでした。

     爆弾テロを計画する「サークル」によって拉致監禁された檀を救ったのが、なんとロシアンブルとアメショーの2人だったのです。
     これは現実なのか、はたまた架空の世界なのか。鞠子の創作を読んでいた檀は驚き戸惑いますが、物語を読むこちらも奇妙な感覚に包まれて読み進めることになるのです。

     
     あとがき ( 最初に読んでしまった ) によると、伊坂さんにとって作品のモチーフとなったのがニーチェの「永遠回帰」という思想だそうです。

     この世界は始まりから終わりまで、すべて同じことを繰り返すことで循環するものであるということを、自然の摂理として捉えています。
     人類がいかに叡智を蓄えようと世界は必ず終焉に向かう。いや、人類が叡智を蓄えれば蓄えるほど、世界が終焉に向かうスピードは加速していくのかも知れないと思ってしまいました。

     もしニーチェの思想が真理ならば、我々が悲劇と捉える出来事もその循環を形作る1つの要素でしかなく我々は移ろいゆく世界の傍観者に過ぎないのでしょうか。

     確かに、私たちの人生や日々の言動は、実は自身の意志による選択ではなくて誰かが設定したストーリーというか台本に沿って無意識に演じているだけのものではないか、と感じる瞬間があることはわかります。私たちは終焉に向けて時計の針を進める歯車なのかもと思ったりもします。
     
     それでも、この作品がニヒリズムを補強するだけのものであってはほしくないし、伊坂さんが希望の欠片もない物語を創るはずはないと思って、物語の行方を見届けずにはいられなくなりました。

     そんな期待に応えるかのように伊坂さんは檀のささやかな能力を最大限に活かして、うまい落としどころを用意してくれました。
     
     自分同様に拉致監禁されている大地の父親を救い出し、同時に爆弾テロを未然に防ぎたい檀。爆弾テログループの中にいる「ネコジゴ」の1人を拘束して制裁を加えたいロシアンブルたち。利害が一致した3人は、1日先の未来を少しだけ先見できる檀の能力を頼りに捜索するのですが……。

     後半は手に汗握るハラハラドキドキの連続です。荒唐無稽なストーリーなのに妙にリアリティを感じてしまう、伊坂ワールドの真骨頂でした。

     余談ですがロシアンブルとアメショーは、あの蜜柑と檸檬を思い出してしまいます。なかなか味のある仕事人コンビ。今後とも登場してくれることを期待しています。

  • 現実と小説の世界が混じり合い、しかも読者(神様?)の視点を意識させられて、なんだか不思議な感じだった。
    しかし、登場人物のキャラクターとリズミカルな会話でグイグイ話に引き込まれていった。
    ニーチェは恥ずかしながら全然わからないのですが、
    「人生で魂が震えるほどの幸福あったなら、それだけで、そのために永遠の人生が必要だったんだと感じることができる」
    その幸福は、棚ぼたみたいなものではなく、自分がやったぜと思えるものでなくてはならない。
    というのが、とても心に残った。

    『ネコジゴハンター』の二人には、また登場してほしいなぁ。
    ハラショー、アメショー、松尾芭蕉

  • 展開が早くスピード感があって面白いのだが、伊坂ワールド全開すぎて、なかなか理解が追いついていけない。
    他人の唾等で感染し、その人の翌日の事件を先行上映される映像が見えたり、教え子の小説の筋にいつの間にかハマっていったり。殺人者シリーズに似た不気味な二人組が出てくるのだが、結局相手は殺されたのだろうかとか、なぜ、小説に書かれたのだろうかとか考えてしまう。
    ニーチェの哲学のように、登場人物達さえ戸惑っているように見える。絶望の末の爆死も何故かと悩んでしまった。

    • fufufuyokoさん
      読んだことがない本、作家さん。なのにコメント読んだら「なるほど」と思い苦笑までしてしまいました。この本、読みたいような読まなくてもいいような...
      読んだことがない本、作家さん。なのにコメント読んだら「なるほど」と思い苦笑までしてしまいました。この本、読みたいような読まなくてもいいような(笑)
      2025/01/26
    • 浩太さん
      伊坂さんのファンは非常に多いので、批判的な意見は書きづらいですが、多数読んでもどうも私には理解仕切れないところです。つい筋をあれこれ書き込ん...
      伊坂さんのファンは非常に多いので、批判的な意見は書きづらいですが、多数読んでもどうも私には理解仕切れないところです。つい筋をあれこれ書き込んではネタバレで非表示にすべきか悩んでいます。
      2025/01/26
    • fufufuyokoさん
      「理解しきれない」という感想は大事な感想だと思います。他にもそういう小説ありますもの。私はその人が素直に感じた感想を読みたいです。意外だった...
      「理解しきれない」という感想は大事な感想だと思います。他にもそういう小説ありますもの。私はその人が素直に感じた感想を読みたいです。意外だったりな感想も気付きになって興味湧くし。この本も覚悟して(多分私も理解しきれないと思うから)いつか読みまーす
      2025/01/26
  • 他人の飛沫感染からその他人の未来を見る「先行上映」という能力者と小説から出てきた猫をいじめるものを対峙する二人組とでテロを止めるという奇想天外なストーリーに驚かせれました。

  • そのうち読もうと思って図書館の予約かごに入れていたんですね。
    で、ずっと予約数ゼロだったのに、ある日気付いたら予約数が増えてた。
    伊坂幸太郎の他の本も同様で。
    え?伊坂幸太郎プッシュアップ企画でも始まったんかいな?と思ってとりあえず流行りに乗って予約した。
    もちろん暫く待ったよね。
    突然の伊坂幸太郎ブームの謎は謎なままなんだけどね。

    いつものように読み始め、今回は作中作ですかと思いながら読んでいたんだけど、あれあれ?気付いたら現実世界とリンクしてきたぞ?ありゃりゃりゃ?
    とまぁこんな感じで今回もしてやられた訳です。

    壇先生の言う通りの結末だったらいいな、そうなってるといいなって思った。
    そうであってほしいと思ったラストでした。

  • まだ「逆ソクラテス」が図書館の順番が来なくて、こんなに出遅れている時点で伊坂さんのファン失格だ。
    というか「ファンなら買え」か…
    そういえば、伊坂さんの本は、なぜか単行本を一冊も持っていない…。いつでも出迎えてくれるような安心感があるのよね、だからがつがつ新刊で読まなくても大丈夫!…とよくわからない言い訳してみる。

    しかし、この本はどういうわけか、オーディブルの新刊で見て、「すぐ聴きたい!」と思った。

    まことさんやnaonaonao16gさんのレビュー読んだからか?
    乗り遅れてはいけない気がしてぽちっとする。

    しかし、いきなり「登場人物表」を読み上げられる。そういえばnaonaonao16gさんのレビューに書いてあったな…。
    にわかに不安になる。「登場人物表作らねばならないほど登場人物が多いのか?ただでさえ人の名前を覚えられない僕が耳だけでストーリーについていけるのか?」と。

    しかし、それは無用な心配だった。登場人物の名前を覚えやすくなる仕掛けがあるし、上手な文章は聴くだけですいすい頭に入っていく。

    伊坂さんの文章のわかりやすさ、素晴らしさを朗読を聴くことで改めて思い知りました。

    さて、この作品において、ニーチェの「永遠回帰」という思想が1つのテーマとなっている。
    経験が一回限り繰り返されるという世界観ではなく、超人的な意思によってある瞬間とまったく同じ瞬間を次々に、永劫的に繰り返すことを確立するという思想。

    人生、どうあがいても、同じことの繰り返し…ってうんざりする考え方ですよね。
    でも、この作品ではそこに伊坂風解釈を加え、自分らしく生きていくことの重要性を説いていると僕は解釈しました。生きていく力をもらいました。

    伊坂作品の一貫したテーマである、「何が善で何が悪か」は相変わらずひねりが効いていて、だからこそ考えさせられるのだけど、最後は落ち着くところに落ち着いた。

    そして、作中に登場するThe Beatles の「A Day In The Life」は僕が人生で出会った中で最も好きな曲だ。初めて聴いた時、間奏とラストのオーケストラの不協和音に「この不穏で調和のなさこそ人生だ!」と、当時中二の僕は悟った(つもりになった)のを思い出した。

    2021年10月発表

  • 伊坂さんの本を読むと、いつもニヤニヤしてしまう。
    今回もとても楽しかった。
    途中で二つの話が繋がって、きたきたこの感じ!と喜んだけど、はたと気づいた。あれ、片方は現実の話じゃなかったよな、小説だったよな?と。
    頭の中が混乱するのもまた面白かった。

    緑デミオが一瞬登場!
    ロシアンブルとアメショーにも、またどこか他の作品で会えるかな?

  • やっぱり伊坂幸太郎はおもしろい!
    伊坂さんの本はほとんど読んでいますが、すべてがおもしろいのです
    走り出したら止まらない ように 読み出したら止まらない。そしてもう一緒に駆け出しているのです。この本もそうでした
    作中に出てくるビートルズの「ア.デイ.イン.ザ.ライフ」を実際に聴きながら、
    「どうにもならないことを心配しても仕方がない。目の前のことをやるしかない」
    と、心に誓っていました!

  • 「飛沫感染」で未来が見えるという設定。
    正直、あのコロナ禍の暗澹たる空気感を思い出してしまって、最初は少し気が滅入った。飛沫は不穏の象徴でしかない。けれど、その不快な条件から始まる「先行上映」という仕掛けには、嫌でも好奇心をそそられてしまう。
    女子中学生正門落下複雑骨折事件。
    見たくもない断片的な未来を突きつけられて、私たちはそれをどうにか「ブラッシュアップ」できるんじゃないかと期待してしまうけれど。

    作中で語られるニーチェの「永劫回帰」。
    人生に修正なんて効かないし、同じことが無限にループするだけ。そんな救いのない哲学を突きつけられると、いっそ開き直るしかない。
    そこで響くのが、檀先生のお母さんの言葉だ。
    • 「大事なことは『想像してみること』
    • 「ヘディングの精神でいきなさい」
    これ、ニーチェの難解な本を100回読むより、よっぽど腑に落ちる。
    飛んできたボール(回避不能な運命)から逃げるんじゃなくて、あえて自分から頭をぶつけにいく。痛いかもしれないけど、ボールを飛ばす方向は自分で決められる。
    要は、「思考停止して運命に流されるな、自分で考えろ」ってことなんだろう。

    女子生徒が書く小説が現実を侵食して、バラバラのピースがパチパチと嵌まっていく。その手際の良さはさすが伊坂さん、という感じ。
    でも、パズルが解けたからといって、世界が急に明るくなるわけじゃない。「未来は変えられる」なんてキラキラした話でもない。
    ただ、「降りかかってくる災難に対して、いかに想像力を使って、当事者として頭をぶつけにいくか」。
    物語の力なんて、案外そんな小さな抵抗のためにあるのかもしれない。
    「想像力」という名の孤独なヘディング。それを冷めた視線で、でもどこか誠実に描き切った、そんな一冊だった。

  • 他人の視点による未来をわずかかばかり体験する”先行上映”の特殊能力を持つ壇先生が巻き込まれたテロ被害者達の暴走計画とネコジゴハンター(なんだそれ?)の物語。

    最近現実世界でもよく感じる割とマジな「その計画って自分達だけでやって欲しい」のやるせなさの中に、そんなものはどこ吹く風で、唯一的な目的を備えた復讐劇を遂行していくちょっととぼけたネコジゴハンター達を混ぜ込む伊坂節。
    こんなにも辛い人生の意味とは、復讐の無意味さ、人生に光をもたらすたった一つの幸福とはについてモヤモヤといろいろ考えてしまう。

    ライトなタッチで考えさせるシリアスな問題という”らしさ”は健在なのだが、布藤さんはどうなったとか、部長にオチはないのかとか、どこか締めがゆるーく感じてしまった。
    ”辞書を盗みに行く話”とか”2階から春が落ちてくる話"とか"演説するギャングの話"とかがどうにも懐かしくなってしまう今日この頃。

  • 中学校の国語教師、壇先生は、ある日教え子から小説を書いたので読んで欲しいと渡される。
    その物語はロシアンブルとアメショーと呼ばれる二人が、過去に猫を虐待した人物を次々と懲らしめて回る物語。
    一方、壇先生にはとある秘密が。
    壇先生は次第に大きな事件に巻き込まれてゆくが、そこに何故かロシアンブルとアメショーも登場し、あれ?彼らは物語の登場人物ではなかったか??
    この世界、どーなってるの???

    作中、ニーチェの『ツァラトゥストラ』が度々キーワードとして用いられるけれど、残念ながら私は未読。
    『ツァラトゥストラ』の内容を理解していたら、もっともっとその仕掛けを楽しめたのだろうな。
    「人生で魂が震えるほどの幸福があったなら、それだけで、そのために永遠の人生が必要だったんだと感じることができる」
    「これが、生きるってことだったのか。よし、もう一度!」
    (本作中、ツァラトゥストラより)

    でも後半に向かう程どんどんスピード感が増していくので、『ツァラトゥストラ』を知らなくても引き込まれてゆく。
    そして、壇先生とロシアンブルたちが交錯したように、読者である私達もその交錯に巻き込まれてゆく!!(メタフィクション要素あり)
    こういうところ、伊坂さんは毎回上手い。
    伊坂さんらしい軽快さとスピードで、あっちとこっちが絡み合う巧みな仕掛け。

    最後はタイトルも回収される。
    バイオレンス要素って私はちょっと苦手だし、細かな不思議さは残るものの、これまた伊坂さんらしく爽快さを感じるラストだった。

    おまけに付いていた初回限定ポストカードには、伊坂さんからのこんなメッセージが記されていた。
    「興味あることや好きなもの、心配なことや怖いことを詰め込んだところ、今までの自分の小説の特徴が集まったような物語になりました。」
    このメッセージが全てを言い表している。

  • 伊坂ワールド全開。

    中学教師・檀先生の特殊能力に生徒が書いた小説がリンクしながら物語が進行していく。

    小説の中の二人組のキャラが絶妙すぎて面白い。
    …で、現実なのかなんなのか。

    未来を覗き、現在を調整しながら人の気持ちを前向きにさせていく。

    長編なのにネゴジゴハンダーの活躍をもっと、と所望してしまった。

  • 中学教師の壇は、生徒から自作の小説を渡される。
    小説の中では〈ネコジゴハンター〉のふたり組がえがかれていて……。

    ある信念をもって、暴力的に職務を遂行する。
    アメショーとロシアンブルが、いかにも筆者らしいキャラクターで、魅力的。
    ふたりの掛け合いが、たのしかった。

    メタ視点あり、ニーチェ論あり。

    アメショーとロシアンブルが強烈で、壇と〈サークル〉の話の方は、やや影が薄かった。

  • 飛沫感染で他人の未来が少しだけ判る「先行上映」という能力を持つ中学国語教師の壇。この能力で教え子の危機を救った事がきっかけとなり、ある事件に巻き込まれていく。間に挟まる別の生徒が書いた猫虐待扇動者を懲らしめていくネコジゴハンターの二人の小説が伊坂節全開で楽しい。この小説と現実が混ざりあっていくのでファンタジーか?時々登場人物が読者の存在をちらつかせてくるし、と思っていたらきちんと折り合いがついたのは流石。ニーチェの「永劫回帰」を咀嚼した上での壇先生の未来への踏み出し方が暗い方向じゃなくて良かった。ニーチェ先生、昔ツァラトゥストラ挑戦して挫折したけど再読したら少しは理解出来るかなぁ。シアンとアメショー、別の作品でも登場するかな?

  • 「僕たちのことを上から見ている誰か。神様みたいに」
    「自分は小説の中の登場人物だ」
    小説の中でアメショーが言う

    『本来はそこにいない、別の隠れた場所に存在するものが、あたかもいるかのように登場する』
    それがペッパーズ・ゴースト

    『こんなにちゃんとやっているのに。もっとひどい目に遭うべき人間はいるだろうに』壇先生の怒り

    〈先行上映〉を観ることができる壇先生。
    カンフーの使い手、成海彪子。
    今回も魅力的な登場人物が動き回る
    中でも小説から抜け出たように思われたネコジゴハンター、アメショーとロシアンブルに救われました

    最後に私たち読者『事件の後日談を知りたい者』を意識した壇先生の語り口にはどきっとしました

  • 伊坂幸太郎ワールド全快!

    この本の前に読んでいた別著者の作品が
    なかなか読み終わらず、とうとう挫折。
    (いつもはその人のも面白いのに)
    最近分厚い本ばかり手にしていて
    とうとう文字を追うことに飽きてきたのかと心配になってたら、全くの杞憂でした。
    面白い本はあっという間に読み終わります。

    アメショーとロシアンブル
    残酷だけどネコ愛に溢れた二人組が伊坂作品らしい。オシャレなやり取りがいちいち面白い。

    小説の世界から飛び出した2人が
    現実世界の檀先生と出会うシーンなんてワクワクしました。

    この小説を読む自分に 
    話しかけられてるような場面もあり、自分の世界とも交錯していくような感覚になりました。

    檀先生が教え子の父親の行方を探すうちに
    繋がったテロ被害者遺族のサークルが
    テロを起こそうとしていてるのですが
    その理由が釈然としません。
    前例を作る、抑止力になる
    という後付けの理由にも少し無理があるような。

    ニーチェの言葉が重要なテーマとなっていて
    巻末にも伊坂幸太郎自身の言葉で触れています。
    「人生で魂が震えるほどの幸福があったなら、それだけで、そのために永遠の人生が必要だったんだと感じることができる」
    「これが生きるってことだったのか、よし、もう一度と」

    テロ被害者やその遺族の方にとっては
    この言葉をどのように捉えたら良いのか。
    「前例とする」「抑止力となる」テロを
    あえて起こして
    自分たちはやられっぱなしではない
    自分たちの生きた証を残したいと思ったのだろうか。

    本当はそこを檀先生の未来を見る力で救ってほしかった。

    オシャレな小気味良い話だけではない、
    考えさせられるものがありました。

    檀先生のちょっと先の未来が見える「先行上映」の話だけど
    先日なでしこの澤穂希さんがテレビで
    旦那さんが翌日骨折するのを予見してたり
    現役の頃その日に得点する選手がなんとなくわかったりしたという話をしていて
    「それって先行上映じゃん!」と思いました。

    ファンタジーでなく、本当にそんな能力持ってる人が他にもいるのかも?

  • めっちゃ面白かった〜〜!!

    他の方の感想とか見てると結構、好き嫌い分かれる作品なのかな?
    今までの集大成♬『得意パターン全部乗せ!』って伊坂さんが言われてたけど、そんなに伊坂さん読んでなくて
    (〃ω〃)
    リンクしてる登場人物にも、よく言われてる蜜柑と檸檬の事も分からない(>_<)
    だけども凄くワクワク!楽しい読書タイムでした!

    〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎
    中学校の教師の壇は、ある条件下で他人の明日が少しだけ見えるという特殊能力を持っていた。
    彼は生徒から奇妙なコンビ『ネコジゴハンター』が暴れ回る小説原稿を渡された。

    未来と過去が絡まり、世界は変転していく
    〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎

    書かれてる内容は、真面目な人ほど痛い目に合うみたいな理不尽さや、目には目をみたいなちょっと残虐なとこもあったり、よく考えると軽い内容ではないんだけど、エンタメ的な軽快なテンポでクスクス笑えて楽しかった♪♪
    作中作もややこしいんだけど、そのややこしさがまた面白いんだな〜

    この作品に出てくる"ニーチェ" 私には難しそうで読む事はないかもだけど、永遠回帰の考え方にはちょっと興味が湧きました☆

    なんといってもキャラが良かった!
    壇先生や先生のお母さんが好き。
    ロシアンブルとアメショーのコンビがまた最高にいい!
    これは早く蜜柑と檸檬のコンビにも会いたいな\♡/"
    何気に、ネコジゴの"罪森罰太郎"とか"悪野悪美"とかいう適当?なネーミングセンスもツボでした♡♡

  • 相変わらずの安定感。
    ただ、それ以上でも、それ以下でも無く。 ★3.5

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著者プロフィール

伊坂幸太郎・作家。1971年千葉県生まれ。95年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、短編「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞、08年『ゴールデンスランバー』で第21回山本周五郎賞・第5回本屋大賞、14年『マリアビートル』で大学読書人大賞、17年『AX アックス』で第6回静岡書店大賞、20年『逆ソクラテス』で第33回柴田錬三郎賞を受賞

「2026年 『777 トリプルセブン(角川文庫)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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