君のクイズ

  • 朝日新聞出版
3.40
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022518378

作品紹介・あらすじ

面白すぎる!! 驚くべき謎を解くミステリーとしても最高だし、こんなに興奮する小説に出会ったのも久しぶり。頼まれてもいないのに「推薦コメントを書かせて!」とお願いしてしまいました。小川哲さん、ほんとすごいな。――伊坂幸太郎氏一度本を開いたらもう終わりだ。面白すぎてそのまま読み切ってしまった。熱くて、ワクワクして、予想もつかない感動が襲ってくる。ミステリーでも、バトルものでも、人生ドラマでもある。でもそれだけじゃない。ジャンルはたぶん「面白い小説」だ。――佐久間宣行氏   *    *     *     *『ゲームの王国』『嘘と正典』『地図と拳』。一作ごとに現代小説の到達点を更新し続ける著者の才気がほとばしる、唯一無二の<クイズ小説>が誕生しました。雑誌掲載時から共同通信や図書新聞の文芸時評等に取り上げられ、またSNSでも盛り上がりを見せる、話題沸騰の一冊です!ストーリー:生放送のTV番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場したクイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。いったい彼はなぜ、正答できたのか? 真相を解明しようと彼について調べ、決勝戦を1問ずつ振り返る三島はやがて、自らの記憶も掘り起こしていくことになり――。読めば、クイズプレーヤーの思考と世界がまるごと体験できる。人生のある瞬間が鮮やかによみがえる。そして読後、あなたの「知る」は更新される! 「不可能犯罪」を解く一気読み必至の卓抜したミステリーにして、エモーショナルなのに知的興奮に満ちた超エンターテインメント!『地図と拳』にて第168回直木賞を受賞した小川哲さんの、
新たな魅力あふれる極上のエンターテインメント作品であり、もう一つの代表作です!

感想・レビュー・書評

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  • ピンポン!新感覚ミステリー。

    「競技クイズ」というニッチを、深みのある物語に仕上げた作者に感嘆した。
    はたして面白いのかと半信半疑だったが、すぐに頭の中で正解音(ピンポン)が鳴る。

    賞金1000万円が懸かったクイズ番組決勝で起こった不思議な事件。
    そのクイズ問題の<謎解き>と、主人公の人生をリンクさせる構成が巧みで、物語にぐっと引き込まれた。

    そして、オチ(あえてオチという)に感情を揺さぶられ、タイトル『君のクイズ』が意味を成す。

    なかなか他に見ないお話で、楽しめること間違いなし。事前情報を入れずに、ぜひ読んでみてください。

    • ちゃたさん
      tomoyukiさん
      ちゃたと申します。いつも「いいね」ありがとうございます。本書、私も気になっていました。是非読みたいと思います。
      tomoyukiさん
      ちゃたと申します。いつも「いいね」ありがとうございます。本書、私も気になっていました。是非読みたいと思います。
      2024/01/20
    • Tomoyukiさん
      ちゃたさん、こちらこそ有難うございます(^^)
      ぜひぜひ!
      不思議な読後感でした。面白かったです。
      ちゃたさん、こちらこそ有難うございます(^^)
      ぜひぜひ!
      不思議な読後感でした。面白かったです。
      2024/01/20
  • 私にとって、『地図と拳』依頼の久しぶりの小川哲さんの作品を読了した。『地図と拳』とは違った小川さんの作品の魅力を存分に味わった。中心人物は三島玲央。三島が語るといった内容で物語は進んでいく。もう一人の重要な登場人物は本床絆。本庄は、東大医学部4年生で21歳。「世界を頭の中に保存した男」「万物を記憶した男」「クイズの魔法使い」と呼ばれていた。テレビのクイズ番組で活躍している有名な男。

    舞台は六本木のスタジオで放送されている『Qー1グランプリ』のファイナル。優勝賞金は一千万円。三島と本庄の対決。冒頭シーンは、三島6問、本庄5問の場面から始まる。7問先取で優勝なので、三島はあと1問取れば優勝という状況。三島の内心語が緊張感を描写していて、それが想像世界の中で伝わってくる。テレビで、このような場面を観たことがあるので、その場面と重なっていく。次の問題を取ったのは、本庄。これで6問同士になる。いよいよ、次の問題を取った方が優勝ということになる。冒頭から緊張感を感じながら、ページを捲っていく。ここで、予期せぬことが起こる。それは、MCが「問題」と言った瞬間に起こった。本庄が解答ボタンを押し、答える。「ママ.クリーニング小野寺よ」と。一瞬何が起こったのか分からなくなる。問題が読まれていないことは理解できたし、何の手掛かりもないのに答えた内容が「ママ.クリーニング小野寺よ」と言ったということは分かったけれど、その上で、この状況が理解できなかった。そして、さらに、本庄の答えが正解だったのだ。つまり、優勝は本庄。この不思議な状況が、この物語の中心的な話となっていく。読みながら不可解である本庄の解答をめぐって、三島はテレビ局や本庄本人に、様々な疑問を問いかける。それは、そうだろうなと思う。そこから、三島や本庄の背景、『Q-1グランプリ』そのものについて、明らかになっていく。徐々に明らかになっていくことが、そうだったのかと思わず唸ることもあり、関心を持って読み進めた。

    重要な登場人物となる、クイズ番組の総合演出、坂田泰彦。

    番組終了後に、クイズ出演者や放送を観ていた人、本庄絆のファン、クイズのファン、それぞれの思いが番組に寄せられる。その中には、疑問、不信、賞賛、感嘆と人それぞれ。その中で、ヤラセを疑う声も届く。対戦相手の三島も、そのことを疑っていた。しかし、本当にそうなのかという戸惑いもあった。それが、この物語で明らかになっていくのだろうなと期待しながら読み進める。三島のやりきれない気持ちを身近に想像しながらも、本庄の正体も知りたいという気持ちも膨らむ。そのような中、テレビ局から謝罪と対応に係るメッセージが出る。それは、不正はなかったが混乱を招いたことへの謝罪と同様の形でのクイズ大会の中止、そして、本庄絆から優勝金額とトロフィーの返還があったことであった。釈然としない内容だなと、読みながら感じていた。それは、三島が強く感じていたことと同じだった。すっかり、登場人物にハマっているのだろうなと思って、それはそれで楽しく感じられた。三島のクイズへの熱量を感じたからかもしれないな。三島は、自分で調べるしかない、と覚悟を決める。

    そして、その状況を「僕はクイズを解く」と表されたところに面白いなと思った。その表現は「Q .なぜ本城絆は第一回『Q-1グランプリ』の最終問題において、一文字も読まれていないクイズに正解できたのか?」であった。この表現によって、このクイズの答えを探しながら読む思考が働く。読書をしていて初めての感覚であった。三島が発したこのクイズの解答への興味が膨らんでいく。

    そして、三島対本庄の決勝戦のシーンが、第1問から再現される。MCが問題を読む。最初のわずかな言葉が出ると、すぐさまに解答ボタンを押す三島。そして、正解。三島が1問先取。その問題は三島の小学生時代の出来事と繋がっていた。深夜にトイレに起きた時に、中学生の兄が聴いていた深夜のラジオ番組。そして、三島が大学生になってクイズ研究会に所属し、「深夜」にまつわる問題を探していたときに思い起こされた小学生時代の記憶。そこから、そのラジオ番組をあらためて聴き、兄に連絡を取る。兄もまた、ずっとそのラジオ番組を愛聴していた。そんな三島自身の生活に近い問題であったことが明らかになる。私の身近にはないクイズではあるけれど、そう考えるとクイズは自分とのつながりがあるものについては、解答しやすくなるのかもなと想像していた。

    第2問、また最初のわずかな言葉で、解答ボタンが鳴る。両者がボタンを押していた。わずかに早かったのは三島。また、正解。小説名が解答。この問題も、三島にとって身近な問題であった。それは、父が持っていた書籍の中の一冊であったから。そのタイトルを何度も目にしていた。そして、内容を読まずに空想で楽しんでいたが、あるきっかけでその本を読む。そして、三島はその作品を知ることになる。本を手に取るきっかけにはそのような場合もあるかもな。身近にあっても読んでない本、そんな本を手にする瞬間が訪れることもある。それが面白いな。本庄は2問を先取されたことになる。MCが本庄に心境についてコメントを求める。そのコメントが面白い。そこが、三島にはない本庄の魅力となっている。その対比も、また二人の素性の違いを鮮明にしていた。クイズの強さではないそのコメント力が、三島にとっては叶わないものとして感じられていた。人とのやりとりで面白いことを言えるかどうかは、何が違うのだろうかな。それは、人によって違うのは分かるけれど。ただ、私の生活では求めていないし、求められてもいないものかもな。それが、テレビの世界では求められるものなのだろうな。三島も本庄もクイズという媒体で出演している一般の人なのだけれど。

    第3問、同様のスピードで、解答者のボタンが鳴る。三島は解答ボタンを押せていない。本庄が解答する。これで、三島2問、本庄1問となる。この問題は、該当するノーベル物理学賞の受賞者を解答する内容だった。本庄絆のクイズにおける伝説の中に、歴代ノーベル文学賞の受賞者を完全解答した、というものがあった。この解答で三島が思い出す。そんなことが、できるのだろうか。丸暗記をするといっても、記号を覚えるように意味を感じないものを覚える、ということができるのだろうか。この時、私の想像を超える力が、本庄にあるのだろうなという想像が広がり、その人物の個性が際立っていく感覚があった。

    第4問、同様のスピードで両者が解答ボタンを押す。わずかに早かったのは本庄。ここで初めて誤答をする。誤答が許されるのは2回まで。問題は、登山できる山に関する内容。この問題は、地震によって順番が変わったという内容。そんなこともあるのだなと新鮮に思う。三島が解答できれば正解だった。この後、三島は本庄の弟、本庄裕翔と会うことができた。そして、本庄絆の小学生、中学生時代の回想場面になる。本庄にとっては、苦しい状況にあった中学生の頃が明らかになる。そして、その時暮らしていた場所が、山形県鶴岡市。ここで、最終問題の「ママ.クリーニング小野寺よ」とつながる。このクリーニング店は山形県を中心とするチェーン店だった。少しずつ、この問題への解答の背景に近づいているという思いを膨らませながら、さらに先を読み進めていく。

    第5問。この問題でも、反応が早く解答ボタンが押される。押したのは三島。正解。これで三島3問、本庄1問。問題の内容は名刀と言われた日本刀に関する内容だった。この問題も、三島のこれまでの経験とつながりが深いものだった。それは、三島が付き合っていた女の子、桐崎の趣向に関係していた。そこから、そのエピソードについての回想場面が描かれている。そのエピソードは、微笑ましく純粋だなと感じた。それは、物事に実直で真っ直ぐな感じを受ける三島の人物像と重なった。

    第6問。またも早押し。解答者は三島。初めての不正解。これで、三島3問、本庄1問は変わらず。

    第7問。またも早押し。両者が解答ボタンを押す。早かったのは本庄。正解。三島3問、本庄2問。本庄が1問差に追い上げた。内容は三大学術誌に関する内容。私の身近になないものだけれど、本庄は高校生の頃から読んでいるということ。これは、本庄のこれまでの経験に関係する問題だっということだろうか。この辺りは、MCとのやりとりなので、どこまでがリップサービスなのかは計りかねる状況ではある。作品世界の中で、さらに想像の世界が入り込んでいるような内容となっていて、想像が広がる。この辺りも小川さんの作品世界の描写の面白さなのだろうな。

    第8問。またも早押しとなり両者が解答ボタンを押す。解答権は三島に。そして、正解。これで、三島4問、本庄2問。この問題の内容は、三島が経験したことと関連していた。それは、かつて見たことのある黒烏龍茶のポスターに記載されていた内容だった。面白いのは、そのポスターに書かれている内容だけでなく、そのポスターを目にするまでに至るエピソードが鮮明だったこと。記憶に残ることとは、部分的な物だけではなく、その記憶につながるストーリーと組み合わせて記憶するのかもしれないな。そんなことを想像しながら、さらに読み進めた。

    第9問。本庄のみが早押しする。そして、解答。正解。これで、三島4問、本庄3問。どちらも譲らない、白熱した展開が続く。三島は、この問題をVTRで見直し、ある仮説を立てる。それは、クイズプレーヤーが解答する見極めとなるポイント、確定ポイントについてだった。クイズにそのようなポイントが存在することへの驚きと新鮮さを感じた。ただ、読みながら説得力のある三島の分析に、納得する感覚も得ていた。さらに、そういった視点で物語を作っている小川哲さんの作品にかける熱量も感じた。それらが合わさって、この物語の味わいや魅力になっているのだろうな。この問題は世界史に関する内容だった。この内容は、三島の得意分野。しかし、ボタンを押して正解したのは本庄。MCと本庄のやりとりの中で、本庄は話す。三島の得意分野を知っているので研究してきたのだと。それは、準決勝の相手にも同様に研究してきたと。その話を信じられると思ってしまう三島。この辺りの内容は、何が本当なのかは分からない。それは私がクイズや世界史というものを身近に感じられないからなのだろうな。それゆえに、想像の世界は広がっているのだけれど。

    第10問。またまた早押し。本庄が解答ボタンを押す。三島は押せず。本庄が解答し、正解。これで三島4問、本庄4問と並ぶ。この問題は淡路島に関する内容だった。この内容は、本庄との繋がりのある内容だった。また、過去に類似のクイズで誤答していることもあったという。この辺りの背景が、本庄の人物像をより鮮明にしていく。私の中でも、徐々に本庄のイメージが出来上がっていく。さらに、三島による新たな仮説が出てくる。それは、本庄と総合演出の坂田安彦の関係によるもの。本庄と坂田は、これまでもクイズ番組の制作において、クイズプレーヤーと演出という関係で携わってきた。その経緯を踏まえて、三島は無問解答が起こりうる様々な可能性を考える。しかし、それはあくまでも三島の想像であり、その域を超えないため、真実は不明のままである。そこに、三島の苦しさがある。三島のクイズにかける情熱を思うと、はっきりしない状況が苦しくなるのも想像できる。この状況を打破するには、本庄自身が明らかにするよりない。それは、登場人物である三島も、読者である私も、同様に感じていること。その場面がいつ訪れるのかを期待しながら、さらに読み進める。

    第11問。ここで初めて両者が早押しせず、問題文が読み続けられ、三島が解答ボタンを押す。大きくない声で解答。しかし、正解。これで、三島5問、本庄4問。再び、三島が先行。この問題の内容は三島がかつて付き合っていた桐崎の趣味と関係していた。ここで、桐崎と別れることになった顛末やその後の三島が過ごした日々の回想シーンとなる。桐崎との別れの辛さや悲しみを癒してくれたのは、クイズでありクイズを通した友人だった。全てがクイズに繋がっている三島の生き方。私の身近にないことだけに面白さと興味が湧いていく、不思議な感覚を味わっていた。

    第12問。本庄が早押しで解答ボタンを押す。解答するが、2回目の誤答。これで、この後の問題での誤答はできない状況になる本庄。プレッシャーがかかる状況へと追い込まれた。三島5問、本庄4問は変わらず。この問題の内容は、三島が住んでいた千葉市に関係するものだった。そのことは、問題文がもう少し読まれていたら、分かったことだった。つまり、本庄には難しく、三島には易しい問題であったということ。結果的には、三島は解答ボタンを押せなかったが、本庄が誤答をしたため、優位に立った。1問ごとに状況が変化していき、この先を知りたいという思いと緊張感が高まっていく。想像世界の中での不思議な感覚が続く。

    第13問。MCの四文字の単語に反応し、本庄が解答ボタンを押す。そして、解答し正解する。MCの5文字目の口形を見て判断したのだという。本庄が解答するまでのわずかな時間に、三島も正解に気づいていた。これがクイズプレーヤーの経験値なのだろうか。クイズを研究すると、このように敏感に反応することができるようになっていくものなのだろうか。私にとって未知の不思議な世界がさらに広がっていく。これで、三島5問、本庄5問となり、並ぶ。そして、このクイズ番組を振り返りながら、三島はさらに鋭く問題や番組構成について推測する。そのキーワードは生放送だった。生放送とは、限られた時間内に成立すること、そして盛り上がりが生まれやすくするということ。この2点から、決勝で両者が無回答になることを避ける。だとすると、三島か本庄か、いずれかが正解する必要があるという考え。この推測に思わず唸りながら、そうだよなと納得していた。

    第14問。今度はさらに短く、MCの三文字の言葉に反応し、両者が解答ボタンを押す。解答権は三島。ボタンを押した後、さらにMCは二文字読んでいた。そこから解答を推察して導き出し、正解。これで三島6問、本庄5問となり、三島が後1問で優勝となるところまできた。この問題の内容は競馬に関するものであった。三島は、過去に競馬の番組から依頼されて、問題作成に取り組んでいた。ということは、この問題は三島とつながりがあるということになる。無問解答の謎へ近づいている気持ちにはなるが、はっきりとしない。先を読みたくて、ページを捲るスピードが速くなっていく。

    第15問。どちらも慎重になっているのか、MCが問題を読み進めていく。本条が解答ボタンを押す。そして、正解。これで6問同士となる。いよいよ、次の問題で優勝が決まるという緊迫した状況となり、あの無問回答の場面となる。そして、いよいよラストに向かう場面は、本庄から直接話したいとのメールが、三島に届く。いよいよ真実が明らかになるという期待感が増し、さらにページを捲るスピードが速くなる。その内容には、三島の推測を超えていく、今回のクイズ番組に出演するための本庄の入念な準備があった。本庄の本当の目的が明らかになるとき、三島の心中を想像して苦しい気持ちになる。それは三島にとってのクイズと本庄にとってのクイズは、全く違った意味をもっていたことが分かったから。

    クイズを通して人の生き方について考えてしまうようにな思いになった。そこまで作品世界に没頭していたのだろうか。改めて、この作品の魅力を感じている。小川哲さんの『地図と拳』との作品世界の違いを感じつつ、また違う作品を読んでみたいなとも思った。違う世界を描く小川さんの作品作りの熱量を感じる1冊だった。

  • 基本的に尖った題材を扱う小説は好みではあるが、やっぱり問題を出る前に答えてしまうという高い前振りや期待感に対するアンサーの質(ポジティブやネガティブの意味)があまりにもで、読後感が良くないのがもったいなかったかな、と。
    明らかにヤラセにしか思えないまま、話が進んでいくことも、モヤモヤとしながら読まされ、オチも根っこはそのようなもので、消化しきれなかった。
    個人的にはそうきたか!と気持ちよくやられた感で、読み終えたかったこともあり、やや迷ったがこのくらいの評価に。 ★3.2

  • ひゃー、面白かった。
    何だこの本!?
    これまで読んだことのないジャンルの本だ(笑)
    これってミステリか!?

    最初から最後までクイズだ(笑)
    人生までもがクイズだ(笑)

    クイズの答えは経験であって、記憶であって、人生であるのか!

    ピンポーン!!!

    確かに肯定だ!
    この音は自分を肯定してくれる音だ!


    凄いなこの本。
    この着想。

    うわぁ、びっくりした。
    面白くて一気読みしてしまった(*^▽^*)

  • クイズ番組で、問題の最初の部分を聞いただけで正解する人を見るたびに不思議だったが、そういう戦い方をしていたのかと納得。
    物語の舞台となる『Q-1グランプリ』のような、答えを聞いてもわからないような難しすぎるクイズ番組は普段見ないが、これを読んだら見たくなった。

    だんだん真相に近づいていくのが面白くて一気に読めたが、オチがあまり好きではなかった。
    その一歩手前までがよかったなー。
    感動してたのに、えっ?ってなってしまった。
    でも「クイズが自分の人生を肯定してくれた」というのは本当だと思う。
    自分を肯定してもらえるって本当に生きる力になるよね。

  • 小川哲さんの作品は以前に何か(すいませんタイトルを忘れました)読もうとして途中で挫折したことがあり、この本はすらすら読めるけど一体何の話なのかと思いながら読みました。

    三島玲央と本庄絆は第一回『Qー1グランプリ』でクイズのファイナリストを争います。
    賞金は1千万円。

    しかし、最終問題で三島の対戦相手の本庄は問題が読まれる前に解答ボタンを押して優勝してしまいました。
    三島は本庄と出題者の坂田泰彦がグルでやらせをしていたと疑いをもち、真相を考えていきます。

    これも、ミステリーなのかなと思いました。
    最後に三島は本庄がなぜ問題が読まれる前に解答ができたのかを明らかにします。

    最後、三島の頭の中に「問題」という声が聞こえます。
    「ずばり、クイズとはなんでしょう」
    三島は答えます。
    「クイズとは人生である」。
    そういう人もいるのだなと思いました。


    さて、余談ですが。
    本庄が最後に問題が読まれる前に答えた問題は
    「Q 『ビューティフル、ビューティフル、ビューティフルライフ』の歌でお馴染み、天気予報番組『ぷちウェザー』の提供やユニークなローカルCMでも知られる、山形県を中心に四県に店舗を構えるクリーニングチェーンは何でしょう?A 『ママ、クリーニング小野寺よ』」でした。

    個人的にこのCMは私の地元で流れているので、この作品全体に親しみをもつことができました。
    結構、耳について離れないメロディーで、時々歌っていました。
    ちなみに続きはこの作品には書いてありませんが「はやくて、きれいな、ママ、クリーニング小野寺よ」です。

    • まことさん
      たけさん♪

      YouTubeってCM曲まで聴けるのですね!
      知らなかった!
      「ママ、クリーニング小野寺よ」は最後の苗字を自分の苗字に...
      たけさん♪

      YouTubeってCM曲まで聴けるのですね!
      知らなかった!
      「ママ、クリーニング小野寺よ」は最後の苗字を自分の苗字に変えて歌いながら洗濯してました。
      2022/11/09
    • 音旅さん
      「ママ.クリーニング小野寺よ」は
      実在しているのですね!!
      作者の小川哲さんが考えたと勝手に思っていたため
      今びっくりしています!
      ビューテ...
      「ママ.クリーニング小野寺よ」は
      実在しているのですね!!
      作者の小川哲さんが考えたと勝手に思っていたため
      今びっくりしています!
      ビューティフルビューティフル
      ビューティフルライフ〜♬
      頭に残る素敵なメロディですね
      2023/03/25
    • まことさん
      音旅さん♪初めまして。

      コメントありがとうございます。
      「ママ クリーニング小野寺よ」は、実在しています。私はこの本を読んだ方があとなので...
      音旅さん♪初めまして。

      コメントありがとうございます。
      「ママ クリーニング小野寺よ」は、実在しています。私はこの本を読んだ方があとなので、常日頃、耳にしている、音楽だったので、親しみを感じました。
      ブク友さんの、たけさんの情報によると、YouTubeで、CM曲が聴けるそうですよ。
      2023/03/25
  • すごく面白かった!
    クイズの奥深さを知る楽しさと、1つ1つのエピソードの面白さと、謎を解いていく思考回路に引き込まれた。
    クイズでここまで面白くできるなんてすごい。

    問題を1文字も聞く前に正解を答えた対戦相手。一体なぜ彼は答えがわかったのか?

    「ママ、クリーニング小野寺よ」
    このユニークなネーミングセンスに最初から心をガッツリ掴まれてしまった。
    気になるので調べたら、なんと実在するクリーニング店だと知ってビックリ!
    それならばと、歌も聞いてみたくなり調べたら、火曜日版サザエさんのテーマソングみたいで懐かしい(^o^)♪

    「恥ずかしい」感情になった時の紛らわし方が笑えた。私も今度やってみよう(^。^)

    クイズを解くまでの思考回路が詳細に描かれていて、とても興味深くて面白かった。
    クイズを解いていくうちに人間ドラマまで見えてくる。

    「知識が増えれば増えるほど、より多くの事柄を覚えることができるようになっていく」
    この思考回路の具体例もとてもわかりやすかった。

    知識と同じく本も読めば読むほど、本と本が繋がりだして、読書がより楽しくなっていく気がする。
    もっと本を読んで読書を楽しんでいきたいな。

    色々な面白さが詰まっていて、とても楽しい読書時間だった。

  • 『Q-1グランプリ』決勝戦最終問題。
    「万物を記憶した絶対王者」本庄絆は問題文ゼロ文字で解答し、優勝を果たす。
    ヤラセか?魔法か?
    「アマチュアクイズ界の王様」三島玲央は決勝戦の問題を振り返り、真相にせまる。

    一つ一つのクイズに、解答者の経験が、イメージが、思いが、詰まっていてクイズの振り返りが、そのまま解答者の半生の振り返りとなっていて面白かった。特別な思い出も何気ない日常もひっくるめて、早押しボタンを押す。熱いなぁ〜。
    そして「ピンポン」という正解音が、解答者を「君は正しい」と肯定する。
    クイズに本気で取り組む人にだけ聞こえるのだろうなぁ〜。
    ラストは、思いもよらなかったのでびっくりしたが、これもそれぞれの答えか、、、。


    『クイズに答えているとき、自分という金網を使って、世界をすくいあげているような気分になることがある。僕たちが生きるということは、金網を大きく、目を細かくしていくことだ。今まで気づかなかった世界の豊かさに気がつくようになり、僕たちは戦慄する。戦慄の数が、クイズの強さになる』

  • 「問題です、小川哲さん作『君の…」
    ピンポン
    「ひまわりめろんさんがここで押したぁっ!答えは?」
    「明治40年!!」
    ブッブー!
    「残念!ひまわりめろんさんはここで失格となります」




    いやー面白かった!
    もちろん小説としても面白かったんですが、クイズってめっちゃ面白いやん!とも思いました

    クイズ大会の決勝でまだ問題文が一文字も読まれていない状態、奇跡のゼロ文字押しで正解したクイズプレーヤー本庄絆
    彼はなぜ正解を導くことができたのか?
    この謎を対戦相手だった三島玲央が解き明かしていくストーリー

    この過程でそもそもクイズとはなんぞや
    というかクイズを正解するための道筋が語られていくんだけど、これが面白い
    面白いというか非常に興味深い

    ちなみにそのゼロ文字押しの答えが「ママ.クリーニング小野寺よ」でした
    まずなにそれ?ってなるよね
    検索しちゃうよね
    この辺のツカミもうまくて感心しちゃぃました


    「小川哲さん作『君のクイズ』を読みおえたひまわりめろんさんがまず最初に思ったことはなんでしょう?というのが問題でした。正解は『ミステリーじゃなくてクイズの解説本じゃん!』でした!」

    • ひまわりめろんさん
      (⁠~⁠‾⁠▿⁠‾⁠)⁠~
      (⁠~⁠‾⁠▿⁠‾⁠)⁠~
      2023/08/22
    • おびのりさん
      ナナマルサンバツは部活形式でクイズの対戦方法を模索する様なやつ。やっぱり、同じ文字でも文章中の発音の差とかを聞き取って、早押しするとかあった...
      ナナマルサンバツは部活形式でクイズの対戦方法を模索する様なやつ。やっぱり、同じ文字でも文章中の発音の差とかを聞き取って、早押しするとかあった。読んだ時びっくりした事いくつかあった。たぶん、趣旨は同じ作品でないのかな。
      2023/08/22
    • ひまわりめろんさん
      おそらくね

      そしてそれをミステリーの謎解きの手法で見せてるんだわ
      おそらくね

      そしてそれをミステリーの謎解きの手法で見せてるんだわ
      2023/08/22
  •  ようやく図書館から借りられました。実は悩んだんですよね…読んでみようか、それとも読まなくともいいのか…残念なことに先日読んだ「君が手にするはずだった黄金について」は、私好みとは言えなかったんで…ね!でも、ずっと読みたいと思っていた、「君のクイズ」を読まなければ私の精神衛生上よくない!ということで、読んでみました。

     クイズ番組『Qー1グランプリ』(優勝賞金は1千万円)の決勝戦、主人公の三島玲央とライバルの本庄絆が熱戦を繰り広げる…。順当に回答を重ねていくふたり…迎えた最終問題、問題文が読み上げられる前に回答ボタンを押した本庄絆…。本庄絆はなぜ問題文が読み上げられる前に回答することができたのか…。

     読んでみて、クイズの奥深さを感じましたね…。ちなみに、この作品で取り上げられた問題、私には全くわかりませんでした!読みやすく、あっという間に読めちゃう作品です。

     私にとってはクイズと言えば「高校生クイズ」!〇年前の高校時代に、友達と面白半分で応募したら予選に出場できることになったんですよね♪担任の先生がお揃いのTシャツを準備してくれたんですが、得意な毛筆で真っ白なTシャツに高校名を入れてくれたものでした。ありがたかったのですが、それを着て歩くと怪しげな宗教団体のように見えるのかな…他者からの冷たい視線を感じました(汗)。で、結果は、もちろん予選敗退!いい思い出です。

    • かなさん
      どんぐりさん、おはようございます(^^)
      そうなんですよ~!
      行きも帰りもそのお揃いのTシャツで♪
      ひとりじゃなく、友達と一緒だったし...
      どんぐりさん、おはようございます(^^)
      そうなんですよ~!
      行きも帰りもそのお揃いのTシャツで♪
      ひとりじゃなく、友達と一緒だったし
      怖いものなしって感じ(^-^;

      なんか、ブクログで思い出話ができるのって
      面白いですよねぇ~!
      ホント、この作品読まなければ
      こんな風に思い出さなかったし
      どんぐりさんとも、同じ思い共有できなかったし、
      読んでよかったぁ~って思います(*^^)v
      2024/02/09
    • Manideさん
      かなさんも、どんぐりさんもすごいですね。
      いいな〜、その思い出。

      1問目で敗退が面白い、ちょっと笑ってしまいました。
      なんか、、、すごい、...
      かなさんも、どんぐりさんもすごいですね。
      いいな〜、その思い出。

      1問目で敗退が面白い、ちょっと笑ってしまいました。
      なんか、、、すごい、切なさそう(^^)
      2024/02/15
    • かなさん
      Manideさん、おはようございます。
      思いがけずここで
      どんぐりさんとの共通の思い出があることが判明しました(*^▽^*)

      1問...
      Manideさん、おはようございます。
      思いがけずここで
      どんぐりさんとの共通の思い出があることが判明しました(*^▽^*)

      1問目での敗退も、おんなじで
      あぁ…仲間ぁ~!!って思っちゃいました(*'▽')
      切なさより、楽しかったなって思いの方が
      私の中では大きいんですよね♪
      あの頃は若かったなぁ…(^-^;
      2024/02/16
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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年『ユートロニカのこちら側』で、「ハヤカワSFコンテスト大賞」を受賞し、デビュー。17年『ゲームの王国』で、「山本周五郎賞」「日本SF大賞」を受賞。22年『君のクイズ』で、「日本推理作家協会賞」長編および連作短編集部門を受賞。23年『地図と拳』で、「直木賞」を受賞する。

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