悪逆

  • 朝日新聞出版 (2023年10月6日発売)
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  • 本 ・本 (584ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022519375

作品紹介・あらすじ

過払い金マフィア、マルチの親玉、カルトの宗務総長――社会に巣食う悪党が次々と殺害される。警察捜査の内情を知悉する男vs.大阪府警捜査一課の刑事と所轄のベテラン部屋長凶悪な知能犯による強盗殺人を追う王道の警察小説(内容紹介)周到な準備と計画によって強盗殺人を遂行していく男――。大阪府警捜査一課の舘野と箕面北署のベテラン刑事・玉川が、広告代理店の元経営者殺害事件を追うなか、さらに被害者と面識のある男が殺される。二人はそれぞれ士業詐欺とマルチ商法によって莫大な金を荒稼ぎした悪党で、情報屋の標的になっていた。警察は犯行手口の違いから同一犯による可能性はないと判断するが、いずれも初動捜査で手詰まりとなる。犯人像を?むことができないまま、さらには戦時中に麻薬密売組織に関わり、政治家とも昵懇だった新興宗教の宗務総長が殺害される。警察の動きを攪乱しながら凶行を続ける男の目的はどこにあるのか? 舘野と玉川は、凶悪な知能犯による完全犯罪を突き崩すことができるのか? 警察捜査の内幕を活写しながら、裏社会を跋扈する男たちを圧倒的な存在感で描き切る、ラスト5ページまで結末が読めない、本年度最注目のクライム・サスペンス!

感想・レビュー・書評

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  • ★5 何を考えているか分からない犯人が怖い! 大捜査網で知的で巧妙な凶悪犯を追い込めるか? #悪逆

    ■あらすじ
    広告代理店の元経営者が自宅で殺害された。かつて悪行によって蓄えた資産も強奪されていた。大阪府警の刑事たちは調査を進めるも、遺留品や手がかりが少なく捜査は難航していた。さらにマルチ商法で財を成している人物や、悪徳宗教の教祖も次々と殺されてしまう。刑事たちは犯人の凶行を止めることができるのか…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 これぞ犯罪小説、そして警察による大捜査網活劇! めっちゃ面白かったです。

    本作は連続殺人事件を追う警察目線で進行していきますが、並行して犯人がどのような行動で犯罪を行われるかも描かれてゆく。この犯人の行動が鬼怖いんですよ。

    犯人は現場に証拠を一切残さないのはあたりまえで、しかも捜査の手がかりにならないよう先んじてリスクの芽を摘んでいくという知能犯。さらに悪党との人脈も豊富で、犯罪に使われる道具の偽造や情報収集なんかもお手の物。何より恐ろしいのは、何故こんな犯罪に手をそめているのか分からない。でも日常的な部分は普通だし、これまでもまっとうに仕事をしていた様子。

    簡単に言うと【なに考えてるか分からない人物】なんです。こわっ

    これフィクションだから楽しんでられますが、ひょっとするとこのくらいのことをしちゃいそうな人物がリアルに潜んでいるのではないかと思うと、まったく笑えません。

    そんな凶悪な難事件を大阪府警の刑事たちは実直な捜査を進めていく。その中でも舘野と玉川、二名の刑事がいいんですよ! まるで本物の刑事の捜査や尋問を見ているよう。ひとりひとり関係者との会話の駆け引きや情報の引き出し方が巧妙、こいつは怪しい!って目を付けるところなんかリアルすぎてヒリヒリする。

    しかも鬼刑事ではなくて愛着があるんですよね。毎度現場でご飯を食べながらの会話したり、プライベートなやりとりもあって、人間味があふれていて好き。徐々に犯人に迫っていくシーンなんかは、あってる!もう少し!って、応援しちゃってましたね。

    そしてこの事件の真相が恐ろしいんです。犯人は何故こんな悪逆な犯行を重ねたのか… あなたは法治国家であるはずのであることの必要性を感じることになるでしょう。

    ■ぜっさん推しポイント
    オレオレ詐欺、悪徳宗教、マルチ商法、過払い金マフィア、それに加担する組織や政治家など。現代の膿ともういべき人間たちが、どれだけ弱い者たちから奪ってきたのか。もう腹が立ってしょうがない。

    しかし、しかしですよ。この物語を最後まで読んだ人は、一体何が正しかったのかと悶絶することになる… 悪逆たちの素顔、そして世の中の不条理の景色が、あまりにもえげつない作品でした。

  • 図書館で予約していた本がやって来ました。
    受け取った時、あまりの分厚さに
    「読めるかな、これ…」と思ったけれど
    後半、真相に迫り始めてからは はやかった。

    前半は、ただただ、犯人の頭の良さや冷静さに感心しつつも、後半になると人間味や人に対する荒さが出てきて…
    自然と玉さん&たーやんコンビを応援してしまう。

    ラストはすっきりほっこりな読後感もよかったです。

  • 警察と犯人の視点を行ったり来たり。
    箱崎の一切証拠を残さない殺しの手口が完璧でカッコイイ。
    かたや警察側のたーやんとたまさんコンビの聞き込み100連発の合間に飯を食べたり、雑談したりがどんどん面白くなっていって、またこのコンビで捜査する小説を読みたい。

    ラストは他の方法が無かったのかなとも思ったけど、ここまでが楽しかったから120点が100点になったくらい。

  • まさにクライム・サスペンス。
    悪逆な犯行を重ねる男と追う刑事。
    交互に書かれる物語にページを捲る手が止まらない。
    眠くて仕方なくても眠れない。寝落ちして起きたらまた読み始める。食事してても物語が気になって仕方がない。ラストまでどうなるかわからなかった。


    作品紹介・あらすじ
    過払い金マフィア、マルチの親玉、カルトの宗務総長――社会に巣食う悪党が次々と殺害される。警察捜査の内情を知悉する男vs.大阪府警捜査一課の刑事と所轄のベテラン部屋長凶悪な知能犯による強盗殺人を追う王道の警察小説(内容紹介)周到な準備と計画によって強盗殺人を遂行していく男――。大阪府警捜査一課の舘野と箕面北署のベテラン刑事・玉川が、広告代理店の元経営者殺害事件を追うなか、さらに被害者と面識のある男が殺される。二人はそれぞれ士業詐欺とマルチ商法によって莫大な金を荒稼ぎした悪党で、情報屋の標的になっていた。警察は犯行手口の違いから同一犯による可能性はないと判断するが、いずれも初動捜査で手詰まりとなる。犯人像を?むことができないまま、さらには戦時中に麻薬密売組織に関わり、政治家とも昵懇だった新興宗教の宗務総長が殺害される。警察の動きを攪乱しながら凶行を続ける男の目的はどこにあるのか? 舘野と玉川は、凶悪な知能犯による完全犯罪を突き崩すことができるのか? 警察捜査の内幕を活写しながら、裏社会を跋扈する男たちを圧倒的な存在感で描き切る、ラスト5ページまで結末が読めない、本年度最注目のクライム・サスペンス!

  • 今回の作品は、詐欺師や悪質宗教の幹部たちを手際良く殺し大金を奪いスマートに逃げ切る犯人。
    そして犯人を追い詰める優秀な二人の刑事。
    いつもよりコテコテ度が薄かったが、これもまた良し。
    こんな終わり方もあるのか!というラストの締めくくりもヨカッタ。約580ページのブ厚い本でしたが最後までずっと楽しめました。

  • とても面白い!!
    今作の見所はズバリ舘野・玉川コンビ対箱崎との追いかけ合いでしょう!
    舘野と玉川のコンビは派手さはなく極めて真面目な刑事達だけど大阪人らしいナチュラルなユーモアさと回転の速さを伴っているので深みのある組み合わせになっている。
    刑事としても玉川は所轄のベテランならではの経験を踏まえたヨミが素晴らしく、若手の舘野も府警刑事だけど変なプライドを持たず玉川に敬意を払いつつ上手くフォローしているところに好感を持ってしまった。
    対して箱崎は元エース刑事ということもあり全てにおいて抜かりがなく、我慢もできるのでなかなか尻尾を出さず、でもやる時は冷酷非情にやるところに犯罪者としての凄味を感じてしまった。
    やられた奴らには同情する余地なんかは微塵もないから箱崎に対しても嫌な感じはしない。
    いい加減宗教法人からは税金をじゃんじゃん徴収して欲しい!!
    読み始めの初期から舘野たちと箱崎がいつ、どのようにして交わるのかというい1点にずっと注目してたけど期待に違わぬ交じり方をしてくれたので良かった(^ν^)
    動機については箱崎自らの口からは聞くことはできなかったけど、作中である程度読み取ることはできるので、そこは読者それぞれが感じれば良いのかな?
    大津SAの食事シーンではバスバーガーか琵琶バス丼食べて欲しかったな♪

    • 土瓶さん
      バスバーガー。
      検索しました。うまそうです。
      琵琶バス丼。
      検索しました。うまそうです。
      近江牛コロッケ バスフライカレーも見つけて...
      バスバーガー。
      検索しました。うまそうです。
      琵琶バス丼。
      検索しました。うまそうです。
      近江牛コロッケ バスフライカレーも見つけてしまいました。
      うまそうです。

      腹が……鳴りました(ノД`)シクシク
      2024/02/11
    • bera5227さん
      バスバーガーは食べたことありますよ〜
      フィレオフィッシュ的な感じで美味いです^_^
      比較的近いとこだと河口湖で食べられると思いますよ!
      バスバーガーは食べたことありますよ〜
      フィレオフィッシュ的な感じで美味いです^_^
      比較的近いとこだと河口湖で食べられると思いますよ!
      2024/02/11
  •  こいつは驚いた!ラスト4ページまで犯人が捕まらないもんだから、これでどういうラストが待っているんだろう?とハラハラしながら読み終えた。

     社会に巣食う悪党たちが次々と殺され、現金やインゴットが盗まれる事件が起こる。犯人は元刑事のエース、箱崎。箱崎は警察の動きを知り尽くしているため、その尻尾はなかなか掴ませない。

     一方、箱崎を追い詰めていくのは玉川と舘野のコンビ。黒川博行ならではのテンポよい関西弁での掛け合いが楽しく、物語を進めてくれる。

     ただ、事件が次々に起こるだけで、なんとなくただそれだけだったかなぁ。犯人や刑事に感情移入するでもなく、淡々と読み終えてしまった。

  • 今年読んだ警察小説のなかで、もっとも刺激的かつ読むページが止まらない一冊だ。
    主犯の人を殺めるやり口には、えげつないものを感じるし、玉やんが作中で言うてたようにまさにサイコパス。

    がしかし、その人物が元府警のエースという設定には驚いたものの、アリかなと。
    面白いのはそんなサイコパスでも、わりとヘルシーな食生活を送っていて、非道さとのギャップを感じる。

    とにかく知ってる地名がよく出てきて、それを想像するだけで親しみを感じることができ、どっぷりと黒川ワールドにハマってしまいましたね。

  • 個人的な感想です
    自分と感覚が合わなかったのかと思います
    途中から少しずつ面白くなっていったが
    他の方みたいに深く入り込めなかった

  •  警察と強盗殺人犯の攻防が、スリリングで目が離せない。警察側のストーリーを読むと、ホシまでもう少しと思うし、強盗殺人犯側のストーリーを読むと鮮やかすぎる手口に息をのみヘマをしないようにと願う。ついにはどう決着をつける?と落ちが気になり、かなりのボリュームにも関わらず、あっという間に読み終えてしまった。
     初読みだったが、もっと早く読むべきだったと後悔する面白さだった。著者についてリサーチしようと思う。

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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