がんになってわかったお金と人生の本質

  • 朝日新聞出版 (2024年7月19日発売)
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本 ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784022519894

作品紹介・あらすじ

最後の1秒まで幸福は追求できる
その真実をつづった遺稿を特別収載。
最期の時間でたどり着いた「人生の最終原理」とは――

筆者は2022年の夏に食道癌が見つかった。
本書は、癌の各局面にあっての考え方や意思決定の記録である。
お金よりも大事なことにどうやって気づくか、
限られた時間をいかに生きるか――。
遺稿「癌の記・裏日記」も特別収載。

感想・レビュー・書評

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  • 山崎さんのことを存じ上げたのは投資系の動画内だったような記憶があります。
    最期までぶれることなく幸福を追求する山崎さんを、本当にかっこいいと思いました。
    ーーー印象に残ったーーー
    •損得勘定だけでも内視鏡等の検査を受ける
    •投資でも、仕事でも、遊びでも、快活に機嫌良くやる方が、自分にとっても、他人にとってもいい。p43
    •「お金は、貯めることよりも、つかうことが楽しい!」と思うのが健康な状態だ。p171

  • お金の考え方で参考にしていた人。
    そな山崎さんがどういう風に人生に向き合ったのか知りたく手に取った。

    とにかく残された時間に対して、とても合理的に向き合っている。当然さまざまな感情はあったと思うが、そういうことには触れられていないだけになおさら。

    ・捨てて後悔した本は自ら書き込みをした本
    ・時間の制約が生じたことで、仕事の選択は「面白い」という価値観が相対的に浮上した
    ・人とのつながり、評価されることは意識以上に大切
    ・人間関係は、自ら頼んで時間をもらい意見なり情報なりが欲しいと思う相手のみに時間を費やしたい
    ・便利な場所に暮らす。人との関わりが減るのは良くない
    ・人の幸福感の99パーセント以上は承認されているという感感覚でできている。金持ちも貧乏人も変わらない
    ・真に価値のあるお金の使い方は経験
    ・人間の楽しむ能力は年齢に依存する
    ・明るい人が成功する、ひとの長所を認める人が明るい

  • がん治療、投資、人生指南、大体そんな内容。

    投資に関しては全世界株式のインデックスファンドへのほったらかし投資。
    そしてそれ以上に若いうちから自己投資して自分の稼げる力を養う。

    本、コラム、これまで随分山崎さんの書いたものを読んできて多くを学んだ。本書はこれまで読んできた内容の再確認的な読書になった。教わるべきことはもう十分に教わった。あとは自分に可能な範囲で実践していくだけ。

    以下、本書で印象に残った箇所。


    ・日本は健康保険が充実しているので生命保険には加入しなくていい。その代わり不測の事態に備えてまとまった額を現金で保有しておく。

    ・がん検診は定期的に受けたほうがいい。

    ・地位財の競争から降りると家計が楽になって生活の幸福度が上昇する。

    ・飲食の付き合いが人間関係に与える影響は大きい。

    ・なるべく長く働き、老後は便利な場所でコンパクトな住居にシンプルに暮らすのがいい。

    ・幸福とは他人から承認されている実感である。

    ・お金は感情を込めず合理的に付き合う。

    ・マーケティングとは大して価値がないものを価値を大きく見せて売るための技術の寄せ集め。

    ・人生のコツは愛嬌。愛嬌のある人は色々な面で得をする。威張らないこと、自分のことを笑う心の余裕が愛嬌を生む。

  • 感想
    本書を通じて、著者が「死」を目前にした状況でどのように人生とお金を見つめ直したかが描かれています。特に印象的だったのは、がん保険の必要性に対する冷静な分析や、限られた時間の中で何を大切にすべきかという問いかけです。著者は、がん保険は不要であり、必要な時には正しく怒ることも大切だと述べています。

    また、著者は「善意の愉快犯」として、不要な商品を売りつけようとする商売を邪魔することを自身の使命としています。 この姿勢からは、他人のために行動することの重要性と、その中で自分自身の生き方を全うすることの大切さが伝わってきます。

    本書は、人生の終わりに何を選び、何を手放すかという問いに対して、著者自身の経験と考察を通じて答えを示しています。読者として、自分自身の人生やお金の使い方について深く考えさせられる一冊でした。

    ToDoリスト
    1. 定期的な健康診断の実施
    がんの早期発見の重要性を再認識し、内視鏡検査などの定期的な健康診断を受ける。
    2. 保険の見直し
    がん保険の必要性を再評価し、無駄な保険料の支出を削減する。
    3. 持ち物の整理
    本当に必要なものを見極め、不要な物を手放すことで、生活をシンプルに保つ。
    4. お金の使い方の再考
    お金を貯めることよりも、経験や人との関係に投資することの価値を見直す。
    5. 人間関係の見直し
    本当に大切な人との時間を大切にし、無理な付き合いを減らす。
    6. 終活の準備
    自分の最期を迎える準備として、住まいや介護、葬儀の方法などを考えておく。
    7. 自分の価値観の明確化
    「自分は何者でありたいか」を考え、自分らしい生き方を追求する。

  • 亡くなった山崎さんの作品を何冊か読んだ。お金より自分の信用を、人生のコツとしては愛嬌の大切さ、そのためには、なんと言っても威張らないこと、自分を笑う心の余裕と。


  • 山崎元氏が2022年夏に食道癌と診断されてからの治療や人生論について。
    治療方針、脱毛の対処、残された余命で何をするか、断捨離、いわゆる終活等、様々なことを冷静に、合理的に判断されており、改めて凄い人だと思った。単なる闘病日記ではなく、幅広い年代に向けて生き方を示している。お父様の墓なし寺なしの弔いは、これこそ家族葬で理想だと感じた。
    本人は悔いておられないが、お酒の飲み過ぎを控え、内視鏡検査をしていれば防げたかもしれないとも思えた。

  • 何とも次元の違うお話で後味の悪い本。ご自分は年収3000万でいかにお金の使い方、財テクの仕方をとうとうと述べられているが、単に自慢話にか聞こえない。

    私30代でこれからの生き方と言うならわかるが、もう70歳、ぼちぼち終活に近づいて私には、「過ぎたるは、いや、済みたるは及ばず」でもう遅いですわな・・・。

  • 経済評論家の視点で、自らの癌に向き合い提示することは本当に参考になった。

    医療や保険、葬式とお墓、仕事との両立、抗がん剤による髪への対応まで事細かく現実的で合理的だ。

    なるほど人生と投資は同じだと思う。
    早速、著者お勧めの「DIE WITH ZERO」を読んでみる予定。
    ご冥福をお祈りいたします。

  • 山崎元さんと出会ったのは、確か投資の本だったと思う。
    『放ったらかし投資』だった記憶がある。
    元来、投資に興味がなくやったこともなかったので、あまり興味は無かったが、サラリーマン生活も軌道に乗り、少し早いけど第二の人生を考えるタイミングにあったんだと思う。
    あれから転職をし、いろんな視野が開けたように思う。一つの会社にずっと働き続ける束縛みたいな考えからは180度方向転換した。
    世の中にはいろんな考え方がある。そう考えさせられる出逢いだったように振り返っている。
    勝手に出逢いと言っているがこちらが一方的に言っているだけで元さんは知る由もない。当たり前だが…
     放ったらかし投資のほんをみて実際にやってみたら、答えは簡単でその通りになった。
    今も教えを守っている。大きなリターンではないかもしれない。数年の一回も暴落で萎えることもあるけれど、全く後悔がない。
    元さんの人間性 合理的な考え ここ本の最終章にある 上機嫌な人生である 愛嬌のある人間になる 残りの時間最後まで幸せを追求する。とあったが人間としても参考になる考えをありがとうございます。


  • かなり踏み込んで書いてある。面白い。シンプルな装丁。最期の日記は編集されていないような感じ。

    抗がん剤の副作用について、脱毛については記載あるも、痛みについては一切記載ない。あえて触れなかったんだろうか。祖母は胃がんで痛みに耐えかねて殺してくれ、と言っていた。筆者は痛みについては触れず、淡々と仕事をする。色々な絶望や痛みと闘って当然の癌との闘病。しかし、日常を取り戻すかのような仕事ぶりは尊い。敬服。1番辛いのは家族とそれほど会えないことだな。子供が小さいと本当に感染症は避けられない。会えないのは辛い。

    ヒントからして、大学病院は順天堂だな。順天堂は人権方針を掲げていて、筆者が直ちに退院したい、と言ったら即日退院になったのは、患者の人権に配慮したものと思う。入院していれば寿命が延びたとは思うが、筆者の望む生活は叶わなかった。それであれば短くても自身の望む生活をしたかったのだろう。個室でも食事の配膳とかは病院のリズムに合わせないといけない。
    順天堂は基本的になんでも高いが、順天堂ですら、癌の標準治療で100万程度(うちほぼ個室料)なら、確かにがん保険、医療保険は要らないな。ほとんどの人は高額療養費は知ってても、けんぽ独自の給付の規定は案外知らない人が多い。調べておこう。

    筆者の生ききった感は、自分が何のために働いていて(正しいことをわかりやすく多くのひとに伝える)理解しており、それをある程度達成したことと、息子が性格がよく優秀で自分より秀でた個体を残したという生物的な満足らしい。この2つ、参考になる。愛情表現としては淡々と聞こえるがじんとくる。

    確か1月1日に亡くなっているので、本当にギヒギリまで日記が載っている。筆者は何より考えることが好きなんだろう。「論」を売ることを生業としているのだから当たり前か。

    意思決定の根拠にならない情報は入れない。そのために、病気を公表しない。親切な人を遠ざけ、お礼や面会の時間を体力回復に充てる。

    カネより大切なものに気づくきっかけは怒り。怒りとは、喜びよりもより個人の価値観が出やすい。怒りを感じるポイントは個体差がある。怒りをヒントに価値観を浮き彫りにする手法もたしかアンガーマネジメントで出てくるような。
    しかし、怒りのままではいけない。怒りは原始的な本能的な感情。スイッチにはなっても革命後の制度を安定させることはできない。Twitterのような自由で無責任なメディアに吐き出され蔓延するのは怒りばかり。怒りは信用、共感、プライドに変換しよう。

    筆者のように30台後半で3000万の収入ある人は数%しかいない。だから大半の人の意思決定の参考にはならないかもね。最も大きな費用が就業不能の機会費用になるかは、本人の稼ぎ次第では。

    稲盛和夫さんの、明るい人が成功する。明るい人とは、人の長所を見つけられる人。ってのは、人を好きになれるか、→愛嬌よくなる(自分も含めて、長所にフォーカスできる)→人間関係良好ってことだろう。
    筆者が、死の間際に思った、愛嬌の大切さとは、結局、人間関係に恵まれるかってことだ。田内学さんも言ってるけど、お金が偉いわけではない。お金は手段だから。お金があっても働いてるくれる人がいなければ無価値。ネットワーク、経済圏を持ってなければ、通貨という手段は無価値。

    お金は目的でなく手段。ため方より、使い方を考えよう。Die with Zeroはファイナンシャルウェルビーイングで注目されていて、筆者の感想が興味深かったが、とても冷静。パーティー文化ではなく、日常の大切さとか、日本は公的医療が発達してるとか。

    筆者はマーケティングを敵視している。マーケティングで需要を作り出して経済を活性化している側面もあると思うけど。流行にのることやブランドものを身につけるのって、それこそ承認欲求だよね。マーケティングに煽られあ物欲は自己承認欲求、幸福追求。
    地位材競争から降りるのが幸福の道、とはそれはそうだけど、不動産とか子供の教育費用とか、必要に迫られて買うけど実は地位材のものある。そこから降りるのは難しいな。

    ガイドラインまで読んで医者と会話する筆者。さすが。経済学でも基本書は捨てない方がよかったとのこと。PCを何台ももちAppleが好きなのに、紙に書き込みとかしてるのは意外。

    お墓の撤去、勇気ある…そこまでできたら相続は揉めない。


    難しいことはわかりませんが…の改訂、まんがで読破資本論の解説、人生にお金はいくら必要か、白井聡の資本論、ぜひ読んでみたい。

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著者プロフィール

経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員。株式会社マイベンチマーク代表取締役。1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業、三菱商事入社。その後、野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、UFJ総合研究所など12回の転職を経て現職。雑誌、ウェブサイトの連載やテレビ出演多数。『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社刊・共著)、『マンガでわかる シンプルで正しいお金の増やし方』(講談社刊・共著)など著書多数。


「2022年 『マンガでわかる 世界でただひとつの株式投資入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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