明日、晴れますように 続七夜物語

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  • 朝日新聞出版 (2024年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784022519900

作品紹介・あらすじ

大きな物語がなくなったあとの複雑な時代に、
新しい出会いや発見、悲しみや葛藤を経験しながら成長する子どもたち、
うつろいゆく大切なものもの。それでもなお世代を超えて受け継がれる、
かけがえのない日々を描く新たな成長小説(ジュブナイル)


いまほど世の中の仕組みが複雑ではなかった一九七〇年代。
『七夜物語』という不思議な本の世界を冒険した子どもたちがいた。鳴海さよと仄田鷹彦。七つの夜をめぐる冒険は、二人にとって大切な経験となるが、さよも仄田くんも「夜の世界」の出来事を決して思い出すことはなかった。

あれからおよそ三十年――。
さよの息子「絵」と仄田くんの娘「りら」は、両親と同じ小学校でクラスメートになっていた。二人もまた『七夜物語』の世界へと導かれるのか? 

二〇一〇年の現代を舞台に、十歳から十一歳へと成長する二人の変化の兆しと、子どもたちを取りまく世界を鮮やかに捉えながら、ささやかな人の営みと、そのきらめきを届ける物語は、二〇一一年の「あの日」へと向かっていく。

著者の長編ファンタジー『七夜物語』から十二年、
次世代を生きる子どもたちの物語

みんなの感想まとめ

成長と時の流れをテーマにした物語が、現代の子どもたちの視点から描かれています。主人公たちが両親と同じ小学校で出会い、過去の冒険を引き継ぐ様子は、親子の絆や世代を超えたつながりを感じさせます。小学生の目...

感想・レビュー・書評

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  • たけやぶやけたたけや
    ぶやけたたけやぶやけ
    た・・・

    たけやぶやけたを三回
    唱えればいろんなこと
    が大丈夫になる。

    かんたんなおまじない
    だけどけっこう効くよ
    とりらちゃんは言う。

    りらちゃんの姓は仄田。

    そう、あの仄田くんの
    娘がりらちゃん。

    そして、さよちゃんの
    息子は絵(かい)くん。

    ふたりは両親とおなじ
    小学校でクラスメイト
    になり、

    かれらもまた夜の世界
    へと導かれていきます。

    あのくちぶえ部の麦子
    さんも、

    もちろんグリクレルも
    登場しますよ♪

    そっか、そうだよなあ。

    仄田くんとさよちゃん
    も大人になるんだなあ。

    うん、時の流れは止め
    られないもんね。

    そして齢を重ねるって
    やっぱり素敵なことね。

    仄田くんはなんと大学
    の先生に、

    さよちゃんは作家さん
    になりました!

    でも大人になると難儀
    なこともいろいろあり
    ますね。

    はてさて信じるものは
    なんとやら、

    たけやぶやけたを三回
    唱えておきましょうか
    (笑

    • コルベットさん
      フフフ、つい早口言葉みたいに唱えて噛みそうになりますよね。うっかり奥さまの尾を踏んでしまったときなど、いまは噛んでる場合じゃないぞ!というと...
      フフフ、つい早口言葉みたいに唱えて噛みそうになりますよね。うっかり奥さまの尾を踏んでしまったときなど、いまは噛んでる場合じゃないぞ!というときは、心のなかで唱えるようにしてくださいね(* ˊᵕˋㅅ)
      2024/09/14
    • 1Q84O1さん
      了解です(`・ω・´)ゞ
      心の中で落ち着いて正確に唱えます!w
      了解です(`・ω・´)ゞ
      心の中で落ち着いて正確に唱えます!w
      2024/09/15
    • きたごやたろうさん
      またまたオイラの本棚に「いいね」をありがとうございます。

      これもタイトルにやられました。
      いつか読んでみたいです!
      またまたオイラの本棚に「いいね」をありがとうございます。

      これもタイトルにやられました。
      いつか読んでみたいです!
      2025/03/02
  • 小学生の目線で書かれているのに、所々ハッとさせられるような真理に出会った。なつかしいと、さみしいは、近い気持ち、など。

  • ずるいなぁ。続編書かれたら読まないわけにはいかないでしょう!
    しかも仄田くんの娘とさよの息子が同級生ときたら。仄田くんがどんなお父さんに、さよがどんなお母さんになってるかも知りたいじゃないですか。

    存分に味合わせてもらいました。
    「七夜物語」のゾクゾク感は薄れたものの、またあの世界に入れたのはうれしいかったです。

    最後のおまけエピソードも、ずるいなあ。

  • 『七夜物語』(朝日新聞出版) - 著者:川上 弘美 - 小野 正嗣による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS(2022/10/24)
    https://allreviews.jp/review/5261

    【書評】『明日、晴れますように 続七夜物語』川上弘美 - 横丁カフェ|WEB本の雑誌(2024年7月4日)
    https://www.webdoku.jp/cafe/iga/20240704080000.html

    「不思議な、体験だった。」川上弘美さんが12年の時を経て描いた、『七夜物語』の次の世代を生きる子どもたち/『明日、晴れますように 続七夜物語』刊行記念エッセイ|朝日新聞出版さんぽ(「一冊の本」2024年6月号掲載)
    https://note.com/asahi_books/n/nae9e075182a4

    ヒグチユウコが関わった本、DVD – ボリス雑貨店
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    「明日、晴れますように 続 七夜物語」ボリス雑貨店購入特典は非売品ポストカード付きですって!

    朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:明日、晴れますように
    https://publications.asahi.com/product/24838.html
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    (Marcieさん)marcie's booksの本棚から

  • 酒井駒子さんの挿絵が美しかった七夜物語…
    こちらは、ちょっと雰囲気がちがうな…と思ったらヒグチユウコさんの装画。
    どちらも素敵です。

    そしてやはり、川上弘美さんの子ども心の表現がなんとも愛おしい。
    「大人になったら、子どもの時のことは、わすれちゃうのかな」という絵くん
    「わからない。子どもの時にあったできごとは、きっとわすれないよね。でも、今の自分の気持ちは、おぼえてるかどうか、わからない。だって、大人になったら、ちがう気持ちになってるかもしれなくて、そうすると、もっと前の気持ちをいつまでもおぼえてて、いちいちそのことを思い出してたら、気持ちが決まるのに、すごく時間がかかっちゃうじゃない?」と、りら。

    その後、絵くんは隣にいるりら、おかあさんを見て大切なものはすぐそばにあったと気付く。



    子どもの時の気持ちはそのまま覚えていることはできなくても、その気持ちがあったから、あらたに感じることもある。
    気持ちが変わることは悪いことではない。

    大切なものが何かに気付くのにも、時間がかかってもいい。大切なものはなんだろうと探すことで初めて気づくことはたくさんある。

    大人になることは子どもの気持ちがわからなくなってしまってちょっぴり淋しいことだけど、こうして子どもの気持ちを考えてみることは悪くないなと思う。

    そして、いろんな子どもがいていろんな大人がいるこの世界は、案外面白いものかもしれない。

    そう思わせてくれる続七夜物語だった。
    「明日、晴れますように。」
    これは、希望を持つことができた子どものささやかなの願いごとなのかもしれないな。

  • 前作の七夜物語は、新聞連載で欠かさず読んだ。
    さよと仄田くんはくっつかないのか‥しかも夜の冒険を覚えていないのか‥。と、ちょっと切ない気持ちで読み終えたのを覚えている。

    さて続編、仄田くんの娘りらと、さよの息子絵が主人公。前半は、小学生2人の学校生活や家庭での話をメインに、子どもの内面をこれでもかと掘り下げてくる。自分が子どもの頃何をどんなふうに考えていたとか、ほとんどが忘却の彼方なんだけど、作者の川上さんは覚えているのかな、っていうぐらい、とてもリアルに思えた。
    絵は学校生活をわりと謳歌してるけど、仄田くんに似てちょっと変わり種のりらは、イジメに遭っている。2人は仲良しなのに、りらの境遇を気にしつつも表立って行動できない絵の葛藤に、読んでいるこちらも心苦しくなってくる。それでも、真剣にりらの事を考える絵。かっこいいぞ。それにしても、りらは心が強い、というか柔軟?他の子とは一線を画しているのが、仄田くんの子だなと思える。でも傷つかないわけではない。まだ小学生だからね。クラス分けでいじめっ子と離れて、高校生になる頃には友達もできる。良かったね。

    後半、りらが公園で知り合った女子高生のメイの養親が、くちぶえ部の2人だったり、仄田くんが突然「グリクレル」ってつぶやいたり、前作の片鱗が出てくると、おおっ!てなる。そして、仄田くんとりら、さよと絵が、またしても夜の学校でグリクレルに遭遇した場面。グリクレルは相変わらずだし、途中まで、グリクレルのいる世界は出てこないかと思ってたので、嬉しい驚きだった!仄田くんとさよも当時のことを話しているから、2人は忘れたわけではなくて、心の深〜い所に仕舞い込んでいるんだな、とわかる。大人になった2人が当時のことを顧みる会話、めっちゃ嬉しい!りらと絵は、グリクレルに命じられて、大切なものを探しにいく。結局見つからないけど、何が大切なのかをたくさん考えて、ちょっと成長してる。ちょっとなのが、いい。あと、謎のやまもともと。謎のままだった。

    現実世界に戻った4人、大人2人はまた覚えていないけど、りらと絵がちゃんと記憶があるのは意外だった。仄田くんとさよとの違いはなんだろう?
    もう一つ、前作と真逆だったのは、ラストの、未来の話。りらと絵は結婚したのだ!しかも、2人の娘と、メイの息子が結婚した模様。仄田くんとさよは別々の人生を歩んだのに、次の世代でまた重なるって、いいよね。子孫が、またグリクレルに会うのかな〜とか考えると楽しくなる。

    続編を読むといつも思うけど、前作をまた読みたくなる。七夜物語、終わる頃にすごく寂しくなったけど、また初めから読む事を思うとちょっとワクワク。楽しみ!

  • 最初はあれ?七夜物語の続編だよね?
    想像と違ったーと残念に思ったけど、これはこれでなんかいいかなと思った後半ついに!
    グリクレル!!
    そうだ、懐かしい!七夜物語の時もグリクレルに怒られてた笑と一気に世界が広がった。
    さよと仄田くんだーー。
    この2人のそれぞれの子供、りらと絵かーと思うとさらに感慨深い。
    後半はそのままとてもよく、またラストがにくい。
    なんだかとても嬉しくて読み終えたあとはとても幸せな気分になれた。

  • 川上弘美大好評だった「七夜物語」の続編の長編傑作ファンタジーの登場です。絵とりらの成長とともに不思議な世界に誘う物語に拍手喝采です。とても印象に残った一言「おべんとつけて、どこいくの」何か懐かしさを感じた。そしてラストの二人の行末に一喜一憂しました。あなたも読んでこの壮大なファンタジーを堪能して下さい。

  • 主人公の小学生、仄田りらと鳴海絵の二人を中心としたストーリーが視点を変えて進んでいく。りらはマイペースで自分のルールのようなものがあって、確かにちょっと変わっている。りらと絵は性別を超えて仲が良く、いつもべったりなわけではないけど、すごく良い関係だなと思った。最後のあとがきまで読んで初めて知ったけど、『七夜物語』という作品の続編らしい。

    この物語は小学生二人が自分の成長やら両親のこと、いじめなどに直面していく成長ストーリー…かと思いきや、ファンタジー要素もあり、幼い頃ってこんな風に感じてたなぁと思うこともあれば、二人(特にりら)はずいぶん大人だなぁと思うこともあった。

  • そうか、そうか、そうだった!と思い出す。

    いや、ほとんど忘れてるけど。

    悪くない、けどファンタジーはやっぱり苦手(^◇^;)

  • 空気自体は澄んでいるくせに周りには水滴の靄がかかっていてなかなか遠くまで見渡せない。真っ直ぐ進んでいるつもりなのになぜか遠回りになってしまう。何だろう、そんな感覚。
    川上さんの無二の感性と願いがこめられた素敵な作品でした。
    ただ、夜の校舎での顛末だけがどうしても違和感があって共感できなかったのだけが残念だった。ここのエピソードは他の作品(「七夜物語」?)とリンクしているのかな?それを知っていればまた受け止め方も変わったのかな?

    読み終わってみれば、とても壮大な物語。りらと絵のようなつながりにとても憧れる。タイトルがとても素敵。「川上弘美」っていう字面までがなんだか素敵に見えてしまうのが不思議。

  • 成長譚には違いない。前作の冒険を経て何かを獲得していくスタイルとは少し違って、本作では、自分や周りをみつめ、内面に深く潜ってゆくような印象だ。
    そもそも子どもと大人の差とはなんだろうか。18歳になれば成人という話ではなく、成長の証としての大人とは何を指すのか。経験値はその指針の一つかと思う。しかし、経験を通じて何も考えることをしなければ、経験値は上がらない。人としての成熟度は、物事と真摯に向き合うことによって深まるのではないか。だとすれば、りらと絵の夜もやはり冒険だったのだろう。
    成熟もさることながらゾンビになって永遠にさまよわないよう気をつけねばと思う反面、既にゾンビだったりしませんよね?といささか焦る。

    • コルベットさん
      はなむぐりんさん、こんばんは。いつもありがとうございます。たしかに18歳になれば成人という話ではなく、ですよね。社会人になっても長らく学生気...
      はなむぐりんさん、こんばんは。いつもありがとうございます。たしかに18歳になれば成人という話ではなく、ですよね。社会人になっても長らく学生気分を引きずってた身として耳が痛いところです(;一_一)
      2024/09/15
    • はなむぐりんさん
      コルベットさん、コメントありがとうございます。
      そうなんです。素敵な物語に心躍らされる最中、本質を突くフレーズが散りばめられていて、はっと...
      コルベットさん、コメントありがとうございます。
      そうなんです。素敵な物語に心躍らされる最中、本質を突くフレーズが散りばめられていて、はっとしました。成熟していない我が身に、矢がぽすぽすと刺さる様な気分でした。
      2024/09/16
  • まさかの続編。
    あの冒険を忘れて大人になった2人がそれぞれ家庭を持ち、その子どもたちが巡り会う。りらと絵の冒険譚、というには現実世界の比重が大きいかな。

    グリクレルも懐かしい。欲を言えば、酒井駒子さんの絵で見たかったな(ヒグチユウコさんが悪いわけじゃなくて)。

  • 本編は読んでいないが、後半から繋がりが段々とわかってくる。
    りらと絵の関係、小さい頃にはあったな。りらみたいに変わってないかったけど(笑)

    本題にもなっている最後の章。
    ちょっとご都合主義だけど、なんだか許せる。
    時代は変わっても、いろいろな形で歴史は繰り返す。

    大好きなヒグチユウコさんの装画がうれしい。

  • 「七夜物語」の続きが出たと聞き、ヒグチユウコさんの装画でもあり、迷うことなくひとまず入手。初出は「小説トリッパー」。

  • 『七夜物語』の続編。本編のことをだいぶ忘れてしまっていたけれど、楽しく読めました。『七夜物語』は昭和の話だったけれど、今回はあの物語の主人公だった、さよと仄田くんのそれぞれの子供たちが主人公。

    残念ながら、さよと仄田くんは結婚しておらず、近所に住んでいるがもう接点はない。さよは作家になっており、夫とは既に離婚、一人息子の絵(かい)くんと二人暮らし。仄田くんちは娘のりらと奥さんと、りらから見たひいおばあちゃんとおじいちゃんと一緒に暮らしている。小学4年生で仲良しの絵とりらが今回の主人公。さらに麦子さんと南生さんの養女で大学生のメイも登場。小学生のりらと絵の良き友人兼アドバイザーとなる。

    連作短編形式で、視点はりらと絵くんが交互、中盤まではずっと二人の日常と成長が描かれていて、不思議な世界に行ったりはしない(古い写真の人物が出てきて助けてくれたのはなんだったんだろ)。りらは母親からも「扱いが難しい子」と言われていて、パパの仄田くん似の理数系思考回路の個性的な子。クラスの女の子三人組から軽いいじめを受けている。絵くんのほうは要領よく社交的で性格にはとくに問題はないけれど、母のさよが新しい彼氏を連れてきたり、月に1度は離婚した父と会って話したり、いろいろ面倒事が多い。

    かなり後半の「二人の夜」でようやく、夜の高校の校舎の冒険で、さよと仄田くんも一緒に、あの世界に二人が行くことになる。なつかしのグリクエルも登場。ただこの冒険は、個人的にはやや物足りなかった。もちろん一夜だけのことだからというのもあるけれど、二人の会話がかなり理屈っぽく、作者のメッセージ性が強く出すぎていた気がする。最終章も、やや唐突な気がした。2011年3月11日の震災。それを乗り越えて大人になったりらと絵はそれぞれ被災地と関り続けている。さらに時間は飛び、彼らの孫のエピソードで物語は幕を閉じる。

    ずっと子供たちの成長をゆっくり見守るような形で続いていた連作が、終盤で急展開したので、ちょっと気持ちがついていかなかったかも。

    ※収録
    20/ビゼンクラゲは大型クラゲ/泣くのにいちばんいい時間/ミジンコそのほか/中生代三畳紀/たましいの名前/海でおぼれそうになった/犬はまだうちにいる/ピーツピジジジジ/犬が去っていった/前門のとら、後門のおおかみ/二人の夜/明日、晴れますように

  • 『七夜物語』から12年。新たなる冒険の物語が生まれた。
    30年前に、七つの夜を冒険したさよと仄田くんは大人になり、ともに10歳の少年と少女の親になっていた、ってなんとエモいことよ。
    前半はりらと絵の日常の世界。少し変わった少女りらはクラスメイトからいじめられているけど、まったく気にしない。彼女には彼女の「気になる世界」があるから。そのりらのことをカッコいいと思っている絵。絵にも彼なりの心配事と苦労はあるものの、彼の役割はりらの世界を守る事のよう。実際にはなにもしないのだけど、そのなにもしないけどそばにいることの大切さを、多分大人ならわかるはず。
    2010年台を舞台とすることで、「今」よりも少し不自由で狭いリアルが描かれる。2024年の10歳であればまた別の感じ方になるような。
    りらは考える。世界のひとつひとつを見て観察してそして考える人。絵は世界を感じる人。そんな二人にとって、親よりも自分たちに近く、自分たちよりも少しオトナな存在のメイの存在は大きな指標。
    夜の学校の冒険で二人は無意識恩世界を旅する。それぞれに心の奥深くへと潜っていき、自分にとって大切なことを探す。彼らは大人になればいつかこの冒険のことを忘れてしまうのだろう。でも記憶が薄れても、いつか忘れてしまっても、その冒険自体は二人の心のどこかに生き続けていく。
    私たちも10歳だったころ、きっと同じように心の奥深くに冒険の旅に出ていたのだろう。忘れてしまったとしても多分。
    だから、大切なものを、大切なことを、探す旅は、心のどこかで続いている、そんな気がする。

  • 『「うん、そうだよね。でも、わかりやすくちゃ、だめなの?」ぼくは大ねずみに聞いてみた。最初は、大ねずみのことがこわかったけれど、今はもう、どっちでもよかった。いろんなことがあって、つかれてるからかもしれない。「だめとかいいとか決めるってことが、そもそもわかりやすいことじゃないのかい?」かあさんが、大ねずみのその言葉を聞いて、わらった』―『二人の夜』

    ああ、なるほど。これは続編だったのか、と届いた本の表紙を見て理解する。本棚には横長の新聞の切り抜きの束がある。もちろん、単行本もあるが初の新聞連載ということで一日一日読み継ぐ愉しさを味わった名残だ。本当は、連載された後に単行本となったものを読む方が好きなのだけれど(何故って、自分の息継ぎで読めないのは大変じゃない?)。

    川上弘美の小説に何を求めるかと問われると、答えに少し困るのだけれど、「七夜物語」のようないわゆる「ジュブナイル小説」を読んで味わいたいと思うようなものは全く想定していない。もちろん、川上弘美の小説はそんな風に分類してしまえる程単純ではないのだけれど、例えば夏休みの課題図書だった「大きい1年生と小さな2年生」のような少し道徳臭い話を読むのが苦手なのだと思う。別に「硬質」なものを求めている訳ではないし、この「明日、晴れますように」も読んでみれば文章は確かに川上弘美なのだけれど、少しもやもやする。そう書いてみて解ったのだけれど、川上弘美の小説とか、岸本佐知子の翻訳とかを好んで読むのは、押し付けられた道徳に対する忌避の思いを作品から感じられるからなのかも知れない。

    もちろん「七夜物語」は、小学生時代の課題図書や道徳で読んだ副読本とは違うけれど(道徳というと、どうしても「♪ 口笛吹いて空き地へ行った〜」という歌が頭の中を流れて行ってしまう)、そんなむずむずとしたものが出てきそうだと感じさせるような設定があり、ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」みたいな話の展開もあるので、読んでいて冷や冷やした記憶がある。そして、いつも以上に平仮名書きの多い本書も、続編であるので当然のことではあるけれど、あの歌を再生するスイッチが入りそうな物語だ。

    けれど、川上弘美の小説の主人公たちはいつも(作者に似て)一筋縄では行かない人ばかり。自分自身が天邪鬼な性格な為か、個人的にはそんな登場人物たちはとても魅力的だと思うのだけれど、そんな彼らに妙な感情移入も拒絶感も引き起こされることもなく、ニュートラル(って日本語にすると中立的とか中間的なんだろうけれど、もう少し柔らかい意味合いで使いたい。例えば、あいまい)な立ち位置で読むことが出来るのがよい(あくまで個人的な感想です)。ちょっと変わった主人公たちは粛々と物語を進めていく(余談だけれど、この粛々な感じが誤解されて「あわあわとした」等と評される原因なのかも知れない。川上弘美の小説は、決して淡くはないと思う)。でも本当は決して粛々と事に及んでいるのでも、淡々と事が流れているのでもなく、そこには表に出てこない(あるいは、出せない)葛藤がある。その少し捻じれた感覚こそが川上弘美が「つい」(本書には単行本には珍しく著者によるあとがきがありますが、そこにそのように吐露されています)書いてしまう小説の本質であり、それは恐らく主人公たちが漠然と感じている「居場所の無さ」感に起因するもの。そこまで邪推してみると、これはカリフォルニア帰りの川上弘美自身が感じている世界観(少なくともヒロミ・イズ・モンキーと呼ばれた世界に居た時に感じていたであろう世界観)に辿り着くものなんじゃないたろうか。この作家の書くものがどこかいつも空想科学小説めいているのも、それが理由だったりして。

    本書は半ばを過ぎてもさっぱり続編的な展開は広がらなくて、例の大きなねずみが中々出てこないなあ、このままだと続編という意味は人の繋がりのことだけになるのかなあ、なんて思っていたら急展開が待っていた。そして最後はテレビドラマのシリーズものの最終シリーズのエンディングのように、あれよあれよという間に色々なものが全て結びついて終わる(ので少し読んでいて恥ずかしいような気持ちがわく。という感想も変な感想だけれど、今、中学生日記を見たら感じるであろう、じっとしていられない感じと言えばもう少しわかり易いか)。えっ、そうなるの、という展開はあるけれど、世代を越えて描いた意味合いは判り易い。ただその結びつきはちょっときれい過ぎるなあ。それと、最後の最後にそんな登場人物を出したりして、続編の続編を書く可能性を残したのかな、と思わず勘ぐってしまった。

  • さよと仄田くんの冒険から30年後。2人はそれぞれに家庭を持ち、4年生で同じクラスの子供の親となっている。さよの息子・絵(かい)と仄田くんの娘・りらが今作の主人公だ。性別は違えど2人ともさよと仄田くんにそっくりな性格をしていて面白くて嬉しい。りらはやっぱりというか変わり者で3人の女子にイジメられていたり、それを絵はどうする事もできないけど気にしていたり。2人の日常が交互に描かれているが終盤で夜の冒険に出かける。大切なものを見つけるために。大切なものは別に1つとは限らない。そしていつまでも同じとも言えない。

  • 表紙のイラストがまずすごく好き。
    登場人物が、こどもも大人も、好きだなー
    もちろんねずみも笑
    お気に入りの空気感

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川上弘美の作品

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