氷点

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 74
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022538031

感想・レビュー・書評

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  • 何度も映画やドラマ化されて多くの人が知っている小説。人間の原罪、がテーマ。
    クリスチャンの三浦綾子が描く物語だから根底にはキリスト教というものがあるのだろうけど、要素としてものすごく強いわけではないと私は感じた。
    宗教よりもっと普遍的な感覚で、人間の根底にある悪を登場人物の中に見るような。
    主人公の少女・陽子は高潔な人間だけど、それ以外の登場人物にはもれなく“悪”の要素があって、だけどその“悪”に走ってしまう理由が理解出来るから、不可解とは思わない。
    とりわけ“嫉妬”という悪い感情が多く登場人物の中に見て取れる。そしてその悪い感情がまっすぐではなく複雑に絡まり合って誤解を生んで、その誤解が大きな悲劇を呼んでしまう。

    陽子のように高潔で前向きな人間でも、自分のルーツに“悪”を見つけてしまったとき、それまでの前向きさを全て崩すほどのエネルギーを生んでしまう。
    そういうものなのだろうか?と想像してみたけれど、高潔だからこそ許すことが出来なかったのだろう、と自分のなかで結論づけた。
    陽子が自分や他人の罪に対して潔癖じゃなかったら、もしかしたら結末は違ったのかもしれない。

    私の知人が「三浦綾子の小説は宗教くさいから嫌いだ」と言っていて、きっとそういう風に思う人は世の中にたくさんいるのだろうけど、個人的には宗教から切り離しても読めると思った。数年だけどキリスト教について学んだ経験があるから思うことかもしれないけれど。
    人間の根底にあるもの。目を逸らしてしまえる人も多くいるけれど、一部の人間は真剣に見つめてしまうもの。
    時折現れる自分のなかの原罪にはっとさせられる。私にとっては、そんな物語。

  • 人間の存在そのものが、お互いに思いがけない程深く、かかわり合い、傷つけあっていることに、今さらのように啓造はおそれを感じた。

  • 度重なる不幸、不運にハラハラドキドキの連続。陽子の強さに心が打たれる・・・

  • タイトルの意味が分かった時は悲しい気持ちになる人間ドラマ。

  • 旭川、会津若松などを舞台とした作品です。

  • 妻が他の男と会っている間に娘が殺される。
    復讐のため犯人の娘ひきとり、そうとは言わずに育てさせる夫。
    そんな生活が平穏にすぎるわけもなく、やがて訪れる破滅。

    こんなお話だったんだぁ~。なぜかミステリと思っていましたよ。
    それなのに、未読のはずなのに映像が目に浮かぶ。
    なんで?と思っていたら、数年前にドラマ化されていたのですね。
    それで思い出しました。
    忙しくて原作を読む時間がない、ドラマも見る時間もない。だから番宣のメイキングだけ見たのでした。

    「汝の敵を愛せよ」という言葉が本当に実行できるのか。
    妻への不信とこの言葉が何度も啓三の心を揺らします。
    主人公は陽子ではなく啓三ではないかというくらい、啓三の揺らぎが何度も描かれていて、人間の弱さ、愚かさが痛いです。

    ラスト、当然こんなところで終われるはずもなく、速攻『続』にとりかかります。

  • 表紙image無いんですね。残念。

    氷点。大分前に人にお勧めされて、そのままにしてありました。今回やっと読みました。(私そればっかりですね 汗)                       
    ちょっと微妙でした。
    なんか、作者の、言いたいことを盛り込もう、盛り込もう、としている感じが露わ過ぎて嫌だったというか。あなたたちはどうせこんな風には考えないでしょう、こう書いたら、すごいなぁと少しは心打たれてくれるでしょう、という感じ。   元々、小説って、表現物なので、それがあって当たり前といえば当たり前なのですが、なんかちょっと鼻につく感じでした。

    ただし、もちろん、思わされるところもありましたよ。                  
    自分の娘を殺した犯人の娘を赤ん坊のときから引き取り、育てる。自分にはまだ子供がいないので、どうも想像つきませんが、例えば、似たケースで、自分の親を殺した少年/少女の親の面倒を見る、とか。自分親を殺した子供の弟、妹が自分の兄弟になるとか。                  どんな気分で、また、自分はどのように行動し、考えるのかな、と。結局うまく想像しきることはできなかったけれど、いい糧にはなったかと思います。

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プロフィール

三浦 綾子(みうら あやこ)
1922年4月25日 - 1999年10月12日
北海道旭川市出身。終戦まで小学校教員を努めたが、国家と教育に対する懐疑から退職。1961年『主婦の友』募集の第1回「婦人の書いた実話」に『太陽は再び没せず』を投稿し入選。
1963年朝日新聞社による投稿した小説『氷点』が入選し、朝日新聞に同作を連載開始。1965年、同作で単行本デビュー。刊行直後にベストセラーとなり、映画化・ラジオドラマ化される代表作となる。ほか、映画化された『塩狩峠』が著名。様々な病苦と闘いながら、キリスト者として執筆を続けた。

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