ネオ・ファウスト

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  • 朝日新聞出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022559333

感想・レビュー・書評

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  • 朝日文庫で読んだ手塚治虫のファウストは、もう一つよくわからないままの不完全燃焼だった。

    また、判型の小ささから読みづらかった。

    せめて本書くらいの大きさは、欲しい。

    ブックログに登録するための所作から、本書が手塚治虫の絶筆だと知った。

    亡くなった頃に発売されたムックの様な何冊かに書かれていたのか定かではない。

    忘れていたのかも知れない。
    いずれにせよ本書を読むのは初めてだ。

    奥付には1989年4月25日第一刷とある。
    もう32年も前で紙質もあるのか、かなり古書然としている。
    しかし、流石に手塚治虫だ。一気に読ませる。
    美乳の美形の悪魔が登場してからは、どんどんと読ませる。

    本書が書かれたのは、昭和の末期で、
    手塚治虫が亡くなったのは、平成になったばかりの頃だった。
    令和になって本書を手にしたのだが、紙質は色あせても、
    内容は色あせない。

  • 自分の命で手塚先生が生き返ってこの続きが読めるなら、残りの人生全部、神でも悪魔でも誰でもいいからくれてやる!!
    と、本気で思うくらいに「未完」となっているのが辛い作品です。
    読む前から未完であることを知っていたので敢えて読まなかったのですが
    棚にあって読める状態になっていたため、数ページ目を通したが最後、物語の魅力に抗えず購入し、読んでやはり「未完」の文字に打ちのめされました。
    読まなくても後悔するし、読んでも後悔するという、とても貴重で素晴らしい作品です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「この続きが読めるなら」
      手塚治虫には未完の作品が多いから、生き返ったとしても描いてくださるかどうか、、、
      しかし、3作も「ファウスト」を描...
      「この続きが読めるなら」
      手塚治虫には未完の作品が多いから、生き返ったとしても描いてくださるかどうか、、、
      しかし、3作も「ファウスト」を描くなんて、とっても憧れていたのでしょうね。。。
      2013/08/23
  • 手塚治虫の遺作の一つ。アニメだと「青いブリンク」が放映の途中だったそうだ。
    あと、亡くなったことで未完になった作品には、「ルードウィヒB」と「グリンゴ」がある。次は「グリンゴ」かな。

    初期傑作集で読んだ青少年向け「ファウスト」もまあ、器用に作り替えているなと思ったけれど、この「ネオ・ファウスト」は力の入れようが違う。最晩年の手塚治虫がまさに死力を尽くして描こうとした、現代日本版「ファウスト」だ。
    二人の一ノ関のシーンでは、何度も冒頭のシーンと見比べながら読んでいた。SF好きだった手塚治虫らしいし、ストーリーとしてもめちゃくちゃおもしろい。細かな違いが生死を分ける展開にぞくぞくした。

    基本の筋はゲーテのファウストと同じだから、第二部の展開もラストも大まかな予想はつく。この後、長いこと寝込んで、ワルプルギスの夜に参加して、ヘレネと結婚して子供を作って妻子とも喪って、東京湾を埋め立ててるけど、絶対に立ち退かない善良な一家を破滅させて苦悩して、津波がやってきて何もかも喪ったところで、人間が人間として生きることの人生の価値に気づき例の言葉を言って死ぬ。
    けれどそこに手塚治虫ならでは、舞台が現代日本ならではの味付けがあったはずで、それをもう永遠に見られないのが残念で仕方ない。
    第二部の途中で死ぬなんて、そこまでゲーテの真似をしなくってもいいでしょうに。残念だ。手塚治虫がもっと自分の体を大事にする人だったらな。まあ、自分すら捨てて漫画に何もかも捧げるような人だったから、こんなにすごい作品をいくつも遺せたのかもしれないけど…。

    文庫版だとネームの状態ではあるけど続きをちょっとだけ見られるらしい。見たい。解説も、アマゾンのレビューによると読み応えがあるそうだ。

    BJにも周りの人はごまかしているけど、本人は自分がガンに冒されていて余命が幾ばくもないと自覚している医者の青年が出てくる。その話で青年を指導している医師は手塚治虫だ。「執念」という題名。初出は少年チャンピオンで1976年。http://www.phoenix.to/76/bj127.html
    手塚治虫が亡くなったのは1989年。http://tezukaosamu.net/jp/about/
    手塚治虫は予言者だったの?

  • 1970年代からの日本の政治・経済・教育を盛り込みつつ「ファウスト」の物語は展開していく。
    手塚治虫氏ならではの時代描写で、やや皮肉ったように書かれているが、その年代がある意味で狂気じみていた…と言う暗喩なのかもしれませんね。
    他にも「ファウスト」作品があるようですが私はまだ読んでいません。
    いくらか手元にある手塚治虫作品の中でもこの「ネオ・ファウスト」と「奇子」が最も際立って光る作品だと思います。

  • 『ファウスト』の手塚流解釈を学園紛争真っ只中の日本に持ち込んで繰り広げられる、「手塚治虫ファウスト作品3部作」の最後の作品(未完)。手塚治虫の絶筆は他にも『グリンゴ』や『ルードウィヒ・B』などがありますが、個人的に最も絶筆であることが悔やまれる作品です。完結した第一部だけとっても、あまりの名作っぷりに、リアルに唸らされること間違いなし。

著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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