今でなければいつ

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022564733

作品紹介・あらすじ

ウクライナからポーランドを転戦した伝説のユダヤ人パルチザンたち。アウシュヴィッツの作家レーヴィが描く大虐殺に抗した勇気ある男女の群像。

感想・レビュー・書評

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  • ユダヤ人にとっての脅威はナチス・ドイツだけではなかった。行く先々で憎悪を向けられるその様子に現在まで続くパレスチナ問題の根深さを垣間見る。戦争が終わっても物語終盤で出てくるフランス人女医の話は、レーヴィ本人の抱えていた苦悩に相違なく、レーヴィもまたやがてその深淵に飲み込まれてしまう。また同様、戦いに身を投じその深みに潜って行ったものも、やはりその縁に飲み込まれてしまう。リンたち女は大丈夫かもしれない。でも物語に出てきた男性たちは、自分の中の戦争を終わらせることなどできないのではないだろうか。

  • ユダヤ人をゲットーから引きずり出し、全員を映画館に閉じ込めた。子供、老人、瀕死の病人を含めて2,000人以上が500席の映画館に押し込められた。食べ物や飲み物を与えずに7日間閉じ込め、哀れに思って窓越しに食べ物を渡そうとしたポーランド人に発砲した。また彼らの最後の金を目当てに水を運んできたポーランド人にも銃を撃った。そして扉を開け、外に出るように命じた。生きて出てきたのは100人ほどしかいなかったが、ドイツ人は彼らを広場で殺し、広場や映画館の中の死体を全て埋めるように、ポーランド人に命じた。その時、そうした死に方をした子供たちを見て、ユダヤ人もポーランド人と同じ人間だとわかった。そしてドイツ人はいずれユダヤ人にしたのと同じことをポーランド人にもすると悟った。

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著者プロフィール

1919年、イタリア・トリーノ生まれ。トリーノ大学で化学を専攻。43年イタリアがドイツ軍に占領された際、レジスタンス活動に参加。同年12月に捕えられ、アウシュヴィッツ強制収容所に抑留。生還後、化学工場に勤めながら作家活動を行い、イタリア文学を代表する作家となる。その円熟の極みに達した87年、投身自殺を遂げた。

「2017年 『周期律 新装版 元素追想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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