雑兵たちの戦場―中世の傭兵と奴隷狩り

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著者 : 藤木久志
  • 朝日新聞社 (1995年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022568946

雑兵たちの戦場―中世の傭兵と奴隷狩りの感想・レビュー・書評

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  • 戦国時代において、侍身分ではない兵士がどのような存在だったかを様々な観点から考察している本。食い詰めた農民が他国で乱暴狼藉(財産を奪ったり、人をさらって奴隷として売るなど)をしたり、食糧難に陥った兵士に雑炊を高値で売り付けたりするなどする様子。逆に、普通に生活している農民が、他国からの侵略に対して「城入り」「山入り」をする様子。これらを、実際の古文書からリアルに描き出している。特に「城入り」の項目は面白くて、領主の城の中に避難する例、領主の城の外周の谷に小屋掛けする例、村独自の山城に立てこもる例、村そのものを総構にして防御を固める例など、様々な事例が書かれていて、当時の民衆が生き延びるために知恵を絞ってベストな方法を模索している様子がうかがえる。戦国時代というと、大名や武将がフォーカスされがちであるが、本書を読むと「普通の人々」が戦争にどのように向き合っていたのか想像が膨らみ、新たな戦国時代像が自分の中に浮かび上がってくること請け合いの良書である。

  • 武田信玄などの大名たちの武勇伝の視点から戦国時代を理解するのではなく、足軽や雑兵たちの視点や動きから描く戦国史。

    この本を読んで、戦国時代の見方が変わった。それまではロマンがあるものと無意識に決めてかかっていたが、豊富な引用と確かな分析からそうではないことがよくわかる。

    江戸時代の江戸という都市も完全無欠のリサイクル都市と思っている人がいるようだが、寺社に記録されている過去帳から読み解くと、平均年齢は低く、表紙や疫病に悩まされていた都市だったことが良くわかるとニコニコ動画で有名な蝉丸Pが書いていた。

    それと同じような勘違いのロマンを戦国時代にも持っていたことが認識できた。


    やはり史実に直接当たるのは大事だと再認識した。

    関連する書籍としては、ヴェネチアの1000年を描いた塩野七生の『海の都の物語』をあげたい。ローマ帝国亡き後のヨーロッパの中世をベネチアという都市国家から眺めた本で、そこに出てくる地中海の南半分を覆ったイスラーム勢力の海賊たちが『雑兵たちの戦場』に描かれた当時の日本と重なったからだ。

    彼らもまた、喰うために海賊に出なくてはならなかったのだろう。

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