- Amazon.co.jp ・本 (573ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022572448
感想・レビュー・書評
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もろい家族関係が殺人事件を複雑なものとする。ほとんど悪いやつはいないのに悲劇が生まれる。誰にでも不幸が訪れるチャンスはある。ささやかな日常も貴重なものかもしれない。
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誰も、それこそ自分も望んでいないけれど、仕方なくしてしまったことがある。それは当人にすると本当に仕方が無いのかもしれない、でも、第三者から冷静に客観的に考えると、その限りでは無いことが往々にしてある。とはいえ、起こったことが事実で、誰しもがその人・その場所にに代わりようがないこともまた事実であるので、起こしてしまった人でしか分からない事実を、どれだけ周りの人が自分の身になって考えてあげられるか?が、真実に到達できる一つの方法だと思うのだけれど、そんな、起きてしまった事象について、参加者それぞれの事情や背景について読ませてくれる、正に”理由”というタイトルにふさわしい小説。
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超高層マンションで起きた「一家四人」惨殺事件。彼らはその部屋の「住人」ではなかった。彼らは一体誰なのか、なぜそこにいたのか……。さまざまな社会問題を取り込みつつ現代の闇を描く各紙誌絶賛の長篇ミステリー。
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高級マンションで起こる一家四人惨殺事件を軸に展開するんだけど…関わってくる人物達の家族との確執、お金というもの、1人では解決がとてもできない事や心情との戦い…。
いろいろな形があれど…
家族というものは引きつけ合わなければならない。
そのための努力は惜しむべきではない。
そして、その努力を家族は理解しあわなければならない。
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1つの殺人事件を、ジャーナリストが事件関係者にインタビュー形式で聞いた内容という形態で、これにより、徐々に事前の全貌が明らかになっていくという面白い展開でした。(ノンフィクションなのか?と錯覚してしまう感じです)
また、いろいろな現代社会の問題や家族内での問題という視点も事件の背景と絡めて、現代社会の歪みに対する警鐘を発しているようなメッセージ性も感じました。
「名もなき毒」では毒というのがキーワードでしたが、この作品では「怪物」というのがキーワードのような気がしました。自分自身が保身と欲望のために怪物に変身したり、他人が自分を支配しようとしているという恐怖で、他人を怪物のように感じてしまい、その結果、怪物を退治したり、逃避したくなるという、自分自身の心の中で現れる怪物という存在が、人を容易に悪い方向へ導いてしまうことに対する警鐘を感じ、読み終えて、考えさせられました。
この作品は読みごたえがあり、やはり傑作ですね! -
面白かったけど、ちょっと長い。
しかも、表紙のおじさん怖いし・・・ -
高級マンションの一室で起こった殺人事件
関係者を取材し、そのインタビュー内容でつづられた内容になっている
八代の両親へ取材してほしかった -
とてつもなく長く綴られたある殺人事件の真相記事...。そのもの。
登場人物の人生描写が細かくリアル。
途中疲れて読むのを少し端折ってもいいか..と思いかけたが、全ての背景を知って初めて真実がわかるものだ...という観念にとりつかれたように、結局細部まで丁寧に読まされてしまった。野次馬の心理をついたような作品。
高層マンションでの生活に浮かび上がる影のようなものも伝わってくる。
様々な人の人生をお腹につめこまれたような読後感が残る。 -
一家四人が被害者の殺人事件が発生した。捜査を進めるに連れて、その四人が他人同士であることが判明。逃げ続ける容疑者、身元不明の死体。なぜ事件は起こったか。練り上げられた登場人物一人一人のストーリー、競売物件の民事執行妨害を背景にした深い話だった。
最初に事件が起きたところはなにがなんだかわからなくて面白くなかった。周りの登場人物の証言によって事件が浮き彫りになってくるところに、だんだんと面白くなってきた。 -
足立区や荒川区あたりの川沿いの高層タワーマンションを見るたび、この小説を思い出します。