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- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022572820
作品紹介・あらすじ
アウシュヴィッツからの帰還。悲しくも愉快な冒険だった故郷トリーノへの旅の10カ月。広大で奇妙な国ロシアとその人々、無数の旅の仲間たち。混沌の中のヨーロッパ…。ユダヤ人レーヴィが、魂の回復の途上で出会ったもの。
感想・レビュー・書評
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アウシュビッツは1945年1月にソビエト軍によって解放された。だがイタリアに早く帰国したいという私たちの希望は裏切られる運命にあった。理由はわからなかったが、おそらく戦争がヨーロッパ全に気に、そしてとりわけロシアに残した極度の混乱のためか、私たちの帰国はようやく10月になって実現した。それはポーランド、ウクライナ、ベラルーシ、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアを通過するという良き不可能で不条理な、とても長い道のりを経てなされた。イタリアに帰国すると、私は自分や家族を養うために、すぐに仕事を探さなければならなかった。しかし私が経験するめぐり合わせになった特異な体験、アウシュビッツの地獄のような世界、奇跡的な救出、死んだり生き延びた仲間たちの顔や言葉、再発見した自由、疲労困憊させられた、特異な帰還の旅、こうしたものが心の中で抑えきれないまでに膨れ上がっていた。私はこれらのことを語る必要があった。それらが悪夢のように私の中だけに残らないようにすることが、私の友人だけでなく、万人に、なるべく多くの公衆に知らせることが重要に思えた。私は可能になった時、すぐに書き始めた。手順に従って、猛烈ない記憶で。ただ一つの思い出さえ忘れてしまうのを恐れながら。
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