文学なんかこわくない

著者 : 高橋源一郎
  • 朝日新聞社 (1998年10月発売)
3.22
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  • 本棚登録 :40
  • レビュー :5
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022572981

作品紹介

文学探偵タカハシさんが、「オウム」「アダルトヴィデオ」「教科書が教えない歴史」「失楽園」「酒鬼薔薇聖斗の犯行声明文」「敗戦後論」などの「現代・日本・文学」を徹底推理する入魂の文学論。

文学なんかこわくないの感想・レビュー・書評

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    かなり辛らつな渡辺淳一「失楽園」評や武者小路実篤論などを含む1995〜98年小説トリッパー連載の文学時評。文学を軽い調子で語ってしまおうとする陰に、逆に文学に対する執着が煮え隠れする80年代的とうかいの態度があまり好きになれなかった。タイトルもちょっと恥ずかしい。

  • 文芸誌に書いていたものをまとめたもの。70年代〜90年代を生きてきた人へ。平成生まれの子にこの空気感は伝わらないと思う。

  • 高橋源一郎はすごく頭が良くて、正直で、誠実で、だからこの人の書くものには安心して身を委ねてしまっていいな、と思った。高橋源一郎はそんな読み方をされることは望んでいないかもしれないけれど。でも高橋源一郎って、文学を心から愛する人だと思う。だから、わたしの読書歴なんてたいしたことはないのだけど、それでも本を読む人間としてやっぱり愛おしくなっちゃうんです。

    この本から受け取ったものはあまりにたくさんある。ひとつひとつ丁寧に咀嚼していきたいと思う一方で、今のわたしには到底抱えきれないような問題意識をたくさん提供されてしまった感じ。

    オウムのマハー・ケイマさんの文章。「自分が思ったことはきちんと言葉で表現できる」と信じること。究極の真理まであっというまに到達してしまう、その整理整頓された論理の道筋。意味が一つずつしか存在していない言葉で構築された世界。
    AV女優のスカウトにおける価値観の解体作業。
    「可愛い」と言いながら殴る親によって精神分裂症になっちゃう子供は、一対一対応の世界に入ることを禁じられた人間に対する罰を受けてる。
    国籍とは、国民文学とは、母国語とは?
    あの「声明文」の名文、文章力。
    「人間の限界とは言語の限界であり、それは文学の限界そのものなのだ」ミラン・クンデラ
    世界を成立させるためには文学が必要である。では、文学とは何か。文学と政治とは。言葉の政治性。日本語の枠組みの中でしかものを考えることのできないわたしたち。

    もう、考えるべきことが溢れていて、ものすごく体力を使ったし、頭が痛くて痛くて、読みたくてしょうがないのに読めなくなったりしたし、涙が出そうになるのを必死にこらえたりした。わたしは世界がどういう風に成り立っていて、自分はどう生きるのかをずっと知りたくて、それに対する答えを、読書の中で探してる。あたまいたくなっちゃった。考えることは生きること。生きろ生きろと痛いくらいに訴えかけてくる本。くるしくて、つかれきってしまうけれども、ほんとうに刺激的な読書体験。

  • 言葉足らず

  • 初めて読む高橋さんの本。
    いくつかの評論に分かれているが、一番心に留まったのは「文学の向こう側Ⅰ」。これの冒頭で全文公開されるある犯行声明文は「もう、こんなふうに自分の子どもにいわれちゃったら、私はどう返答したもんだか非常に頭を抱える」ぐらい、名文なのである。まがりなりにも犯行声明を名文と呼ぶのには高橋さんご自身も非常に大きな戸惑いがあるのを認め、また、読者に一緒に考えてほしいと真摯な態度を示している。
    どのように美しい文章をつづろうとも、現実の犯罪は非常に陰惨で衝劇的であった。
    だからこそ私自身も、この声明を読んだときに受けた感情を素直に受け入れるわけにはいかなかった。
    他にも「日本語は客観を目指さない」や、「日本語は関係性の場で生まれる言葉」など、英語のIと比較すること出日本語とは何かということを示してくれた。
    特に、日本語を扱う以上、我々は日本語に拘束される、つまり国語に拘束される。国語を超えられるのは文学だけだからこそ、歴史を紐解くとき文学を研究する加藤典洋を引用する。

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