神樹

著者 : 鄭義
制作 : 鄭 義  藤井 省三 
  • 朝日新聞社 (1999年9月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (595ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022574282

作品紹介

中国山西省の山村で、樹齢数千年の「神樹」が突然開花した。神樹がよみがえらせた親、子、兄弟や八路軍の亡霊たちは、過去を再現し、語りはじめる。抗日村長を斬り殺した日本軍、神樹に守られた八路軍、土地改革で虐殺された地主、国家規模の"大躍進"・製鉄運動のために餓死し、あるいは生き延びた村人、文革時に失脚した村の書記、宗教結社弾圧に巻き込まれ処刑される娘…、神樹は歴史のすべてを見てきたのだ。開花の奇蹟に御利益を求め人々が押し寄せたため、共産党政府は危機感を覚え、迷信を根絶すると称し、神樹伐採に中央から戦車の大部隊を出動させる。神樹を守るため、村人は亡霊の八路軍に加勢し、戦車隊に立ち向うが…。

神樹の感想・レビュー・書評

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  • 中国の農村を舞台とした、驚異の物語。

    何百年来村のシンボルとして存在し続けた古木「神樹」。その神樹が初めて花を咲かせたその時から、過去と現在、夢と現、生者と死者が渾然とした、壮絶なる伝説が幕を開けた・・・。

    中国版マジックリアリズムの真髄と呼んでも差し支えなかろう。カルペンティエルやマルケスら南米のマジックリアリズムは自然現象自体に驚異的な現実を多く見出しているのに対し、こちらは政治・社会現象に驚異的な現実が多く見出されている。この小説を読んだ最大の感想は、この小説は中国人にしか書き得ないものだということ。マジックリアリズムの影響を大いに受けつつも、中国伝来の小説文化が脈々と受け継がれているように思える。中国の小説でしか感じられない熱気が流れている。

    中国の歴史は、いつの時代も農民こそが主役であると再認識した。

  • 樹齢千年を超える大木を祀る村「神樹村」の、趙、石、李、それぞれの一族3代をめぐる物語。というと歴史大河小説のようだが、一筋縄ではない小説。
    神樹が何百年ぶりに咲かせた花の霊力により、死者を蘇らせるあたりから、過去と現在が入り乱れ、物語は好き放題に蛇行し始める。この蛇行が、慣れてくると癖になる面白さ。
    また登場人物も500頁を超える紙数の割には多くないのに、それぞれの相関関係は複雑であり(系図は冒頭に掲げられている)、深みがある。

    中国という舞台は、作者もあとがきで述べるように、起こらないことが無い驚異の世界。それを魔術的リアリズムとして捉えて愉しむという読み方は、長閑な解釈のようである。むしろ現実の過酷さの発露という見方、あるいは民族の業のようなものを訴えた結果、たまたまそれが魔術的に見えてしまう、そんな読まれ方を望んでいるようだ。

    中国という国家・文化の測れなさ、途方もなさに触れることができて満足。良書。

  • 久しぶりに読むのが苦痛な本に出会った。
    結末は知りたい。でも、読んでても気分悪い。
    人生2度目。出来れば3度目は無いほうがいい。

  • 樹齢四千年の巨木が鮮やかな幻想をふりそそぎながら開花して死者が蘇り、過去と現在を交錯しつつ抗日戦争から現代に至る大河物語の扉が開かれる。神樹にいだかれた土地で営まれる欲情と死が神話に次々と飲み込まれるさまが、幾重にも重なった豊穣なイメージの波となって怒濤のごとく降り掛かって息苦しい程の読後感。

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