彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 66
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022574848

作品紹介・あらすじ

目白のアパート「紅梅荘」ふたたび!桃子、30歳。定職、ボーイフレンドなし。親友・花子は荻窪の実家のパテ屋から目白に戻り、小説家のおばさんは相変わらず辛辣。桃子の母親は、なんと恋愛、再婚!謎めいた隣人・岡崎さんは「ね、ね、おもしろいでしょ」が口癖…傑作『小春日和(インデイアン・サマー)』から10余年を経て語られる「彼女(たち)」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • そそられている新刊の図書館本が山積みだというのに(嬉!)、なぜか本棚から手にとってしまった古ぼけたこの本。ちょっとだけ、のつもりだったのに、(なんてちょっとだけができないのは始めからわかっていたんだけど)結局最後までじっくりと(#^.^#) 読んでしまいました。目白四部作の「小春日和」の10年後という設定のこのお話。目白の古いアパート、紅梅荘で日々ちょっとしたバイトをしながら自堕落に(#^.^#)暮らす桃子、編集者としてしっかり働いていたはずなのにあれこれあったらしく急に無職となり、紅梅荘に戻ってきた友だちの花子、そして、作者を思わせる毒舌で疲労感漂う桃子のおばさん。桃子の新潟の実家のお母さんが再婚することになったり、気の弱い弟もまた結婚、旅館業を継ぐことになったり、と周りは動いているのに、桃子は何をするでもなく、恋人もいたり、いなかったり。「働かざる者食うべからず」なんてフレーズに敏感に反応してバイト先である塾の同僚、小林とうだうだ語り合ったりして、まぁ、なんというか、全然生産的な話ではないんですよね。でも、なんで、私、このお話(というか、金井美恵子の作品群)を何度読んでも飽きないどころか、またすぐに続けて読みたくなってしまうんでしょう???自分の周りは、バカばかり、と鬱屈している気持ちを持て余す若い女の子、なんて、ホントだったら鼻持ちならないイヤな奴のはずなのに、花子やおばさんとのやり取りのユーモラスなこと、また、彼女の言っていること、思っていることに、痛気持ちよく刺激されてしまうところも結構あったりして。金井さんの持ち前の長いセンテンスも、途中でどこにかかっているのかわからなくなって、もう一度読み返したりするくらいなんだけど、それも女のおしゃべりそのもの、という感じで、あぁ、好きだなぁ〜〜と。ここまで来たら、また、この続きの「快適生活研究」を読まねば・・とワクワクしたりもして、(そうなったら全然関連性はないけど、「噂の娘」だって読み返したい)でも、返却期日の迫った図書館本も目の前に積んであって、さぁ〜〜、どうします!!??なんて、イラハイ、イラハイ、と手を叩きたくなる気分。結局は、金井さん、好きです!なんですよね。

  • 三十歳になってもボロアパートで、旅館経営をやってるおふくろのすねをかじりつつ、たまにバイトしつつなんとかやって、昔一緒に住んだことがある花子がまた引っ越してきたり、お隣の岡崎さんていうベテランの愛人さんとか、小説家のおばさんとか、グズな弟と強い男性性をもった奥さんとか、塾のバイト先の先生でモテようという欲求が知識のひけらかしにいってしまう小林くんとかとか……

    まあとにかく次から次へといろいろな人が出てくるわ、女性の会話に見られるような話題の飛躍に次ぐ飛躍、その中にもまた別の人物の噂が語られ、実はその人物が知り合いの知り合いだったみたいに現実に復帰してきたり、と。

    精緻に点検するように読み始めたせいか、はじめはこの文章にかなり抵抗感があったが、次第に「これはノリだ」とわかってだんだん彼女(たち)のお喋りに付き合ってみたくなった。

    何の事前情報もなく手に取った本書だったが、ちょうどピンポイントで関心のあるテーマがいくつか扱われていた。つまり……

    「所有と存在」「セックスが交換可能であるという認識」「交換のグロテスクさ」「働かざるもの食うべからずの違和感」「経済について」「男の無反省」「経済は男の言い訳のために作られたのではないか」「女の無客観性」「女性蔑視」

    「阿Q風冷奴」は実際に作って食べた。

    にぶやたかしの解説も興味深い。
    「カタリー派」とか、谷崎潤一郎の「下痢」とかおもしろいテーマが盛りだくさんって感じだ。

  • 坂口安吾へのオマージュか?
    文体が坂口安吾で、舞台が現代、主人公が女性なのが、なんかオモロイ。

  • 久々に目白四部作を読んでいて、小春日和が好きなのでこの本のことを思い出し、読んでみたくなったが通常には販売しておらず、古書をもとめることになり、驚いた。こんなにおもしろいのになあと。
    だらだらとした大学生(桃子)はだらだらとした大人に、ちょっとピリッとした大学生(花子)は相変わらずちょっとピリッとした大人になっていて、人間そうも変わらないけどすこしずつは変わっていくというのが読み取れるし、相変わらずいじわるな自分の作品を使った入試問題への言及なども有り再読も楽しめた。

  • 小気味の良いガールズトークといった感じでしょうか。皮肉たっぷりに物事の本質を指摘しているところがすごいなと感心しました。たまにはこういうスパイスの効いた作品を読むのも新鮮で面白いです。

  • なんやろ焦燥感と安心感がないまぜになった感じ。

  • 緊張がほぐれた。続き、まだあるんだ。

  • 2011/5/27購入

  • すぐ読んでしまってもったいなかった。延長線上にあるんだけど、ハナコも大人になってて、変わらないのは私だけ、というのがおもしろくも心が痛む。旅館業に対する偏見が強すぎて、印象にのこりすぎた。弟の彼女の図々しいさまとか。変わらないでいられるのは、実は一番難しい気がする。

  • 小春日和といっしょに

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プロフィール

金井美恵子(1947.11.3~) 小説家。高崎市生まれ。1967年、19歳の時に「愛の生活」が太宰治賞候補作となり、作家デビュー。翌年、現代詩手帖賞受賞。小説、エッセイ、評論など刺激的で旺盛な執筆活動を続ける。小説に『プラトン的恋愛』(泉鏡花賞)、『タマや』(女流文学賞)、『兎』、『岸辺のない海』、『文章教室』、『恋愛太平記』、『柔らかい土をふんで、』『噂の娘』、『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』、『お勝手太平記』など多数。また第一エッセイ集『夜になっても遊びつづけろ』より『目白雑録』シリーズまで、エッセイ集も多数刊行している。

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