指揮官 岡田武史―アルマトイ、フランス、そして札幌

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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022575869

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  • 90年代のワールドカップで通算0勝3敗の後、再び日本代表監督として2010年W杯でベスト16という成績を残して、現在は中国で杭州緑城足球倶楽部の監督に就任した名将・岡田武史ですが、それほどサッカー好きでもない私が以前からその発言の中にただならぬものを感じていましたけれど、今回の朝日のインタビューを読んで大いに教えられ感心させられ、彼の目の確かさに深く感動しました。


    下記に一部分を抜きますが、読んでみて下さい。

    記者:中国はメンツを大事にする社会と言われます

    岡田:ユース年代の練習でミニゲームをやって、負けたほうは土下座して「参りました」という罰ゲームを与えると、必死にプレーする。でも、負けても絶対に土下座はやらない。メンツやプライドに年齢は関係ない。だから相手を立ててあげないといけない。尖閣諸島問題も、国有化を巡って当時の胡錦濤(フーチンタオ)国家主席のメンツをつぶされたことが決定的だったと聞いた

    記者:尖閣問題のときは杭州でもデモがあり、直後の試合が中止になりました。身の危険を感じたことは

    岡田:普段の生活で嫌な思いをしたことは一度もない。試合中止は、日本人が監督をしているチームだからではなく、試合の警備に人手が足りないことが理由だった。確かにひどい暴動もあったけど、報道の中には誤解もあったと思う

    記者:でも、相当な反日感情がないと、あんな騒ぎにはなりません

    岡田:日本を好きだとは思っていない中国人は少なくないかもしれない。それでも、自分の子どもを戦場に送ろうとは思わないだろう。政治システムからいえば、お互いに立場があって解決できない。そんなときには人の絆や信頼しかないと思う。その糸口が文化であり、スポーツ。政治家でもない自分ができることは、中国人と日本人が心をひとつにしてプレーする姿を見せること。

    だから、中止になったときも今こそ試合をしたい、だからこそ日本に帰れないと思った

    ■自分が出来るのは 心ひとつのプレー 次世代につなげる

    記者:中国にいると、日本人である自分を今まで以上に意識させられるでしょう

    岡田:変わらない。確かに自分は日本が好きだし、日本人としてのアイデンティティーを持っている。代表監督として日の丸を背負って戦った経験もある。でも、本質を見れば、尖閣問題もばかげているなと。お互いに固有の領土と言うけど、いつから固有なんだと。地球の歴史46億年を460メートルとしたら、ホモサピエンスの歴史20万年はわずか2センチだよ

    幼稚園のときに砂場で遊んでいて、ここから入るなと友だちを排除したら、先生に「どうしたら仲良く遊べるか考えなさい」としかられたことがあった。それと同じで、けんかするか、話し合うしかない。じゃあ戦争をするのか。私はしたくない。ただ、それだけのこと

    尖閣問題のようなことが起きることは、中国に行く時点である程度は予想していた。何かが起きたときに、地球を救いたいとか、人類を救いたいとか、そこまでは考えていない。自分の3人の子どもの時代に争いを残したくない、いい社会、いい地球を残したいと思うだけ。子どもたちのためと考えると、どんな問題でも答えはシンプルに出る。例えば原発もそう。何が次の世代にプラスになるんですかと

    記者:中国人とはどう付き合っていけばいいのでしょう

    岡田:もともと、中国人はこうだからという先入観を持っていない。だから構えてもいないし、特別にこうしなければいけないとも考えてない。ステレオタイプ的に「中国人は怠惰だから」と言う人がいるけど、実際には違った。約束を守らないとも言われるけど、そんな人は日本にもいる。
    民主党も自民党も全然守っていないじゃない。中国を嫌う人は多いけど、実際に行ったり、住んだりした人はどのくらいいるのか。相手を知らずに嫌いというのはおかしい。私も帰国して日本の新聞を読んで、中国は自分勝手だな、嫌な国だなと思うことはある。でも、杭州に戻って出会う中国人の大半からはそういう感情は起きない

  • 引き出しの中身を使い果たし、新たに再構築するために充電中。エコロジーをどうサッカーに持ち込むか・・・。

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