生命進化8つの謎

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022576859

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  • 本書での「生命進化8つの謎」とは、1.生命誕生前の分子の生命への進化2.染色体の進化3.RNA、DNAと複製酵素4.原核細胞から真核細胞への進化5.有性生殖の発生6.原生多細胞生物から、動物、植物への進化7.孤独性からコロニーの発生(アリなどの社会性動物)8.霊長類の社会性の発達である。 言うまでもなく、進化に意思も目的もない。キリンの首は、徐々に伸びていったのだが、それは進化の結果であって、キリンの意思でも進化の意思でもない。現在に比べ首の短いキリンは、その短い首で選択され、生き残り、さらにそこから少しだけ首の長い個体が生まれ、そこでまた選択・・・ということを連続的に繰り返し現在のキリンになったはずである。このような単純な進化のパターンならば、謎などないはずである。しかし、生物史には上記したような一見、非連続に見える進化が起こっている。 例えば、言葉の起源。脳は、言葉を操るための機関を持っている。数十万年前、あるサルが突然変異でこの機関を脳内に持ったとしよう。このサルが選択される理由を見つけることは大変難しい。なぜなら、言葉は他者が理解して初めて言葉だからである。このサルが選択されるためには、このサルの脳を作り上げた突然変異遺伝子を持ち、他者と言葉を交わすことできるサルがすでにたくさん存在し、言葉を交わすことができる有利さを享受できなければならない。しかし、この言葉遺伝子は、今、このサル以外持っていない。卵が先かにわとりが先かというジレンマに陥る。 上記の8つの謎は、そのすべてがこのようなジレンマを持つ。このジレンマに果敢に挑戦するのが本書である。著者は、分子生物学者らしく、1,2,3の説明はあまりにも高度で理解することが難しい。それ以外は、理解は易しいが、結果はあいまいである。要は、「いろいろ説はありますが、よくはわかっていません」ということ。一言で言ってしまえばそうなるが、それでもなかなか面白い本である。

  • 進化とは、世代間で授受される情報の変化に依存するもの、と捉え、かかる情報の貯蔵・伝達方法に大きな変遷あることを、ダーウィニズムの観点から叙述する。◆テーマは複製・遺伝、細胞生成、真核細胞・性の起原、共生・多細胞生物の成立、人類の起原から言語獲得まで非常に幅広く叙述されている一方、明快な具体例で説明する等、一般読者を念頭に書かれている。各々の項目で分厚い書籍となりうるものを簡明にまとめ、非常に有益。◇ただ、細胞・生化学・遺伝の基本的知識(高校レベルでも足りようが…)はあったほうが、間違いなく読みやすい。
    ◆2001年刊行。著者ジョン・メイナード・スミスは英サセックス大学名誉教授。エオルシュ・サトマーリはチェコスロヴァキア・ブダペスト高等研究所及びエトヴェシュ大学植物分類・生態学部教授。

  • 生命と情報
    主要な移行
    化学から遺伝へ
    RNA世界から現代世界へ
    遺伝から単細胞へ
    真核細胞の起原
    性の起原
    遺伝子における対立
    ともに生きる
    多細胞生物の進化
    動物の社会
    動物社会から人類社会へ
    言語の起源

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