貴婦人Aの蘇生

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 228
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022577009

作品紹介・あらすじ

北極グマの剥製に顔をつっこんで絶命した伯父。死んだ動物たちに夜ごと刺繍をほどこす伯母。この謎の貴婦人は、はたしてロマノフ王朝の最後の生き残りなのか?失われたものの世界を硬質な文体でえがく、芥川賞作家のとびきりクールな傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっとづつおかしい・・・
    それでも極悪人はいない
    いいな~~

  • 死者と剥製、そして革命で命を散らしたといわれるロシア皇女、アナスタシア。
    複数の「死」のアイコンを用いた、日本が舞台であると明記しているにも関わらず、異国情緒が漂う奇妙で静かな奇譚です。

    小川洋子作品の骨頂である「淡泊」に「抑圧」された筆致で、どこまでも「純化」していく人々と世界観を堪能できます。

    今回も、思う存分、小川ワールドに没入させて頂きました。
    この至福感は、ちょっと推理小説では味わえませんね~。
    小川先生、ミステリー書いてくんないかな…←


    久しぶりに自分でまとめたレビューをば…(^^)φ
    亡き夫が残した剥製に、「A」の文字を刺繍し続ける伯母。
    一定のルールを順守し続ける強迫観念に囚われた恋人。
    私の日々の生活は、そんな二人の間に挟まれた奇妙だけど穏やかなものだった。
    ある日、屋敷に収集された剥製の取材に、オハラという男が訪れるまではーー。

  • この作家の作品には、しばしば何等かの障害を持った人が描かれる。
    この作品の場合は、語り手の恋人であるニコがそれだ。

    強迫神経症のために複雑な儀式を成功裏に終わらなければ扉を通り抜けることができない彼だが、それを見守る周囲の人々の彼に向ける眼差しは限りなく優しい。
    そして、この作品の中ではバイプレイヤーと思われる彼が、もっともいきいきと描かれているように私には見える。
    この優しさは、作者が宗教者であることに由来するのであろうか?
    この作家の持つ静謐で透明な世界観もこれと無関係ではあるまい。

    本作は彼女の作品の中では幻想的要素の非常に少ないものとなっているが、そのぶん毒が無く、読後に静かな余韻を残す作品となっている。

  • 剥製集めが趣味だったおじが亡くなり、病院にはいっていたおばと猛獣館で暮らすことになる。剥製を見に訪れた男がおばがロシアから亡命した皇女アナスタシアではないかと疑りはじめ、刺繍を続けるだけだったおばとの静かな暮らしが少しずつ変わっていく。ひと夏の物語、夏休み、というような「あの頃」を書いた物語で、ドラマというかどのように展開していくのか、追わせるストーリーはミステリーのようでもある。

  • 剥製に刺繍する老婦人、強迫性障害の彼氏、なんとも小川さんらしい素材。ロマノフ王家が絡む背景は大きいが、老婦人はわが道を行く、という感じでとてもいい。昔も今も変わらない青い瞳。語り手の姪が、シビアな観察眼で老いた伯母を見つめながらも、どうしようもなく惹かれているというのが伝わってくる。終盤、二人でレストランで食事をし、ソファで二人で語らう場面が好きだった。ラストも後味のいい締め方。

  • なんていうのだろう、なにひとつ説明できなくて、なにひとつ答えがでない話。輪郭がぼけて、ファンタジーだよと思う一方で妙になまなましくもあるような。オハラはずるいです、ちくせう。

  • 2012/12/30
    復路

  • おばさんを気遣って、みんなの優しさがおばさん中心に向っていた。
    小川さんの小説はいい意味でずっと温度が変わらないと思う。盛り上がるところがなければ、盛り下がるところもない。

  • 小川さんの作品は気品と静寂とミステリアスで構成されていると思う。結局の所、貴婦人Aと名乗るおばあさんの振る舞いや生活は貴婦人そのものであり、貴婦人Aが本物か偽者か、どちらであってもいいような気がする。今更、おばあさんにそんな真意を追求しなくても、いいのでは・・・。

  • 剥製だらけの館『猛獣館』で暮らす
    私とおばさんの物語。

    この本を読み終わって一番に思ったのは
    嫌な人は居たけれど悪い人は一人も居なかった。
    ってコトですね。

    最後は泣きそうになりながら読んでました。
    決して悲しい訳じゃナイけど、悲しくて
    とても優しさに溢れた結末でした。

    やっぱりこの方のお話し 大好きです!!

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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