人間復興の経済を目指して

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022577443

感想・レビュー・書評

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  • (2009年07月20日読了)
    ・参考:「匠の時代」P14
    ・参考:「経済の恐怖−雇用の消滅と人間の尊厳」(ヴィヴィアンヌ・フォレステル)・・・人間はもはや搾取の対象でさえなくなった。いまや人間は排除の対処になった。P21
    ・参考:「ターボ資本主義−市場経済の光と闇」(エドワード・ルトワク)・・・経済は栄え、社会は衰退する。P22
    ・(2001年12月)現在のように失業率5.6%を超えているというのも確かに大きな問題だが、ケインズ経済学の考え方では5%の失業率は資本主義社会の中では想定される範囲内の数字であり、労働力の移動に伴って発生する短期的な失業である摩擦的失業、辞めてどこかへ移るための失業の期間とか、季節的な失業、仕事のない期間、失業状態になるというのは資本主義にはつきもの。P27
    ・本当に大変なんだということを知らせるには公共事業を思い切り減らしていいのではないか。本当に苦しいのだから収入のないのに支出をするのと同じで、景気はいつまでたってもよくならない。P29
    ・日本とヨーロッパ諸国の大きな違いは、「企業は潰れても人間は潰れない」という社会的安定化装置がよく整備されていること。資本主義・市場経済をとる限りは失業と同じようにバブル発生も不良債権問題も、どのように優れた経済政策をとっても残念ながら避ける事はできない。P32
    ・困難な問題は多くあるが、やはり「職なくば人間の尊厳もない」という理念を大切にしたい。いろいろな働き方があるにしても働く、働かせるという関係にはしかるべきルールが必要で、そういう節度をお互いが持ち守っていくという姿勢が過剰な失業者の生み出される時代だからこそ特に大事で失業問題の根源的な解決にもつながるのではないか。P38
    ・参考:「オランダモデル−制度疲労なき成熟社会」(長坂寿久)・・・オランダモデルは働く時間を少なくする、あるいは仕事を分かち合うわけですが、しかし企業側は実質的には賃金を切り下げる事はしていない。実質賃金は低下しないように企業は必死で努力する。それでも低下した場合、政府は現在処置をとったり、雇用補助金を出すと言う形で側面から支援する。P40
    ・デンマークでは人々が化石燃料から自然エネルギーに向けていくことができるように、さまざまな制度をつくっていった。そして2030年までに電力消費量の50%は風力発電でカバーする計画になっている。P48
    ・合理化・効率化を追求することは結構だが、人を育てる、育む、という努力をしないで、目先のバランス・シートをよくすることだけにしか関心がない、というような経済が果たして真の合理化と言えるのか。P64
    ・参考「毎日が日曜日」城山三郎・・・たとえ豊かでなくても、それぞれ自分の人生をみつめ、自分なりの幸せというものを追求した人々が多く存在し、登場。P70
    ・参考「部長の大晩年」P77
    ・易経「窮すれば変じ、変じれば通ず」・・・窮する事はけっして悪いことではない。窮すると変ずる、変わらざるを得ない。変わることによって打開できる。だからこれは変わるための1つのチャンスだと思って努力すれば必ず道は開けると思えばいい。P91
    ・参考「わしの眼は十年先が見える−大原三郎の生涯」P100
    ・今の日本は軍事予算の膨張といった問題こそないが、赤字国債を際限もなく発行しつづけることができないと言う点では何か枠を決めて押さえ込まなければならない。P141
    ・今は資本の論理に全部まかせるのが正しいんだという声だけがまた大きくなっている。金というものが非常に大きく出てきて、あらゆる物が「カネの論理」「資本の論理」で動いている。金を持っているものが勝ちということになっている。P145
    ・コツコツと真っ当に「働く」ということが、本当に報われる社会でなければいけない。しかしコツコツやっても報われないと多くの人が感じ始めている。P148
    ・参考「日本の論点」P153
    ・オランダモデルは「働く側の自由」をより拡大していく事で成果を上げた。しかも「正規社員と非正規社員との区別をまったくしてはならない」という法律ができている。P158
    ・労働における3つのミスマッチング。?職を求めている人と、人を求めている側との間の需給の不均衡。?生き甲斐を満たすような仕事がなく、生活の糧のためにしぶしぶ働かざるをえないという、生き甲斐、働き甲斐のミスマッチング。?介護などの社会的必要労働の圧倒的不足。P162

著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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