「新しい人」の方へ

著者 :
制作 : 大江 ゆかり 
  • 朝日新聞社
3.56
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本棚登録 : 93
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022578662

感想・レビュー・書評

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  • 「子供のためのカラマーゾフ」が収録されている。 049

  • (2015.04.28読了)(2006.03.10購入)
    週刊朝日に、2003年1月3・10日号~2003年4月18日号まで掲載されたものを単行本としてまとめたものです。
    この本の前に出した下記の本では、「自分が子供のときにしたことや、感じたり考えたりしたこと、読んだ本を、愉快な思い出はもちろん恐ろしさや悲しみや、さらにもっと複雑な思いもあわせて、でるだけ自然に書きました。」(171頁)ということです。
    「「自分の木」の下で」大江健三郎著・大江ゆかり画、朝日新聞社、2001.07.01
    今回の「「新しい人」の方へ」を書くにあたって決めた方針は、「子供たち、また若い人たちに、「新しい人」になってもらいたい」というメッセージに固まりました。(174頁)

    【目次】
    黒柳さんのチンドン屋
    頭をぶつける
    子供のためのカラマーゾフ
    数十尾のウグイ
    電池ぐれで!
    賞をもらわない九十九人
    意地悪のエネルギー
    ウソをつかない力
    「知識人」になる夢
    人の言葉をつたえる
    もし若者が知っていたら!
    忍耐と希望
    生きる練習
    本をゆっくり読む法
    「新しい人」になるほかない

    ●怨望(85頁)
    福沢諭吉は、人間とはどういうものか、ということをよく知っている人でした。そして、人間の素質のなかで、ただ悪いだけで、よいところは何もないのが、「怨望」だ、といっています。たとえば、乱暴な素質の人には、勇敢な、という素質がある。軽薄な人には、利口なところがあるといってもいいというのです。
    しかし、怨望という素質だけは―人をうらやむ、人に嫉妬する、ということですが―よい性質とつながっていない。なにか良いものを生み出すところがまったくない、といいます。
    ●誇り(95頁)
    私は、子供のころにはありながら、大人になると失われる人間の性質のなかで、「誇り」こそ、いちばん大切なものじゃないか、と考えるのです。「誇り」をなくした大人がウソをつき始めると、とめどがありません。
    ●憂い顔の童子(109頁)
    小説『憂い顔の童子』は、ずっと若いころから愛読してきた『ドン・キホーテ』を、あらためて読もうと考えたことからはじまりました。
    ●母(132頁)
    母は、公民館の本を全部読んだ、もうこの村には読む本はない、と私がいった時、私をそこに連れ戻して、本棚の一冊一冊を取り出しては、この本にはどういうことが書いてあったか、とたずねたのです。
    しして、私がろくに答えられないのを見てとると、
    ―あなたは、忘れるために本を読むのか? といったのでした。
    それ以来、私は、一冊読むと、ノートかカードに何を読んだか書く、という習慣を作りました。

    ☆関連図書(既読)
    「個人的な体験」大江健三郎著、新潮文庫、1981.02.25
    「新しい人よ眼ざめよ」大江健三郎著、講談社文庫、1986.06.15
    「静かな生活」大江健三郎著、講談社、1990.10.25
    「あいまいな日本の私」大江健三郎著、岩波新書、1995.01.31
    「恢復する家族」大江健三郎著・大江ゆかり画、講談社、1995.02.18
    「ゆるやかな絆」大江健三郎著・大江ゆかり画、講談社、1996.04.10
    「「自分の木」の下で」大江健三郎著・大江ゆかり画、朝日新聞社、2001.07.01
    (2015年4月29日・記)
    (「MARC」データベースより)amazon
    「ウソをつかない力」をきたえて「意地悪のエネルギー」と戦う-。子供にも大人にも作れる人生の習慣。ノーベル賞作家の役に立つ贈り物。『週刊朝日』連載をまとめて単行本化。「「自分の木」の下で」第2弾。

  • 262.2009.8.02

  • 大江健三郎さんの優しい文体のなかから、静かにいろいろと考えさせていただく機会をいただきました。

    嘘をつかない意地悪の力は、自分の中で鍛えていくことができる。

    子供には子供の社会があって、そのなかで人を傷つけず、自分も傷つけられないで生きてゆく。そのためには、大人が社会で働かせる知恵にあたるものを子供の社会でも発揮しなければいけない。

    あとは、本をゆっくり読む方法ということを言われて、最近多読を目指している私にとって考えさせられました。

    「新しい人」って自分にとってなんだろう、
    そういうことを考えながらこの本を読み終わりました。

  • 「踊り子」「ギー兄さん」など、ここ一連の作品に繰り返し出てくるモチーフが。(別に続き物じゃないけれど)
    誰がなんと言おうと、ついて行くぜ、翁。

  • 今日、ブックオフで買った。

  • 子どもだけでなく、大人も読むと救われる。

  • 思春期の子たちに読んでもらいたいなぁ。

  • 大江さんのこの手の本第二弾。『性的人間』とは違う大江さんがいる。一緒なのかな?オープンハートな感じが好きです。

  • このエッセイの最初のほうの「文章を書くことは、話すことと多くの点で共通します。」という部分で妙に納得してしまった。
    (様々な人の「ブログ」を訪問して、ちょっと文章を読ませてもらっただけでも、何となく人柄がわかるような気がするから・・・)<br>

    「意地悪のエネルギー」という章で、福沢諭吉の言葉として引用されていた、「怨望」(えんぼう)という語が印象に残っている。
    人間の素質の中で、ただ悪いだけで、良いところはなにもないのがこの「怨望」(人をうらやむ、人に嫉妬する)だと・・・<br>

    私も「ウソをつかない力」を身に付け、いろいろなかたちで「生きる練習」をして、新しい場面に備えながら加齢して行きたいと思った。
    「新しい人」には、なれないまでも・・・<br>

    奥様の大江ゆかりさんの挿絵もやさしくてステキだった。

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著者プロフィール

大江 健三郎(おおえ けんざぶろう)
1935年、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業。大学在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を、同じく在学中1958年当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞を受賞。1964年『個人的な体験』で新潮文学賞、1967年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、1973年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、1983年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、1984年「河馬に噛まれる」で川端賞、1990年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。そして1994年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
2018年7月から『大江健三郎全小説』全15巻の刊行が始まる。

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