シンセミア(上)

著者 :
  • 朝日新聞社
3.61
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本棚登録 : 513
感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022578709

作品紹介・あらすじ

二〇世紀最後の夏、神の町で何が起きたのか?著者最高の傑作長編1600枚。

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物が多いがそれぞれエピソードが濃いのでさほど混乱せずに読めた。田舎町の爛れた人間関係。話の終着点がまったく予想できず、続きが気になる。

  • 果樹栽培が主産業の東北地方の町が舞台。のどかな風景の裏の猥雑と暴力に満ちた人間模様が描かれる。18禁のどぎついシーン満載だが、ストーリー展開に引き込まれる。シンセミアは「種なし大麻」。

    著者の作品は初めて。20年前の作品ですが、驚愕しました。とにかく登場人物が多く、どの人物も一筋縄ではいかない。善人が登場しない物語。上巻を読了しても、主人公が誰なのか、今後のストーリー展開も予測不可能。これだけ物語を広げて、下巻でどのように収束させるのか興味津々です。

  • この世界観はすごかった。

  • おそらく、21世紀入ってから出た日本の小説では一番好きなものです。
    かなり長い小説で、ハードルが高いと感じる人も多そうなので、あえておすすめしてハードルを下げます。

    この小説、ページ数が多いだけでなく登場人物も多いのですが、その登場人物全員が悪人かバカか変人で、誰にも感情移入なんかできやしません。それでも、一度この小説の世界を認識・把握できたら読むのが面白くて仕方なくなります。感情移入できなくても、小説は読めるといういい例なのではないかなと思います。

    著者の出身地である山形県の神町を舞台に繰り広げられる群像劇で、それぞれの人物の点の動きがつながって線となり、その線がさらに交差して図形に変わっていく。そのように発展していく物語を読む快感を教えてくれる本です。
    登場人物たちの悪意の持ち方や、ストーリーの無慈悲さを好しとするか悪しとするかは人それぞれだと思いますが、圧倒されるのは間違いないと思います。

  • 2010/8/1(~66)2(~186)3(~268)4(~?)終

    友人が読んでいたので、気になって読んでみた。
    阿部和重氏は「インディヴィジュアルプロジェクション」で初読でそのあとも何冊かお世話になっており、この、なんともいえない深いダークのようで、明るいとも言いがたい世界観に魅了されていました。

    今回もかなりねっとりとしたダークがあり、謎があり、上下2冊で半端ないページ数があって「これ、こんなに長いけど大丈夫なのか・・・」と長編読むときにいつも湧く心配が頭をよぎりましたが、上を読んだ時点で私の中でかなりアクションがあり、好きになりました。

    久々に読んでいて興奮が止まらない1冊でした。

  • 登場人物が多くて、話が広がる広がる。
    文学的な深みにやや欠けるところもあろうかと思われるが、
    かなりの力作である「神町サーガ」の第 1 部(?)。
    片田舎の閉鎖社会に暮らす人達の、
    ダークな部分が相互作用・干渉作用を起こし、
    崩壊へとひた走ってゆく。
    途中 David Lynch の Twin Peaks を少し思い起こしてしまった。

    2004 年 第 58 回毎日出版文化賞受賞作品。
    2004 年 第 15 回伊藤整文学賞受賞作品。

  • 阿部和重 気持ち悪いぞ。上下2巻でしかも内容がねちっとどろっとしているんだから読み終えるのにかなり力が必要。全くよくぞここまで変態的な人間が書き込めるものだ。阿部さんあなたももしかして…いやいやそんな事はどうでもいいい。神町という田舎町にうごめく悪意と非常識と変態的情欲。こんな町には住みたくないNO.1を進呈しよう神町に。できれば夏ではなく涼しくなってから読むべし、でないと食中毒になる。

  • 山形のある地域の住人を描いた小説である。異常な性と暴力を描いている。朝日新聞の文学紀行で紹介した山形の小説であるが、行ったことがないせいか、場所の描き方が具体的でないせいか、いまいち場面が目に浮かばない。

  • 犯罪といってしまえばそれまでなのだが,原罪を抱えたまま放置した末路がさまざまな人物によく現れていると思う。共感を放棄させるどころか,作者自身が覗きを推奨するような構成で意地悪い。

  • 東北の小さな町が舞台。殺人事件を契機としてコカインなど不審な事件が続発する。問題は米軍の占領期にまで遡る。戦後昭和の闇を突く。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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