シンセミア(下)

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 408
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022578716

感想・レビュー・書評

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  • いろんな突拍子もない出来事が起こりまくり、この話は一体どこへ到着するのかと思いながら読み進めていたが、見事に着地。人間の汚い部分がこれでもかとばかりにあらわにされていた。滑稽さにくすっと笑ってしまうこともしばしば。ホラばかり吹いていると思っていた星谷影生が特に印象深い。

  • 文体が硬かったり、かと思うと急に動的になるのでいつもより時間をかけて読んだと思う。終盤は引き込まれっきりで読むスピードが最後まで落ちなかった。
    出てくる人物がどの人物も憎めないのに、やってることはあくどいww
    星谷影生あたりを書くときは特に作者は楽しかっただろうな、と思う。
    あと神話的だけど、救いは(松尾夫婦を除いて)ないっていうのが特徴なのかな。最後の阿部本人になりすました金森年生が不気味だ……

  • 2004年に、第15回伊藤整文学賞小説部門、第58回毎日出版文化賞第1部門を受賞。

    どこかからのラジオと洪水が繋がった時に不穏はさらに広がり,やがて様々な装置により物語は一気に沈む。爆発に始まり爆発に終わる,そんなくだらない神話が楽しくてしょうがないのだ。

    現代は監視されていない人など存在しないほどの情報社会,本書の「ビデオ撮影サークル」の末路は示唆に飛んでいる。戦後日本の落とし子は今なお脅威を保ち続けている。

  • 特異な登場人物たちと、あり得ないような展開でもって、すごくリアルな事柄を語ってると思いました。過去の過ちは改善されたのではなく、口をつぐみ一時鎮静化するだけで、時代は変わり、うやむやになり、世代交代しながらまた同じことを繰り返してしまう。人間の集団心理って恐ろしいな。そして恐怖や罪悪感は人間を沈黙させるよね。組織や共同体であれ個人であれ、支配する者は意識的に、または無意識にそれをうまく利用してる。国レベルのことから個人的なことまで、色々と深刻に考えてしまったな。。

  • 少しずつ読もうと思っていたけれど、7時間一気読みしてしまった。

    洪水で発見される死体、パン屋の受難から終盤、主要人物ほとんどが同じ運命を迎えることによって神町に安定が訪れる。

    女に殺される男がやけに多いのは、何かの示唆だろうか。

    隈元のおばあさんの話がむごい。熊女→隈元という連想か。

  • 疲れた。
    ぶん投げたくなるくらい嫌な人達ばかり。
    でも、やめられなかったんだから、すきなのか?

  • とにかく長かった。この作者の小説は初めてだが、長いわえげつないわ、それでもついつい読み進めてしまいたくなる麻薬的な魅力のある作品だったなと。
    正直、あまり人にはお勧めしにくいかな。

  • 最後の方はほとんどの関係者が死んでしまったか、懲役か警察を退職などであった。残ったのは夫婦、子どものせわをする女性、整形でもどった金森、タヌキと星谷の年配者の面々であった。おどろおどろしい小説である。ただ、山形という場面がどころどころ出てきただけでそれほど山形の小説か、といわれると戸惑う部分もある。

  • 悪者は、ほぼ駆逐されたようなので、よかったです。続きのピストルズも読む予定です。

  • なんだこれは。神の力か。
    でも討ち漏らしてる。
    やるならしっかり殲滅してください…。
    でもこの終わり方は逃避なような気もするよ。
    終わらせようがなかったから全滅エンドみたいな。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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