シンセミア(下)

著者 :
  • 朝日新聞社
3.68
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本棚登録 : 366
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022578716

感想・レビュー・書評

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  • 文体が硬かったり、かと思うと急に動的になるのでいつもより時間をかけて読んだと思う。終盤は引き込まれっきりで読むスピードが最後まで落ちなかった。
    出てくる人物がどの人物も憎めないのに、やってることはあくどいww
    星谷影生あたりを書くときは特に作者は楽しかっただろうな、と思う。
    あと神話的だけど、救いは(松尾夫婦を除いて)ないっていうのが特徴なのかな。最後の阿部本人になりすました金森年生が不気味だ……

  • 特異な登場人物たちと、あり得ないような展開でもって、すごくリアルな事柄を語ってると思いました。過去の過ちは改善されたのではなく、口をつぐみ一時鎮静化するだけで、時代は変わり、うやむやになり、世代交代しながらまた同じことを繰り返してしまう。人間の集団心理って恐ろしいな。そして恐怖や罪悪感は人間を沈黙させるよね。組織や共同体であれ個人であれ、支配する者は意識的に、または無意識にそれをうまく利用してる。国レベルのことから個人的なことまで、色々と深刻に考えてしまったな。。

  • 話のスケールが桁違いだった。読み終えて「はぁー、やっとこの世界観から解放された~」とホッとした。もやもやと漠然とした不安が残るのはなぜ?

    世代交代、新旧交代なんだろうか。次々と人が死んでいくのにスッキリした。そんな自分に驚く。

    それぞれの目の上のたんこぶが消えていく。予定調和なのか。……結局、残った者たちがこわい。土地に刻まれた因習というか呪われた?神の土地の血なのか、また新しい悪の新芽がちらほらと。

    ラストにうううーっと唸ってしまった。つらいけど面白いってどういうことなんだろう。

    そして山形の女は、やはり芯が強いな。したたかに耐える。さすがおしん県だ。未央、智子、和歌子、彩香、園子、慶子。実は女の物語だったのでは…。でも作者、最強(笑)



    余談になります。偶然にも本のリサイクル市で「グランド・フィナーレ」を発見!50円で入手。「シンセミア」でいっぱいいっぱいだー!と思ったのに買ってしまった…。不思議な阿部マジック。

  • 少しずつ読もうと思っていたけれど、7時間一気読みしてしまった。

    洪水で発見される死体、パン屋の受難から終盤、主要人物ほとんどが同じ運命を迎えることによって神町に安定が訪れる。

    女に殺される男がやけに多いのは、何かの示唆だろうか。

    隈元のおばあさんの話がむごい。熊女→隈元という連想か。

  • 疲れた。
    ぶん投げたくなるくらい嫌な人達ばかり。
    でも、やめられなかったんだから、すきなのか?

  • とにかく長かった。この作者の小説は初めてだが、長いわえげつないわ、それでもついつい読み進めてしまいたくなる麻薬的な魅力のある作品だったなと。
    正直、あまり人にはお勧めしにくいかな。

  • 阿部和重のシンセミアは良いらしいという評判は耳にしていたし、いざ読めば「なぜもっと早く読んでおかなかったのだろう」という感想を持つ予感はしていた。読んでみたまさにその通りの感想を持ったのだが、予感していた水準を超えていた。

    たとえば独裁社会を舞台にせずともここまで息苦しい状況を描くことが出来、幻想の力を借りなくともここまで魔的状況を現出させることができる。それらを、ごくニッポン的な、街角のスーパーマーケットやスナックなどのありふれた風景のなかで描き切る、そのことに何ゆえか感動してしまう。

  • 2018/07/15

  • この突飛さはひとつ間違えばついていけない作り話になりそうだが、緻密などろどろしたもうひとつの一つの現実を作り出してしまったのがこの作品。
    幾種もの狂気が重層をなし東根市神町を包んでいる。

  • すごく完成された物語だった。上巻は寝る前とかにちょこちょこ読んでたが、下巻は一気に読んでしまった。
    田舎特有の閉塞感がものの見事に滲んできて、嫌な感じがするものの、話の中に引き込まれていってしまうというか、目が釘付けになってしまうというか。
    荒唐無稽といってしまえばそこまでだけど、村山弁の会話とともに進む、神町の話にはなんとなく説得力があった。なまじっか知っている土地の知らない話だった分、おもしろさもひとしおだった。
    でも、この閉塞感は神町じゃなくても田舎ならどこにでもあるような、そんな気がしてしまう。
    のどかな田園風景の中に異物があるというか、だからこそ利権に食らいつく人々がいるというか。目立つということなのかもしれない。麻薬とか、暴力とか田舎に似つかわしくないイメージがあるものの、その違和感が逆にリアルだった。
    田舎で事件が起きるのは、やはり着火点に外部からの来訪者があるのだなと再認識。

  • 上下巻、1か月以上かけてやっと読了。たいそうカロリーの高い作品ではあったし、ストーリーテリングは巧みではあるが、世界観が好きになれなかった。

  • この世界観はすごかった。

  • 以前は内容に辟易して断念したものの、
    ようやく上下巻通して読んだ。

    適度にぼんやりしつつもある程度は結末がはっきりしてくれてよかった。
    嫌な描写・題材でやはり何度も投げ出しそうになったが、
    話が徐々に展開して行ってくれたおかげでなんとか読めた。

    ピストルズを先に読んでしまったので、
    こちらを先に読んでおけばよかったと思った。

  • なん年かまえの夏休みに山形県を縦断するように温泉地巡りをしたのだが、山形市から国道13号を北上する途上、突如ナビ上に「神町」が現れ、「おぉッ」と嗚咽に近い感嘆をもらしたのを思い出す。『シンセミア』は架空の「神町」を舞台として繰り広げられる群像劇だと位置づけられる。また、ガルシア=マルケス『百年の孤独』などの世界的名著とも対比される「民俗学的視点」なるもので評価される向きもあるようだが、ソポクレス『オイディプス王』に見られるような「犯してしまった禁忌」の根源を手繰り寄せるミステリー的手法も援用されており、劣情を煽る性描写が渾然一体となって、壮大な物語は「小さな復讐」へと収束していく。登場人物が多いことが特徴として語られる本書だが、彼らが「神の意志」なるものに従順なようでいて好き勝手に動くさまは痛快で、結局のところ、「観念論」などというものを振りかざさずともひとは良く生きれるのではないか、と思えてしまう。それでいて、阿部和重は突飛かつ奇異な状況下でも平常心を保つように情景描写に逃げず、ひたすら論理的に登場人物の感情を積み上げる。それは情報の溢れ返る「いま」という時代を所与として置き、好悪の評価を定めず、(「立身出世」や「自分探し」をはじめとする)奸智に富んだ他者の言に惑わされず、自発的に生きてゆこうという提案にも映る。「先が見えない」という現状認識は、90年代後半に青年期に入った阿部和重をはじめとした僕らの世代に共通だと思うが、「刹那」に訴えて単純消費的な行動に逃げるという構造は間違いなく破綻している。最小限の「スコッド(Squad)」として家族を守ることが本書のラストなのだが、僕らはさらに歩みを進めるべきではないだろうか。

  • 小説らしい小説だなあ。人が死んだり死んだり死んだり。

  • シンセミア 1・2巻の続き(ハードカバーでは上下巻、文庫本では1-4巻となっていた様子)

    この本と同時に読んでいた邪宗門はハッピーエンドとはならなかったが、こちらの本もハッピーエンドとならず。
    みんな死んでしまって終わり、というなんともやりきれなさが残る終わり方でした。。。
    あ、へんなのだけひとり生き残ったけど・・・

    登場人物の中に作者が出てきたり(変態チックな人)、物語の舞台となっているのが作者の故郷だったり(こんなきな臭い物語で地元の人怒らないのかな)、ちょこちょこ面白かった部分もある

  • 2010/8/5(~116)6(~150)10(~174)12(~216)17(~235)19(~411)終


    かなり時間がかかってしまいましたが、無事読み終わりました。
    すごく興奮した!ニヤニヤが止まらなかったし、頁を繰る早さも心なしかいつもより早く感じました。
    正直、「もっとよみたい!」と思ってしまったほど、この1冊に好意を持ちました。

    最後は後味の悪ーいバッドなラストでしたが、それがまたおいしい。
    うまい話の作り方をする人だとますますすきになりました

  • 登場人物が多くて、話が広がる広がる。
    文学的な深みにやや欠けるところもあろうかと思われるが、
    かなりの力作である「神町サーガ」の第 1 部(?)。
    片田舎の閉鎖社会に暮らす人達の、
    ダークな部分が相互作用・干渉作用を起こし、
    崩壊へとひた走ってゆく。
    途中 David Lynch の Twin Peaks を少し思い起こしてしまった。

    2004 年 第 58 回毎日出版文化賞受賞作品。
    2004 年 第 15 回伊藤整文学賞受賞作品。

  • マッチョと神秘の間。

  • きっかけは 自分の粗忽さにあるのです。ピストルズという本の装丁が気に入り書店にて購入。休日に読んでいたところ、敬愛する我が図書館の神様より『シンセミアとグランド・フィナーレに続く物語ゆえそれを先に読むと良いのではないだろうか』とアドバイスいただく、なるほど然り。翌日図書館にて両作品を借りてきたのでした。読むのがとてもしんどいお話でした。50人以上いる主な登場人物に加え暴力・性描写・人々の感情の記述・・・途中何度も本を閉じて ほおりだしそうに・・・閉鎖的な共同体の中逃れることの難しいものを背負いあるときは自己弁護しながら行動する人は恐ろしい 弱い と思う自分はどうなん・・?と考える・・・鶏頭はどんよりしてしまったのでした。読んでいる間、食欲がまったくわかず・・・食べても砂を噛むよう・・・ある意味最強のダイエット本。

  • まさかの結末でした。1日で。なんということ。
    「阿部和重」また出てきましたね、で、この一連の事件たちの真相が、星谷?によって語られることで、真実かどうかはいまいちあやしいんだよ、っていう終わり方がいいよね。ネタバレですかね。

  • 傍観

  • 10/18
    力量を感じさせる。
    が、やっぱり気持ち悪いんだよなー。
    真の読書体験が既存の世界観の破壊だとしても、愛読したくはない。

  • そのパワーにただ圧倒される。
    からまってころがって大きくなりつづけて、かけぬける。

    全然癒されないけど、根源的で泥っぽくて、嫌いなタッチではない。

  • ラスト、意地になって読みきる。よくやったあたし!!
    いやぁもう、本当に甚だ不愉快です。レポートでなければ読んでません、マジで。変質的性癖などなどにご理解の無い方にはお薦めしない。私はひたすらに著者との相性が悪いと(以下略)この人の文体、嫌いだわ。
    昔文学理論の教科書にこれが抜粋されて載ってたが、一体何論の見本だったんだろう…メディア論?
    何はともあれ読み終わったからには、ひたすらに不愉快で最後「それでいいんかい!!」と全力でつっこみたくなったこの思いを見せることなく、上手くレポートにまとめなくてはなりません。しかもそれを10名ほどのクラス全員に観覧。地獄や。

  • 神町。360℃から。

  • じゅるじゅる。
    良い名。

  • 今まで読んだ阿部作品の中でベスト.戦後日本を凝縮した「神の町」で起きるすさまじい惨劇と超常現象.最後はちょっと駆け足な感じでしたが,著者得意のディテールを積み上げる執拗な文体,盗撮という超越的視点の導入など刺激に満ちた傑作.

  • 私って何て全うな人間なんだろう と素直に自分を褒めたくなる。あぁしばらくは阿部和重読まなくていいや。「グランドフィナーレ」はまたいつか…

  • 驚きの結末。最後に方なるにつれて視点がころころと入れ替わり、切迫感があった気がする。相変わらず、登場人物を好きにはなれないが。

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著者プロフィール

1968年生まれ。『アメリカの夜』で第37回群像新人賞を受賞し作家デビュー。’99年『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、2004年に『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞・第58回毎日出版文化賞、’05年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞、’10年本作で第46回谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書『クエーサーと13番目の柱』『IP/NN 阿部和重傑作集』『ミステリアスセッティング』ABC 阿部和重初期作品集』対談集『和子の部屋』他多数。

「2013年 『ピストルズ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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