小説の未来

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著者 : 加藤典洋
  • 朝日新聞社 (2004年1月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022578945

作品紹介

なぜ小説はお猿の電車を歓ぶのか?小説の新しい動きと変わらない魅力を深く、広く、講義形式で解き明かし、これまでにない「読み」から文学の「あらたな十年」に光をあてる、本格的な文芸批評の登場。

小説の未来の感想・レビュー・書評

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  •  文芸評論家であり、早稲田大学元教授である著者による文芸評論集。
     村上春樹ファンからすれば、あの「村上春樹イエローページ」の編著者としての方が判りやすいかも知れない。
     本書の前言によれば「テクスト論批評ではなく、作品で作者が何を試みようとしたかを考え、その作品が読者に語りかけてくることに着目し、現在の小説家がどんな問題に直面しているか」を「作品を知らないまま読んでも判る、かつての文芸評論を復活」させたのが本書であるとのこと。
     ちなみに本書と同時出版されたのが「テクストから遠く離れて」である。
    「作者」は死んではいない、ということになるのだろう。
     紹介されている作者は村上春樹、村上龍、川上弘美、高橋源一郎、吉本ばなな等、ほとんどが僕の好きな作家たちであり、題材とされている小説も大半が既読のものであるので、かなり親近感を覚えながら読み進めることができた。
     所々で図表を使用して解説を行っているので、かなり判りやすい内容になっている。
     また、全体を「疑似大学講義」として、読者に語りかける方法を取っているのも、読みやすさの一因になっていると思う。
     出版されたのが今から10年以上前のことであり、その10年間に作家や小説を取り巻く環境は変化していると思う。
     例えば本書内では1995年、つまり阪神大震災とオウム真理教の地下鉄サリン事件が発生した年を、作家や作品に対する大きな転換期と捉えているが、その後の日本では3.11があり、世界に目を向ければ9.11があった。
     よって、リアル・タイムでの問題提議にはなってはいない。
     それでもここには興味深い考察や、もう少し深く考えてみたいと思わせる指摘等があり、知的好奇心を刺激してくれることは間違いがない。
     ただ、欠点、というか仕方ないことなのだろうが、本書に登場してくる作品の粗筋の紹介に留まらず「オチ」まで紹介されている場面があり、せっかく「面白そうだから読んでみたいな」という作品に出会えても、ちょっと興醒めしてしまったことも事実。
    「筒井康隆の文芸時評」でも同じことを感じたので、文芸批評ってのはきっとそういう側面を合わせ持っているものなのだと納得するしかないのかな、と思っている。

  • なかなか読みごたえあったけど、ちょくちょく出てくる専門用語には辟易した。最後らへん何言ってるのかわかりません。
    それからこんな風に作者の意図とか、どうしてこういう構造をとるのかって考えるのはちょっとしたサスペンス読んでるようで面白いのだけれど、果たしてこの本で取り上げられてる小説のいくつくらい、一般人が読んで直感的に「おもしろい」と感じられるのかっていうのが気になり、何かあまりにも文学っちゅーもんが遠くに行っちゃったような気がしないでもない。

    ・「シークアンドファインド」から「アバンダンド・バット・リターン」へ
    ・「こちら側」と「あちら側」
    ・90年代の超現実的なもの、怪奇現象、オカルト的なものから、オウム事件を受けて「あちら側」へ行くのはいけないのではないかと「自粛」の動きが強まった。その反動からか、この頃では「解離性同一性障害」がキーワードになってきている
    ・理想、ロマンティシズムというものは稚拙で無力なものだが、素朴であるからこそ人の胸を打つ

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