さまよう刃

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022579683

感想・レビュー・書評

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  • やはり納得の安定感ですね。
    以前ドラマか本で読んだ気がすると思いながら読みはじめたが、やはり、ドラマでも本でも読んでいたような気がします。
    しかし、ラストを全く覚えていなかったので、最後まで楽しんで読み終えることができました。

  • 人の心理がどう動くのか、興味津々で最後まで一気読みでした。

  • 胸を描き毟られる情景描写…辛くて切なくて腹立たしくて、そりゃ、復讐したいよ、いや、しなよって思いながら読む。辛かった…。

  • 最愛の娘を陵辱され未成年だから性犯罪を見逃す社会に問いかけた作品。
    この物語は未成年の犯罪を許してはいけない、未成年だから犯罪を犯しても守られるのはおかしい視点を問いかけてる。
    誰もが疑問に思う犯罪が問われない事。
    父親は愛する娘を理不尽に殺され犯人を探し追い詰めていくが未成年の犯罪の狭間で葛藤して最後に下した結末は…。

  • かなり突っ込んだ内容になっているので、賛否両論あると思いますが、救えるところが全くないのがつらいです。読んでて、少しは希望がもてるところも欲しかったです。明るい話題がない時代だから。

  • 高校生の頃東野圭吾ハマってこれ書店で見つけて買って読んだ。リアルすぎてつらすぎて映画も観たくない。本棚からも消した。ページめくる手止まらなくて面白いだけどつらすぎる。娘持つ父親、これ読んだら発狂すんじゃない。主人公発狂してるもん。

  • 読了日2010/11
    同情する余地の全くない犯人たち。
    ただただ自分の欲望のまま、人間を玩具としてしかみていない獣に一人娘を奪われ、その様子の一部始終をビデオで見てしまった父親。復習を誓わない親がいるだろうか。

    近年多発するこのような未成年による意味のない意志のない自覚のない殺人。主人公長峰がいうように、「このような子どもを世の中に生みだしたのは自分達大人の責任で、今の無関心な時代に原因であり、そんな、時代を生みだした大人たちには罰が与えられる。そして、今回はたまたま自分が罰を受ける番であった」
    頭では分かっていても、きっと自分だったらこんな考えを持てるようになるまで、何十年もかかりそう。

    こんな鬼畜は、撃ち殺されればいい、父親に思う存分復習させてやりたいと思う反面、こんな殺す価値もないような人間を殺し、娘の人生だけでなく自分の人生までもダメにしてしまうなんてばからしく無意味だ。
    しかし、警察に捕まっても犯人は少年法で守られ、更生までさせてもらえる。
    少年法ってなんだろうって考えさせられます。
    でも、一概に少年法は意味がない、未成年だろうが何だろうが死刑にしてしまえばいいとも思えません。
    まだ、大人になりきれていない子どもが起こした犯罪には大人が責任がある。なので、大人の手で更生させなければならないというのは正しいと思います。
    しかし、被害者の立場は・・・?
    このような、揺れる思いが登場人物すべてにしっかりと描写され、最後まで一気に読めました。
                                                 映画化され、DVDにもなってるので、映像でも見てみたいな。

  • さすが東野圭吾さん。
    読み出したら最後まで止まらない。
    「少年犯罪」このテーマには読んでいて終始辛いものがあった。
    「警察」の存在とはいったい。
    正義の味方?市民を守る?法律を守る?
    それぞれ違った立場の人間の気持ちを痛いほど感じれる一冊だった。

    【内容紹介】
    会社員・長峰重樹の一人娘・絵摩が死体で発見される。悲しみに暮れる長峰に、数日後、犯人の名と居場所を告げる密告電話がかかってくる。 逡巡の末、電話で言われたアパートへ向かう。留守宅へ上がり込み、部屋を物色すると、複数のビデオテープが見つかる。そこには絵摩が犯人2人に陵辱されている映像が写っていた。偶然帰宅した犯人の一人・伴崎敦也を惨殺した長峰は、虫の息の伴崎からもう一人の犯人・菅野快児の潜伏場所を聞き出し追う。
    少年犯罪被害者の悲痛の叫び、正義とは一体何なのか、誰が犯人を裁くのか。思いも寄らない結末が待ち受けていた。

  • 最後、「あれ?どうなったの!?」ってかんじ。

    丹沢祐二は物語に全く関係なかったの?和佳子と祐二は別居状態で、離婚してるわけではなかったのかな?まぁ、これはどうでもいいか・・・。

    結局、密告者って結局、久塚?中井誠は?

    ・・・不完全燃焼。

    苦しい、辛い話だった。泣ける話ではない。悔しくて泣くことはあるかもしれないが。

    もし私に子どもがいたとして。病気や事故でなく、犯罪に巻き込まれて、親より先に亡くなったとしたら・・・。犯罪者を許さない。

    私も、犯人を見つけ出そうとするだろう。そして、犯人を殺してやりたいと思うだろう。思いを遂げた後で、自首をするなり自殺をするなりするのだろう。長峰や鮎村、可哀想だった。

  • この作品は被害者の肉親の心理や少年法に対して、東野圭吾なりの問題提起を投げかけているようなサスペンス長編です。
    たしかに実際に被害者の立場にならないと、対岸の火事のような出来事も、いざ当事者になってみると、このような心理になるかもしれないなぁという、遠いようで身近にも起こりうる話というのをうまく描いており、かなり、引き込まれます。
    結末に関しては、逆にこれでいいのか?的ではありますが、問題を投げかけた状態で終わる東野作品ならではという感じはします。

  • 娘がレイプされ殺され、父が復讐するお話。
    やるせない内容だ。
    もしこんなことがあったら、一番痛い方法で犯人を殺してやる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「一番痛い方法で犯人を殺してやる。」
      お子さんを持たれている親の方は、普通そう思うでしょうね、、、許せないけど、どんな殺し方をしても虚しい...
      「一番痛い方法で犯人を殺してやる。」
      お子さんを持たれている親の方は、普通そう思うでしょうね、、、許せないけど、どんな殺し方をしても虚しいだけでしょうね。
      2014/04/09
  • 二人の未成年者に陵辱され死んでいった娘の父親が、ある情報から犯人を知り、その一人を殺害する。そして警察に追われながら、復讐しようともう一人を追う。普通のサラリーマンで過ごしてきた父親が、突然に理不尽な不幸の底に突き落とさる。罪を犯したのは未成年で、罪の意識も持たない自己中心者。捕まっても、法律は犯罪少年の更正を重視して、正当に裁いてくれない。悲しみと怒りのにとらわれた父親の心情と、それに同情・共感を抱く人々。その中には警察関係者もいた。警察の追及と犯人への復讐、殺された娘の父親の心情に読者を引きこむ展開、そしてレイプ殺人犯人を追う父親に情報を提供するなぞの存在が物語を面白くする。

  • 「さまよう刃」タイトル通り鋭い刃で社会を切っている感じがした!
    最初から衝撃的な出来事でスタート、それから物語はスピードアップ。
    ドキドキしながら、入り込んでいきました。
    許し難い少年たちの悪行の数々。
    途中何度も怒りを覚えながらあっという間に読み終えました。
    自分も娘を持つ親としてかなり辛かったが、社会は何を守ろうとしているのか?何が正義なのか?
    色々考えさせられた作品だった。

  • 先日ドラマでもやってたみたいですね。見てませんけど。
    で、どんなんだろう?と思って手に取った本。
    深いですね。考えさせられます。

    娘を殺した、捕まってしまえば少年法で守られる若者に復讐しようとする父親、その父の復讐を阻止しようとする警察。
    刑事の「殺人犯の少年を守るために父を捕まえるのか」という葛藤はとても考えさせられる。
    私も子を持つ親だが、置き換えて考えると必ず犯人を殺してやりたいと思うから。
    わが子の未来を奪った犯人の、その未来を考えての少年法は被害者家族には納得がいかない。納得しようもない。

  • 重すぎ、そして本当にやりきれない想いです。この気持ちをぶつける先もなく、本当にどうしようもないのかもやもや。このテーマを扱う東野さんは本当にすごいです。つらいので正直再読はしたくないけれど一度は読むべき本だと思います。すごく考えさせられます。

  • 読みながらうなってしまうような作品。少年法について深く考えさせられる。
    切ない話だった。ラストについては私はあれでよかったとはいえないけれど
    そういうもんなんだよな…と納得?(ぴったりした言葉ではないような)はしました。あの展開でもし最後が読み手が期待しがちな結末に行ってしまっていたら私は期待していながらもその結末にがっかりしたと思う。
    どうだとしても、やっぱり辛いよね。

  • 面白かったけど重い話だったから読んだ後、心がズシーンとした(~o~)

  • 重いテーマ。夢中で読めるのは筆者の力を感じる。ただ、東野さんにしては、仕掛けの設定に少々隙が有る気がした。プロ(警察)としてそんなことするかな?という素直な疑問。

  • 東野圭吾の小説はやはり読みやすい。
    特に刑事物を書かせたら一級品だ。
    本作品は映画化もされている作品だが、
    小説で読んだ方が深みがあると思われる。
    この小説を読んで光市母子殺害事件を思い出した。
    正義とは、いったい何なのだろう。
    そう考えさせられる作品。

  • テーマはとても重く、答えは出ない。

  • 主人公が娘の敵討ちをしようとする作品である。
    しかしこの作品を読んでいると主人公を助けてやりたい気持ちになるのはなぜだろう。
    敵討ちは犯罪であるが・・・・
    夢中で読める作品には違いない。

  • 少年法のお話です。
    旦那が先に読んだんだけど、娘がいるだけに
    とっても分かる内容だったみたいです。
    私もそうだったけどね。
    こういうお話って、確かにその立場にたってみないと
    気持ちとか分からないんだろうけど、この本を読んで
    納得すると言うか、同意すると言うか...。
    色々考えました。

  • どこにも救いの無い少年犯罪の実態。
    本当に救いが無いです。
    読んでいて辛かった。
    とても辛かった。

    日本で「仇討ち」と言う制度が法的に禁止されたのは明治6年のことだそうです。
    現代日本では仇討ちは違法、ただの復讐であり犯罪とされます。

    でも日本には死刑がある。
    しかしその死刑制度にも意義を唱える団体が多くあり、死刑制度を導入している国は先進国では圧倒的少数派です。

    私は死刑制度は必要だと思っています。
    そして、「無期懲役」はその文字通りに「無期」でなければ意味が無いと思います。
    現状「無期懲役」は基本25年で放免されます。

    死刑囚やその他の懲役囚を隔離し続けるということはイコール税金が投入されるということです。
    その側面からも25年で釈放する必要性があるもの確かだと思います。

    けれど。
    遺された遺族にとって、25年で加害者が自由になる、同じ空の下で偏見や制約は受けながらも人生を続けている、これは受け入れがたいことではないでしょうか。
    私なら赦せない。
    赦せたら楽だろうに赦せずに苦しむと思う。

    この主人公は更に「少年犯罪」という制約にも苦しみます。
    3~5年で自由を取り戻す犯人と陵辱された上に薬物中毒で死んだ娘。
    この理不尽を解消するには自分の手で制裁を下すしかない。
    法は少年の更正を第一に考える。
    娘の無念、遺族の悲しみは考えてはくれない。
    それならば私闘でもって殺すしかない・・・。

    光市母子殺害・神戸児童殺傷事件の酒鬼薔薇聖斗、彼ら少年犯罪加害者は今どうしているのでしょう。
    その一生を反省と償いにあてているでしょうか。
    禅道や密教系で厳しく自分を律し修行に明け暮れる修行僧の方でも、そのような厳しい毎日を送ることはたやすくはないでしょうに、少年犯罪を起こした加害者がそれを成し遂げられるでしょうか。

    重く辛いテーマでした。
    犯罪被害者・その家族には読んで欲しくないです。

  • 主人公・長峰はある日突然、けだもののような未成年に、年ごろの娘を拉致され残忍に殺される。その絶望的な悲しみと憎悪に胸が震えた。復讐はいけないと頭では理解していても、主人公に同感、感情移入してしまった。未成年の犯罪者の更生を優先する少年法のありかたについても、深く考えさせられた。被害者はもう戻ってはこないし、遺族の傷はいつまでたっても癒えないのだから・・・。最後にホロリとするオチがあるが、せつなくやりきれなかった。

  • 理不尽、だなと思う。
    どんなにいい人間でも死んでしまったらなにもできない。
    どんな悪党でも、生きていればそれだけで可能性がある。

    その二つの落差はあまりに大きい。

    読めば読むほど、主人公・長峰に感情移入していく。
    なんとか復讐を遂げさせたいと思う。
    逆にいえば、失うものもなく命さえ惜しまないと決めた人間に、普通の人間ができることなんてないんだなあ。

    もしも長峰の目的が、犯人の少年から社会全体へ向けられたとしたら?

    そんなことはないんだけど、そういう可能性をはらんでいるからやっぱり私刑は認められない。

    でもやっぱり理不尽でやりきれないや。


    東野さんは初読。
    こういう簡潔でテンポのいい文章は好みです。
    長峰がストイックすぎて、他のキーパーソンである和佳子や警察のひとたちがいまいちかすんでいたような。

    ラストに明かされるミスリードは、「あっ」と思いました。
    エンターテイメントらしさが一気に増した気がする。いい意味でも悪い意味でも。

  • いろいろなことを考えさせられる内容だ。
    自分の子供が無残に殺されることを考えると、
    同じようなことをしてしまうのか?
    密告者が○○関係の人というのが、
    背筋がぞっとしてしまう。

  • やるせないお話でした。
    これはフィクションのお話しではなく、とてもリアルなお話しである。
    少年法で守られる加害者。罪の意識など皆無で、自分さえよければよいという身勝手さ。
    たった3年の刑期で更生などできるわけない。
    そして、自分の罪は軽いと勘違いし、再犯を繰り返す。

    ラスト、せつないなぁ。
    けど、何が一番ベストだったのか、考えれば考えるほど分からなくなります。

  • 長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。
    花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって
    蹂躙された末の遺棄だった。
    謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、
    突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。
    犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、
    警察とマスコミが追う。



    未成年の犯罪者の刑は驚くほど軽い。
    彼らに更生は見込めるのか?
    被害者からしたら悪魔でしかない彼らに人権はあるのか?
    少年法は何か間違っていないか?
    遺族の無念はどうやったらはれるのか?
    復讐に走るのは当たり前なのでは?
    警察は市民ではなく法律を守っているのでは?
    …真の正義とは何なのだろうか?
    そんなことをこの本は問いかけています。

    もし自分の肉親が殺されたら、私も長峰のように
    復讐したいと思うでしょう。
    そして、少年法を憎むでしょう。

    前述と矛盾しますが、私は復讐には反対です。
    復讐は復讐を呼び、その負の連鎖はいつまでも続くからです。
    誰かが我慢しなきゃいけないんです。
    だから法律が存在します。
    でもこんなこと、遺族にとっては酷すぎますよね。


    「自分のやっていることは正しいのだろうか?」
    長峰の心も警察の心も揺れながら、さまよいながら、
    物語は進みました。

    この物語の最後は、もう一人の犯人を長峰が猟銃で
    撃とうとした時にそれを阻止しようとした警官に
    撃たれて死ぬ、というものでした。
    仮にもう一人の犯人を射殺できたとしても、
    長峰には刑務所行きが待っています。
    計画殺人なので、刑は重いでしょう。
    意外な結末ですが、そうならずに娘のところへ行けたので、
    これが一番良かったのだと思います。

    長峰をかくまったペンション経営者の女性の言った
    「みんな結局知らんふりじゃない。
    自分のことしか関心がない。」
    という台詞が印象に残りました。
    何が正義なのか見極めようとした彼女の精神を
    見習わなくてはなりません。

    特に、法律・警察・報道に関わる人に読んでもらいたい作品です。

  •  今さらですがネタバレ満載なので未読の方はご注意を!


     04年12月刊。
     新参者も、かっこうの卵は誰のもの、も図書館で予約待ち。
     そういう訳で映画にもなってるこの本を手にとって読む。

     冒頭から模倣犯を思い出しながら読むすすんだ。
     ただ主犯の男は、明らかに模倣犯のピースに比べて単純で、幼さが全面にでていた。
     3人(2+1共犯)が、自分のしたことが原因でくる結末から逃げ続けるという部分。そう、自分のしてしまったことから逃げるというのかな。
     ちょっと、わかる気もした(オイ)
     作中に出て来た、”他人を殺しちゃった男が、逃げた後2日間女とラブホに泊まってた、それは他でもない、単に死体と一緒にいたくなかったからという理由だけだった” というやつ…
     That's All。 見えないことはおこっていないのと同じ。
     逃避している、というよりは本気でどうでもいいのかもしれないw 
     普通の人は、頭のどこかではわかっているんだけど逃避するものだけど(そして絶対に現実を忘れてることはできないんだけど)、その若者はまるっと忘れてしまえるのだろうな。
     主犯と逃げるハメになってしまった女の子も。脅されてはいたけど……うーん、いや、何か今の状態に変化が起きるのが、めんどうくさいという気持ちもわかるにはわかる。

     追い続ける父。
     怒り、悲しみははかりしれない…知りたくもない、こればっかりは。
     想像してみるだけでもこの痛みだ、いっそ発狂した方が楽だろう。メッタ刺しにしたってなお、正気でいなけりゃならない(狂ってしまえない)ことは残酷すぎる。ビデオ再生してみてしまう場面は正直読みたくなくて辛かった。

     ペンションの女性。
     何かでも出てこなかったかな、こういう夫婦。
     家族でドライブかなにか行った時に、二人のミスが重なったせいで息子を死なせてしまう話。東野圭吾じゃなかったかなぁ? 山のパーキングかどっかでサイドブレーキひくのわすれて車ごと…っていうの?? 
     責めるだろう、言葉になることはなんとか抑えられたとしても、心の中ではずっと。もちろん自分のことも、相手のことも。
     これは「手紙」読んだ時に思ったことだけど、いっそ、その時ぶつけあったほうが後々うまくいくのだろうか。
     死んでしまった息子には悪いけど、上の子がいないのならもう一人産んだらまた違ったかな…? いや上の子がいるならなおさら、亡くなった子に執着せずに前を向かなければならないけど、難しいよね。悲しみや、後悔や、そういうもろもろだけを忘れて、その子の存在を忘れないということが、果たしてできるのかどうか。
     
     あと…少年法に関して。
     育った環境など…ってそれいっちゃきりがないけど、100% 環境が悪くね? っていう状況も、あると思う。だからといって犯罪は犯罪で、悪だよ。だから難しいんだよね。ただ、そういう環境で育ってしまうと、たいてい更正するのにすごく永い時間がかかるような気がする。その子の中に悪が発生した、というよりも、悪がなにかわからないで育ってしまっている。やり直すのに遅いことはないって、思っているけど、それでも本当に更正できるのか?と疑わしくなる。。
     何十年という長ーいスパンで見たら。
     少年だからという理由だけでやたらとかばうのではなくて、大人と同等に裁くべきじゃないかなぁ。そんでそういう長ーい積み重ねの上に、世間に『犯罪を犯すと年なんて関係なく裁かれる』っていうのが浸透していくのじゃないかな。自分が犯罪を犯すか犯さないかの瀬戸際に来た時、『罰がやだからしない』って理由ででもいいから迷ってくれたら。もちろんモラルうんぬんで犯罪を犯さないのが一番理想だけど、それができないなら。

     世論の対立。
     正直どうでもいいww
     政治家の派閥争いと同じ感じ。意見の相違が争いの手段とされているだけのような気がする。どっちの意見でも、白黒つけられないから意見がぶつかっているのにさ。
     テレビの討論番組などが世論のそれぞれの意見支持者をあおってる感じがすることがあるのは、当然なのかも。だって制作者がそう意図してる(場合もある)んだから。

     ちょっと驚いた一文。
    『もし自分たちの子供も男だったなら、こんなひどいことにはならなかったのだろうか、とふと考えた。しかしその直後に、そういう問題ではないと思い直した。女の子を持つ親が怯えながら毎日を送らねばならない世の中こそ、絶対におかしいのだ。』

     

  • 読んだのは2回目。

    一人娘の絵摩は高校1年生。絵摩が10歳の時から長峰は男手ひとつで大切に育ててきた。花火の夜、絵摩が3人の少年に拉致された。
    三人の少年は伴崎敦也(アツヤ)、菅野快児(カイジ)そして、運転手役の中井誠。ともに中学の同級生で高校を中退している。アツヤとカイジはカツアゲや窃盗は日常茶飯事、おやじ狩りやレイプまでしていた。そんな2人に引きずられる格好だったのが誠。誠は拉致までは共犯だったが、レイプには加わらなかった。
    カイジとアツヤに蹂躙され覚せい剤まで使われて、絵摩は死に至った。

    絵摩を拉致する時に停めてあった誠の車の情報が警察に寄せられ、ニュースで流れると、焦った誠は長峰にカイジとアツヤの密告をする。
    長峰はアツヤのアパートに忍び込み、絵摩のビデオをみつけてしまう。その時、アツヤがアパートに戻ってきた。長峰は咄嗟に台所にあった包丁でアツヤを滅多突きにした。瀕死のアツヤからカイジの情報を聞き出した。「カイジは長野へ逃げた」・・・
    犯行を隠すことなく長峰はカイジを追って長野に向かう。
    長峰は指名手配されることとなった。


    長野のペンション『クレセント』に長峰は宿泊しながらカイジの行方を捜す。しかし、『クレセント』の経営者の娘である和佳子に気付かれてしまった。しかし、和佳子は長峰を自分の所有するマンションに匿いカイジの行方を捜す長峰に協力する。
    長峰は和佳子が不動産情報誌見つけた高峰高原のペンションが怪しいと当たりをつけた。
    一方、警察も犯行を録画したビデオから長野の閉鎖されたペンションではないかと推測する。

    高峰高原のペンションにカイジは潜伏していたが、逃げられてしまう。しかし、金に困ったカイジは誠に金を用意するように連絡を入れた。夜の8時に上野駅で会う約束をしたことは、誠を張り込んでいた刑事たちに知らされる。

    カイジが上野に現れることも長峰の元に垂れ込みあり、長峰の知るところとなる。

    カイジと誠が上野駅で接触した時、誠の後をつけていたカイジたちの被害者で自殺してしまった娘の親(鮎村)がナイフで襲い掛かる。カイジはナイフを取り上げ、人質をとってしまう。
    全く手が出せない警察をすり抜けて長峰が猟銃をカイジに向けかまえる。
    銃声がして倒れたのは長峰。ずっとカイジたちを追っていた刑事、織部が発砲したのだった。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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