大人の友情

  • 朝日新聞社 (2005年2月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (204ページ) / ISBN・EAN: 9784022579911

みんなの感想まとめ

テーマは大人の友情に関する深い考察で、著者の優しい語り口が心に響きます。河合隼雄のエッセイは、友情の多様性や複雑さを探求し、特に「裏切り」や「男女間の友情」といった章が印象的です。読者は、友情には決ま...

感想・レビュー・書評

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  • 河合隼雄さんのエッセイは「○○ともいえるし、△△ともいえる」とふんわり帰着することが多いので「なんだ、結局何も言ってくれないのか」と拍子抜けしてしまう人も多いかもしれないですね。だけどひとつのことに悩みすぎ視野が狭くなっているときに読むとかえって救われる気持ちになるんですよね。暗い部屋で悶々としているときにそっとカーテンを開けてくれるような感じ。

    今回は『裏切り』の章を特に興味深く読んだけど、数年後また全部読みなおしたいです。

    それと『男女間に友情は成立するか』『茶飲み友だち』の章を読んで「バベットの晩餐会」という映画のことを思い出し、また観たくなった。

  • 臨床心理学者としての河合先生の言葉、見解というよりは、1人の大人(分別、善悪をよくわきまえた)として、思い、考えを述べているような文章が、とても読み易く、共感出来る部分が多いですね。

    結局、友情には決まったカタチがない、というニュアンスがところどころに散りばめられていて、河合隼雄先生という人間味がとても良く現されてる作品だと思います。

    また、何度も読み返したいですね。

  • とても良かった〜〜!!!
    ユング派の第一人者、河合隼雄先生が晩年に書かれた本。優しい語り口でとても読みやすくわかりやすい!!

    大人の友情に関してさまざまなトピック(友人の出世を喜べるか・友人の死・贈り物・同性愛等)からなっており、ちょこちょこ読むのにも適していると思う!!

    全体的にとても良く、借りてきた本だけど手元に置いておきたいなーという感じ。
    河合先生の他の本も読みたいと思った、てか絶対読むからねー!!



    【全部よかったけど特に心にきたとこメモ】

    81 友達の死
    友人が亡くなってから、自分が今していることについて、その友人に「再会」したとき、「お前、どうしてあんなことをしたのだ」と言われた時に、どう説明しようかなと考える。そして、彼に申し開きのできないようなことはやめようと決心する。
    死んだ友人たちが、自分を見ている、あるいは、見てくれている、と考えることは生きてゆく上で大切なことと思う。

  • 「いろんな人間関係の背後で、「友情」ということがはたらいている」p,11
    とあるように、夫婦も恋人も同僚も師弟もどこかで友情に近い気持がその関係を支えていると思う。

    その友情についてのトピックが多岐に渡る。
    人以外への友愛の話、同一視、贈り物、裏切り……

    「欲しいと思っても、なかなかできないのが「友人」だ、とも言えるのではなかろうか」p,12
    一生懸命努力して友だちができると思っている人もいる。できたら有難いもの。

    「私はかつて、ユング派の分析家、アドルフ・グッゲンビュールの「友情」についての講義を聞いたときのことを思い出す。そのとき、彼は若いときに自分の祖父に「友情」について尋ねてみたら、祖父は、友人とは、「夜中の12時に、自動車のトランクに死体をいれて持ってきて、どうしようかと言ったとき、黙って話に乗ってくれる人だ」と答えた、というエピソードを披露してくれた」p,13

    頭ごなしに叱るでも、庇うわけでもなく、無条件に話を聞こうとする/してくれる関係。話に乗って何とかしようという姿勢も感じられる。深い信頼関係。
    実際には難しくても理想を追うことはできる。という話がp,39にある。

  • 心理学やばかりでなく文学の勉強にもなって良い。せわしない生活を送る中、こういう本をのんびり読むのは心の療養。

  • 前半はやや堅いスタンスで始めた連載が、徐々にこなれた、くつろいだ雰囲気に変化してゆくのが面白い。この本が出た2年後に他界なさったかと思うと、病魔など感じさせない明朗さが、読んでいて切なかったりする。

  • この間読んだ小川洋子さんとの対談がとてもよかったので、こちらの本も読んでみました。
    きっと先生のお人柄なのでしょうが、とても温かい気持ちが伝わってくるような本です。友情、という一見ほのぼのとしたテーマですが、内容は深く、ときに無意識の暗闇といったような重い話があったり、互いを傷つけずにはいられない関係性というような難しい話もありました。
    でも全体としてはとても分かりやすい言葉で書かれていて読みやすかったです。
    心と心の深いつながり、「たましい」という言葉も出てきます。激しさや強さではなく、より深く相手と繋がる関係。。。先生は夫婦の間にも「友情」が大切だと書かれています。確かにそうだなぁと思います。私も夫との間に、これからまだまだ長い年月をかけて、深い友情をつくっていけたら素敵だなぁと思いました。
    それから、心に残ったことば、「死すべき者の自覚」。
    「何のかのと言っても、彼も死ぬし自分も死ぬ。互いに死すべき者と感じるとき、善悪とか貧富とか長短とか、この世のいろいろな評価を超えて、束の間のこの世の生を共にしている者に対する、やさしさが生まれてくる。」
    こういうことを私も心にとどめて、周りの人たちと接していきたいなと思いました。
    夫と子供を大切にしよう、とか、地元の友達にゆっくり会いたいな、とか思いました。

  • 「やさしさ」は死すべき者の自覚/自立している人は適当な依存ができてそのことを認識している人である、友人関係の場合も互いに依存したり依存されたりしつつ、そのことの認識の深さによってその自立性も高まる/ 2009/6

  • 河合隼雄先生による大人の友情論。

  • 読みやすいし興味深い

  • 友情とは『あらゆる人間関係の基盤としてそれはあり、人間の生き方を豊かにしてくれるもの』。
    どの項目も興味深く読めた。ときどき考えさせられて。というか河合隼雄先生の本はさらっと読むと気づかないことが散らばっている気がして気をつけて読んでしまう。
    「友情と贈りもの」の中にある「ごきんとう」が気になった。贈りものに対してすぐそれ相応のお返しをするのはよろしくないらしい。贈りものもお返しも難しい。
    友と友を結ぶ存在としての「たましい」。毎度毎度深掘りすると疲れてしまうし、さらさら付き合うと深みがないし。難しい。

  • 友情とは何か、性別や恋愛、贈り物精神と見返り、時には小説の友情を題材にするなど、さまざまな視点を踏まえて、心理学者の著者がわかりやすく考察を述べていてとても読みやすかった。

  • 臨床心理学者で宗教や哲学の思考を重ねる作者の本なので漠然とした期待と親しみを持って読み始めた。
    読み易く衒わない論調のエッセイで共感することが多く爽快な読後感に包まれた。
    普段の人間関係で気になることの多い、よくあることを専門的見地から易しい言葉で誠実に解き明かす。
    友人とは「夜中の12時に、自動車のトランクに死体を入れて持ってきて、どうしようかと言ったとき、黙って話に乗ってくれる人だ」とユング派の分析家アドルフ・ブッケンビュールの祖父が言う、から始まる。
    友人関係は「虫が好かぬ」「馬が合う」の如く無意識的なものであり、直接的な利害関係や意識的打算とは重ならず、地位・財産・名声でもなくお互いに存在を認め合っているというそのもの。友情を支えるものは目的でも理想でもなく「お互い、生きててよかったな」というもの。青山二郎が対談で親友の小林秀雄を泣かせてしまう話は印象的で、どんな人であれ心の深層は闇の世界であり、関係が深くなることは、その人の影の世界も知ることでそこに触れられるとあの小林でも涙を流すということだ。
    丸谷才一の出淵博に対する弔辞も凄い、「故人に対する深い感情が示されつつ、文学者らしい抑制がきいていて、生の感情によって他人の心を騒がせない節度が守られている。」と抑制・節度が心を打つ、と言う。
    「ついにゆく道とはかねて聞きしかど きのうけふとは思はざりしを  伊勢物語」を「‥‥聞きしにまさるこの花道ぞ  隼雄」と読み替えて、死について白洲正子と語り合う。
    お互いの距離について、調節や操作にそれほど気をつかうことなく、相手と共にいる、あるいは「あの人がいる」と思うだけで、ほっとできるような関係がひとつでもあれば、その他の付き合いは楽になるであろう‥‥「自立している人は、適切な依存ができてそのことをよく認識している人である」等々身につまされて納得できる言葉が続く。
    田辺元と野上弥生子の友情を通した晩年の恋愛の話も秀逸だ。彼らの和歌の遣り取りは一流の繊細さで展開され、感情の逸脱を防ぐ「断念の構図」がある、と言う。
    付き合いや裏切り、贈り物とお返し、ホモの話、関係の踏み込み等々いろいろなことを俎上にあげて思考し無駄のない的確な言葉での表現は流石である。
    人生経験を経てこそ、しみじみと共感できる内容であり受け止める人の考えの深さによっても印象は異るであろう。
    道徳の教科書のようであった。

  • 図書館本。人間関係は適度な距離間がすべて。それに尽きるのだろうなと思いました。とにかく息子たちには、子どものころからあらゆる人間関係を経験して、免疫をつけておくことが大切だよ!と教えていこうと思います。

  • 幼い子ども間でも日常的に無意識に在る、友情の尊さと脆さと複雑さ。
    小学1年生くらいまでは、感情むき出し、思ったことをそのまま口にしていたため、人の気持ちや友情も目に見えなくもなかったのだが、これが大人の友情となると、ごくありふれたことなのに、言葉にしてわかりよく説明することができない。
    河合さんは、”友情とは何ぞやと訊かれると、今でもはっきりとは答えられない感じがする”と最後に書いている。きっとこの本を書き始めたときから、友情を噛み砕いていっても、はっきりとは答えられない感じ、(感じというところがまた大切な気がする。)というところにたどり着くことはわかっていて、書いてくれたのだろう。

    河合さんはあらゆるエピソードに、肯定も否定もせず、どちらの立場や考えにも理解を示してくれる。友情にはふたり以上の人間が必要で、ふたつ以上の在り方があるからかな。それか他人の友情を第三者の視点や、自分の体験を’振り返って’書き綴っているから、どちらでもなく、どちらでもあるからかな。(作者だから公平でないとだめ、は抜きとして。)友情はリアルタイムの本人では、冷静に見つめることが難しいものなのかもしれない。
    だって普段の生活の中で、もし裏切られたとしたら、相手の裏切る心理を分析する以前に激高する気がする!(そこで激高しないことが友情!?冒頭、トランクに死体があっても黙って話に乗ってくれる人=友人からすると。)

    贈りものの話はすべて興味深かったし、心温まった。
    贈りものの多義性は、私にも経験があり、海外の友人と話していると、贈りもの以外の風習でも、お国柄の違いが出てくる。
    友人は日本語が達者で、その辺りも詳しく教えてくれるし、私も、日本だと不満や疑問に思うようなことでも、お国柄かも知れないと思えるようになった。友情などと改めて語ることもしてこなかったが、これは深い友情と呼べるだろうと思えて嬉しくなった。

    シンプルに大人の友情についてのみ、書かれた本だった!
    美しい友情、荒んだ友情、誰と誰の友情とか、(その誰と誰の性格にもよるのではないか!?)そういったことではなく、人間の話だった。(そうだ、河合さんは心理学者なのだから、そのアプローチは当たり前だった。)多種多様、ひとつも同じ友情はない。
    人々が友情を描いた物語を読むのは、誰しも身近にあるものであり、その物語からどう感じ取るか、影響を受けるか、人それぞれであり、友情という答えのないテーマに無限のドラマがあるからかもしれない。

  • 2015.3月
    いつも難しいことをとてもわかりやすく話してくれる河合隼雄さん。厳しいけどちゃんと優しい。直接会って話を聞いてみたかった。友情は複雑。でも一心同体になれないことはちゃんと理解しておきたい。友だちなんてそんな簡単にできるもんじゃない。長年かけて関係を少しづつ作っていけばいい。離れてしまったらもうそれはそれでしょうがないと思う。許せるかどうかが大事なのかもしれないなあ。 「夫婦関係も友情のようになってくる」。そうか。それでいいんだな。

  • うなずける所と、そうでもない所とある。でも後半は面白い。

  • 大人の人生論的な感じの本。
    いまいちピンとこなかったので、もう少し大人になってから再読しようと思う。

  • ちょっと抽象的な表現が多すぎていまいち印象には残らなかった。
    人間関係って難しいね。

  • しみじみします。

    あと、河合先生は読書家だったんだなぁ、とも思いました。

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