マングローブの沼地で 東南アジア島嶼文化論への誘い (朝日選書 495)
- 朝日新聞 (1994年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784022595959
感想・レビュー・書評
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鶴見良行は人類学者であり、鶴見俊介の従兄弟。本書は決して読み難くはないのだが、地名や部族の名前など馴染みのない単語が多く、それらの区別がつきにくいため、頭の中でスッキリと整理できない。そもそも分かりやすい枠組みで東南アジアは整理できないとも言える。
前半の舞台はフィリピン南部。スペイン植民地時代のミンダナオから、現代のムスリム問題へ。というか、私はフィリピンにも度々行くがあまりムスリムのイメージがなかった。1603年にはマニラで華人の大規模な反乱が起き、スペインが二万人ともいわれる華人を虐殺する。当時、マニラのスペイン人は約千人。対して華人は二万人。さらに日本人町も千人を超えていたという。色々と今のマニラから想像しにくい。
スペインが恐れたのは、華人とキリスト教化されていない現地住民が結びつくことだった。植民地支配の仕組みも面白い。スペインは住民をキリスト教化し、福祉を担うという建前のもとで、労働を強制し、税を徴収。
そしてミンダナオ問題。「ムスリム対クリスチャン」という二項対立ではなく、ムスリム側にもマラナオ族、タウスグ族など民族・地域ごとの違いがある。で他方、クリスチャン側にも、過去のムスリムへの恐怖や偏見が残っている。
日本人は「日本人」というまとまりをあまりにも自然なものとして考えているが、それは島国であり、国家、民族、言語が一つにまとまっていることが前提だ。しかし、世界の側からすると、そんな一枚岩の社会のほうがむしろ特殊だ。
東南アジアの多島海では、領主が気に入らなければ別の土地へ移ることもできる。鶴見はこれを「忠誠選択の文化」と呼ぶが、日本から見ると、ずいぶん自由というかドライな社会にも思える。
溢れ話。コタバトやホロが奴隷交易の港だったことはもちろんだが、北ボルネオでは「賃金を払うから働いてくれ」と言っても誰も働かず、「自分を買ってくれるなら働いてもいい」と言われたという。奴隷より賃金労働のほうが身分が低い。
そして、マングローブの話だ。海と陸の境界にある沼地。そこで漁民、商人、海賊、焼畑農民などが移動しながら暮らしてきた。しかし、いつしかマングローブの伐採へと話がつながっていく。人間たちはマングローブのように、境界で生き、絡まり合い、移動し、形を変えてきたのだが、やがて形を変えていく。その外形がよく分からぬまま沼地を歩むように読み切ってしまった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18340
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BN10487530
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