緑の世界史 下 (朝日選書 504)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022596048

感想・レビュー・書評

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  •  上巻に引き続き,人類が進歩?)にはするに従い,地球の緑がどのように変化してきたのかを,様々な進歩情報を取り上げて解説しています。どっかの本書の紹介にも書いてあったように「特定の人物の出てこない地球の歴史」が書かれています。

     200ページ付近のまとめっぽい文章を引用しておきます。

    ある見方からすれば,こうした新技術や複雑な生産工程の導入,資源消費の拡大は「進歩」と映るかもしれない。人類社会が,自らの必要に合わせて環境を管理し改変する能力が増していき,そのためには創意工夫,難問の克服,問題解決の努力など蛾必要だったからである。しかし,環境の側から見れば,それは人類が同じ必要最低限のものを得るのに、さらに複雑で環境に大きな負担を強いる方向に進んでいった過程であるにすぎない。(本書202p)

     湧いて出てきていた石油が便利だとわかった瞬間,その石油に依存するような社会となり,便利となったのだが,今度は,その石油が欲しくて,これまで以上にエネルギーを使い深く掘り進めなければならなくなる。そして緑の破壊は進み,危険性も高まる。木→石炭→石油→原子力の順に,人間は進歩してきたのだが,その分,エネルギーを得るためのしかけは大きくなり,環境にかかる負担は増大してきた。そういうことですね。
     乗り物しかり,情報網しかり…。

     人類が,環境に負荷をかけない方向に進化することはできないのでしょうか? 環境に負荷をかけない技術ってなんなのでしょうか。

  • 冒頭の章で触れられている、動物からヒトに感染するようになった疾患の例が面白い。天然痘が牛からというのは知っていたが、結核やジフテリアも牛から、ハンセン病は元々は水牛の病気、風邪は馬に由来するというのを初めて知った。家畜と濃密に過ごす生活をするようになり、人は様々な病気に晒されるようになったのである。

    中盤から後半にかけては、自然や環境と人類史というより、単に都市の発展に関する話が多くなり、面白みはやや減る。都市開発論とかをやる人にとっては、上巻よりもむしろ下巻の14章以降のほうが面白いのかもしれないが。

    人類が発展し、エネルギーを手に入れるようになった13章あたりまでが、一般的な環境人類史を知りたい人にとっては楽しい内容だろう。後半はジャレド・ダイヤモンドの『文明崩壊』あたりと重なる感がある。

  • 1994年(原本1991年)刊。

     下巻は環境破壊を生み出した要因をテーマ毎に粗描する。
     具体的には①農業革命、②人口増加(殊に近代の医療・衛生環境の上質化に伴う指数関数的な増大)、③エネルギー革命(前は木材とその乱伐による森林破壊。後は石炭・石油などの化石燃料の利用拡大)、④都市論(稠密化)、➄内燃機関の開発・発展と電化範囲の拡大に伴う交通革命、そしてこれらの帰結としての⑥環境破壊=公害=広い意味での処理・分解不可能な廃棄物の増大といった辺りで、割とステロタイプである。

     90年代初頭という早めの時期。当該テーマを広くまとめ上げたという意味合いを持つ書なのだろう。

     なお、訳者は石弘之(朝日新聞編集委員・東京大学非常勤講師)、松井淳(京都大学生態学研究センター研修員)、中川毅(京都大学大学院理学研究科博士課程所属)、山口建一郎(三菱総合研究所勤務)、立澤史郎(京都大学大学院理学研究科博士課程所属)、蒔田明史(京都大学大学院理学研究科博士課程所属、同大学生態学研究センター研修員)、野間直彦(森林総合研究所勤務)、佐久間大輔(京都大学大学院理学研究科所属)。

  • バングラデシュでは、1974年の大洪水後の三ヶ月で米の価格が二倍になった。洪水で仕事がなくなった人々は食糧を買うことができず、その結果150万人が餓死した。1974年は、バングラデシュが総量でも一人当たりにしても、これまででもっとも豊作だった年である。もう一度強調しておくが、高騰した食糧を買える財力を持っているのは誰なのか、が問題なのである。(p.49)

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