ロバート・フックニュートンに消された男 (朝日選書 565)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022596659

作品紹介・あらすじ

巨人は何に敗北したのか。驚異の真空ポンプ、精密な望遠鏡、-実験と実用の17世紀イギリス科学界。寵児フックの名声にニュートン=理論至上主義の影がさす。初の本格評伝。

感想・レビュー・書評

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  •  最近,読んだ科学入門教育雑誌『科学入門教育WORKS』(楽知ん研究所)に影響されて,本棚に眠っていた本書を取り出して読み始めたら,これが面白い。やはり,自分のなかにちゃんと問題意識があると,少々難解な本でもすらすらと読めるから不思議だ。もっとも,本書を手に入れた時にもそれなりの思いはあったと思うのだが,他を優先している間に,読む時間がなかったのだろう。
     本書のタイトルの一部にもなっている「ニュートンに消された男」という部分は,後半部分に出てくるだけだ。前半は,完全にロバート・フックの科学上・実験技術上の研究成果をわかりやすく教えてくれる。もちろん,個人的な話題や当時の社会背景もしっかり描かれている。
     フックと言えば,「フックの法則」のフックである。あのばねの伸びの奴だ。と同時に「ミクログラフィア」という微細世界を写生し解説した本も出していて,細胞(セル)の発見者ともされている。一方は物理法則,一方は生物学。こんな幅の広い研究をしたフックが,どうして最近まであまり注目されてこなかったのか。
     それが,ニュートンとの関わりにあるのではないかというのが,本書のメインテーマである。ニュートンの研究の一部はすでにフックが考えていたことだったりして,なかなか微妙だ。論争を避けたかったニュートンと,執拗に論争を挑むフックの姿も赤裸々に描かれている。
     単なる科学史ではない人間もようが描かれていて,なかなかに面白い。

  • BBC Radio 4のIn Our TimeでRobert Hookeのポッドキャストを聞いて関心を持って古本で購入。おもしろい。とくに最後のフックがなぜ忘れさられたのかというところで、理論科学と実験科学を対比するあたりは考えさせられる。生物学との関係では『ミクログラフィア』の話が重要。

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著者プロフィール

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

「2020年 『科学技術社会論の挑戦3 「つなぐ」「こえる」「動く」の方法論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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