パンツが見える。―羞恥心の現代史 (朝日選書)

著者 :
  • 朝日新聞社
3.36
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本棚登録 : 232
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022598004

作品紹介・あらすじ

パンツが見える。それを喜ぶのは男性で、見られて恥じらうのは女性。でも、つい50年ほど昔まで、たかがパンツごときでときめく男はいなかった。なぜなら、和服の女性はパンツを穿いていなかったから、ふとしたはずみでチラリと見えてしまうのは、パンツなんかじゃなかった…。「陰部を見られても、場合によっては仕方ない」、それが戦前の女性の感覚だったはず。だから、多くの女店員が裾の乱れを恥じて墜落死したという「白木屋ズロース伝説」は眉唾だ、と説き起こす。「パンツ」をめぐる感性の興亡を考証する、著者10年の思索の結実。

感想・レビュー・書評

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  • 男が覗くから女が隠すのか、女が隠すから男が覗くのか? 「なぜ男はスカートの中を見ることに、これほど興奮するのだろうか」という下世話な謎は、「つい数十年前まで、和装の女性はパンツすら履いていなかったのに」(つまり、覗いたところにパンツがあるというのは、男にとって残念でありこそすれ、喜ぶことではなかったはずなのに)という本格的な疑問へと展開される。井上章一は、当時の京大生にとっては必読書だったものだが、おそらく『美人論』以来、20年振りくらいに読んだ。

    有名な白木屋ズロース伝説(白木屋の火事で、和服を着ていた女性店員たちが、陰部が野次馬に晒されまいとするあまり、命綱を手放して転落死した)を断定的に否定するショッキングな幕開けに始まる本書は、まさに「知の探求は最高の娯楽」を地で行く面白さで、井上章一は本書によって、この問題における第一人者(一人中)としての立場を確立したと言える。

  • 0133
    2019/08/22読了
    ずーーーっとパンツだった。面白かった。
    文明開化してもパンツ(ズロース)を履くことが少なかったというのは驚き。職業婦人たちは履いていた、というがそれが性的な仕事の人がよく履いていたとあるのが面白い。パンツの意味がまるで今と違う。
    戦後になってもなかなか普及していかなかったというのが驚き。若い人はともかく年配の方は全然履かない。
    パンティーになってもやっぱり性的な仕事の人たちから始まって一般に広まっていくというのが面白いなあ。
    男性もパンツを目当てに見るのがここ数十年のことというのが驚き。
    パンツではなく局部だったり膝とか腿をみているとは。
    パンツを履いてれば見えても恥ずかしくないというのは男女ともに共通の考え方だったとは今では考えられない。
    トイレが男性共通の時代があったのも驚いたなあ。
    新しいパンツが欲しくなった。

  • ●昔、女性はパンツを履いていなかった。それゆえパンツ(陰部)を覗かれることに対しての羞恥心もなかった。パンツをめぐる羞恥心や感性の変遷を考察した本。

  • 「パンツ」をめぐる女性の羞恥心と男の感性の興亡を考証する著者渾身の一作だ。なぜ「パンチラ」に男は萌えるのか? またそれはいつからそうなったのか? 女性は女性で、いつから下着の露出を気にするようになったのか?
    いいねぇ。このテーマにここまで真面目に取り組むこと自体が素晴らしい。

  • 久米書店

  • 昔、上野千鶴子さんの「スカートの下の劇場」という本を読んだ記憶はあるのですが、内容はすっかり忘れていますw。1955年生まれの井上章一さんの「パンツが見える。」(羞恥心の現代史)、2002.5発行です。パンツが見えて喜ぶのは男性で、見られて恥じらうのは女性。でも50年ほど昔は、パンツはそれほど普及してなくて、チラリと見えるのはパンツではなかったと。百貨店の火災事故から、便所に男女の区別のない時代、女性の立ちション、7年目の浮気、見せる下着・・・、パンツをめぐる感性の興亡、著者10年の思索の結実だそうです!

  • タイトルと表紙だけ見ると「引く」タイプの本ですが、非常に真面目に「パンツが見えることに対する女性たちの羞恥心」がいつ頃、どのように作られていったのかについて述べられています。著者が(多少のスケベ心は当然あるにしろ)真剣にこのテーマに取り組んでいるということは、本書で取り上げられている参考文献や新聞記事などが非常に多いことからも分かります。

    女性が下着を日常的に身につけるようになったのは洋装が普及してから、という漠然とした知識はありましたが、その辺は服飾史とかを繙けば簡単に調べられるのでしょう。一方で、羞恥心などといった人の「感覚」に関する歴史は、調べようと思ってもなかなか難しいと思います。その点、注目されにくい(と言うか、特にこのテーマについては注目しても表に出そうと思わない人が恐らく大多数)と思われるテーマを引き合いに出して一冊の本にした著者の気力に脱帽です。

  • 井上氏は建築史の専門家だそうですが、後書きでこれからは風俗史の専門家と名乗ろうかとのこと。確かに日本の女性がパンツをはく歴史の研究はそれに値する内容でしょう。良くもここまで調べたと思う執念で過去の新聞・雑誌・小説から探査しています。1933年の白木屋の火災まではノンズロで全て丸見えだったが、白木屋火災をきっかけとして日本女性がズロースを穿くようになったという言い伝えは一部が事実だとしても、恥ずかしくて飛び降りることが出来ずに死亡したのは俗説であると否定します。当時の風習から丸見えになることは度々あり、死ぬ危険を前にして決して恥ずかしがっていたわけではないのだそうです。それを繊維会社が宣伝目的で使ったことは事実であり、広まっていったとのことです。白木屋火災で死亡した8人の女性の死因を探求から本は始まります。白木屋以降もパンツがなかなか普及しなかった理由。そしてパンツが局部を隠すようになって安心感で、パンツが見えることを恥ずかっていたわけではないこと、それを恥ずかしいと思い出したのは1950年代になってからだということ。そして男性もパンツが見えることに喜びを見出したのは1950年代までであり、それまではむしろ「丸見えでなくなったことへの淋しさ」を訴える文章が多く見えること。そしてズロースからスキャンティ、そしてパンティの歴史なども詳細に調べています。よくもここまで、と一寸呆れてしまうような迫力です。そしてそのことへの言い訳ともいうべき後書きも面白いです。井上氏は「つくられた桂離宮神話」の研究においても恥ずかしい部分への探究の喜びを追求しているということなのです。

  • ちょっと論理展開がしつこい感。

  • かなり真面目な女性のパンツと羞恥心の歴史本。
    パンチラの歴史が意外に浅いことに驚いた。

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター教授

「2017年 『学問をしばるもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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